Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

再び 国歌について

2016-07-29 08:22:18 | 新音律
忌野清志郎の「君が代」.Youtube だが埋め込み禁止.日の丸を持った人もいて,聴衆の熱狂ぶりは右翼の集会みたい.1999 年の国歌国旗法制定頃のビデオだろう.個人的にはいかにも話題性を狙っている感じが好みでない.むしろ矢野顕子の「長月 神無月」1976 年の中の「君が代」が,インストだが力が抜けているところを評価する.

吉田進「パリの空の下《演歌》は流れる」アルファベータブックス (2016/7) に国家に巻する一章があって,丸善で立ち読みした.
Amazon の内容紹介によれば,この本は
*****フランス現代音楽界の最前線で40 年にわたり活躍を続ける吉田進初の自伝的エッセイ。
フランス現代音楽の最高峰オリヴィエ・メシアンに師事し、日本の演歌や能、縄文にインスピレーションを受けた作品を作曲、フランスで高い評価を受けている吉田進氏が40 年の在仏中に書いた思索の軌跡。海の向こう側から見た日本とは何か、西洋と日本の関係を音楽を通して突き詰める。*****
演歌に関する章が目玉らしい.でも,まだ買っていません.吉田さん,ごめんなさい.

この本で,日本の作曲家たちの「君が代」の評価があった.黛敏郎は絶賛派だが,自分が右翼だから君が代を崇めなくてはいけないという義務感を引いたら,どうなんだろう.
父親は明治末の生まれだったが,君が代を聞くと涙が出そうになると言っていた.この気持ちは,わからない.

本には曲はどうか,詞はどうか,曲と詞のマッチングは,なども書いてあった.
以下は私の個人的見解.
詞はもともと和歌だから31音.しかし音符の数はそれより多い.
現代は(特にサザンオールスターズ以来)この多少関係は逆で,一つの音符に多数の音=言葉の断片を,早口コトバよろしく詰め込むのが主流.このセンスで君が代を聞くと,荘重なような・間延びしたような,要するにすごい昔の曲に聞こえる.

以下の段落は,徳丸吉彦「ミュージックスとの付き合い方 : 民俗音楽学の拡がり」放送大学業書 左右社(2016/4) からの受け売りを含みます.
文化が異なれば曲と詞の対応は崩れ,嬉しいはずの歌が異国ては悲しい歌になったりする.それでもあえて,国のアイデンティテイとして音楽を用いるのは矛盾している.他国民にとって他国の国歌は理解できないと思った方が良い.
いっぽうオリンピックなどの国際行事のためには,その国独特の音律音階を用いた曲を西洋楽器で演奏する必要が生じる.君が代だけでなく,20世紀後半に新たに作られた AA 諸国の国家群はこのなんとかこの要請を満たそうとした努力の成果だそうだ.

入学式・卒業式で国家を歌うことが強制されているが,そもそも式そのものが嫌いだ.入学式も卒業式も結婚式も葬式もいらないんじゃないの?
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

reading

/Users/ogataatsushi/Desktop/d291abed711d558e554bf7af66ee57d7.jpg