Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

16歳 江利チエミのゴメナサイ

2019-08-22 09:28:45 | エトセト等
慰安婦からの連想.ただし,ここでは当事者は在日米軍兵士と日本人女性.

占領下の日本,基地周辺に内務省により占領軍兵士向け特殊慰安施設 (兵士向けの売春婦がいる慰安所) の設置が指令され,警視庁により特殊慰安施設協会(RAA)の設立と運営が許可された.この他,建前上の恋愛や,パンパンと呼ばれた街娼による売春もあった.兵士たちの帰国後,残された女性には,混血児(GIベイビー)を抱えたものが多かった.

この歌のテーマは,帰国した兵士の身勝手な心情.(バナナ・ボートの) ハリー・ベラフォンテが歌っていて,その歌詞の一節
 My butterfly heart has brought you pain
からは,あちらは確信犯だったことがうかがえる.
下の動画の 1953 年の江利チエミ版 GOMENASI (綴りに注目!)はさすがに日本では発売されなかったが (1981 年発売の Nice to Meet You に収録された),あちらではそこそこ売れたらしい.アメリカでこの曲を吹き込んだ彼女は当時16歳.何も分からず言われた通りにしたのだろう.


ドーラシソという出だしは今でも覚えている.
小学校で「そんな歌を歌ってはいけない」と怒られた覚えがある.トニー谷のまねをして父兄の顰蹙を買ったりする軽い先生だったが,彼なりの思いはあったのだと思う.
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平安ガールフレンズ

2019-08-22 08:51:26 | 読書

酒井順子 KADOKAWA (2019/5).図書館で借用.☆☆☆☆

古典文学の作者に対して,著者は「友達になれそう」という親近感を抱くのだそうだ.それがタイトルの由来で,表紙イラストは著者と,そうした友達のひとりらしい.

著者がガールトークしてみたい相手は (以下の5行は Amazon 内容紹介のコピペ)

-「あるある」の元祖、女子に人気のリア充 清少納言
- ねっとり濃厚な性質、内に秘めるタイプ 紫式部
- 負けず嫌いな“出家してやる詐欺”美女 藤原道綱母
- 平安の“中二病”夢みる物語オタク 菅原孝標女
- モテと才能に恵まれるも、なぜか不幸体質 和泉式部

これら5人のガールフレンズの作品と人生をネタにしたエッセイ.酒井さんはどうやら紫式部より清少納言と波長が合うらしい.

ここで藤原道綱母は「蜻蛉日記」,菅原孝標女は「更級日記」の作者である.5人はほぼ同時代で,家系・就職先・結婚相手・浮気相手など互いに関係するが,解説されても面倒臭すぎて飲み込めなかった...飲み込む必要もないのだけれど.

彼女らの経済生活がよくわからない (それを説明するのがこの本の趣旨でないことは分かっている).やんごとなき夫が持つ多妻のうちのひとりになることもあるが,夫は多妻の一人一人に生活費を与えていたのだろうか.いっぽう彼女らの父はたいてい受領階級だが,この階級は一夫一婦だろうか.父親はけっこう薹が立った娘の生活の面倒を見ている.

菅原孝標女は富士の煙を眺めたりしている.あれもいつ噴火するかわからないぞ !

角川文化振興財団の雑誌「短歌」の連載「平安の女友達」の単行本化.

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