大倉崇裕「琴乃木山荘の不思議事件簿」山と渓谷社(2018/7).
山岳雑誌『山と溪谷』連載に書き下ろし1編を加え,7編連作推理として単行本化したもの.最後の第7話で全体が締まった感じ.
標高2200mの山小屋「琴乃木山荘」を舞台とする日常の謎...と思って読み始めたら,第5話,第7話では悪人が登場して殺人を犯すのだった.この著者らしく,山といえども社会の縮図である.でもこの著者の長編に比べると,軽い.1話あたりが短いせいかもしれないが,それでも連載時は2ヶ月で1話のことがあった.
アルバイトの棚木絵里がワトソン役で,彼女の目線で語られる.ホームズ役は年齢不詳・正体不明なベテランアルバイトの石飛 匠.いざという時に長野県警山岳救助隊・原田が登場するのが安易.
石飛の正体などをネタに,まだまだ続編を引っ張れそうだが,雑誌連載は終わったようだ.山小屋とその周辺という限られた空間で,続けざまに不思議事件が起こるというのは不自然だからね.
図書館で借用したが,すぐに読了.少々無理なストーリーがあるので,☆☆☆.