【社説②】:コンビニ報告書 加盟店重視する経営を
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:コンビニ報告書 加盟店重視する経営を
弱い立場にある加盟店主の負担軽減と保護が必要だ。
コンビニの課題を論議している経済産業省の有識者検討会が公表した最終報告書は、コンビニ本部にそう促す。
具体的には画一的な24時間営業の見直しや、人件費の一部を本部も負担する仕組みを求めている。
人手不足に悩まされている加盟店主の反発を受け、昨年から各社の本部も時短営業を認めるようになったが、まだごくわずかだ。
本部がもうけを優先し、加盟店に配慮しないのであれば、両者のあつれきは強まる。
報告書に法的な拘束力はないが、本部はその指摘を真摯(しんし)に受け止め、ビジネスモデルを再構築しなければならない。
一連の問題の根源にあるのは本部と加盟店の力関係である。
コンビニ加盟店は売上高から商品原価を差し引いた粗利益の一定割合をロイヤルティー(経営指導料)として本部に納めている。
本部は加盟店が24時間営業を続けたほうが売り上げが増え、もうかる仕組みだ。
一方、加盟店は残った利益からバイトなどの人件費や光熱費を賄わなければならない。人手不足で人件費が上昇しており、負担が重くのしかかる。
報告書は24時間営業について「店舗の実情に応じた柔軟な対応を認めることが検討されるべきだ」と記した。セコマ(札幌)は直営店が多い上、24時間営業は2割程度に過ぎず、事情が異なる。
働き方改革が叫ばれ、消費者のライフスタイルも変わってきた。それぞれの店の経営環境や地域の需要を反映できる体制にするのは当然だろう。
ロイヤルティーに関しても、加盟店側が有利になるような「環境の変化に応じた利益配分やコスト分担」を求める。
食品ロスの削減に向け、消費期限が迫った商品を値下げする「見切り販売」の促進にも言及した。
経営に関する問題に、国がここまで事細かに注文を付けるのは異例だ。本部が加盟店の声に耳を傾けてこなかった結果と言えよう。
加盟店主が相談しやすいように、第三者が間に入って解決策を探る裁判外紛争解決手続き(ADR)の整備も検討するよう提案した。本部は重く受け止めるべきだ。
昨年末の主要コンビニ店舗数は減少に転じた。市場は飽和状態にあるとの指摘もある。成長期のモデルに固執せず、本部と加盟店の共存共栄の道を探ってほしい。
元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2020年02月12日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。