路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【あぶくま抄】:神の食材

2021-01-01 10:18:10 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【あぶくま抄】:神の食材

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【あぶくま抄】:神の食材 

 正月の食卓に餅は欠かせない。雑煮を食べないと年が改まった感じがしないという方も多いのではないか。そもそも神様にささげる神聖な食べ物で、長く伸びて切れないことから長寿を願う意味も込められている。

 県内のスーパーによると、巣ごもり需要なのか、切り餅の売れ行きがいいという。昔と違い、今は個包装で保存が利く。家に常備しておけば、正月でなくとも一年中、手軽に食べられる。感染拡大の影響で、買い物に行く回数を減らしたい人には、うってつけの神の食材なのかもしれない。

 〈餅は食べかたである〉。つきたてが大の好物だった福島市出身の詩人長田弘さんは詩集「食卓一期一会」(ハルキ文庫)につづっている。つゆ餅、のり餅、くるみ餅、なっと餅、あんころ餅、ねぎ餅…。〈つくりかたでさまざまに名が変わる。つくるとは、名づけること〉。今でいう「味変」の奥深さがある。

 長田さんに倣えば、チーズをのせて焼くと「チーズ餅」、明太子[めんたいこ]をまぶせば「明太子餅」か。工夫一つで楽しみが広がり、名付け親になれる。日本の餅文化を見直すきっかけにもなる。ただ、お年寄りを中心に、喉に詰まらせる事故にはくれぐれもご注意を。

 元稿:福島民報社 朝刊 ニュースセレクト 社説・解説・コラム 【あぶくま抄】  2021年01月01日  10:17:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【気象庁】:日本海側、大雪警戒呼び掛け、2日にかけ平地でも

2021-01-01 10:09:30 | 【災害・地震・津波・台風・竜巻・噴火・落雷・豪雪・大雪・暴風・土石流・気象状況】

【気象庁】:日本海側、大雪警戒呼び掛け、2日にかけ平地でも

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【気象庁】:日本海側、大雪警戒呼び掛け、2日にかけ平地でも

 気象庁は1日、日本海側を中心に2日にかけて大雪になるとして、交通障害や施設への被害、雪崩や着雪に注意を呼び掛けた。

 雪が積もった金沢・兼六園を散策する人たち=12月31日午後

 気象庁によると、上空1500メートル付近に氷点下9度以下の寒気が流れ込み、強い冬型の気圧配置となった。3日にかけて続く。北日本から西日本では2日にかけて日本海側を中心に、平地でも大雪となる見込み。
 2日午前6時までに予想される24時間降雪量は多い所で北陸80センチ、東北70センチ、東海・近畿60センチ、北海道50センチ、関東甲信40センチ。

 元稿:河北新報社 主要ニュース 社会 【災害・大雪・気象庁】  2021年01月01日  10:09:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【皇室】:天皇陛下、希望を持って歩んで行くことのできる年に

2021-01-01 09:38:30 | 【皇室・天皇・褒章・皇后・皇太子・元号・宮家・皇室財産・皇族の戦争責任】...

【皇室】:天皇陛下、希望を持って歩んで行くことのできる年に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【皇室】:天皇陛下、希望を持って歩んで行くことのできる年に 

 天皇陛下は1日、新年一般参賀に代わる国民向けのビデオメッセージを、宮内庁を通じて発表された。新型コロナウイルスが猛威を振るう現状を憂い、「皆が互いに思いやりを持って助け合い、支え合いながら、進んで行くことを心から願っています」と呼び掛けた。陛下は、国民に話し掛けているのが直接見えるよう、マスクを外し、手元に目を落とすことなく話した。皇后さまも同席した。

本を手に取り、談笑される天皇ご一家(宮内庁提供=共同)           本を手に取り、談笑される天皇ご一家(宮内庁提供=共同)

 陛下は、医療従事者の負担が厳しさを増していることを心配し「感染された方や医療に従事される方、さらにはそのご家族に対する差別や偏見といった問題などが起きていることも案じられます」と述べた。

 疫病や災害を乗り越えてきた人類の歴史に触れた上で「新型コロナウイルス感染症が収まり、再び皆さんと直接お会いできる日を心待ちにしています」とし「今年が、皆さんにとって、希望を持って歩んでいくことのできる年になることを心から願います」と訴えた。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・皇室・天皇陛下は1日、新年一般参賀に代わる国民向けのビデオメッセージ】  2021年01月01日  09:38:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【WHO】:新型コロナワクチン初承認 ファイザー製、緊急使用で

2021-01-01 09:33:30 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【WHO】:新型コロナワクチン初承認 ファイザー製、緊急使用で

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【WHO】:新型コロナワクチン初承認 ファイザー製、緊急使用で 

【ジュネーブ共同】世界保健機関(WHO)は12月31日、米製薬大手ファイザーとドイツのバイオ企業ビオンテックが共同開発した新型コロナウイルス感染症ワクチンの緊急使用を承認した。同ワクチンは既に米国や欧州などで接種が始まっているが、WHOとして新型コロナのワクチンを承認したのは初めて。

 世界保健機関(WHO)本部=2020年2月、スイス・ジュネーブ(ロイター=共同)
 ワクチンの使用の是非は各国がそれぞれ決定するが、自前で臨床試験や審査ができない発展途上国などはWHOの判断を参考にすることが多い。今回のWHOの承認を受け、世界各地で接種が進むとみられる。
 WHOのシマオ事務局長補は、幅広く行き渡るよう各国に協力を求めた。

 元稿:河北新報社 主要ニュース 社会 【話題・WHO・医療・新型コロナワクチンの承認】  2021年01月01日  09:33:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政界地獄耳】:選択的夫婦別姓 もの足りない野田発言/12.28

2021-01-01 09:13:10 | 【女性が輝く社会と社会参画・選択的夫婦別姓・女性差別・女性を取り巻く諸問題】

【政界地獄耳】:選択的夫婦別姓 もの足りない野田発言/12.28

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳】:選択的夫婦別姓 もの足りない野田発言/12.28 

 ★年末、自民党幹事長代行・野田聖子が相次いでメディアのインタビューに応じている。時事通信では政府が25日に閣議決定した第5次男女共同参画基本計画で、選択的夫婦別姓について「さらなる検討を進める」と明記したことを「前進だ」と評価し、「子ども家庭庁」を創設して少子化対策に予算をもって臨むべきと訴えた。選択的夫婦別姓問題については後退したのではとの問いに「議論出来て実を取った」と説明、首相・菅義偉の政策の柱の1つ、不妊治療無料化は野田のプランといわれているが、今後は混合治療の中、どう決着付けるか課題は多い。

         自民党の野田聖子幹事長代行

 ★首相・菅義偉については「ずっと私の天敵だった。安倍政権下で総裁選に出ようとするたびに盾になり、応援してもらったことはない。だが、今は無派閥という負荷を背負いながらここまできたという仲間かな」と無派閥としての党内での生き残り方を評価してみせた。一方、朝日新聞のインタビューでは「保守分裂の岐阜『ドン』批判、野田聖子氏が抱く違和感」とのタイトルで来月ある岐阜県知事選挙が保守分裂選挙になったことに触れ「好き嫌いや数値化されないところで人の査定があった。一部の力で政治が引っ張られることは、これから通らない」と昭和長老支配批判。いずれも示唆的質疑となっている。

 ★だが、あえて注文をつけたい。選択的夫婦別姓については、自民党女性議員のとりまとめ、ことに杉田水脈対応終始曖昧態度で、議論できたのではなく、本質議論台無しにしたのではないか。既に自民党以外の公明党、立憲民主党、国民民主党、共産党、社民党が賛成を表明。自民党の議論も方向も中途半端でまとめきれなかっただけではないか。この議論をリードしてきた野田の発言としては極めてもの足りない。野田は閣僚経験、党三役のキャリアからいっても、県内の長老支配と今の自らの上司たる幹事長・二階俊博や首相の政治姿勢や手法に切り込んでもいいはずだが、踏み込んでほしかった。来年は総裁選挙がある年だ。(K)※敬称略

 ◆政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2020年12月28日  09:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:コロナ禍の若者たち 新たな針路へかじを共に

2021-01-01 09:01:20 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【社説】:コロナ禍の若者たち 新たな針路へかじを共に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:コロナ禍の若者たち 新たな針路へかじを共に

 例年とは異なる元日を迎えた。

 感染の拡大を抑えるため、政府は「静かな年末年始」を呼びかけた。静かに正月を過ごせるのならまだいい。

 きょうあすの食費に事欠く若者がいる。職を失い、就業時間を削られ、気持ちの面でも追い詰められている子育て世帯がある。高齢者の窮状も伝わってくる。

 ワクチンの効果や治療薬の開発の行方は定かでない。コロナ禍が長引くとしたら、この状況にどう向き合えばいいのだろう。

 <次の世代にツケが>

 大学進学は諦めました。服や食べ物が買えず1日食べない日もあります。親がやりくりに困っているのを見るのがつらい―。

 病気や災害で親を亡くした子どもらを支援する「あしなが育英会」の調査に寄せられた、大学生や高校生の声だ。一人一人の切実な訴えが胸をえぐる。

 感染が広がる前から、学費や生活費を自ら稼ぐ遺児たちが多かった。家計を助けるために働く高校生もいた。収入源のアルバイトがなくなり、ぎりぎりだった生活が限界を超えてきている。

 保護者はさらに厳しい状況にある。ひとり親世帯の母親の大半は非正規雇用で働いてきた。コロナ禍で職を失い、代わりの仕事も見つからない。「死にたい」「親として切ない」。命の危機を感じさせる記述が目につく。

 育英会の奨学生に限らない。ここ30年、学費は高騰を続け、仕送りは減った。埋め合わせるために働く学生たちは労働力として組み込まれ、「ブラックバイト」が社会問題化している。

 女性の半数余が非正規の仕事に就いている。男性の賃金との開きも大きい。解雇や雇い止めは35~44歳の女性に集中し、育児と両立させる共働き世帯の家計を直撃している。若者や女性を雇用の調整弁にしてきたひずみが、その傷口を広げている。

 国が用意した給付金や手当は不十分で、必要とする人たちに行き渡っていない。菅義偉政権がデジタル化や脱炭素社会を看板とする成長戦略をうたっても、このままでは次代を担う世代の暮らしが先に崩れてしまいかねない。

 <10年後を仮想する>

 「10年後の社会はどうなっているか仮説を立て、どうしたら近づけるか、自分の活動がどう貢献できるかを考えています」。そう語る青年に会った。

 長野日大高校2年の中沢貫太さん(17)。長野県NPOセンターが始めた「ユースリーチ」に、1年の春から所属している。

 ユースリーチは、高校生と大学生が地域の課題を探り、改善に向けた活動を企画。仲間を集め、企業や役所とも連携しながら実践に移す“足場”だ。

 県内の障害者や海外出身者との出会いを通じ互いに理解を深める活動。小中学生と一緒に勉強や食事をする子育て応援。ゲーム感覚を取り入れたごみ拾いで環境保全を考える催し…。多様な取り組みが生まれている。

 中沢さんは高校生にアンケートを取り、学校や学年の枠を超えて若者がつながる居場所を長野市内に設けた。台風19号災害を目の当たりにしてからは、自分たちにできることを考える「災害情報共有会議」を立ち上げ、ボランティア活動へと結び付けている。

 NPOセンター事務局次長の小林達矢さん(28)は「地域の人たちの協働で、見えるところから社会を変える時代だと思う。厳しい状況でも未来を語る。その芽を高校生と育てています」と話す。

 <きっかけは足元で>

 高知工科大学の研究所が発信した「フューチャーデザイン」という手法がある。数十年後の仮想将来世代を討議に加え、現在の人々の目線で決まりがちな地域政策のあり方を捉え直す。

 従来の規範や価値観に縛られずに、柔軟に課題に向き合う自由な発想が求められているのかもしれない。中沢さんは「未成年だから任せられないという固定観念があるのは残念です。面白いアイデアを持った高校生はたくさんいる。大人との接点がもっとできるといい」と話していた。

 新型コロナ対策で、国はまた膨大な借金を積み上げた。この負担を引き受ける若い世代の窮状を放置するわけにはいかない。菅政権の成長戦略が雇用を守り、暮らしを守る中身なのか、見極めるのも責任世代の務めだろう。

 拡大・成長路線を取り、効率のみを優先してきた結果が貧富の差を広げている。気候変動にしても感染症にしても、その解決を難しくしている現状を踏まえ針路を転じなくてはならない。

 苦しいときにあっても「未来を語れる」社会へ。若い世代をかじ取りの中心に据えたい。現役世代と高齢世代が協力し、小さな実践を重ねていけるといい。

 そのきっかけを、身近な若者たちが築いてくれている。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 ニュースセレクト 社説・解説・コラム 【社説】  2021年01月01日  09:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:揺らぐ「法の支配」 権利と自由が侵害される

2021-01-01 09:01:10 | 【学術・哲学・文化・文芸・芸術・芸能・小説・文化の担い手である著作権】

【社説】:揺らぐ「法の支配」 権利と自由が侵害される

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:揺らぐ「法の支配」 権利と自由が侵害される 

 秋の臨時国会。菅義偉首相が何度も繰り返した答弁がある。

 「内閣法制局の了解を得た政府としての一貫した考え方である」―。日本学術会議が推薦した会員候補6人の任命を、菅首相が拒否した問題だ。

 首相の任命権は「形式的にすぎない」とされていた。今回問われたのは、首相が推薦を拒否できるのかという点だった。

 菅首相は「必ず推薦通りに任命しなければならないわけではない」と述べた。「錦の御旗」にしたのが内閣法制局の見解だ。

 内閣を法制面で補佐する法制局。憲法や法律に基づいた見解や答弁を政府は尊重し、それが法律の安定性をもたらしてきた。

 法制局は独立性を求められながら、憲法上の規定がなく、制度上「内閣の下部組織」という矛盾を抱える。機能してきたのは、歴代内閣に「法の支配」には従うという前提があったからだろう。

 それが崩れたのが2013年の法制局長人事だった。安倍晋三政権が集団的自衛権を巡り、憲法解釈の見直しに前向きな人物を法制局長官に起用。解釈を変更した上で安保法制を成立させた。

 以来、7年。人事権に介入された法制局は独立性を維持できにくくなっているのに、その「権威」だけが政府に利用されていないか。今年は「法の支配」の揺らぎが問われ続けた1年だった。

 <法制局が後押し役>

 今回の法制局の見解は1983年の国会答弁と矛盾する。

 会員を公選制から任命制に変えた改正日本学術会議法の国会審議で、当時の中曽根康弘首相は「形式的な任命」と答弁。任命拒否が起きない保証を求めた野党に対し、政府は「内閣法制局と十分に詰めた」として法解釈上、拒否はあり得ないと説明していた。

 菅首相らは今回、「40年前の答弁の趣旨は分からない」と述べ、法制局もそれを追認した。

 法解釈を事実上、変更したのは明白なのに「当時から一貫した法解釈」と強弁する内閣。法の運用を自在に変え、押し通す背景には「法の支配」を軽視する姿勢が垣間見える。

 春の通常国会では、当時の安倍政権が黒川弘務東京高検検事長(当時)の定年を延ばすため、検察官の定年延長はできないとしてきた従来の法解釈を変更した。

 安倍氏に近いとされる黒川氏を検事総長に据えるための定年延長だった、との指摘が根強い。

 この解釈変更の過程ははっきりしない。定年延長を閣議決定した1月末以前に内閣法制局や人事院と解釈変更を調整したことになっているのに、関連文書には日付が未記入だった。

 検察は、政権の中枢にいる政治家も捜査対象にできる。その人事を巡る法律の解釈を閣議決定だけで変更できるのなら、「法の支配」が根底から崩される。

 <多数派が「正義」か>

 学術会議や検察官の問題は、専門家から法解釈の違法性を指摘する意見が相次いだ。政府に異議を申し立てない法制局は、下部組織として内閣の意向を無視できなくなっている懸念が拭えない。

 憲法学者の芦部信喜氏(23~99年)は、「法の支配」を「権力を法で拘束することによって、国民の権利・自由を擁護することを目的とする原理」と定義した。

 国会で時間をかけて法案を審議して少数派の意見を採り入れた法律を制定し、政府は法に従い統治することが民主主義の基本だ。

 第2次安倍政権の発足後、政府は選挙で得た多数を「正義」として、「法の支配」をないがしろにすることをいとわなかった。

 野党が憲法53条に基づいて要求した臨時国会の開催要求すら政府が事実上、無視することが続いている。「法の支配」が揺らぎ続けると「国民の権利・自由」が侵害されかねない。

 <「信頼」前提なのに>

 法的に政府の独走を制御できる防波堤は、裁判所の違憲審査権があるものの、問題が起きてから判決まで時間がかかる。

 横浜国立大学の君塚正臣教授は法制局を改組して内閣から独立させて、法案などを事前に審査する機関をつくることも一つの解決策になると提案する。

 専門性の高い人を集め、内閣が指名し国会が承認する。それによって時の内閣の恣意(しい)的な法解釈を防ぐ狙いだ。

 君塚教授は「独立行政機関として法的根拠を与え、中立性を担保する。事前審査における勧告までなら、司法権も行政権も侵害せず合憲だ」と説明する。

 本来は与党にも政府の行きすぎを止める役割があるはずだ。それなのに、小選挙区制の導入以降、公認権などを背景に首相の権力が強まった影響などで、内閣の追認機関になっていないか。

 現在の制度は政治家が「法の支配」を覆すことはしない、という最低限の「信頼」を前提にしたものといえる。それすら通用しなくなるのなら、「法の支配」を保てるよう制度を変える必要がある。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 ニュースセレクト 社説・解説・コラム 【社説】  2020年12月31日  09:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:コロナ禍の経済 二極化とどう向き合うか

2021-01-01 09:01:00 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【社説】:コロナ禍の経済 二極化とどう向き合うか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:コロナ禍の経済 二極化とどう向き合うか 

 厳しい年末を迎えている。寒空の下、仕事や住まいを失ったままの人も少なくない。

 困窮者支援に取り組む団体でつくる「新型コロナ災害緊急アクション」は年明け、東京の教会で「大人食堂」を開く。温かい食事を用意し、相談に応じる。

 NPOや市民有志が支援に乗り出す動きが、各地で見られる。

 2008年のリーマン・ショックを思い出す人も多いだろう。失業者であふれ、日比谷公園では年越し派遣村が開かれた。

 <影響が集中したのは>

 コロナ禍の今年の経済。政府と日銀には、企業への資金繰り支援が機能し、いまのところ何とか持ちこたえたとの見方もある。

 11月の失業率は2・9%。リーマン後の09年7月は5・5%だった。東京商工リサーチのまとめによると、今年の企業倒産の件数は前年を下回る見通しだ。

 そんな全体数字で内実は見えにくい。この危機は金融のゆがみが経済全体を揺るがしたリーマンとも違う。人の動きが止まり、職場それぞれに直接の影響が及んだ。影響が集中した現場の実情を、見過ごしてはならない。

 飲食、宿泊など対人サービスを中心に打撃が広がった。休廃業に追い込まれた店は数知れない。倒産と違って数を把握しにくい。

 これらは女性の働き手が多いという特徴もある。多くが派遣やパートなどの非正規雇用だ。雇用者数の変化を形態別に見ると失業が非正規に集中したのが分かる。

 辛うじて失業を免れても、勤務シフトが減れば収入に響く。「ステイホーム」の掛け声の下、アパートにこもり、節約して耐える。浮かぶのはそんな姿だ。影響は深く、着実に進んでいる。

 長く減少傾向が続いていた自殺者数が増加に転じた。特に女性の増加が顕著な傾向が続く。

 バイト収入が減り、学費の支払いに悩む大学生が目立つ。働く場を失い事件に巻き込まれるベトナム人技能実習生が増えている。

 <株高の恩恵はどこへ>

 目を転じると、社会には違った光景が広がる。

 「Go To キャンペーン」が始まると旅行消費は回復し、政府は経済効果を強調した。テレワークの普及を機に高級不動産物件の人気が上昇し、都心の高層マンションの高値が続く。

 影響は不均等に広がり、波は弱いところに強く押し寄せた。政府は追われるように給付金や助成金の拡充に動いた。困窮者支援アクションが表現するように「災害」に近いのかもしれない。

 だとすれば、最も問われるべきは被災者に支援が届いたかどうかだろう。繰り返し確認していくことを忘れてはならない。

 この1年の株価の動きは、影響の不均等を象徴していた。

 日経平均株価は3月に最安値を付けた後、上昇に転じ、11月にはバブル経済崩壊後の最高値を更新している。米ニューヨーク株式市場も11月、ダウ平均が史上初の3万ドルの大台を突破した。

 地域の企業や暮らしの実感と懸け離れた株高を支えたのは、各国の金融政策で膨れ上がった「緩和マネー」だった。経済を刺激しようと大量に供給したお金が、IT関連を中心に株に集中した。

 政府は景気対策で財政出動を積み重ね、財源を賄うため国債を大量に発行し、日銀がこれを購入する。「政府と中央銀行が何とかしてくれる」。今や世界中の株式市場にそんな空気が漂う。

 資金が流れ込んだ代表格は「GAFA」と称される米国の巨大IT4社だ。コロナ禍をきっかけに加速したデジタル化が、一層の成長をもたらしている。

 株高には本来、消費を促し経済を好転させる効果が期待される。今はどうか。恩恵は富裕層に限られ、増えたお金は、さらに増やすための投資に回るだけだ。

 <世界規模の競争に>

 秋に発足した菅義偉政権が打ち出したのは、デジタル化の加速と環境分野の投資促進である。

 不可避となった世界の流れを意識した結果だろう。自然エネルギーへの注力などに異論はない。もっと早く始めるべきだった。

 でもそれで将来、どんな経済、社会の構造を目指すのか。膨れ上がる財政赤字や金融のひずみの行方を含め、何も見えてこない。

 菅首相のブレーンの一人、小西美術工芸社のデービッド・アトキンソン社長は著書で、これからの経済成長の鍵は中小企業の再編と統合にあると説く。

 大きい企業の方が生産性や賃金が高い。技術力で立ち向かう町工場を描いた小説「下町ロケット」に見られるような発想は古く、規模拡大こそ重要だ、と。

 弱い立場の労働者の背後にいる企業もまた、世界規模で加速する競争へ組み込まれていく。

 生産性を軸にした経済の再編と成長に懸ける視点に、こぼれ落ちる人や地域がどれほど見えているのだろう。まずは、コロナ禍であらためて浮かんだ二極化の現実を捉え直すべきではないか。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 ニュースセレクト 社説・解説・コラム 【社説】  2020年12月30日  09:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①》:コロナ禍の越年 命を守る備えを怠るな

2021-01-01 09:00:50 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

《社説①》:コロナ禍の越年 命を守る備えを怠るな

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①》:コロナ禍の越年 命を守る備えを怠るな 

 新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからないまま年の瀬を迎えた。

 全国で連日3千人前後の新たな感染者が見つかり、感染拡大地域では医療が逼迫(ひっぱく)している。日本医師会や日本看護協会が、通常の医療を提供できない恐れがあると警告する事態だ。

 年末年始は医療体制が手薄になる。一人一人が感染防止に努めるとともに、発熱があっても検査や診察にたどりつけない人を出してはならない。

 各自治体や医療機関は、地域の感染状況にいつでも即応できるよう備えを怠らないでほしい。

 政府はきのうから、観光支援事業「GoToトラベル」を全国で一斉に停止した。英国などで感染が相次ぐ変異種の侵入を防ぐため、全ての国・地域からの外国人の新規入国も止めた。

 トラベル一斉停止は、判断が遅れた上に発表から実施まで2週間かけた。その間に駆け込みでにぎわった地域がある。

 変異種を巡っては、英国政府が外出制限を始めても、「上陸拒否対象国に指定している」とすぐに検疫強化に乗り出さなかった。

 年末を前に感染拡大は地方に広がり、変異種の感染者も見つかっている。日本政府の対応が後手に回っているのは明らかだ。

 菅義偉首相は、病床が逼迫する地域で、重症者を受け入れる1病床につき1500万円を補助すると表明した。病院の側も人員の余裕がなくなっている。目前に迫った年末年始の病床確保には有効な手だてだろうか。

 今注力すべきは、感染をさらに広げないよう努力することだ。

 感染を効果的に防ぐには、人と人との接触をできるだけ減らすしかない。政府や自治体が外出や会食の自粛を要請しても地域によっては人出が思うように減らない。「静かな年末年始を」の呼び掛けは国民の胸に届いているか。

 今春の緊急事態宣言下では接触の最大8割減を掲げ、第1波を抑え込む有効な手段になった。科学的で具体的な目標を、説得力のある言葉で示すべきだ。

 コロナ禍で長引く雇用情勢の悪化で、生活に困窮する人も増えている。役所など公的機関の窓口が閉まる年末年始は、生活困窮者への支援が細る心配がある。加えて悪天候の予報だ。

 食費に困り住まいを失った人が命を絶つような事態を招いてはいけない。相談の窓口を閉ざさず支援につながるよう、民間とも連携して備えを進めたい。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 ニュースセレクト 社説・解説・コラム 【社説】  2020年12月29日  08:49:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②》:競技者の躍動 心の強さで返してくれた

2021-01-01 09:00:40 | 【スポーツ全般・屋内外の競技種目・オリ、パラ、デフリンピック・国民スポーツ大会】

《社説②》:競技者の躍動 心の強さで返してくれた

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②》:競技者の躍動 心の強さで返してくれた 

 「圧巻」。そう呼ぶにふさわしい、研ぎ澄まされた演技だった。

 フィギュアスケート男子の羽生結弦選手である。きのうまで長野市で開かれた全日本選手権で5年ぶりに優勝した。3種類4本の4回転ジャンプは力強く流れるような着氷を披露した。

 女子は紀平梨花選手が離れ業の4回転サルコーを鮮やかに決め、完璧に近い演技で2連覇した。

 無観客試合や入場制限の続く国内スポーツ界で、世界の頂点を目指すアスリートたちが活躍。高いレベルの技量を発揮している。

 逆境でも自分と向き合い、努力を惜しまない。心の強さを保って目標に向かい続ける。コロナ禍の社会に、トップ選手たちが返してくれたエールと受け取りたい。

 羽生選手は拠点のカナダに戻れず、国内で孤独な練習を強いられてきた。リンクを使えない日も多かった。「だんだん戦えなくなっているのでは」。抱えていた不安を試合後に語っている。

 諦めず、久々の実戦でも高い集中力を発揮する。足首の大けがを乗り越え金メダルを獲得した平昌冬季五輪を思い起こさせた。

 東京五輪が延期になった。いまだ開催が見通せない。その中でも選手は自分の力を極め続ける。

 全日本バドミントンでは大町市出身の奥原希望(のぞみ)選手が躍動した。一昨日の決勝でライバル山口茜選手との激しいラリー戦を制した。春以降、SNSを通じて室内練習の様子など近況を積極的に発信。「今できることを考え、行動しよう」と呼び掛けていた。

 1月に海外で事故に巻き込まれ大けがをした桃田賢斗選手は持ち前の多彩な攻めで復活優勝した。

 女子テニスの大坂なおみ選手は競技の枠にとどまらない行動力を示した。黒人男性の暴行死に抗議が広がる中、全米オープンの全試合に過去の犠牲者名を記したマスクを着けて入場し、優勝。「みんなが議論を始めてくれたら」と人種差別を問題提起した。意思を表現する勇気に共感が広がった。

 陸上長距離の新谷(にいや)仁美選手は一時引退を経て現役に戻り、快記録を連発した。自身の経験から無月経や故障につながる女子の過度な節食を戒める発言に積極的だ。

 トップ選手たちのこうした姿勢と発信力は、後に続く世代にも大きな影響を与えよう。

 Jリーグやプロ野球は手探りの中で日程を終えた。声援が出せず特別な思いで見守ったファンは多かったことだろう。節度を保ち、高みを目指す選手たちの背に拍手を送り続けたい。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 ニュースセレクト 社説・解説・コラム 【社説】  2020年12月29日  08:49:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①》:介護報酬の改定 処遇の改善につなげねば

2021-01-01 09:00:30 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

《社説①》:介護報酬の改定 処遇の改善につなげねば

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①》:介護報酬の改定 処遇の改善につなげねば 

 政府は来年4月から介護報酬を0・7%引き上げる。来年度予算案の閣僚折衝で麻生太郎財務相と田村憲久厚生労働相が合意した。

 介護報酬は、介護保険制度に基づき介護サービスを提供する事業所に支払われる費用の公定価格だ。原則3年に1度見直されている。

 新型コロナの影響で、サービスの利用低迷が続く半面、感染対策の備品購入が増え、事業所の収益は悪化している。引き上げ幅は前回の0・54%を上回った。

 事業所の経営基盤を強化し、地域の介護を維持していくために欠かせない引き上げと考えたい。

 感染対策分は0・7%のうちの0・05%だ。来年9月まで上乗せする特例措置となった。これで十分か。今後の感染状況も踏まえた柔軟な対応を求めたい。

 今回の改定では、介護現場の慢性的な人手不足の解消につながる内容になるかが注目された。

 高齢化の進行で介護サービスの需要は高まっている。訪問介護を担うホームヘルパーの2019年度の有効求人倍率は15倍だ。

 団塊の世代が75歳以上になる25年度には、30万人以上の介護職員が不足するといわれている。

 にもかかわらず、担い手が増えない。原因の一つに、賃金の低さが指摘されている。全産業平均に比べて月額で9万円程度低い。

 高齢者への密接な対応が避けられないため、コロナ下では自分だけでなく利用者への感染も気にして離職も相次いでいる。

 厚労省は、短時間勤務を取りやすくしたり、夜間に高齢者を見守るセンサーの設置を促したりする対策にも取り組む方針だ。

 介護職員の賃金のアップや処遇改善につながらなければ、人手不足はより深刻度を増す。

 今後詰めるサービスごとの単価設定も含めて、制度設計にきめ細かな目配りが欠かせない。加算の仕組みなど複雑になりすぎるルールを簡潔にする工夫も必要だ。

 介護報酬は、利用者が所得に応じて1~3割を負担し、残りを国と地方自治体の公費、40歳以上が支払う保険料で賄う。引き上げは、税、保険料、利用料に跳ね返ることも忘れてはならない。

 65歳以上が支払う月額保険料は20年前の制度発足時で3千円弱だったが、現在は倍増。2万人近くが滞納し、資産の差し押さえを受けている実態がある。

 負担がのしかかり、必要なサービスが受けられないのでは元も子もない。制度の抜本的な改革こそ急がねばならない。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 ニュースセレクト 社説・解説・コラム 【社説】  2020年12月28日  09:08:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②》:学術会議問題 圧力押し返す踏ん張りを

2021-01-01 09:00:20 | 【学術・哲学・文化・文芸・芸術・芸能・小説・文化の担い手である著作権】

《社説②》:学術会議問題 圧力押し返す踏ん張りを

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②》:学術会議問題 圧力押し返す踏ん張りを 

 日本学術会議の会員の任命を菅義偉首相が拒否した問題が発覚してからおよそ3カ月。学術会議は、理由の説明とともに、拒否された6人の速やかな任命を求めたが、なしのつぶてだ。

 一方で政府、自民党は学術会議に対する圧力を強め、組織改革の検討を迫っている。問題の所在を隠す、筋道が通らないやり方を受け入れるわけにいかない。

 井上信治・科学技術担当相は学術会議の梶田隆章会長と会談し、来年4月に予定する学術会議の総会後に検討結果の報告を求めた。年内としていた政府の判断は報告後に持ち越すという。

 国の機関から切り離すことを含め、あらゆる形態を平等に検討するよう要請している。人文・社会科学、生命科学、理学・工学の3部会各70人で構成する会員の比率の見直しも新たに求めた。

 どこまで無遠慮に口を挟むのかと思わされる。学術会議は、科学者の代表機関として「独立して職務を行う」ことが法に明記されている。どういう方向でいつまでに検討するかを政府に指示される筋合いはそもそもない。

 何よりも問われなければならないのは、任命を拒んだ菅首相の責任だ。明確な理由を示さず、任命権や監督権を振りかざして会員の人事に介入し、学術会議の根幹である独立性を脅かした。組織のあり方に見直すべき点があるとしても、任命拒否の問題を納得がいく形で決着させてからの話だ。

 政府は、憲法を持ち出して首相の任命権を正当化している。内閣府の文書は、公務員の選定・罷免を国民固有の権利と定めた15条を根拠に、学術会議の推薦通りに会員を任命する義務があるとは言えないとの解釈を示した。

 その理由づけは無理がある。公務員が国民主権の下にあることを宣言した理念規定を、首相による人事裁量の根拠にはできない。会員の任命は日本学術会議法に定めがある。政府からの独立を保障した法の趣旨を踏まえれば、本来、任命を拒める余地はない。

 政府が一方的な解釈で権力行使の枠を広げられるなら、国家権力を拘束して人権を守る「法の支配」が崩れ、憲法の根底が揺らぐ。学術会議は、任命拒否の撤回を繰り返し強く求めるべきだ。

 安倍前政権当時から続いた会員人事への干渉を押し返せなかったことが、あからさまな介入につながった面がある。今、組織改革をめぐる政府側の圧力に対して踏ん張り切れているか。学術会議の姿勢もまた問われている。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 ニュースセレクト 社説・解説・コラム 【社説】  2020年12月28日  09:07:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①》:元農相強制捜査 癒着の実態を解明せねば

2021-01-01 09:00:10 | 【政治とカネ・政党交付金・「企業・団体献金」・政治資金・議員歳費・賄賂・後援会

《社説①》:元農相強制捜査 癒着の実態を解明せねば

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①》:元農相強制捜査 癒着の実態を解明せねば 

 東京地検特捜部が強制捜査に乗り出した。

 鶏卵生産大手の元代表から現金を受け取った収賄容疑で、吉川貴盛元農相の事務所や自宅を家宅捜索した。吉川氏からも事情を聴いている。

 同様に現金を受領した疑いがある西川公也元農相も事情聴取を受けた。他の自民党議員や農林水産省の職員も疑惑に絡んだとみられる。政官業の癒着の構図を明らかにしなくてはならない。

 吉川氏は2018年10月から1年ほど、安倍晋三前政権で農相を務めた。在任中に500万円を受領したとされる。事情聴取で事実を認めたものの、「預かったお金で返すつもりだった」と賄賂性は否定したという。

 安倍、菅両政権で内閣官房参与に就いた西川氏にも数百万円が渡ったとみられる。農相時代には、補助金を交付する砂糖業界の関連会社から寄付を受け、早々に辞任した経緯がある。

 元代表は現金の提供を認めている。吉川氏は体調不良を理由に衆院議員を辞職した。受領を否定する西川氏も参与を退いている。辞めて済む話ではない。

 鶏卵業界の団体役員として元代表は、家畜の快適な飼育管理を定める国際基準「アニマルウェルフェア」の要件緩和を求めた。生産者への損失補填(ほてん)の拡充も働きかけた。いずれも実現している。

 必要な政策だったとしても、国民ではなく、業界の利益を優先したのなら意味合いは異なる。まして見返りに現金を受け取ることなどあってはならない。

 今回の疑惑は、河井克行元法相夫妻の参院選買収事件の捜査で浮上した。元代表の会社から押収した資料には農林族議員や農水官僚の名が並び、現金の授受を示すものもあったという。元農水事務次官が豪華クルーズ船で接待を受けた事実も判明している。

 野上浩太郎農相は「調査を行うことは考えていない」と言う。不祥事を繰り返さないためにも、関係者を徹底して調べ、うみを出し切るべきではないのか。

 安倍前首相の後援会が主催した「桜を見る会」前夜の夕食会の経費補填を巡り、安倍氏は秘書から報告がなく「知らなかった」と主張した。河井夫妻や、カジノ汚職で起訴された秋元司衆院議員も自民党を離党したにすぎない。

 共通するのは捜査や裁判を理由に説明を逃れ、責任をうやむやにする態度だ。政権与党が倫理に照らして厳しく処分し、国会での事実解明にも率先して臨まない限り政治不信は拭えない。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 ニュースセレクト 社説・解説・コラム 【社説】  2020年12月27日  09:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②》:ゲノム編集食品 消費者が知らぬままでは

2021-01-01 09:00:00 | 【水産資源・海洋環境・漁業・水産加工・缶詰・調査捕鯨・鰻・鮪・鮨・回転寿司】:

《社説②》:ゲノム編集食品 消費者が知らぬままでは

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②》:ゲノム編集食品 消費者が知らぬままでは 

 遺伝子を切り貼りして生物の特徴を変えるゲノム編集の技術で作り出した食品が、国内で初めて承認された。

 血圧を下げる成分を通常の5倍ほど含むよう改良したトマトだ。筑波大発のベンチャー企業が開発した。

 流通時期は決まっていないが、店頭に並ぶ日は遠からず訪れる。国内では他にも、肉厚のマダイ、食中毒の原因となる芽が出ないジャガイモといったゲノム編集食品の開発が進んでいる。

 生命の設計図である遺伝子に直接手を加えた食品が出回ることに対し、消費者の間には根強い不安がある。意図しない影響が出てくる可能性が否定できないとの見方が専門家にもある。

 国はゲノム編集食品の多くについて、安全性審査や販売時の表示を義務付けない方針だ。厚生労働省の審議会は昨年、届け出だけで販売できると決定。消費者庁も表示の義務付けを見送った。

 今後、消費者の知らないところで普及が進むことになる。

 少なくとも、消費者がそれと認識し、通常の食品と区別して買うことのできる仕組みは必要ではないか。本格流通を前に、関係省庁は改めて検討すべきだ。

 遺伝子を操作した食品には「遺伝子組み換え食品」もある。別の生物の遺伝子を組み込んで改変する。厳しい規制がある。

 今回のトマトはこれとは違い、元々あった遺伝子の改変で作られた。外来の遺伝子がなければ従来の品種改良と同列に扱ってもよいというのが、厚労省や消費者庁の結論である。表示義務見送りも、従来の品種改良と事後的に判別できないことを理由とした。

 ゲノム編集は近年、大きな注目を集めている。「はさみ」のような役割を持つ酵素を使い、遺伝子の狙った部分を高い精度で改変する方法を開発した研究者は今年、ノーベル化学賞を受けた。

 魅力的な新品種を短期間で作り出すことを可能にし、将来的には食料問題を解決する鍵になり得るとの期待もある。

 一方、医療面では慎重な姿勢が目立つ。人の受精卵への応用は国の指針で厳しく規制されている。遺伝子改変の影響は子孫にも伝わり、人類という種を変えることにもなりかねないからだ。

 親が望む容姿や体質を持つ子ども「デザイナーベビー」の誕生につながる倫理的な問題もある。

 画期的である半面、使いこなすのが非常に難しい技術であることを忘れてはならない。もっと幅広い議論が必要ではないか。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 ニュースセレクト 社説・解説・コラム 【社説】  2020年12月27日  09:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【時論】:前向きに活路見いだそう/コロナ禍の新年

2021-01-01 08:51:50 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【時論】:前向きに活路見いだそう/コロナ禍の新年

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【時論】:前向きに活路見いだそう/コロナ禍の新年 

 世界中が新型コロナウイルスに翻弄(ほんろう)され続けた2020年が終わり、新しい年が明けた。日本でワクチン接種が始まるのは早くても21年2月以降とされ、感染収束の見通しは立たない。今年も引き続き3密(密閉、密集、密接)の回避など「新しい生活様式」の徹底が求められることになるのは確実である。

 明るい兆しの見えにくい、閉塞(へいそく)感が深まる状況ではあるが、手をこまねいてばかりではいられない。本県でも、三沢市の農産物生産・加工を手掛ける企業がナガイモの免疫力アップ効果に着目、コロナ下ながら加工施設を増設して業績V字回復を果たした-と、きょうの本紙特集号が実例を紹介している。こうした前向きの姿勢で、希望の1年とするべく活路を見いだしたい。

 国内の感染者は累計約23万人超、県内でも500人に迫った。猛威を振るった20年のコロナ禍は社会を一変させた。国民の大きな期待、注目を集めていた夏の東京五輪・パラリンピックは史上初めて1年延期を余儀なくされた。後世に語り伝えられる歴史的な年だったといえる。そして言うまでもなく、本県を含め、私たちの暮らしに直結する経済は大打撃を被った。

 政府は昨年4月、感染者急増を受け緊急事態宣言を発令し、全国に拡大した。不要不急の外出自粛呼び掛け、事業所に対しての休業要請など、当たり前だった人の動きが止まる転機となった。宣言の解除後、需要喚起策や観光支援事業も実施されているが、飲食・外食、宿泊や旅行サービスなどの観光関連、鉄道や航空の運輸をはじめ多くの業界が深刻なダメージを受け、今も景気に影を落としている。

 特に、個人消費の落ち込みにつながりかねない雇用情勢への悪影響は見過ごせない。青森労働局によると、県内では見込み分を含め、コロナに関連した解雇・雇い止めが12月時点で少なくとも67事業所、1430人。休業などの雇用調整を行ったか、実施する可能性があるとした事業所は1629カ所あった。予断を許さない状況が続く。

 一方、リモートワーク、テレワークといった在宅勤務の普及による働き方の変化は、本県のような地方にとっては大きなチャンスとなり得る。最近、東京など首都圏は「転出超過」が続き、密集の度合いが少ない地方への移住を検討する人が増加しているという。本社機能の一部を地方に移転させる企業も出ている。

 オンライン化で場所を選ばず仕事ができれば、都会に住み続ける必要性はなくなる。物価が安く、自然に恵まれた地方への移住を決める人もいるのではないか。コロナ禍を逆手に、移住検討者や、企業のニーズをとらえて本県での定住や拠点作りを後押しし、冷え込む地域経済を回復させる追い風としたい。

 本紙読者が選んだ20年の県内10大ニュースは、1位が「夏祭り相次ぎ中止」、2位は「弘前さくらまつり中止」だった。皮肉なことではあるが、あらためて本県が誇る宝、かけがえのない地域資源を確認した年でもあった。先人から脈々と受け継いできた文化と豊かな自然は、私たちに生きる活力をもたらしてくれる。コロナ禍は、郷土の素晴らしさをかみしめる機会を与えてくれたともいえよう。

 課題を残したまま新年を迎えたが、20年を教訓とし、感染予防を最優先にたくましく経験を生かしていこう。

 元稿:東奥日報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【時論】  2021年01月01日  08:51:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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