路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【筆洗】:信州の豪雪地帯に生まれ、晩年を過ごした一茶に「雪」の句が多…

2021-01-04 07:27:50 | 【障害者を取り巻く諸問題・差別・虐待・雇用・バリアフリー・支援の輪】

【筆洗】:信州の豪雪地帯に生まれ、晩年を過ごした一茶に「雪」の句が多…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:信州の豪雪地帯に生まれ、晩年を過ごした一茶に「雪」の句が多…

 信州の豪雪地帯に生まれ、晩年を過ごした一茶に「雪」の句が多いのは当然だろう。<心からしなのの雪に降られけり>。雪を好んで詠む一方で、雪への恨み言めいた句も少なくない▼手厳しいのは<雪行け行け都のたはけ待おらん>。大雪のおそろしさを知らず、雪を風情あるものと喜んでいるような都の「たわけ者」のところに雪が降ればいいと言っている▼一茶の嘆きが聞こえてきそうな日本海側を中心にした年末年始の大雪である。穏やかな年末年始を迎えたかったのにコロナ禍の苦しみの上に今度は大雪が降り積もる▼帰省を控えるように言われていたので、この年末年始に地元に帰った若者はいつもの年よりも少ないはずだ。ボランティアも期待できない。重労働の雪かきの手は足りているか。心配になってくる▼雪の降らぬ場所に住む者が<都のたはけ>になりやすいのはしかたないところもあるが、コロナの方はどうだろう。感染しないだろうと、ひとごとのように決め込み、感染対策を軽視した風潮がなお、どこかにないか。その実、コロナという大雪は降り続いている。<たはけ>にはなるまい▼四日は仕事始めである。社会が再び動きだす。感染のさらなる拡大も心配されている。対策も万全に、より慎重な仕事始めを心掛けたい。<雪とけて村一ぱいの子ども哉(かな)>。雪もコロナも消える日を信じ、耐えしのぐ。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2021年01月04日  07:39:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【菅首相の一日】:1月3日(日)

2021-01-04 07:27:45 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・能動的サイバー防御・優生訴訟・公権力の暴力】

【菅首相の一日】:1月3日(日)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【菅首相の一日】:1月3日(日) 

 【午前】東京・赤坂の衆院議員宿舎で過ごす。
 【午後】1時46分、公邸。秘書官と打ち合わせ。5時、田村憲久厚生労働相、赤羽一嘉国土交通相、加藤勝信官房長官、西村康稔経済再生担当相、藤井健志官房副長官補、和泉洋人首相補佐官、吉田学新型コロナウイルス感染症対策推進室長、厚労省の樽見英樹事務次官、福島靖正医務技監。6時39分、東京・赤坂の衆院議員宿舎。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政局・首相の一日】  2021年01月04日  07:39:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:年のはじめに考える トコロジストの勧め

2021-01-04 07:27:40 | 【学術・哲学・文化・文芸・芸術・芸能・小説・文化の担い手である著作権】

【社説①】:年のはじめに考える トコロジストの勧め

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:年のはじめに考える トコロジストの勧め 

 茶の間から 出した指令に 社が動く       澄海
 
 「会社来い」 ハラスメントの時代かも      ぴかちゅー
 
 昨年、日本テレワーク協会が発表した川柳の公募作品です。思わず、うなずいてしまいました。
 昨年の東京都内の企業のテレワーク導入率は57・8%で、前年の二・三倍に。コロナ禍でオンラインのやりとりが普及し、自宅にいる時間が増えました。正月も帰省できず、近所で過ごす人が多い。
 「今こそ、トコロジストを目指しませんか」。日本野鳥の会の箱田敦只(あつし)さん(56)が勧めます。

◆家庭と職場との間に

 トコロジスト? ピアニストはピアノ奏者。サイエンティストは科学者。トコロジストは所(ところ)、つまり場所の専門家なのです。
 鳥や植物など一つの分野でなく、地域を歩き、地形に歴史、文化に都市計画と総合的に観察する。野鳥の会の先輩、故・浜口哲一さんが提唱した造語です。
 箱田さんが共鳴したきっかけは子育てでした。「自然が残る所へ」と東京都稲城市に移住したら、娘は虫や土を怖がり、幼稚園の「パパ友」は近所の川の名前も知りません。
 箱田さんは、娘との散歩や野菜作りから始めました。パパ友とは六人でトコロジストの会を結成。野鳥の巣箱掛けや、小学校と連携した自然観察会へと活動を広げています。
 思えば、日本人は江戸時代の滅私奉公、明治の殖産興業、昭和の高度成長と職場に尽くしてきました。家には疲れて寝に帰るだけ。しかし、平成の働き方改革で長時間労働が変わり、令和のコロナ禍で変化が加速しました。
 家族や住環境を見つめ直した人が多いのではないでしょうか。本当に大切なもの。それが自分の暮らしや家族なら、隣人や地域は無視できません。家庭と職場の間で素通りしがちな「トコロ」に目を向ける機会です。

◆住民が守り、育てる

 昨年暮れ、横浜市の東急田園都市線たまプラーザ駅を訪ねました。今月からここで、箱田さんのトコロジスト養成講座が始まります。主催は街づくりに取り組む市民グループです。
 一九六〇年代、緑豊かな生活を目指して造成されたベッドタウン。ゆとりある閑静な環境を守るため、市民発の建築協定も生まれましたが、土地の値上がりや住人の代替わりなどで当初の構想通りではないようです。
 グループの藤井本子(もとこ)さん(65)は「まず住民に地元を知ってほしい」と、魅力をまとめた冊子や地図の発行などを続けてきました。
 街の自慢は延長四キロの遊歩道。車は通行禁止で、誰もが安心して歩くことができます。
 藤井さんは三年前、遊歩道に通じる石段のペインティングに地域ぐるみで取り組みました。子どもたちが大喜びし、街の風景が明るくなりました。
 コロナ禍でうれしかったことがあるそうです。それは、その遊歩道を散歩したり、ジョギングしたりする住民が増えたこと。藤井さんの大好きな野鳥のさえずり、木漏れ日の心地良さを感じ取った人が多いに違いない。
 早速、ランナーがシャワーを浴びられる「ラン・ステーション」を思い付き、スポーツクラブに設置を打診しています。
 「街は行政や開発会社に与えられるものじゃない。これまでも住民がつくってきたし、これからも住民が守り、育てなければ荒廃する」と藤井さん。
 半年間続くトコロジスト養成講座も、街に愛着を持つ人を増やし、ひいては地域を良くしようという貢献活動です。
 こうした取り組みは一見、微力かもしれませんが、法や条例に基づかなければ動くことのできない国や自治体、営利目的の企業と異なり、個人の趣味や関心に応じて多様な問題に身軽に取り組むことができる。また、現場密着であるがゆえに先駆的であることが多く、同じ志を抱く仲間とも連帯しやすいのです。

◆ボランティアの世紀

 市民の力によって社会の課題に立ち向かう。こんな目標を掲げた国連は、二〇〇一年を「国際ボランティア年」と定めました。二十一世紀が「ボランティアの世紀」と呼ばれるゆえんです。
 それから二十年。世界レベルの環境破壊、国レベルの人口減少や高齢化で不透明な未来に、コロナ禍がさらに影を落としています。
 かつて、英国の環境活動家B・ウォードは「世界規模で考え、暮らしの中で行動しよう」と説きました。地球がインターネットでつながる現代、市民の善意が地域の原動力となり、国や世界を変える可能性は高まっています。
 地域を歩くことから始まるトコロジストも、そんな希望を宿しています。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年01月03日  07:28:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗】:<牛はのろのろと歩く/牛は野でも山でも道でも川でも/自分の…

2021-01-04 07:27:35 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【筆洗】:<牛はのろのろと歩く/牛は野でも山でも道でも川でも/自分の…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:<牛はのろのろと歩く/牛は野でも山でも道でも川でも/自分の…

 <牛はのろのろと歩く/牛は野でも山でも道でも川でも/自分の行きたいところへは/まつすぐに行く>。新年はウシ年。高村光太郎の有名な「牛」を連れてくるとする▼<牛は急ぐ事をしない><ひと足、ひと足、牛は自分の道を味はつて行く>。この牛は急がないが、着実に前へと進んでいく。<遅れても、先になつても/自分の道を自分で行く>である。<ひとをうらやましいとも思はない/牛は自分の孤独をちやんと知つている>。力強くまわりにも振り回されず、道を行く牛が生きる上でのお手本のように思えてくる▼光太郎の詩に子どもの時に教わった牛の話を思い出す。牛が十二支に選ばれたいきさつである。競走で決めるというが、足の遅い牛は間に合わないので前の晩から出発することにした。それを牛小屋で見たネズミ。ちゃっかり牛の背に飛び乗った▼牛は夜通し歩き続けた。背中ではネズミが眠っている。ゴールの直前にネズミは牛から飛び降りて一着入賞。結果、干支(えと)は子(ね)、丑(うし)の順となった▼憎らしいネズミだが、光太郎の詩や、牛の優しい顔を思えば、牛は気にせず、ただ自分の歩みに満足したかもしれぬと勝手な想像をしたくなる▼ウイルスとの闘いは今年も続く。日常を取り戻すための歩みは遅くとも焦らず、牛のがまん強さで一歩ずつ前に進むしかあるまい。<見よ/牛の眼は叡智(えいち)にかがやく>−。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2021年01月03日  07:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【菅首相の一日】:1月2日(土)

2021-01-04 07:27:30 | 【政策・閣議決定・予算・地方創生・能動的サイバー防御・優生訴訟・公権力の暴力】

【菅首相の一日】:1月2日(土)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【菅首相の一日】:1月2日(土)

 【午前】東京・赤坂の衆院議員宿舎で過ごす。

 【午後】1時48分、公邸。55分、藤井健志官房副長官補、和泉洋人首相補佐官、吉田学新型コロナウイルス感染症対策推進室長、厚生労働省の樽見英樹事務次官、福島靖正医務技監。2時38分、藤井官房副長官補、和泉首相補佐官、厚労省の樽見事務次官、福島医務技監。5時12分、東京・赤坂の衆院議員宿舎。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政局・首相の一日】  2021年01月03日  07:34:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【米国】:テキサスの教会で銃撃、1人死亡 数人けが、容疑者1人を拘束

2021-01-04 06:14:30 | 【事件・未解決事件・犯罪・疑惑・詐欺・闇バイト・旧統一教会を巡る事件他】

【米国】:テキサスの教会で銃撃、1人死亡 数人けが、容疑者1人を拘束

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【米国】:テキサスの教会で銃撃、1人死亡 数人けが、容疑者1人を拘束 

 【ニューヨーク共同】米テキサス州東部ウィノナにある教会で3日朝、銃撃があり、1人が死亡、数人が負傷した。容疑者1人が拘束された。地元メディアが伝えた。

 銃撃のあったテキサス州の教会前に駐車された捜査車両=3日、ウィノナ(タイラー・モーニング・テレグラフ提供・AP=共同)

 死亡したのは教会の牧師で、教会内に忍び込んでいた容疑者に撃たれたという。窃盗目的で、テロなどの可能性はないとみられる。

  元稿:琉球新報社 主要ニュース 国際 【北米・事件】 2021年01月04日  06:14:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:2021年経済展望 危機の経験を成長の糧に

2021-01-04 06:01:30 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【社説】:2021年経済展望 危機の経験を成長の糧に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:2021年経済展望 危機の経験を成長の糧に 

 新型コロナウイルスが収束して、止まった経済は回復へと動きだすのか、それとも、流行の長期化に伴い蓄積されたダメージが限界を超えて噴出してくるのか。2021年の経済は予断を許さない。

 県内では好況を牽引(けんいん)してきた観光産業が深刻な落ち込みとなり、新型コロナに関連した解雇や雇い止めが昨年末時点で1600人に迫る。国内企業の景況感は輸出を中心に一部で改善が見られるというが、大企業の製造業が少ない沖縄は事情が異なる。
 観光や飲食のサービス業や中小・零細事業者の割合が高い産業構造のため、人の移動を止めた自粛による経営の打撃が大きく、影響を受ける事業者も多い。地域の実態に即した経済・雇用の対策を緻密に講じ、コロナ禍を克服する年としなければならない。
 SARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)の経験を踏まえて台湾、韓国が新型コロナの封じ込めで成果を出したのに対し、日本の備えは甘かった。昨年2月にクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の船内で感染が分かると、沖縄をはじめ寄港地で危機感が高まり、乗客・乗員の隔離や下船方法でも混乱した。
 世界から観光客の受け入れを進めてきた沖縄にとって、コロナの教訓を今後の危機管理にどう生かすかが重要だ。港湾・空港における水際防疫体制の整備、観光施設や市中の感染防止対策の徹底、離島における医療・検査体制の拡充など、観光産業の再構築に向けて課題は少なくない。
 観光は沖縄に比較優位のある産業だ。一方で、自分たちでコントロールが難しい外部要因に左右されやすい側面がある。観光に依存しすぎない産業構造を整えていくこともリスク分散の上で必要だ。
 ビデオ会議システムを活用した場所を問わない働き方やキャッシュレスの浸透など、コロナ禍は社会のデジタル化を一気に進めた。新しい潮流を取り込み、ITによって県内企業の生産性向上や産業の高度化を導ければ、危機の経験は成長の糧となる。
 コロナ危機は、ウイルスという自然界の脅威に世界が直面し、人為的に経済活動を止める事態となった。ワクチンの開発で新型コロナを克服しても、新たな感染症への警戒は続く。温暖化や災害の大規模化といった気候変動の脅威も増している。コロナ後の世界経済は、地球規模の環境問題に一層の対応を迫られる。
 沖縄電力は昨年12月に、温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)排出量を2050年までに実質ゼロとする行程表を発表した。石炭火力依存から、再生可能エネルギーへと軸足を移す。離島県にふさわしい目標として評価したい。
 高い目標に挑むことが、事態を打開するイノベーション(技術革新)を誘発する。産業界だけでなく県民全体の目標として、脱炭素社会に向けた取り組みを始めたい。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年01月04日  06:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【金口木舌】:26回目の光文字は

2021-01-04 06:01:25 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【金口木舌】:26回目の光文字は

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌】:26回目の光文字は 

 新型コロナウイルスの感染が拡大する中、新年が明けた。今年は分散参拝が呼び掛けられ、県民はマスクを着けて初詣に出掛けた。苦しいときこそ、人は神仏とのつながりを求めるもの

 ▼聖書で有名な「出エジプト記」。カナンの地から飢饉(ききん)のためエジプトに移り住んだものの、そこで虐げられたイスラエル人を救うため、神が預言者モーセに託した言葉が「十戒」
 ▼「殺してはいけない」「盗んではならない」。石版に刻まれた十の戒律をモーセが授かったシナイ山は、神の山として信仰の対象となっている
 ▼名護市にも神が住むとされる山「神ヶ森」がある。昨年8月、新型コロナウイルス感染拡大で県経済や県民生活に深刻な影響が出る中、名護市が「結」の光文字を点灯させた
 ▼初めて光文字がともされたのは1996年。東江中学校出身の新成人らが市民に伝えたい思いを漢字一文字に託してきた。未来への希望を込めた「光」を皮切りに、97年は女子中学生拉致殺害事件の被害者を悼む「花」、98年は米軍普天間飛行場移設問題を巡る分断を憂い、「和」の文字をともした
 ▼26回目の今年は新型コロナの影響で協力金が集まりにくいというが、名護の風物詩を守るため、新成人が寄付集めに奔走している。今年はどんな光文字がともされるのだろう。神の森から発せられる言葉が人々に勇気を与えることを願う。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2021年01月04日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:21年県内政局展望 コロナ禍脱却が試される

2021-01-04 06:01:20 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【社説】:21年県内政局展望 コロナ禍脱却が試される

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:21年県内政局展望 コロナ禍脱却が試される

 2021年は県内3市で市長選が実施されるほか、衆院選も行われる。いずれも県内の政局に大きな影響を与え、沖縄の将来を占う重要な選挙となる。

 1月17日の宮古島市長選、2月7日の浦添市長選、4月25日のうるま市長選は自民、公明の勢力と、玉城デニー知事を支える勢力の対立構図が既に固まっている。いずれの市長選も両勢力が擁立する候補による事実上の一騎打ちになる見通しだ。これらを前哨戦に、任期満了を10月に控えた衆院選は早ければ春、遅くとも秋には実施される。
 国民、県民生活を混乱に陥れたコロナ禍の中、衆院選は、難局をどう乗り越えるかが最大の争点になる。コロナ感染症対策や経済対策の実効性や成否を有権者がどう判断するかが、政局を左右することにもなりそうだ。
 4月までの3市長選は、衆院選の行方を占う鍵となる。3市とも自公が推す市長が市政を担ってきた。各市長選では、自公が市政を維持するか、それとも「オール沖縄」勢力が奪取して勢力を拡大できるかどうかが焦点だ。宮古島市長選は衆院沖縄4区、浦添市長選は同2区、うるま市長選は同3区の情勢に影響する。
 次期衆院選には、県内4選挙区に比例代表を含む現職6人、新人3人の計9人が出馬する見込みだ。沖縄2、3、4区は「オール沖縄」勢と自公勢が対決する構図で、1区は無所属の下地幹郎氏が自民党に復党するかどうかで構図が変わる。
 前回衆院選では「オール沖縄」勢が支援する候補者が1、2、3区で勝利し、4区は自公勢が推す候補者が当選した。次期衆院選では、この勢力図がどう変わるかが焦点だ。
 衆院選では、コロナ対策のほか、米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設の是非や、沖縄振興計画が21年度末に期限切れとなった後の沖縄振興の在り方などが争点の柱となる。
 衆院選は、菅政権や玉城県政の評価も問われる。選挙結果は、22年の天王山となる県知事選の行方にも大きな影響を与える。
 21年は、3市長選のほか、伊江、座間味、多良間、与那国、伊平屋、渡名喜、北谷の7町村で首長選が実施される。議員選挙は、嘉手納、浦添、本部、与那原、多良間、那覇、宮古島、糸満の8市町村で行われる。
 県内では、子どもの貧困問題や地域振興、まちづくり、医療・福祉、教育など多岐にわたる分野で課題が山積している。各選挙の候補者は、コロナ禍の中でも有権者が政策を判断できる機会を確保できるよう情報発信を工夫し、論戦を深めてほしい。
 今年はコロナ禍をどう脱却するか、政治家の手腕が試される年だ。各選挙における有権者の判断はコロナ禍で痛手を負った沖縄社会の再起への道筋を決める重い選択となる。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年01月03日  06:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【金口木舌】:今夜はしぶんぎ座流星群

2021-01-04 06:01:15 | 【国連・ユネスコ・世界遺産・世界有形無形文化遺産・記念物遺跡会議

【金口木舌】:今夜はしぶんぎ座流星群

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌】:今夜はしぶんぎ座流星群 

 「儀」には「身体動作の上で手本とすべきもの」「規範」の意味があり、儀礼や行儀などで使われる。「天文や地理にかかわる器械・模型」の意味もあり、地球儀はおなじみ

 ▼18世紀の終わり頃まで子午線観測に用いたのは象限儀(しょうげんぎ)または別名・四分儀(しぶんぎ)。円を四等分にした扇形の目盛環で、天体の高度を測る。古来、人々は星の位置から吉凶を占った
 ▼新型コロナウイルスは2019年末には、すでに中国武漢で確認されていた。当初、ここまでの展開を誰が予測できたか。21年を迎え、人々は平穏とコロナの収束を願っただろう
 ▼感染防止のための外出自粛や都市封鎖に伴い、経済は停滞した。世界の二酸化炭素排出量は20年度は前年度比8%減少との試算がある。人類の活動が制限された結果、地球の環境が改善された。当然とはいえ皮肉な現実
 ▼今夏、本島北部と西表島の世界自然遺産登録が審査される。20年はコロナ禍で審査できず、18年は米軍北部訓練場の部分返還地が推薦地に含まれないことを理由に登録延期になった。その返還地からは今も米軍廃棄物が次々と見つかる。東村高江、やんばるでも米軍機が昼夜を問わず飛び交う
 ▼「しぶんぎ座流星群」が3日深夜から見ごろだ。世界自然遺産の候補地で流星観測を楽しみ、新年の抱負を誓ってもいい。そんなひとときを米軍機がさえぎらないよう、一筋の光に願う。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2021年01月03日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:新年を迎えて 自立へ共に踏み出そう

2021-01-04 06:01:10 | 【第二次世界大戦・敗戦・旧日本軍・広島、長崎原爆投下・国策犠牲・戦後補償

【社説】:新年を迎えて 自立へ共に踏み出そう

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:新年を迎えて 自立へ共に踏み出そう

 新年を迎えた。2021年の沖縄は、施政権返還(日本復帰)50年を1年後に控え、これから先の針路を決定する年になる。

 50年前の1971年11月、琉球政府は日本復帰後の沖縄の在り方をまとめた「復帰措置に関する建議書」を作成している。
 復帰運動の先頭に立った屋良朝苗主席は「建議書」前文にこう明記した。
 「沖縄は余りにも、国家権力や基地権力の犠牲となり、手段となって利用され過ぎました。復帰という歴史の一大転換期に当たって、このような地位からも、沖縄は脱却していかなければなりません」
 琉球併合、沖縄戦、米国統治など国家に利用された過去と決別し、二度と利用されないという表明だ。その上で、米軍基地は人権を侵害し生活を破壊する「悪の根源」と断じ、基地押し付けによる抑圧から解放され、人権が完全に保障されることを求めた。
 残念ながら現状は逆である。米国は72年に施政権を日本に返還するが、復帰後も日本政府の合意を得て在沖基地を自由使用し続けている。
 民意に反して名護市辺野古の新基地建設を強行するのは、今後も沖縄を利用し続けるとの宣言にほかならない。
 では「建議書」は何を訴えたのか。「はじめに」の項で県民福祉を最優先に考え(1)自治の尊重(2)平和希求(3)平和憲法下の人権回復(4)県民主体の経済開発―を掲げている。
 4本柱を実現するため、沖縄側が自己決定権を行使して新しい県づくりに取り組むことを表明した。国は沖縄側が立てた計画に責任を持って予算を付けるよう主張した。
 沖縄の振興開発計画の責任は最終的に国にある、という日本政府の枠組みとはまったく異なる発想である。
 しかし、国会は建議書を受け取る前に、与党自民党が数の力で沖縄返還協定を強行採決した。沖縄側の最後の訴えは届かなかった。
 現行の沖縄振興特別措置法(沖振法)は21年度末で期限を迎える。復帰50年以降の新たな沖縄振興を巡る作業が本格化している。もし政府が、沖縄振興を基地問題との駆け引き材料にしようとするなら断固として跳ね返さなければならない。半世紀前、先達が大国の手段として利用されることを拒否したことを忘れてはならない。
 県は今年、国に「新たな沖縄振興のための制度」を正式に提言する。国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」の推進を、沖縄振興の目標として位置付けていくことを打ち出している。
 SDGsの枠組みを使うことは意義がある。SDGsの基本は人権であり、掲げている目標は既に建議書に盛り込まれている。
 肝心なのは、自立へ向け県民が困難を乗り越え、問題解決のために共に一歩を踏み出すことである。希望を持って取り組む年にしたい。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年01月01日  06:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【金口木舌】:牛のように強く、優しく

2021-01-04 06:01:05 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【金口木舌】:牛のように強く、優しく

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌】:牛のように強く、優しく 

 中城村で牛が散歩する姿を見掛ける。ぽかぽかした日差しの下を牛主と歩いている。その瞳は涙を浮かべているようにも見えて優しい。「目がかわいい」と魅力を語る闘牛ファンがいることにもうなずける

 ▼闘牛場では力強い牛たちが迫力満点に角を突き合わせる。一方で戦意を失い、敗走する相手を深追いしないのもよく見る光景だ。誇らしげな勝者の目は優しくも見える。力強さと優しい表情、どちらも牛の魅力だ
 ▼丑(うし)年が明けた。新たなことに挑戦する人も多いはずだが、新型コロナウイルス感染症への対策は今年も重要な課題になるはずだ。引き続き他者との密接を避けつつ、経済の活性化も求められる
 ▼大接戦の末、米大統領選を制した民主党のバイデン氏の就任も目前だ。米国では感染症対策を巡り、マスク着用の是非まで政策論争に発展した
 ▼マスクは感染への防御策にもなるが、自分が感染していた場合には他者にうつさない効果が大きいと言われる。飛沫(ひまつ)を防ぐには飛ばす方の心掛けが大事だ。未曽有のパンデミックを乗り越えるには、他者への思いやりが鍵になるようだ
 ▼牛の歩みのようにゆっくりとしか進まないかもしれない。ただ、これまでの感染症との闘いをよく反すうすれば、有効な対策も生まれよう。人類が手を取り合い、牛の瞳のように優しい心で他者と向き合うことで道は開けるはずだ。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2021年01月01日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【英首相】:規制強化を示唆 コロナ感染者、高止まり

2021-01-04 05:24:30 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【英首相】:規制強化を示唆 コロナ感染者、高止まり

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【英首相】:規制強化を示唆 コロナ感染者、高止まり 

 【ロンドン共同】英政府は3日、新型コロナウイルスの1日当たりの新規感染者が5万4990人となったと発表した。ジョンソン首相はBBC放送に出演し「今後数週間でより厳しい措置が必要になるかもしれない」と語り、規制を強化する可能性を示唆した。

 BBC放送に出演し、コロナ感染予防のための規制強化について説明するジョンソン英首相=3日、ロンドン(ロイター=共同)

 従来型より感染力が強いとされる変異種が猛威を振るっており、新規感染者は昨年12月29日から6日連続で5万人を超え、高止まりが続く。今月2日は5万7725人で過去最多を記録。累計感染者数は260万人を上回った。

 BBCによると、新型コロナで入院した人は昨年4月のピーク時を上回っており、医療体制への影響に懸念が高まっている。(共同通信)

 元稿:琉球新報社 主要ニュース 国際 【欧州・イギリス・医療・新型コロナウイルスの感染拡大に伴う患者数の増加】 2021年01月04日  05:24:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【社説】:「コロナの先へ」 ③ 地域で回す経済に軸足を

2021-01-04 05:06:00 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【社説】:「コロナの先へ」 ③ 地域で回す経済に軸足を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:「コロナの先へ」 ③ 地域で回す経済に軸足を 

 感染防止か、経済か。新型コロナ禍は、両者が二律背反するかのような錯覚をわれわれに与えた。

 だが「経済回復を可能にするのは人々の健康を中心に据えた政策以外にない」。世界経済フォーラム(ダボス会議)の創設者クラウス・シュワブ氏の指摘は的確だ。

 それなのに、国は感染拡大の中「Go To トラベル」で移動を促した。観光業界支援という目的とは裏腹に、場当たり的な中止と再開は経営体力を消耗させる。

 夏の東京五輪に向け、インバウンド(外国人訪日客)の受け皿を整えたい思惑も透けて見える。

 国境を越え、ヒト、モノ、サービスが動く経済のグローバル化は勢いを失った。目指すべきは、コロナ前に戻ることではない。

 「経済を回す」とは、まずは道内、国内で生産や消費、雇用を循環させることであろう。この災厄を、縦割りに分断された地域の力を再結集する転機としたい。

 ■人材流動化の好機に

 道内各空港の国際線はなお休止状態で、身近なグローバル化を実感させた外国人客の姿は消えた。

 国内線の客足も減った昨年夏、日本航空函館空港所は近くの農業法人への人材支援を行った。

 週1回程度作業した谷本由実さんは「不安を抱えていたが、いい汗をかき充実感を得た」と話す。農家とのつながりも深まった。

 空知管内の農場には札幌のブライダル業者が、北見市常呂の水産加工場では地元の旅行会社社員が働いた。コロナ禍は人材流動化の好機となる側面もある。

 一方、1次産業の外国人技能実習生は足止めされた。道内農協受け入れ分は昨年6月時点で375人が入国できなかった。水産加工へ年250人仲介していた札幌の業者は「今もゼロ」という。

 もちろん、不振業種の人材で現場の人手不足を一気に補えるほど単純ではない。航空大手では数百人単位で物流業などに派遣するが、意に沿わぬケースもあろう。

 国は企業間で人材融通する在籍型出向を助成するが、不十分だ。

 自らの意思で副業を選択できる「パラレルワーカー」を定着させることこそが大切だ。自治体、経済界、生産者団体が協力し地域に仲介基盤をつくる必要がある。

 ■修正進む世界的分業

 検査と予防の充実は経済活動の大前提となる。旭川では短時間でコロナ感染を調べる抗原検査キットの生産ラインが近く稼働する。

 臨床検査薬の富士レビオ(東京)が東芝ホクト電子本社に間借りする形で週20万回分を製造する。

 業種を超え東芝と日立製作所がレビオを支援した。東芝ホクトの村川典男社長は「社会的意義を感じ急ピッチで対応した」と話す。

 国内最大級のアルコール製造拠点、合同酒精苫小牧工場は正月もフル操業する。主力の焼酎は低調だが、消毒用などの販売がグループで4割増となったのが一因だ。

 コロナ禍は新たなビジネスの潮流を生み出した。一方で、安さと効率を求めた世界的分業の土台を揺るがしている。

 8割が海外生産だったマスクは昨春店頭から消えた。医療資機材だけでなく、中国製が2割を占める主要電子部品も調達が滞った。

 昨年の世界貿易量は自動車産業の回復で9%減にとどまる見込みだが、米中対立など不安定要素も多い。中国は国家安全に関わる輸出管理法を先月施行した。

 供給元の国を分散したり、国内に製造を戻したりする日本企業は増えてきた。国も後押しする。

 だが、重点化すべき品目や分散調達の数値目標などを国は示せていない。対応を急ぐべきだ。

 ■電力も小規模循環に

 大規模な発電所で作った電気を隅々まで供給する。電力ビジネスは典型的な一極集中モデルだ。

 北大と日立はこの常識を覆す自給自足システム構築に今年から乗り出す。燃料は、野菜などの廃棄物や温泉から発生するガスだ。

 材料ごとに人工知能マルチ燃料エンジンが最適な発電を考える。岩見沢の実証実験を担う吉野正則客員教授は「農家の温室栽培の電源程度は地域で作れる」という。

 渡島管内松前町では、災害で広域電力網が寸断しても再生可能エネルギーで町内を賄う「マイクログリッド」の実用化を計画する。

 普段は域外に売電する東急不動産の風力発電12基が、北海道電力系の電線で直接家庭に配電する。北電にとっても広域線復旧の負担が軽減される。将来的には平時でも全4千世帯分を賄う構想だ。

 再エネは実験段階を超えぬと言われ久しい。だが原子力政策の要、核燃料サイクルは研究用高速増殖原型炉もんじゅすら頓挫した。

 小規模循環型のエネルギーの地産地消が地域の豊かさを増す。福島原発事故から10年。大量生産・大量消費で成長が続くという幻想から脱する時機に来ている。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年01月04日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:「コロナの先へ」 ② 危機が問う指導者の真価

2021-01-04 05:05:50 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【社説】:「コロナの先へ」 ② 危機が問う指導者の真価

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:「コロナの先へ」 ② 危機が問う指導者の真価 

 新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)は、各国・地域の統治のありようをあらわにした。

 なかんずく、感染対策の陣頭指揮を執る指導者のリーダーシップが問われている。

 未知のウイルスに専門家の見解も分かれ、人々の不安は膨らむ。

 その不安に乗じ、国のトップが非常事態を理由に法を逸脱して国民の主権を制約すれば、独裁に道を開く恐れがある。

 一方で、科学的な根拠もなく楽観的な見通しを語り、いたずらに感染拡大を招くようなリーダーも信頼を置けない。

 コロナが収まったとしても、新たなパンデミックが予想される。

 危機にあって、指導者に不可欠なのは、科学的な知見を踏まえ、なぜこの施策を選択するのかを国民に丁寧に説明することである。

 今年は秋までに、首相選びにつながる衆院選が行われる。有権者は、国民の命と生活を守るべき指導者の資質を見定めたい。

 ■共感呼ぶ振る舞いか

 昨年12月、欧州を感染の猛威が再び襲う中、沈着冷静なドイツのメルケル首相が珍しく感情をあらわにして、強い行動制限を国民に求めた演説が話題になった。

 必死さだけでなく、国民の心情に寄り添い「祖父母と過ごす最後のクリスマスにしないで」と訴える姿が、共感を呼んだのだろう。

 これに対し、日本のトップは国民の不安とかけ離れた振る舞いが非難された。

 安倍晋三前首相は愛犬とくつろぐ動画を投稿し、菅義偉首相は年末に連日会食をはしごした。

 「説明不足」の批判を受け、菅首相は年末に記者会見を開いた。だが用意した紙に目を落とす場面が多く、質問も途中で打ち切った。前を見据えて自分の言葉で語ったメルケル氏との落差は大きい。

 外出や店舗営業が原則禁止され、違反すれば罰金を科せられることもある欧州と違い、日本は外出自粛や休業の要請にとどまる。

 それだけに、日本の首相は国民の納得と共感を得られる振る舞いと説明ができなければ、感染対策への理解は広がらない。

 ■科学への敬意を基に

 国民に向き合う姿勢とともに、指導者に問われているのは、政治と科学の関係だ。

 国内で感染が広がった当初、政府の専門家会議は「3密回避」などの対策を次々に打ち出した。

 国民への浸透に一定の効果はあったが、あたかも政府の政策を決定しているかのように受け取られ、責任の所在が曖昧になった。

 その後、政府は行動自粛より経済重視に政策のかじを切った。

 専門家会議は分科会に衣替えされ、観光支援事業「Go To トラベル」の実施を容認した。

 菅首相は「移動によって感染は拡大していない」と主張して事業継続にこだわり、結果的に医療崩壊寸前まで感染が拡大した。

 だが、分科会の中でも事業には慎重な意見が根強かった。官房長官在任時を含めて、首相は専門家の意見を都合良くつまみ食いしたと言われても仕方がない。

 先の大戦での原爆開発を例に引くまでもなく、科学は常に政治に利用されかねない危うさを持つ。

 一方で科学を軽視した指導者の姿勢が危機を深刻化することは、世界最悪の感染状況にあるトランプ政権の米国を見れば明白だ。

 科学者の知見をそしゃくした上で、最適な政策へといかにつなげるか。政治家の識見と力量がまさに試されている。

 ■現場の視点欠かせぬ

 感染症対策の最前線に立つ地方の現場に注目したい政治家がいる。和歌山県の仁坂(にさか)吉伸知事だ。

 昨年2月に国内初の院内感染から広がったクラスター(感染者集団)を短期間で収束させた。現在も他の都道府県に比べると、急激な感染拡大を抑え込んでいる。

 仁坂氏は院内クラスター対策で、政府がPCR検査を中国・湖北省への渡航者などに限定していた時期に、感染者に接触した人すべてに検査を行う決定を下した。

 当時、仁坂氏は収束まで連日記者会見し、質問がなくなるまで感染状況を説明した。

 「正しいことを誠実に言うよう心がけた」と仁坂氏は振り返る。

 県民に対策を理解してもらうには情報公開が欠かせないが、クラスターの発生施設や感染者の行動経路など、風評被害や個人情報保護の観点から難しい問題もはらむ。判断はトップしかできない。

 政府の迷走は、ぎりぎりの決断が迫られる現場の実情をつぶさに把握せず、国民から遠い中央の論理で政策を決めたことに一因があるのではないか。

 国の命運を左右する政治のトップであればこそ、現場の視点や国民の思いを忘れずに日々の政権運営に努めなければならない。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年01月03日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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