路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【安全保障】:NATOの東京事務所開設 なぜ議論にすらならないのか?

2023-05-13 06:28:50 | 【日米安保・地位協定・在日米軍・沖縄防衛局・普天間移設・オスプレー・米兵犯罪】

【安全保障】:NATOの東京事務所開設 なぜ議論にすらならないのか?

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【安全保障】:NATOの東京事務所開設 なぜ議論にすらならないのか? 

 日本の安全保障において、聞き捨てならない重大ニュースなのに、なぜか大メディアは小さな扱いでしか報じていない。

 NATO(北大西洋条約機構)が東京に連絡事務所を開設する方向で検討しているというのだ。2024年中の設置に向け、日本政府と準備を進めていることを9日、駐米日本大使が米ワシントンでの講演で明らかにした。NATOにとってアジア初の事務所となる。

<picture>いいように利用されている(ストルテンベルグNATO事務総長と会談し、満面の笑みの岸田首相=2023年1月)/(C)共同通信社</picture>

 言うまでもなく、NATOはEUとは違う。軍事同盟である。加盟国が武力攻撃を受けた際、全加盟国に対する攻撃と見なし反撃する「集団安全保障」を条約に明記している。その拠点が日本に置かれるとはどういうことなのか? なぜ議論にすらならないのか? 日本は将来的にNATOに加盟するのか? いくつもの疑問と不安が湧いてくるのだ。

 「NATO側の目的は、情報収集でしょう。NATO加盟国のうち米国とカナダ以外の29カ国は欧州です。台湾有事についての情報などを地理的に近い場所で、米国経由ではなく得たいと考えている。ただ懸念されるのは、NATOが事務所を構えることで、日本が加盟する布石と取られかねないこと。現実には、憲法9条があるので日本は集団安全保障の体制はとれません。安保法制の『密接な関係にある他国』にも当てはまらない。しかし、防衛費をNATO並みのGDP比2%にすると閣議決定した辺りから、日本は国内外で『NATOと一心同体』という見られ方をしている。政府は事務所開設が軍事力強化につながるものではないと丁寧に説明すべきですが、それをしないとすればなぜか……。NATOの事務所開設が軍事力強化に利用される恐れがあります」(防衛ジャーナリスト・半田滋氏)

 ◆〝準加盟国〟とみられ中ロを刺激

 昨年6月に岸田首相は日本の総理大臣として初めてNATO首脳会議に出席した。その会議で、NATOは長期的な行動指針を示す「戦略概念」を12年ぶりに改定。ロシアを「脅威」と位置づけ、中国からの「挑戦」に言及したうえで、「欧州」と「アジア」という2つの地域の安全保障を結びつけて捉える考え方を打ち出した。

 それに呼応するように、日本は昨年末、防衛3文書を改定。防衛費を5年間で43兆円へと倍増し、NATO基準のGDP比2%を目指すという歴史的大転換を図った。文書ではNATOとの協力を強めるとも記された。

 今年1月にはNATOのストルテンベルグ事務総長が来日して岸田と会談。協力関係の拡充などが確認された。事務総長が日本の防衛費増額を歓迎して「世界で最も資金が潤沢な軍隊の1つになるだろう」と持ち上げると、岸田は満足げだった。

 4月には林外相が昨年に続き、NATO外相会合出席。日本はすっかりNATOの一員になったかのごとくだ。そんな中で進められている東京事務所の開設。アジア地域でNATOのプレゼンスが高まるのは確実である。

 安倍政権時代のロシアとの北方領土交渉で、プーチン大統領が最後まで難色を示したのが、返還後の北方領土に米軍基地が置かれる可能性があることだった。口実だったとしても、それで交渉は暗礁に乗り上げた。

 ロシアはNATOの東方拡大を嫌った。東京事務所開設なら東方どころか「極東拡大」だ。早速、ロシアは「アジア地域の対立を高め、軍拡を助長することになる」と反発している。

 元外務省国際情報局長の孫崎享氏が言う。

 「東京事務所開設がロシアと中国を刺激するのは間違いありません。日本がNATOの“準加盟国”と見られ、ロシアと中国を敵視する国という位置づけが極めて鮮明になる。そしてもうひとつ重要なのは、台湾有事で日米が軍事行動を取る事態について、NATOの存在が『これは日米だけでなく、世界的に正しいことだ』というプロパガンダの役割を果たすことです。日本の軍事力を強化する国内世論づくりの後押しにもなるでしょう」

 ◆平和主義を捨て、軍事大国を望む

 つまり、岸田外交はいいように利用されているのだ。NATOは日本のほか、韓国や豪州をインド太平洋地域のパートナーと位置づけるとしているが、NATOの“アジア拡大”には台湾有事を見据えた米国の思惑がある。

 NATOは欧州防衛が本来の目的だ。ロシアによるウクライナ侵攻により、米国は対ロシアでウクライナ支援を続けなければならない。「二正面作戦」は取れない米国が、対中国はアジアの同盟国に関与を強めてもらいたい、ということなのだ。バイデン大統領が韓国の尹大統領を「国賓」としてもてなしたり、米国主導で日韓関係の融和が進められたのもその一環である。

 そんな米国の狙いが分かっているのか、いないのか、主体的にNATOに接近していく岸田は、「なぜ遠く離れたヨーロッパの戦争に、前のめりで首を突っ込んでいくのか」の疑問に、「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない」と繰り返す。

 だが、台湾有事を煽っているのはむしろ米国ではないのか。NATOとの協力強化は、東アジアの安全保障に利するというが、米国からは遠く離れていても、中ロは日本の隣国。米軍との一体化やNATOとの一体化で、むしろ日本が危なくなるのではないのか。ええかっこしいの亡国外交ほど恐ろしいものはない。

 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言った。

 「米国がやっているのは自国は無傷のままで、中ロとの対立に日本を引きずり込もうということ。戦場になるのはアジアであり、日本ですよ。NATOは軍事同盟です。NATOの一員のようになることは、『武力による威嚇または武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する』とした憲法9条に違反します。戦争に向けて旗を振るトップリーダーでいいのでしょうか」

 ◆勘違いの自画自賛

 こうした不安や懸念は「聞く耳」自慢の首相にまったく届いていないようだ。

 岸田が米誌「タイム」の次号(12日発売)の表紙を飾る。「日本の選択」と題した特集の一部が電子版で先行公開され、10日から大きな話題になっているが、その中身に多くがア然だったのではないか。岸田が「長年の平和主義を捨て去り、自国を軍事大国にすることを望んでいる」と紹介されているのだ。

 何もこれは同誌の勝手な臆測ではない。岸田が4月28日に首相公邸で同誌のインタビューを受けた結果だ。

 外務省が異議を申し立てたらしく、きのう午後になって「軍事大国」の見出しが修正されたが、それで日本に対する見方が変わったわけではない。平和主義を捨て去り、軍事大国を望む--。これが今の日本に対する世界の捉え方だ。この国はいつから平和を捨てたのか? 憲法9条はどうなったのか? そもそも岸田は海外メディアに伝える前に、自国民に伝えたのか? フザケルな、である。

 軍事力を肩代わりしてくれるのだから、米国にとってはありがたい首相だろう。表紙になった自分を眺め、「安倍元首相にもできなかったことをやった!」と、また舞い上がる姿が目に浮かぶ。

 「評価されていると勘違いして、自画自賛するのでしょうね。岸田首相というのは、流れに任せて状況に対応するだけの人。将来的なNATOのリスクを自覚していない。ウクライナ戦争を契機に軍拡を望む世論の高まりがありますが、それが、いつか来た道へ踏み出すことにつながることを、国民はきちんとわかっているのでしょうか」(五十嵐仁氏=前出)

 「抑止力強化」「防衛力強化」のはずが世界も認める「軍事大国」。米国に乗せられ、“汚れた称号”をもらおうとしているのが、この国の現実だ。これでいいのか。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース・NATO(北大西洋条約機構)が東京に連絡事務所を開設する方向で検討している】  2023年05月12日  17:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【室井佑月の「嗚呼、仰ってますが。」】:なにがウィシュマさんが望まない、だ。自民・牧原秀樹氏の卑怯ぶりに反吐が出る

2023-05-13 06:26:20 | 【移民・難民・亡命・密入国・入管・在留資格・日本語学校・偽装結婚・技能実習生他】

【室井佑月の「嗚呼、仰ってますが。」】:なにがウィシュマさんが望まない、だ。自民・牧原秀樹氏の卑怯ぶりに反吐が出る

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【室井佑月の「嗚呼、仰ってますが。」】:なにがウィシュマさんが望まない、だ。自民・牧原秀樹氏の卑怯ぶりに反吐が出る

 『衆議院法務委でも問題視しました。ウィシュマさんもご自身の弱られた様子を週刊誌を通じて公開されることを望むでしょうか?(後略)』(牧原秀樹・衆議院議員・自民党

               ◇  ◇  ◇

 これは4月7日の、牧原議員のTwitterでの言葉。冒頭の発言の後には、

『編集も無断であり裁判所も証拠開示に慎重にならざるを得ません。』

 と書き、同日の共同通信の『ウィシュマさん映像公開を問題視 斎藤法相「勝手に編集し提供」』という記事を貼り付けている。

<picture>死亡したウィシュマ・サンダマリさん(C)日刊ゲンダイ</picture>

  死亡したウィシュマ・サンダマリさん(C)日刊ゲンダイ

 なんて卑怯な男なんだ。反吐が出そう。

 牧原氏がやったことをほかのことにして例えるとだな──。電車に乗っていたらJKの尻を撫で回している痴漢がおった。その行為を目撃した正義の人が、とっさに痴漢の手首を掴み、

 「やめろ、この人、痴漢!」

 そう叫んだ。

 牧原氏は、この勇者に対し、
 
 「そうやって大騒ぎすることを、JKが望んでいると思うか」

 ってやっちゃってるわけ。

 なんて不正義。オーディエンスもドン引きするわい。でもって、牧原氏がそんな馬鹿なことをした理由がまた、たまらなく酷くって。たまたま目撃した痴漢行為をしていた人が、上司だったから庇ったって話。

 ん? 余計にわかりづらくなった? でも、今回、牧原氏がしたことは、これに近いことなんだ。

 なにがウィシュマさんが望まない、だ。この法を管理しているのは、牧原氏がいる政府自民党。法務大臣は先輩議員。

 カー、ぺッ(反吐を出す音)。

 ウィシュマさんの事件、なにが悪かったのかきちんと判明され、きちんと解決しますように! 当たり前でしょう。

 ウィシュマさんに、日本人として心からのお詫びをしたい。本当にすみませんでした。私たちは今後、第2のウィシュマさんを作らないと、ウィシュマさんの魂に誓います。

室井佑月
著者のコラム一覧
 ■室井佑月 作家

 1970年、青森県生まれ。銀座ホステス、モデル、レースクイーンなどを経て97年に作家デビュー。TBS系「ひるおび!」木曜レギュラーほか各局の情報番組に出演中。著書に「ママの神様」(講談社)、「ラブ ファイアー」(集英社文庫)など。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース・連載・「室井佑月の「嗚呼、仰ってますが。」」】  2023年04月14日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【室井佑月の「嗚呼、仰ってますが。」】:前原誠司さんは算数苦手か?「非自民・非共産でまとまれば勝てる」って違うよね

2023-05-13 06:26:10 | 【政党・自民・立憲・維新の会・公明・国民民主・共産・社民・れいわ・地域政党他】

【室井佑月の「嗚呼、仰ってますが。」】:前原誠司さんは算数苦手か?「非自民・非共産でまとまれば勝てる」って違うよね

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【室井佑月の「嗚呼、仰ってますが。」】:前原誠司さんは算数苦手か?「非自民・非共産でまとまれば勝てる」って違うよね

 『非自民・非共産でまとまれば与党に勝てる』(前原誠司国民民主党・代表代行)

 これは4月1日の『THE SANKEI NEWS』の『前原誠司元外相 「非自民・非共産」でまとまれば与党に勝てる』という記事のタイトルだ。前原さんへのインタビュー記事。

<picture>前原誠司・国民民主党代表代行(C)日刊ゲンダイ</picture>

  前原誠司・国民民主党代表代行(C)日刊ゲンダイ

 じつは、この記事は有料記事。金を払ってまで前原さんの意見を聞かなくてもいいので、記事のタイトルだけ読んで書いてまっ~す。

 てか、冒頭の言葉、もしくはおなじ意味のことを、インタビューで前原さんが述べたからタイトルにしたんだもんね。いやぁ、それにしても前原さんは算数苦手か? 無能な軍師様だな。

 国会議員の6割以上は、自民党+自民党協力議員(公明)なの。んでもって、残り全員が反自民かっつーとそうじゃない。自民党に近い考えや、それ以上に保守チックな考えを持っていたりする者もおる。じゃ、なんで自民党の議員じゃないかってーと、自分の選挙区に自民の先輩がおって、みたいな話。

 面倒くさいから名前を出してもいい。昔の細野とか長島とか鷲尾とかな。うまく立ち回りたいのに、なかなかそうできない前原くんもそうじゃね? 

 つまり、自民じゃないやつらもみんな反自民じゃない。なのに、自民じゃないやつを足し算していかないで、なに勝手に引き算してんねん。政治とは、相手より仲間を増やさねばならない戦いだっつーの。

 前原くんは、冒頭の発言でなにを狙ってる? 自民に勝ちたくないの? 自民に勝ちたくないってことは、自民を勝たせたいわけで、自民党へ行けばいいじゃん。野党風味で仲間の足を引っ張って、こんなに自民に貢献しているのは、好条件で自民に迎えられる日を夢見てか?

 自民党の偉い人、誰か前原くんに声かけてやれよ。え? 緑のたぬきに化かされる間抜けはいらない? そんなこといっちゃいや~ん、立憲の松原もオマケで付けるから。

室井佑月
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 ■室井佑月 作家

 1970年、青森県生まれ。銀座ホステス、モデル、レースクイーンなどを経て97年に作家デビュー。TBS系「ひるおび!」木曜レギュラーほか各局の情報番組に出演中。著書に「ママの神様」(講談社)、「ラブ ファイアー」(集英社文庫)など。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース・連載・「室井佑月の「嗚呼、仰ってますが。」」】  2023年04月14日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER2023.05.12】:田川市・バイオマス発電所建設計画で南国殖産に新たな「虚偽」の疑い|書きかえられた計画書

2023-05-13 06:02:50 | 【脱原発・脱炭素・再生エネ・天然ガス・地熱・メタンハイグレード・EV・水素社会】

【HUNTER2023.05.12】:田川市・バイオマス発電所建設計画で南国殖産に新たな「虚偽」の疑い|書きかえられた計画書

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2023.05.12】:田川市・バイオマス発電所建設計画で南国殖産に新たな「虚偽」の疑い|書きかえられた計画書 

 地元住民が反対運動を展開している「田川バイオマス発電所」の事業者である南国殖産(鹿児島県)が、事業認可を求めるため九州経済産業局に提出した書類に「宴会」を「住民説明会」と記載していた問題で、ハンターが新たな「虚偽」を示す証拠文書を入手した。

 ■「住民説明会」じつは「宴会」

 まず、バイオマス発電の推進を訴えた佐々木允県議会議員の議会質問が起点となる形で計画がスタートした「田川バイオマス発電所」に関するこれまでの経緯について、時系列表を再掲しておきたい。

  ハンターが最初に「虚偽」を指摘したのは、南国殖産が2020年3月31日に九州経済産業局に提出した発電所の申請書類に添付された『バイオマス燃料の調達及び使用計画書』の記載。同社はその中の『地域社会に対する対応』という項目に、「令和元年11月7日」に「近隣住民説明会」を開き、「地域住民」に「丁寧」に説明し「理解を得られた」と記していた。(*下の文書参照)

 ところが、「近隣住民説明会」は真っ赤なウソで、実際には田川市内の日本料理店に関係する3人の区長らを招いた「宴会」だったことが、ハンターの取材で判明。この事実を隠蔽するため、南国殖産と九州経済産業局は当初、グルになって該当箇所を黒塗り非開示にしていたことも露見する。

 ■九州経済産業局が「廃棄した」当初の計画書を入手

 南国殖産が虚偽の内容で国を騙した形だったが、ハンターは、『バイオマス燃料の調達及び使用計画書』の表紙部分に手書きされていた「林野庁差しかえ後」という文言に注目(*下、参照)。“差しかえ前”の計画書があるとみて九州経済産業局に確認した。

   公文書管理にうるさいご時世、まさか「捨てた」などということはあるまいと思っていたが、同局担当課の回答は「廃棄しました」。別の隠蔽が疑われたため、改めて林野庁に当該文書の開示請求を行なった。

 ハンターの開示請求書は林野庁から農林水産省に移送され、さらに九州経済産業局に再移送されるという異例の展開。その結果、平成30年12月20日に南国殖産が提出した計画書が開示された。下が、当初の計画書と、差しかえ後の計画書の表紙部分である。理由は判然としないが、年間に使用する木質チップの数量が、44,000トンから30,200トンへ大幅に減っているのがわかる。

   一番の相違点は、やはり『地域社会に対する対応』に記された内容だった。まず、下が差しかえ前のものである。

 「近隣住民説明会」はあくまでも“開催予定”。開催予定日は、平成31年(2019年)の2月となっている。問題は具体的な対応策で、その欄には「これまで地元の代表者に対しては事業内容の説明をし理解は得られている」とある。とんでもない作り話だ。

 「地元の代表者に対しては事業内容の説明をし理解は得られている」などという話は、時系列で考えてもあり得ない。佐々木県議が県議会でバイオマス推進を訴えたのが2018年の6月。南国殖産が田川市に事業計画を提案したのは翌年1月で、市民に発電所建設計画が伝わるのはその後のことなのだ。平成30年(2018年)の段階で事業計画の存在を知っていたのは、計画への協力を約束していたごく一部の関係者だけ。住民説明会に関する南国殖産の記載内容は、最初も差しかえ後も厳しく言えば「虚偽」で、都合のいい作り話に近い。

差しかえ後の計画書(*下、参照)を確認してみれば、2種類の計画書の記載内容の違いが歴然となる。

 二つの計画書を「初めて見た」という地元住民は、怒りを隠そうともせず、こう話す。

 「信じられません。平成30年の段階で、住民の代表が発電所建設に理解をしていたはずがないですから。地元の代表とは誰のことなのか、聞いてみたい。よくこんな嘘が書けますね。差しかえ後の文書にある住民説明会はただの宴会で、それも嘘。南国殖産とは、どんな会社なんでしょうか。私たち地元住民を愚弄するにもほどがあります。あと、田川市はこれまで『民間の事業だから』といってごまかしてきましたが、差しかえ前の文書には、南国と田川市が早い時期から定例会やら協議やらを続けてきたとあります。田川市も共犯でしょう。いったん発電所の建設を止めて、住民説明会からやり直すべきです」

 たしかに、2018年に提出された差しかえ前の計画書には、その他の特記事項として、「飯塚農林、田川市役所、発電所予定地一体の農地管理者、地区水利組合、筑豊地区木質バイオマス推進協議会の代表者、燃料調達事業者」らと「定例会及び協議」を行ってきたことが明記されている。しかし、令和2年(2020年)に提出された差しかえ後の計画書ではこうした説明が削除されており、田川市をはじめ計画を進めてきた関係機関を隠した形になっている。

 事業者が計画書に明記した「住民説明会」や「理解を得た」は、実態を伴わない出来事。南国殖産という会社の、福岡における社会的な信用が揺らいでいる。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・地元住民が反対運動を展開している「田川バイオマス発電所」の事業者である南国殖産(鹿児島県)が、事業認可を求めるため九州経済産業局に提出した書類に「宴会」を「住民説明会」と記載していた問題】  2023年05月12日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER2023.04.04】:福岡県田川市・バイオマス発電所建設計画の闇(下) ■「近隣住民説明会」、じつは顔合わせ宴会

2023-05-13 06:02:40 | 【脱原発・脱炭素・再生エネ・天然ガス・地熱・メタンハイグレード・EV・水素社会】

【HUNTER2023.04.04】:福岡県田川市・バイオマス発電所建設計画の闇(下) ■「近隣住民説明会」、じつは顔合わせ宴会

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2023.04.04】:福岡県田川市・バイオマス発電所建設計画の闇(下) ■「近隣住民説明会」、じつは顔合わせ宴会

 バイオマス発電の推進を訴えた佐々木允県議会議員の議会質問が起点となる形で計画がスタートした「田川バイオマス発電所」の事業認定までの過程で、環境に影響を与える可能性がある大型施設建設には必須となっている「事前の住民説明会」が、開かれていなかったことが明らかとなった。

 事業者である南国殖産(鹿児島県)側は、2019年11月7日に田川市内で「住民説明会」を開催したと国に報告していたが、これがとんだインチキ。実は、近隣3区の区長だけを田川市内の和食料理店に呼び出しての単なる「宴会」で、料理だけでなく酒まで振舞われていた。事業を所管する経済産業省九州経済産業局は、ハンターの開示請求に対し、この事実を隠蔽するため公表済みの文書を黒塗りにするという暴挙に出た可能性が高い。

 ■インチキ住民説明会を南国殖産と国が隠蔽

 下は、田川バイオマス発電の事業者である南国殖産側が、九州経済産業局に提出した「バイオマス燃料の調達及び使用計画書」の中の、『地域社会に対する対応』という項目があるページ(*赤い囲みはハンター編集部)。ハンターの情報公開請求に対して開示された同文書では、他の項目も含め、記載内容がすべて黒塗り非開示となっていた。

 これでは、近隣住民に対する説明が実施されたのかどうかが分からない。前述したように、環境への負荷が想定される施設建設において、住民説明会は不可欠となるべきステップ。九州経済産業局が、この部分を隠したことで、事業許可への疑念が生じる状況となったことは言うまでもない。

  事業の正当性が証明できる証拠を、わざわざ黒塗りにして疑いを招くという不可解な対応。怪しいと考え、田川市でバイオマス発電所建設計画に反対する地元住民に取材するなか、ハンターの記者は、関係者から渡された資料の中にとんでもないものを見つける。それが下のコピーだ。

 ハンターに開示された文書では黒塗りにされた説明会の記述が、隠すことなく開示されていた。こうしていったん開示された文書が、のちに非開示になるなど聞いたことがない。当然、九州経済産業局を追及した。

 説明を求めた記者に、当初「後にも先にも開示箇所は変わらない、国会議員が求めても同じものしか出さない」と断言していた九州経済産業局エネルギー対策課の金森優介課長補佐は、地元住民が2021年に入手していた上掲の文書を突き付けられしどろもどろに――(既報)。経産省側はその後、「開示請求があれば、その都度開示する内容を変える」と情報公開制度の根幹を揺らすような主張を持ち出し、組織を挙げての隠蔽に走っている。

 ■「近隣住民説明会」「理解を得られた」は真っ赤なウソ

 一昨年、地元住民に開示された問題の文書を、改めて確認しておきたい。「(6)地域社会に対する対応」には、次ように記されている。

説明年月日:令和元年11月7日(第一回)
説明方法:近隣住民説明会
地域住民の反応:煙や火災、騒音への懸念があったが、丁寧に説明を行い理解を得られた
対応策等:煙に関しては、蒸気以外の煙は排出しない仕様であることを説明。騒音には防音対策、粉塵には飛散防止の囲いや建屋等の建設等の建設、大型トラックの走行に関しては通学時間を避けるなどの対策を行う。
また、火災防止のためにチップヤードやボイラーの管理を厳格に行い、警報器や消化器の設置を行う。

 令和元年11月7日に「近隣住民説明会」が開かれ、「丁寧に説明を行い理解を得られた」とある。もっともらしく「対応策」とやらも記されているが、会合の実態はまるで違っており、記述内容は事実上の“でっち上げ”だったことが分かっている。この日の集まりは、関係者の“顔合わせ”を兼ねた「宴会」。住民説明会などではない。

 下は、宴会が開かれた田川市内の老舗日本料理店。南国殖産側の呼びかけに応じて地域から参加したのは、バイオマス発電所建設予定地周辺に位置する三つの自治会の区長3人と、計画推進の立場を鮮明にしていた2名の水利組合関係だけ。他の一般住民は誰ひとりいなかった。

 会合に参加したある区長によれば、案内された部屋に入ると、すでに宴会用の料理が並び酒の用意もあったという。南国殖産側から「今日は顔合わせ」という趣旨の発言があり、すぐに乾杯。事業内容を質そうとしても、南国殖産の計画に賛意を示していた地元関係者が「まあ、まあ」と遮ってビールを継ぎ足すという状況だった。「地元説明会なんて真っ赤なウソ。宴会を説明会と偽って許可の申請をしており、詐欺的な手法に怒りを覚える」――うまく利用された形の区長は、そう憤る。

 ■「住民説明会」非開示要請は南国殖産

 ハンターが田川のバイオマス発電事業の認定過程について九州経済産業局に情報公開請求をかけたのは昨年10月。同局エネルギー対策課は、「(認定)申請者の意見」を確認するとして開示決定期限を1カ月延長。実際に開示・非開示の決定がなされたのは12月15日だった。

 九州経済産業局がいう「申請者」は、南国殖産とその現地法人である田川バイオマスエネルギー。住民説明会の記述に関するハンターへの黒塗り非開示は、南国殖産側の意向に従ったものだった。経済産業省は、説明責任を放棄して、事業者の言いなりになったということだ。

 この点について南国殖産の担当者に確認を求めたところ、住民説明会の記述などについて「非開示」の意思表示をしたことを認めた上で、詳しい理由などについては「これ以上お話することはありません」として事実上の取材拒否。あやしい事業認定であることを、自ら白状した格好となっている。

 ■「政・官・業」癒着の構図

 経済産業省資源エネルギー庁が作成した「事業計画策定ガイドライン(バイオマス発電)」には、遵守事項として11項目が挙げられており、そのなかに「再生可能エネルギー発電事業に関する情報について、経済産業大臣に対して正確に伝えること」という一項がある。

 さらに、遵守事項に違反した場合については《本ガイドラインで遵守を求めている事項に違反した場合には、認定基準に適合しないとみなされ、再エネ特措法12条(指導・助言)、第13条(改善命令)、第15条(認定の取消し)に規定する装置が講じられることがある》と明記されている。

 南国殖産側が認可申請にあたって経産省に提出した「バイオマス燃料の調達及び使用計画書」の中の住民説明会に関する記述は、「宴会」を「説明会」にすり替えた虚偽の内容。遵守事項違反で、認定を取り消すべきケースだと言わざるを得ない。田川市民を愚弄する南国殖産側の姿勢だが、なぜか経産省は申請内容の瑕疵を認めようとせず、事案の隠蔽を貫く構えだ。

 バイオマス発電を推進すべきと議会で主張した政治家。その政治家と発電事業者の代理人となった弁護士の親密な関係。事業認定を行う経産省の、「住民説明会」を巡る隠蔽工作――。政・官・業による癒着の構図が、そこにある。「闇」は深い。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・バイオマス発電の推進を訴えた佐々木允県議会議員の議会質問が起点となる形で計画がスタートした「田川バイオマス発電所」の事業認定の問題】  2023年04月04日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER2023.03.31】:福岡県田川市・バイオマス発電所建設計画の闇(中)|推進派県議と事業者側代理人の親密な関係

2023-05-13 06:02:30 | 【脱原発・脱炭素・再生エネ・天然ガス・地熱・メタンハイグレード・EV・水素社会】

【HUNTER2023.03.31】:福岡県田川市・バイオマス発電所建設計画の闇(中)|推進派県議と事業者側代理人の親密な関係

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2023.03.31】:福岡県田川市・バイオマス発電所建設計画の闇(中)|推進派県議と事業者側代理人の親密な関係 

 福岡県議会の佐々木允議員(田川市選出)が、議会でバイオマス発電の推進を訴えたのが2018年6月15日。小川洋知事(当時)から前向きの答弁を引き出したことが大きく影響したのか、その半年後、佐々木氏の地元・田川市でバイオマス発所所の建設計画が唐突に持ち上がる。地元住民にとっては寝耳に水の話だったが、何の説明もないまま、市を巻き込んかたちで実現に向けた動きが顕在化する。

 地元の実力者や行政を後ろ盾にしたプロジェクトの大半がそうであるように、田川市のバイオマス発電所建設計画も、反対意見を黙殺して急展開していく。しかし、その裏には、計画を推し進めた佐々木氏と、事業者である南国殖産(鹿児島県)側の代理人弁護士との特別な関係があったことが、ハンターの取材で明らかとなった。

 ■県議会質問後、急展開したバイオマス発電所建設計画

 まず、佐々木氏の県議会質問で始まったバイオマス発電所建設計画を巡る動きを、再確認しておきたい。

  南国殖産が田川市に「木質バイオマス発電所設置事業計画」を提案したのが2019年1月25日。信じられないことに、その5日後の1月30日には二場公人田川市長が「農山漁村再生エネルギー法に基づく協議会」の設置に同意して事実上のゴーサインを出し、2月5日には一連の経緯を議会報告した上で、その日のうちに南国殖産との間で事業推進を前提とする協定書を締結していた。事前にシナリオが出来上がっていたとしか思えないスピードで、事が運んだということだ。

 こうした流れを受けた南国殖産は同年4月、現地法人である「田川バイオマスエネルギー株式会社」を設立。2020年3月31日には、南国殖産側が九州経済産業局に「田川バイオマス発電所」の申請書を提出する。手続きだけが順調に進んだ形だが、この間、発電所が建設される地域の周辺住民たちには、何の説明もなかったという。

 地元同意がないまま計画を進めたことで住民の反発を受けた南国殖産側は、工事着工後の2021年になってようやく正式な事業説明会を開催する。説明会は2021年11月と12月の2回。工事着工後の事業説明会など何の意味もなく、毎回、怒号が飛び交う大荒れの会合となったのは言うまでもない。

 1回目の混乱に危機感を抱いたのか、12月7日の説明会には、南国殖産が設立した田川バイオマスエネルギーの代理人として一人の弁護士(本稿では「A弁護士」とする)が登場する。

 問題は、このA弁護士と、田川市でバイオマス発電所の建設を推進してきた佐々木県議の関係だ。実は、二人が「友人」であることを佐々木県議自身がSNSに投稿していた。下が、現在は削除されている投稿画面(読者提供)である。(*赤い書き込みはハンター編集部)

 佐々木氏とA弁護士は、ただの友人というわけではない。A弁護士は、佐々木氏の兄が代表の福祉関連企業で、2021年春まで佐々木氏の妻や母と並んで役員を務めていたのだ。同社は田川市などでデイサービスや有料老人ホームを運営しており、ホームページでは現在もA弁護士を社外アドバイザーとして紹介している。

 佐々木氏とA弁護士は、かなり親密な関係にあったということ。「請託」や「便宜供与」を疑われてもおかしくない構図だろう。田川バイオマスで重要な役割を果たしてきた登場人物の関係が、事業に疑念を生じさせている要因の一つとなっている。

 ■経産省が隠蔽するバイオマス「説明会」の記述

 そして、こうした疑念を増幅させているのが、南国殖産と田川バイオマスエネルギーが九州経済産業局に提出した「再生可能エネルギー発電事業計画認定申請書」に添付された『バイオマス燃料の調達及び使用計画書」の存在だ(*下の画像参照)。

 田川市のバイオマス発電事業を所管する九州経済産業局は、ハンターの情報公開請求に対し、この使用計画書の中の「地域社会に対する対応」という項目を全面黒塗りにした。しかし、一昨年秋頃に田川市民から出された開示請求に対しては、どこも隠すことなく公開していたことが明らかになっている。“隠蔽”されたのは、この事業申請に不可欠であるはずの「近隣住民説明会」についての記述だった。(以下、次稿)

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・福岡県議会の佐々木允議員(田川市選出)・2018年6月15日、議会でバイオマス発電の推進を訴え、小川洋知事(当時)から前向きの答弁を引き出したこと問題】  2023年03月31日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【HUNTER2023.03.23】:福岡県田川市・バイオマス発電所建設計画の闇(上)|発端となった県議会質問

2023-05-13 06:02:20 | 【脱原発・脱炭素・再生エネ・天然ガス・地熱・メタンハイグレード・EV・水素社会】

【HUNTER2023.03.23】:福岡県田川市・バイオマス発電所建設計画の闇(上)|発端となった県議会質問

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2023.03.23】:福岡県田川市・バイオマス発電所建設計画の闇(上)|発端となった県議会質問 

 2018年6月15日の福岡県議会定例会。ある県会議員がバイオマス発電の促進を訴える質問を行い、小川洋知事(当時)から前向きの答弁を引き出していた。

 その県議会質問が起点になる形で、住民から激しい反対運動が起きることになるバイオマス発電の建設計画が急速に進むことになる。本サイトで今月1日に報じた経済産業省九州経済産業局による公文書の隠蔽(既報)は、そのバイオマス発電所建設計画の『瑕疵』が露見することを恐れた関係者の意向によるものだったとみられている。

 ■県議会質問後、急浮上したバイオマス発電所建設計画

 問題の議会質問を行ったのは、昨年、選挙区である田川市内に大量の違法ポスター(*下の写真)を大掲示していたことでハンターの追及を受けた佐々木允県議会議員。バイオマス発電の推進を訴えた同氏の質問内容を、県議会議事録から抜粋した。

まず、再生可能エネルギーの普及促進について知事にお伺いをいたします。我が国では、東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故を契機として、国民生活や経済活動の基盤であるエネルギー、とりわけ再生可能エネルギーの普及促進が進められています。2012年7月からは再生可能エネルギー固定価格買い取り制度が導入をされ、太陽光、風力、中小水力、地熱などを用いた発電施設の導入が進んでいます。また、先日発表された国のエネルギー基本計画改定案では、再生可能エネルギーを主力電力化することを目指しています。

本県では、安定的なエネルギー、電力需給を確保し、産業の活性化や雇用の確保を図るため、2013年2月に福岡県地域エネルギー政策研究会を設置し、県に対して、新たなエネルギー社会を先導して実現するための課題や取り組みをまとめた報告書を2015年3月に提出し、この提言を県は指針に置きかえています。

そこで一点目に、再生可能エネルギーを主力電力化していくという国の新しい方針案について、知事としてどのように認識しているのかお聞きをいたします。

二点目に、県指針から三年経過しましたが、これまでの県指針の進捗状況についてお示しください。
この指針の推進機関として小川知事は、自身を本部長とする福岡県エネルギー政策推進本部を設置しています。しかし、その推進本部については、これまで4回会議を行ったのみで、2017年5月を最後に1年以上開催されず、最近では6月4日に開催されたということです。また、県民生活にも直接かかわりのある分野であることから、広く情報公開をすべき分野にもかかわらず、第一回の本部会議の様子はホームページに記載があるものの、その後はその記載すら行われず、エネルギー関連施策がどのように進んでいくのか、県民には十分な情報発信ができていない状況です。

そこで三点目に、この推進本部の位置づけを改めてお聞きするとともに、果たして3年間4回の会議で、推進本部としてどのような成果があったのか具体的にお示しください。また今後、推進本部の活性化と情報発信について、知事としてどのように取り組まれていくのかお聞きをしたいと思います。

県指針では、再生可能エネルギーの今後の現状について、太陽光発電に偏重した現状を改め、多様な再生可能エネルギーの導入を進めることが必要であると述べています。一方、2016年度末における本県の再生可能エネルギーの設備容量のうち、太陽光発電の割合は約92%となっており、依然、太陽光発電に偏りを見せているのが現状であります。

そこで四点目に、本県における太陽光以外の再生可能エネルギーの普及の必要性について知事はどのように認識しているのかお聞きするとともに、県指針に基づき、太陽光発電以外の再生可能エネルギー推進のため、県として今後どのような取り組みを行っていくのかお答えをください。

本年3月に行われた地域エネルギー政策研究会の検討課題として、地域資源を活用したバイオマス利活用の拡大を実現するための地方の取り組みとして、特に地域の未利用間伐材を利用したバイオマス利活用事業の可能性について討議がされている状況です。現在、本県の未利用間伐材を使ったバイオマス発電所はありませんが、未利用材は1年間に約39万二2千トン発生しており、国のエネルギー基本計画改定案にも、地域に密着したエネルギーとして長期安定的な電源の一翼を担う存在として期待がされています。

そこで五点目に、現在の本県の未利用材の利用量の状況についてお聞きします。その上で、未利用間伐材などバイオマス利活用を県内で行っていく必要性について、知事としてどのように認識しているのかお聞きします。

2009年に策定されたバイオマス活用推進基本法に基づき、2010年、国としてバイオマス活用推進基本計画が策定されました。その中で、都道府県にもバイオマス活用推進計画の策定を求めており、当初2年後の2020年度までの策定を求めていました。しかし、2020年度までに全都道府県での策定が困難であることから、2025年までに全都道府県での策定達成に改められたところであります。現在、18の道府県で策定されているものの、本県は未策定となっていますが、バイオマスを取り巻く社会情勢の変化に的確に対応するためにも、また全都道府県での計画策定を国も求めていることからも、計画策定は急務であると考えます。

六点目に、計画の策定の必要性について知事の認識をお示しください。その上で、県バイオマス活用推進計画策定に向けた取り組みについてもお聞きします。

本県は、私の地元田川市を初め県内各地に産炭地を抱え、日本の近代化と経済発展を石炭というエネルギーで支えた地域であります。ぜひ、再生可能エネルギーという新しいエネルギーにより光を当て、エネルギー立県として大きく飛躍することを期待し、この項を終わります。

 質問に対する小川洋知事(当時)の答弁は、「木質バイオマスを県内で利用することは、間伐材の有効活用はもとよりのこと、雇用の創出などによる地域の活性化にもつながってまいりますことから、引き続きその利用の拡大に向け、しっかり取り組みを進めてまいります」というもの。バイオマス発電の促進に向けて、佐々木氏が県の前向きな姿勢を引き出した格好となっていた。

バイオマス活用推進計画の策定について知事は、国が示しているバイオマスの種類について、各計画に基づき、その利用を進めていると述べられています。しかし、現在、本県で数値目標を定めているのは、このうちわずか3項目だけであります。一方、国の計画には9項目挙げられており、また国が都道府県向けに作成したマニュアルには15項目の数値目標が定められています。また、ことし3月に行われた福岡県地域エネルギー政策研究会で農林水産省からは、全都道府県による計画策定を目標としていることが述べられたばかりであります。しかも、この計画は本来あと2年後の2020年度までに策定が求められ、農水省は6年前の2012年9月には詳細な中身を示した策定のためのマニュアルまで準備をしている状況です。そして、まさに先ほど知事は、地域の特性を生かした多様なエネルギーのさらなる普及、拡大に取り組んでまいるとも述べています。

バイオマスに関しては、その原料、電力、熱、いずれも数値化しやすい分野であります。未利用材の県内発生量に関して、県内での利用率、利用量は、率にしてわずか6.6%であることも今回明らかとなりました。数値目標があるかないかで、その施策の進捗に大きな差があることは知事も十分認識されていることと思います。改めて、バイオマス推進計画について、その策定に向けた検討を早急に行っていただくよう強く要望して、一般質問を終わります。

 この質疑の翌年(平成31年=2019年)、田川市においてバイオマス発電所の建設計画が突然浮上。あっという間に発電所建設が決まり、地元住民の意向を無視して計画が進むことになる。詳細は今後の配信記事で明らかにしていくが、いかに急な動きだったかを理解いただくため、一連の流れをまとめた。

  政治家の熱心な再生エネ推進論が、田川市に大手企業の進出を実現させた格好だ。しかし、佐々木氏の議会質問が、田川市においてバイオマス発電事業を進めようとしていた南国殖産という企業にとってプラスに作用したのは疑う余地がない。事実、佐々木県議は住民を置き去りにしたこの計画が進む過程で、南国殖産側に立った動きをすることになる。(以下、次稿)

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・2018年6月15日の福岡県議会定例会。ある県会議員がバイオマス発電の促進を訴える質問を行い、小川洋知事(当時)から前向きの答弁】  2023年03月23日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER2023.03.01】:経済産業省がバイオマス発電絡みで公文書隠蔽|開示済みの箇所、一転黒塗り

2023-05-13 06:02:10 | 【脱原発・脱炭素・再生エネ・天然ガス・地熱・メタンハイグレード・EV・水素社会】

【HUNTER2023.03.01】:経済産業省がバイオマス発電絡みで公文書隠蔽|開示済みの箇所、一転黒塗り

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2023.03.01】:経済産業省がバイオマス発電絡みで公文書隠蔽|開示済みの箇所、一転黒塗り

 ハンターの情報公開請求を受けて開示した文書の対面説明を拒否した経済産業省九州経済産業局が、記者の抗議後に態度を一変させ対面での説明に応じた。

 ハンターが対面でのやり取りにこだわったのには理由がある。実は、ある事業に関する情報開示で、九州経済産業局が恣意的運用に走り、同じ文書の黒塗り個所を、相手によって変えていることが分かっていたからだ。つまりは「隠蔽」。国の情報公開法の趣旨を無視した、極めてタチの悪い所業である。以下、悪行露見の顛末。

 ■エネルギー対策課・課長補佐との一問一答

――ここに事業者が提出した「バイオマス燃料の調達及び使用計画書」がある。鉛筆書きか何かで「林野庁差しかえ後」と書いてあるが?(*下の画像参照
課長補佐:ああ、ありますね。

――差しかえ前のものがあるのか?
課長補佐:差しかえ前のものは、もう保管せず廃棄しております。

――廃棄した?
課長補佐:はい。申請のときに、あのー、事業者さんと、あのー提出された文書のやり取りをいたしますけども。はい。あのー、なんか間違いなどが、えー見つかった場合は、えー、事業者さんとお話して、えー返送、もしくは、はい、こちらでの、シュレッダー廃棄ですね。という形で進めております。

――廃棄ね。
課長補佐:はい。

――なるほど。ところで、何か所も黒塗りがある。(*下の画像参照
課長補佐:はい。

――非開示理由がたくさんあった。
課長補佐:あー、はい。

――この事業のガイドラインを見たが、申請書と使用計画書でワンセットということで間違いないか?
課長補佐:そうですね。

――使用計画書がなかったら、許可も出ないと?
課長補佐:そうなりすね。

――使用計画書は全開示できないのか?
課長補佐:そうですね。あのー、我々も、そうですね。

――国会議員が(資料請求を)やってもだめか?
課長補佐:あの、事業者さんのあくまでも、そのー、不利益につながる情報ということで。あの、情報公開法で、あのー、定められている。

――国会議員さんが、国会で請求してもこの黒塗りで出てくると?
課長補佐:同じになります。

――誰に対しても同じ?
課長補佐:はい。そうでないと法律上……。

――これまでも、これからもそういうことか?
課長補佐:はい。なので、あの……。

――今まで請求はなかったのか?あったとして、その時も黒塗りは黒塗りだったと?
課長補佐:黒塗りは黒塗りです。

――変更なしということでいいか?
課長補佐:そうですね。

――たしかに、あっちには開示、こっちには黒塗りというわけにはいかない。
課長補佐:そういうことがあってはいけません。

――それで、この使用計画書の中で、「地域社会に対す対応」という項目がある。ここも黒塗りになっているが?(*下の画像参照。赤い囲みはハンター編集部

課長補佐:はい。

――この部分を開示するつもりはないか?
課長補佐:そうですね、ここはもう調整状況ということで。

――国会で請求されても黒塗りか?
課長補佐:同じになります。

――住民説明会は許認可の必須条件か?
課長補佐:……。

――どうなのか?
課長補佐:ええと……、まあガイドライン上定めているものですね。あのー、努力義務という形でなっております。

――努力義務?なくてもいい?
課長補佐:なくてもいいというわけではなく……。もう様式で、あの、もうこれ我々、あのー、ホームページで、こういう様式で、ええと、これは計画書……。

――この使用計画書の中に虚偽が見つかった場合はどうなるのか?
課長補佐:虚偽?

――つまり、嘘。
課長補佐:嘘というのは?

――ガイドラインには、内容に不備があった場合は許可の取り消しに繋がりかねない、と書いてある?間違いないか。
課長補佐:あのー、パンフレットにもですね、こちらにお示ししている……。そうですね。

――だから、正確に提供しなさいと。遵守事項としてはあると。
課長補佐:そうですね。はい。

――だから、正確にしていなかった、つまり虚偽だった場合どうなるのか?そこで、改めて聞くが黒塗りは黒塗りのままか?
課長補佐:はい。

――後にも先にも開示しないということでいいか?
課長補佐:おっしゃる通りで。

――では、ここからが本番。これは何か?(*下の画像参照)
課長補佐:それは……。

――これは何か?
課長補佐:……。

――これは、そちらがかつて開示した文書だそうだが?
課長補佐:……はい、えっと、いつ、出したもの……?

――去年の秋。
課長補佐:去年は……。

――いつのことであろうが、後にも先にも開示箇所は変わらない、国会議員が求めても同じものしか出さないと言ったが、これは何か?
課長補佐:……。

――住民説明会。元年11月。これを隠してなんの意味があるのか?
課長補佐:……。

――なんでうちには黒塗りなのかと聞いている。あなたがさっき言ったこと全然違う。
課長補佐:……ええと、これは……。

――後にも先にも、黒塗りだと。今までも黒塗りと。これから先も黒塗りだと言った。(隣に座る別の課長補佐に)あなた、聞いていたか?
同席者:聞いてました。

――どう責任とるのか?虚偽の説明について。
課長補佐:あの……、ええと、開示、開示部分については、開示不開示の判断については、その都度その都度……。

――その都度じゃないだろう。さっき聞いたばっかりじゃないか。
課長補佐:判断しておりまして。どこを隠して、どこを開示するかというのは。

――モリカケ問題の二の舞だ。同じことをやってる。南スーダンの日報の件、覚えているか?ないと言ったものが出た。同じだ。いったん開示したものが、なんで黒塗りになるのか。こういうのを隠蔽という。
課長補佐:えっと、その都度その都度。

――その都度その都度変わったら、情報公開制度は成り立たない。駄目だ。
課長補佐:えっと…これですね、あの……。

――言い訳なら文書で。そちらの言い分は記事に載せる。うちは隠蔽と書く。こんなことが許されていいわけがない。その都度変わる?そんな馬鹿な情報公開どこにあるのか。だから最初に聞いた。「後にも先にも変わらないか」と。あなたは、「変わらない」と何度も言った。
課長補佐:はい。基本はそうです。

――基本ではない。大原則だ。
課長補佐:その都度その都度、あのー。

――なんでうちには黒塗りなのか?
課長補佐:事業者さんとのやり取りの中で、ここは、えー、事業者さんの不利益に繋がるという理由書。

――では、なんでその前は開示したのか?
課長補佐:そのときは、すみません。そのときのちょっと理由書を確認いたします。

――いやいや、それは駄目。
課長補佐:あのー、開示できるという理由になってんだと思います。

――さっき言ったことと全く違うことを言っている。国の情報公開の中身がその都度コロコロ変わるのか?あり得ない。
課長補佐:……。

――モリカケ、南スーダンと一緒のことじゃないか。
課長補佐:……。

――あなたは先日、文書を紙でお出ししているだけ、説明責任はないとハッキリおっしゃったが?
課長補佐:説明責任はないとまでは申しておりません。

――おっしゃってます!記録を読みますよ。“出された文書の説明責任はないんですか?”――「えーございません。そこまではいたしておりません」。これ、あなただ。
課長補佐:……。それは本省のほうにも私も確認しております。

――「内容によります」という話か?
課長補佐:はい。内容によります。答えられる部分と、答えられない部分が……。情報公開法では、あのー、文書の開示の際には、内容の説明までは定められておりません。

――そう言っていればいい。経済産業省は説明責任を放棄し、隠蔽したということになる。あなた、業者からカネでも貰っているのではないか?

(*このやり取りの際、ハンターの記者は開示済み文書の時期を「昨年」としていたが、再確認したところ「1昨年」が正解。ただし本稿では、そのまま「昨年」とした)

 いかなる場合でも「黒塗り=非開示部分」を変えることはないと断言していた課長補佐の言葉は真っ赤な嘘だった。国会で請求されても黒塗りは黒塗りと言っておきながら、かつて自分たちが全面的に開示した同じ文書を提示されたとたん、しどろもどろに――。ついには、開示請求があれば、その都度開示内容を変えると言い出した。経済産業省の情報公開には、信頼性が担保されていない。

 この数日後、問題の課長補佐は「本省も同じ見解である」と連絡してきた。毎度のことながら、役所を挙げての隠蔽が始まったと考えるしかない。

 こうした経産省側の姿勢について、国や地方自治体の情報公開制度に詳しい市民オンブズマン福岡の児嶋研二代表幹事は、次のように話している。
「対面での説明を拒否するとか、請求ごとに開示内容を変えたりするなどという話は、聞いたことがない。国の情報公開法は、国民への説明責任を果たすという基本理念に基づき制定されたものだ。請求者によって開示される内容が違うということになれば、法や制度の根本が揺らぐ。これでは説明責任を果たしていると言えない。経済産業省が、普段から対面での説明を拒否したり、請求ごとに開示内容を変えているというのであれば、基本理念を無視した暴走だと言わざるを得ない。何かを隠していると思われてもおかしくない」

 経済産業省が隠蔽に走った文書は、福岡県内の自治体で整備が進められているバイオマス発電所の申請文書に添付されたものだ。その自治体とは、疑惑まみれの業者選定などが問題となっている田川市。二場公文市長と特定の企業・市議らとの癒着が疑われる状況について、これまで度々報じてきた“腐った自治体”である。この事業について取材を進める中、案の定、ある政治家が重要な役割を果たしていたことが明らかとなる。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・行政 【行政ニュース・・経済産業省九州経済産業局が、開示された文書の対面説明を拒否】  2023年03月01日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER2023.05.10】:【速報】福岡県大任町議会議員選挙、「収支報告」4名が未提出|提出分にも違法が疑われる支出

2023-05-13 06:01:40 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【HUNTER2023.05.10】:【速報】福岡県大任町議会議員選挙、「収支報告」4名が未提出|提出分にも違法が疑われる支出

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2023.05.10】:【速報】福岡県大任町議会議員選挙、「収支報告」4名が未提出|提出分にも違法が疑われる支出 

 「入札契約適正化法」が公表を義務付けている公共工事の入札結果を非公開にするなど、永原譲二町長によるデタラメな町政運営が続いてきた福岡県大任町の町議会議員選挙(定数11)に立候補した12名のうち4名が、公職選挙法が選挙期日から15日以内と定めている「選挙運動費用収支報告書」の提出を怠っていることが判明。期限内に提出された候補者の報告書の中にも、違法性が強く疑われる支出の記載があることが分かった。公職選挙法に抵触する可能性がある。

 ■ベテラン議員がルール無視、一人は新任の副議長

 大任町議選の投開票日は先月23日。報告書提出は今月8日が期限だったが、ハンターの記者が町選管で確認したところ、以下の4名の候補者の報告書が未提出となっている。

坂本年行(当選7回)
田中良幸(当選11回)
奥永明正(当選3回)
毛利英文(今回落選・当選4回)

 報告書未提出の4名は、いずれも期数を重ねた中堅、ベテラン。坂本年行氏は、選挙後の議会で副議長という重職に就任した人物だ。収支報告は政治家にとってイロハのイ、「期限を知らなかった」、「作業が遅れた」などという言い訳は通用しない。

 公職選挙法は、選挙の実施日(投開票日)から15日以内に、当該選挙におけるすべての収入と支出を記載した「選挙運動費用収支報告書」及び領収書などの支出を証明する文書を、当該選挙を所管する選挙管理委員会に提出するよう求めており(189条)、これを怠った場合には3年以下の禁錮又は50万円以下の罰金となる(246条)。

 ■あり得ない人件費支出も

 報告書未提出は論外だが、期限内に提出された町議選立候補者8名の収支報告書の中にも、違法性が疑われるものがある。

 記載ミスなどの間違いは全体で数十か所。特に違法性が高いと判断せざるを得なかったのは、末廣聖法議員(当選2回)の支出に関するもの。同氏の報告書には、4月22日に人件費として一度に「165,000円」が支出されたことになっているが、支出先は田川市のコンパニオン派遣業者となっている。

 運動員報酬の上限は、車上運動員(ウグイス)が1日15,000円、事務員が10,000円。大任町議選の日程は、4月18日告示で23日投開票となり選挙期間は5日だ。車上運動員がめいっぱい稼働しても7万5,000円にしかならず、1件で165,000円の人件費などあり得ない。

 考えられるのは業者が派遣した人員への報酬を、一括して支払ったというケースだが、その行為自体が違法。報酬支払いが許されるのは、事前に選管に提出した「報酬を支給する者の届出書」に記載した車上運動員か事務員の「個人」に限られるからだ。報酬支給者の事前届出がきちんとなされていたのどうか、選管の事務手続きも検証されるべきだろう。

 ■無法地帯

 大任町では、永原譲二町長の暴力的手法による独裁町政が続いてきた。町発注工事の関連文書を隠蔽するなど、永原氏のやりたい放題を容認してきたのが、6年以上も一般質問が行われなかった大任町議会だ。その無責任議会のベテラン議員たちは、そろって選挙の収支報告書も満足に作成できないというのだから呆れるしかない。いわば無法地帯。町長にものを言う議員が二人に増えたという新聞報道が、救いではある。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・選挙・福岡県大任町の町議会議員選挙】  2023年05月10日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER2023.05.02】:田川市、大任町の選挙結果が示す暴力支配の限界|揺らぐ永原体制

2023-05-13 06:01:30 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【HUNTER2023.05.02】:田川市、大任町の選挙結果が示す暴力支配の限界|揺らぐ永原体制

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2023.05.02】:田川市、大任町の選挙結果が示す暴力支配の限界|揺らぐ永原体制 

 先月23日、福岡県田川市の市長選挙で3選を目指した現職の二場公人氏が敗れ、「開かれた市政」への転換を訴えた村上卓哉元市議が初当選を果たした。

 同じ日、お隣の大任町議会議員選挙では、永原譲二町長の暴力支配にたった一人で立ち向かってきた次谷隆澄副議長がトップ当選。同様の志を持つ新人も5位で当選しており、永原町政の追認機関と化していた町議会に風穴を開けた格好となった。暴力団の影を背景に田川市・郡で続いてきた永原氏の支配体制が大きく揺らいでいる。

 ■二場氏の“兄”の異常な町政運営

 度々報じてきた通り、永原氏は筑豊を代表する暴力団「太州会」の企業舎弟から町長にまで上り詰めた人物。落選した二場氏は、永原氏の義理の弟にあたる。

 暴力とカネの力で田川市・郡を支配してきた永原氏にとって、田川市長選挙と大任町議選の結果は受け入れがたいもの。市長選投開票日の夜、二場氏の選挙事務所にいて弟の落選を知った永原氏は、怒声と共に周辺の椅子やらテーブルに当たり散らしたという。「負けたのはあんたのせいだ」――ある二場陣営の関係者がそうつぶやいた。

 たしかに、二場氏の落選は、永原氏の異常な町政運営と周辺自治体を巻き込んだ「言論封殺」への反発が大きな要因だ。

 異常な町政運営の象徴となったのが、「違法な入札結果非公表」。永原氏は、町発注工事の入札結果を非公表にし、国から「違法」と指摘されても方針を変えようとしなかった。「ヤクザが1,000円のそうめんを1万円で業者に売りつけた」「町民を守るために入札結果非公表を続ける」などという何の正当性もない主張を繰り返してきたが、彼が本当に守りたかったのは自分の身。ダミー業者を使った公共事業費のピンハネがバレるのを恐れたからに他ならない。

 ハンターが大任町に対し入札結果の開示請求を行ったのは令和3年6月14日。町が同年6月25日付けで非開示にすることを決定したため、7月1日付けで「非開示処分は公共工事の入札情報を公表するよう義務付けた『公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律』の規定に反する」として取り消しを求める審査請求書を提出していた。

 やる気がないのは確かなようで、町が『弁明書』を送ってきたのは10か月も経った令和4年4月初旬。ハンターは同年4月26日付で「反論書」を送ったが、それから1年以上経過した現在も、審査結果は出ていない。

 役場側に何度も催促してきたが、「来月審査会が開かれます」、「諮問に対する答申の方向性が決まったので、まとめに入った」、「答申の方向性が決まったので文書化を行っている」などと明らかな引き延ばしで時間稼ぎするばかりだ。

 永原氏も担当課も、「令和3年6月までは入札結果を役場の玄関口にある掲示板に貼り出していた」と説明してきたが、そもそも公表済みの入札結果は情報公開の対象文書ではないはず。開示する・しない、で争う必要などあるまい。要は、「見せたくない。出したくない」ということなのだ。

 ■兄弟の隠蔽体質が招いた「脅迫」

 入札結果のことばかりに注目が集まってきたが、永原町政が隠蔽してきたのは、下請けを含む公共事業の施工業者がわかる施工体系図、工事費の妥当性を確認するために必要な積算書など他の自治体なら当たり前のように開示される文書である。信じられないことに大任町の工事現場には、住民の確認が容易になるよう建築基準法が定めた施工体系図の掲示さえなかった。永原氏の息がかかった下請け業者を隠すためだ。

 業者隠し、事業の実態隠しは、田川市でも顕著になっていた。田川市長選挙で争点の一つとなったのが「情報公開」。不正があったとみられるゴミ収集業者選定に関する公文書の公開を頑なに拒む市側の姿勢は、誰の目から見ても異様だったようで、これが選挙の行方を左右した。

 「田川郡東部環境衛生施設組合」(組合長:永原譲二大任町長。田川市、大任町、川崎町、添田町、赤村、糸田町、福智町、香春町で構成)が、情報公開に関する勉強会を開いた田川市議らに言いがかりをつけ、謝罪するよう「脅迫」した問題も二場氏と永原氏にはマイナスに作用した。ゴミ処理施設整備工事の実態を探られるかもしれないという焦りが、前代未聞の「脅迫」につながったとみるべきだろう。

 一連の隠蔽工作を仕組んだのは誰か――おそらく、田川市や大任町の住民の多くが黒幕の存在に気付いている。

 ■永原シナリオに沿った福岡県警の不愉快な動き

 取材を続けてきたハンターの記者が永原氏と言葉を交わしたのは、2021年の8月。場所は町長室。この時永原氏は、ハンターの記事のネタ元についてしつこく聞いてきた。回答を拒否すると、今度は大任町の町会議員と特定企業の実名を挙げて、「証拠がある」と胸を張った。

 記者はいずれの存在も承知していなかったのだが、永原氏は町議とその企業に異常なこだわりを持っており、敵意をむき出しに批判したことを覚えている。

 気に入らないのは、その後の展開である。永原氏は町議と、指定暴力団「太州会」のある幹部とが深い関係にあると思い込んでいるようで、報道機関の記者たちを町長室に呼び込んでは「あの二人は関係がある」「町議には入れ墨がある」などと吹聴していた。

 2021年3月の大任町長選の折には、太州会幹部と町議が組んでカネを要求してきたとするでっち上げを警察に主張。二人を逮捕するよう求めたという。

 驚くべきは福岡県警の姿勢で、国会議員かその使い走りの警察庁幹部の力だか知らないが、田川署内に二人の立件を促す指示が出ていたというから呆れるしかない。県警の暴走は続いており、永原氏が敵視してきた企業や町議に、何の関係もない暴力団組長の事件を結び付け捜査対象にするなど、人権を無視した捜査が行われている。警察を使って気に入らない相手を始末する手法は、断じて容認できない。この点については、いずれ詳細を明らかにする予定だ。

 ■暴力支配の終焉

 今年3月、永原町長が敵視してきた太州会の幹部が、建設会社代表を脅したとして逮捕、起訴された。脅されたと訴えたのは永原氏の最側近で、公共工事のうまみを享受してきた人物。脅しがあったことを証言したのは、これまた複数の永原側近だった。ヤクザの行為というだけで可罰性が高くなる傾向にあるのは致し方ないにせよ、あまりに出来過ぎた話だ。

 ヤクザの企業舎弟だったことを生かして相手を畏怖させる「支配力」、周辺自治体を共犯に仕立てた「脅迫」、警察をそそのかしての「圧力」――まさに「暴力支配」だろう。しかし、ヤクザも警察もバカではない。利用されていることが分かれば、永原氏から離れることになる。事実、「太州会は永原を見限った」という情報さえある。ヤクザも警察もあてにできないと知った時、永原氏が頼るのは地元選出の国会議員だけとなる。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・地方自治・統一地方選・福岡県田川市の市長選挙】  2023年05月02日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:LGBT法案 拙速な議論は理解を遠ざける

2023-05-13 05:00:50 | 【LGBTQ+=ジェンダー・アイデンティティ、レズ、ゲイ、バイセクシャル、

【社説①】:LGBT法案 拙速な議論は理解を遠ざける

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:LGBT法案 拙速な議論は理解を遠ざける

 心と体の性に違和感がある人たちに対する差別は許されないが、現在議論されている法案は、課題が多すぎる。慎重な検討が不可欠だ。

 自民党の一部議員が、性的少数者(LGBT)への理解を深めるためだとして、理解増進法案の国会提出を目指している。

 法案は、LGBTに関する施策を推進するため、政府が基本計画を作り、毎年、その実施状況を公表することを国に義務づけている。企業や学校に対しても、必要な対策の実施を求めるという。

 しかし、理解増進法案は、どのような行為が差別にあたるかを明示しておらず、肝心の対策も、今後の検討に委ねている。

 具体策を曖昧にしたまま法整備を急げば、法律の趣旨を逸脱した過剰な主張や要求が横行し、社会の混乱を招く恐れがある。

 例えば、出生時の性は男性で、自認する性は女性というトランスジェンダーの人が、女性用のトイレを使いたいと主張した場合、どうするのか。スポーツ競技で、トランスジェンダーが女性の種目に出場することを認めるのか。

 トランスジェンダーにこうした権利を認めることになれば、女性の権利が侵害されかねない。

 多様性を認めるためだとして、安易に法整備を図ることは慎むべきだ。「これも差別だ」「あれも差別だ」といった過激な主張に振り回される可能性もある。

 先進7か国(G7)の中で、LGBTに関する法律がないのは日本だけだ、といった主張は事実に反している。各国は、差別禁止の一般的な規定を設けているが、日本は最高法規で法の下の平等を定めており、大きな違いはない。

 19日からのG7首脳会議(広島サミット)前に法案を提出すべきだ、といった主張はおかしい。

 それぞれの国の歴史や文化、社会通念を認め合うことも、多様性の尊重と言えよう。

 そもそも、今回の法整備の進め方には問題が多い。

 岸田首相は2月、LGBTを差別する発言をした首相秘書官を更迭するとともに、自民党に法案の提出に向けた準備を指示した。

 岸田政権は多様性を尊重していない、という批判を避ける狙いがあったのだろうが、法案提出の表明は拙速と言わざるを得ない。

 米国では、LGBTを子どもたちに教えるべきかどうかを巡って、対立が深まっているという。海外のLGBT対策を参考に、日本社会にふさわしい施策について議論を深めることが大切だ。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年05月13日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【社説②】:護衛艦事故 希薄な安全意識に愕然とする

2023-05-13 05:00:40 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・核兵器・武装・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【社説②】:護衛艦事故 希薄な安全意識に愕然とする

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:護衛艦事故 希薄な安全意識に愕然とする

 護衛艦事故の原因が、艦長や乗員の人為的なミスだったことは、極めて憂慮すべき事態だ。海上自衛隊は、再発防止策を徹底し、信頼の回復に全力を尽くさねばならない。

 山口県の周防大島沖で1月、護衛艦「いなづま」が浅瀬に乗り上げ、航行不能になった事故で、海自が調査結果を公表した。

周防大島沖の瀬戸内海で航行不能になった海自護衛艦「いなづま」=山口県周防大島町で2023年1月10日午後4時50分、本社ヘリから上入来尚撮影

 周防大島沖の瀬戸内海で航行不能になった海自護衛艦「いなづま」=山口県周防大島町で2023年1月10日午後4時50分、本社ヘリから上入来尚撮影

 それによると、運航に携わる哨戒長らが海図上の障害物を十分に確認せず、艦長もそれを見逃して浅瀬の存在を認識していなかった。艦長はさらに、他の船舶も行き交う海域を最大速度で航行するなど不適切な指揮を行った。

 通常は事前に行う海図確認の会議も開かず、安全管理を担う船務長は、それを見過ごしていた。

 酒井良・海上幕僚長は記者会見で「航海の基礎的事項をおろそかにした」と述べ、陳謝した。

 護衛艦は、海上防衛で敵の艦艇や戦闘機に対処する重要な役割を担う。その艦長を筆頭に、運航に対する乗員の安全意識があまりに希薄だったことに 愕然がくぜん とする。

 現場は好漁場で、高速運航は一歩間違えば、漁船などと衝突する事故の危険もあった。負傷者が出なかったのは不幸中の幸いだ。

 海自は事態を重く受け止め、関係者を厳正に処分すべきだ。

 この事故で、スクリューのプロペラや、潜水艦の探知などに使う「ソナードーム」が損傷した。修理費用は約40億円で、完了までに数年かかる見込みだという。

 日本周辺の安全保障環境は悪化している。護衛艦1隻を数年先まで使えないのは痛手だ。海自は防衛体制に隙が生じないよう、万全を期してもらいたい。

 再発防止に向けて、艦長の養成課程の見直しや、乗員教育の充実などに取り組むという。

 今回の事故を教訓に、海自はあらゆる機会を通じ、安全管理態勢の強化に努めることが重要だ。

 4月には陸上自衛隊でも、沖縄県・宮古島周辺を飛行中のヘリコプターが消息を絶ち、海底で見つかる事故が起きた。乗っていた隊員10人のうち6人が死亡し、4人は行方不明となっている。

 事故機が所属する第8師団は、有事の際には緊急展開することが想定されている。重要な任務を負った部隊のヘリが、好天の白昼に事故を起こした衝撃は大きい。

 引き揚げられた機体は、原形をとどめないほど破損していたが、飛行姿勢や高度を記録する「フライトレコーダー」が回収された。陸自は墜落原因の究明に向けて、解析を急いでほしい。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年05月13日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【2023年05月11日 今日は?】:泉谷しげる、浜田雅功、Dream Amiら誕生日

2023-05-13 00:00:40 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【2023年05月11日 今日は?】:泉谷しげる、浜田雅功、Dream Amiら誕生日

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【2023年05月11日 今日は?】:泉谷しげる、浜田雅功、Dream Amiら誕生日

 ◆5月11日=今日はどんな日

  満州国軍がモンゴル軍と国境紛争地ノモンハンで衝突(1939)

Japanese soldiers creeping in front of wrecked Soviet tanks.jpg
擱座した赤軍BA-10装甲車の横で九二式重機関銃を伏射する日本兵

 ◆出来事

  ▼高松港から出航した国鉄の連絡船・紫雲丸が運搬船と衝突し沈没。修学旅行の小中学生ら168人死亡(1955)▼レゲエ歌手ボブ・マーリー死去(1981)

紫雲丸事故
Shiun-maru Accidents.jpg
      沈没した紫雲丸
写真・図版
 
  紫雲丸の模型=2021年5月10日、松江市西川津町の市立川津小学校、大村治郎撮影

 ◆誕生日

  ▼泉谷しげる(48年=歌手)▼松尾貴史(60年=タレント)▼浜田雅功(63年=ダウンタウン)▼竹下陽平(73年=フジテレビアナウンサー)▼SHELLY(84年=タレント)▼Dream Ami(99年=歌手)▼尾崎和樹(93年=歌手)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・今日は?】  2023年05月11日  00:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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