路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【社説①・01.24】:財政収支の赤字 ツケ先送りに歯止めを

2025-01-24 16:05:55 | 【財務省・財政予算健全化・基礎的収支・会計検査院・国債・国と地方の借金】

【社説①・01.24】:財政収支の赤字 ツケ先送りに歯止めを

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・01.24】:財政収支の赤字 ツケ先送りに歯止めを

 「財政健全化」の旗を掲げながら、実際はずるずると借金を積み重ねている。将来へのツケの先送りをいつまで続けるのか。

 政府は、国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)が2025年度も4兆5千億円の赤字になるとの試算を示した。

 昨年7月時点の試算では8千億円の黒字化を示していた。だが、大型経済対策の歳出が響き、一転して赤字修正を迫られた。

 PBは、社会保障や公共事業などの政策的経費を借金に頼らず、どれだけ税収などで賄えているかを示す指標だ。中長期的な財政再建を進める上で、まずは単年度のPB黒字化が欠かせない。

 日本では、2002年度から赤字体質の脱却へ「10年代初頭の黒字化」を目標に掲げたが、国債依存の構造は改まらなかった。黒字化の目標時期は延期を繰り返し、25年度に設定されていたが、再び先送りすることになる。

 閣議決定した目標がいつまでたっても達成できない状況は、日本の財政規律に対する国際的な信頼低下を招きかねない。

 昨夏の試算が黒字だったのは、円安を背景に業績好調な輸出企業からの税収増が大きかった。だが常態化している巨額の補正予算は考慮しておらず、「形だけの黒字」「内閣府によるお手盛り」とも見られていた。

 その後就任した石破茂首相が、前年度を上回る約14兆円の補正予算を押し通したことで、赤字に転じた。「財政再建の旗は降ろさない」と石破氏は話したが、言行不一致も甚だしい。

 政府は新たに、賃上げや投資の加速で26年度には黒字転換する試算を示す。だが与野党で議論が続く追加減税策は反映させず、米トランプ政権による関税強化などの波乱要因もある。日本企業に影響が及び、税収が想定より増えない懸念もある。

 PBの計算には含まれないが、金融正常化で金利が上がれば、国債の利払い費が膨らむことも避けられない。 

 すでに国の借金は1300兆円に迫り、先進国の中で最悪水準にある。税収が伸びた時は、非常時に重ねた借金を減らすことが、持続可能な財政運営の常道である。

 政治が人気取りに走り、野放図な支出を抑制できないなら、欧米のように、財政の推計や検証を専門家らが担う独立機関を創設すべきだ。超党派の国会議員連盟や民間の政策提言組織も求めている。与野党で真剣に検討してほしい。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月24日  16:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・01.24】:米野球殿堂入り 唯一無二のイチロー流

2025-01-24 16:05:50 | 【経済・産業・企業・起業・関税・IT・ベンチャー・クラウドファンティング

【社説②・01.24】:米野球殿堂入り 唯一無二のイチロー流

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・01.24】:米野球殿堂入り 唯一無二のイチロー流 

 米球界最高の栄誉に輝いた快挙を喜びたい。

 米大リーグのマリナーズなどで活躍したイチローさん(51)=本名鈴木一朗=が、米国野球殿堂にアジア人として初めて選ばれた。

 日本の野球殿堂入りも果たしたばかりで、日米球界の歴史に名を刻んだ。マリナーズは現役時代の背番号51を永久欠番にする。

 27歳のメジャー移籍後だけで通算3089安打、10年連続で200安打以上など数々の記録を残してきた。シーズン最多安打の262本は20年間破られていない。

 昨年、リーグの首位打者を争った大谷翔平選手でも安打数は197本。イチローさんのすごさを改めて実感する。

 引退後5年で有資格となり、記者の投票で決まる殿堂入りは確実視されていた。国内外の報道は、史上2人目で野手として初の満票選出に焦点をあてたが、結果は1票足りなかった。

 会見で「すごく良かった。生きていく上で、不完全だから進もうとできる」と肯定的に捉えたイチロー節は、記憶に残るだろう。

 米球界で日本人打者の評価を覆しただけでなく、新風を吹き込んだ功績は計り知れない。

 野手として初めて大リーグに挑戦した2001年、メジャーは長距離打者によるパワー全盛の時代で、体格で劣る日本人打者が通用するのか懐疑的な声もあった。

 だが、その年に首位打者と盗塁王に輝き、アメリカン・リーグ最優秀選手(MVP)と新人王を同時に受賞。走攻守一体のプレーは観客や視聴者を魅了した。薬物使用疑惑で揺れる米球界で、人気の回復にも貢献する。

 野茂英雄投手に続き、今に至るメジャーでの日本人選手活躍の道筋を切り開いたといえる。

 渡米前には神戸市を拠点としていたオリックスに所属し、7年連続で首位打者を獲得した。

 阪神大震災が起きた30年前は特別な年だったという。野球をしていいのか葛藤もあったが、「がんばろうKOBE」を合言葉にリーグ制覇に貢献。翌年は日本一となり、被災者たちを勇気づけた。

 引退後は、マリナーズでインストラクターを務めるほか、母校をはじめ高校でも教え、技術だけでなく人間力を育むことを目指しているという。

 「多くの人との出会いが、自分を作ってくれた」という唯一無二の経験を、伝え続けてほしい。その金字塔は、野球に親しむ子どもたちの道しるべとなるだろう。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月24日  16:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・01.23】:日米地位協定 抜本改定は地方の総意

2025-01-24 16:05:45 | 【米国・在日米軍・地位協定、犯罪・普天間移設・オスプレー・安保】

【社説①・01.23】:日米地位協定 抜本改定は地方の総意

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・01.23】:日米地位協定 抜本改定は地方の総意 

 在日米軍に法的な特権を認めた日米地位協定について、京都府など33都道府県が共同通信の調査に対し「改定が必要」との立場を示した。

 日本国内の米兵の事件や米軍機墜落も、日本側の捜査権は強く制約される。

 これで住民の安心と安全を守れるのかという危機感が地方に広がっている。政府は重く受け止め、抜本改定に向け米国との協議を急ぐべきだ。

 米軍基地の約7割が集中する沖縄では問題が特に顕著だ。米兵による性犯罪などが頻発するが、容疑者の起訴前の身柄拘束は今も米側が決定権を握る。

 自治体による有機フッ素化合物(PFAS)の調査でも、米軍基地への立ち入りは極めて限定されている。

 2023年に米空軍オスプレイが鹿児島県沖に墜落した事故では、機体の残骸が米側に渡され、日本側による原因の究明は閉ざされた。

 改定を求める理由では、米軍基地や米軍の訓練に対する住民の不安、米軍関係者に国内法が適用されないことを多くが問題視し、16府県は「(協定の)運用の改善では不十分」との声を上げた。

 米軍専用施設がない21府県からも改定の必要性が提起されたのは、弊害の広がりを映していよう。

 地位協定は第2次世界大戦後の占領軍として駐留した米軍の特権が事実上、引き継がれている。米軍機に日本の航空法は適用されず、夜間や低空の飛行訓練に法的制約はない。

 中国地方では、山口県の米軍岩国基地からと見られる米軍機の低空飛行が頻繁にあり、島根県などは部品の落下や騒音、事故の懸念を指摘する。

 米軍と自衛隊の共同訓練が増加し、米軍機が自衛隊基地を利用する例が増えていることも、自治体の不安を広げている。

 関西で唯一の米軍基地がある京丹後市では、新型コロナウイルス感染状況が速やかに公表されず、地域に不安を広げた経緯がある。

 気になるのは、地位協定の見直しを公言してきた石破茂政権に具体的な動きが見られないことだ。

 主権国家として国民の現実の被害や苦しみに目を背けたままでは、安定的な同盟関係と安全保障体制は築けまい。

 ドイツやイタリアは米軍基地への当局の立ち入り権を持ち、各国内法も原則適用している。日本が米側に同様の関係性を求めてはならない理由はないはずだ。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月23日  16:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【兵庫県知事選】:斎藤知事とPR会社社長を公選法違反容疑で告発 弁護士ら「知事側の説明疑わしい」

2025-01-24 16:01:10 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【兵庫県知事選】:斎藤知事とPR会社社長を公選法違反容疑で告発 弁護士ら「知事側の説明疑わしい」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【兵庫県知事選】:斎藤知事とPR会社社長を公選法違反容疑で告発 弁護士ら「知事側の説明疑わしい」 

 斎藤元彦知事が再選された兵庫県知事選で「広報全般を任せられた」と西宮市のPR会社社長がブログ投稿した問題で、元東京地検特捜部検事の郷原信郎弁護士と神戸学院大の上脇博之教授が2日、斎藤知事と社長に対する公選法違反(買収、被買収)容疑での告発状を神戸地検と兵庫県警に送ったと明らかにした。斎藤知事は取材に「公選法に抵触していないと認識している」と従来の見解を繰り返した。

 郷原信郎弁護士(オンライン会見から)

 告発状によると、社長は斎藤知事から知事選の広報業務を受託し、インターネットによる選挙運動を含む広報全般を企画・立案して活動する「選挙運動者」だったと指摘。斎藤知事は報酬として会社に71万5千円を支払ったと主張する。

 公選法は選挙運動者に金品を与え、投票や選挙運動を依頼することを買収行為として禁止。総務省はサイトで、ネットを使った選挙運動を主体的・裁量的に企画立案した業者は選挙運動の主体と解され、報酬の支払いは買収となる恐れが高いと解説している。

 斎藤知事と代理人弁護士は会見で、PR会社への支払いはポスターのデザインや公約スライドなど5項目の業務の対価と説明。応援アカウントの取得や動画撮影などは「個人のボランティアで、報酬支払いの事実も約束もない」と違法性を否定していた。

 2日にオンライン会見した郷原氏は、ブログが投稿後に削除修正され、斎藤知事側の説明に沿った形になっていることなどから、元の投稿は「基本的に真実だと考えられ、斎藤知事側の説明は疑わしい」と強調。社長がブログで紹介した斎藤陣営の交流サイト(SNS)の運用などと、5項目の業務を切り離すことは困難とし、「5項目を名目とした一部の支払いと考えられ、それだけで買収罪は成立する」とした。

 一方、斎藤知事は2日、告発状の送付について「詳細は承知していない。対応は弁護士にお願いしている」と記者団に述べた。また、PR会社社長は神戸新聞の取材の申し入れにこれまで回答していない。

 元稿:神戸新聞社 主要ニュース 社会 【疑惑・地方自治体・兵庫県知事選・公選法に抵触】  2024年12月02日  20:50:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政界地獄耳・01.18】:立憲民主党が目指す国家像すら見えない…野党がまとまらないわけ

2025-01-24 07:40:10 | 【政党・自民・立憲・維新の会・公明・国民民主・共産・社民・れいわ・地域政党他】

【政界地獄耳・01.18】:立憲民主党が目指す国家像すら見えない…野党がまとまらないわけ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・01.18】:立憲民主党が目指す国家像すら見えない…野党がまとまらないわけ 

 ★16日夜、首相・石破茂は14日に米・ワシントンで行われたカーター元米大統領の国葬に参列した党副総裁・菅義偉や訪中から帰国したばかりの幹事長・森山裕ら幹部6人を首相公邸に招き、24日からの国会開会に向け「なんとしても年度内に予算を成立させないといけない」と結束を呼びかけた。立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、共産党、れいわ新選組、参政党、日本保守党と「有志の会」の野党8党派はまとまって予算委員会審議入りの「前提」として、元安倍派事務局長・松本淳一郎(禁錮3年、執行猶予5年の有罪判決が確定)の衆院予算委員会への参考人招致を要求している。

 ★ここにきて立憲リードでやっと野党はまとまったかに見えるが、14日、同党幹事長・小川淳也は会見で「SNS対策について本年1月1日職員の発令を行い、発信を強化するということにいたしました。幹事長室直轄、幹事長の責任の下、特にショート動画の配信に全力を挙げてまいります」と言い出した。「野党がまとまりを見せる中、時事通信の1月の調査で野党の政党支持率で国民民主党がトップの6・6%、立憲5・1%と水をあけられていることに危機感を持っている」(立憲幹部)という。

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 政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2025年01月18日  08:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【室井佑月の「嗚呼、仰ってますが。」】:都議会自民も中抜き指示…時代の転換期とはこういうものなのでしょうか?

2025-01-24 07:10:50 | 【政治とカネ・政党交付金・「企業・団体献金」・政治資金・議員歳費・賄賂・後援会

【室井佑月の「嗚呼、仰ってますが。」】:都議会自民も中抜き指示…時代の転換期とはこういうものなのでしょうか?

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【室井佑月の「嗚呼、仰ってますが。」】:都議会自民も中抜き指示…時代の転換期とはこういうものなのでしょうか?

 『(ノルマの)50枚以上は自分の懐に入るから、売れる人はお小遣いにしようとしていた』(都議会自民党関係者)

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上から下までだらしないね~(C)日刊ゲンダイ

 これは1月17日付の時事通信社、『「中抜き」長年の慣行か 関係者証言「無法地帯」-選挙への影響懸念も・都議会自民党』という記事の中での都議会関係者の証言だ。

 自民党議員の政治資金パーティーの問題では、不正が露わになった。それは、国会議員だけでなく自民党会派の都議までも。パーティー券の販売収入の一部を会派に収めず手元にプールする「中抜き」が慣習になっていたよう。

 このことがバレると会派側は一斉にかん口令を敷いた模様。

 「申し訳ないが、亡くなった都議のせいにするような話になる」

 と話している都議もいたらしい。

 上から下まで、だらしね~。国民には重税を強いておきながら、自分らはやりたい放題。

 酷い。政治が、社会が良くなれと、政治家を信じてなけなしの金を寄付している人だっているだろうに。

 また、企業や商売をしている人たちは、自民党でなければ人でなし、親の代から自民党ってんで、地元の先生がパーティーをやるたびにノルマのようにチケットを買わされている人もいる。そこにさっくりでも参加していないと、地元で商売できないと思い込んでて。

 一部の野党が企業献金廃止、と謳っておるが、じつはこれ、緩やかな自民党支持者から期待されていたりする。

 あたしの夫は野党の国会議員であるが、敵の取り巻き数人から、内緒話のようにこういわれる。

 「野党は、政治とカネの問題で、企業献金廃止を訴えているんでしょ。おたくのご主人を表立っての応援はできないけど、あれだけは進めてくれないかな。年に何回も持ち回り持ち回りで寄付しなきゃならなくて、本当に苦しいんだよ」

 とかなんとか。可哀想に。

 あたしは企業献金や個人の寄付はあってもいいと思う。政治を良くしたい、政治を信じる気持ちだもの。だけど、政治家の看板に偽りありの寄付集め、不記載、税金逃れはいかん。人の善意を踏みにじることだから。

 にしても、政治家の金の問題や、大手メディアの性スキャンダル、次々に露わになっていきますな。時代の転換期とはこういうものなのでしょうか? この際、大掃除をしてから前進してほしいものです。

著者のコラム一覧
 ■室井佑月 作家

 1970年、青森県生まれ。銀座ホステス、モデル、レースクイーンなどを経て97年に作家デビュー。TBS系「ひるおび!」木曜レギュラーほか各局の情報番組に出演中。著書に「ママの神様」(講談社)、「ラブ ファイアー」(集英社文庫)など。

 ■関連記事

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITAL 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース・連載「室井佑月の「嗚呼、仰ってますが。」」】  2024年01月24日 06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・01.22】:“政策なし、党籍縛りなし” ― 石丸新党の不透明感

2025-01-24 07:05:40 | 【政党・自民・立憲・維新の会・公明・国民民主・共産・社民・れいわ・地域政党他】

【HUNTER・01.22】:“政策なし、党籍縛りなし” ― 石丸新党の不透明感

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・01.22】:“政策なし、党籍縛りなし” ― 石丸新党の不透明感 

 1月15日、石丸伸二氏が記者会見し、今年7月の東京都議選に向けて地域政党「再生の道」を設立したことを表明した。石丸氏は広島県の前安芸高田市長で、昨年の東京都知事選では小池百合子知事の290万票に次ぐ160万票を獲得して2位に食い込み、立憲民主党の蓮舫氏を上回ったことで注目を集める人物。多くの報道関係者が詰めかけた記者会見は、出だしから“大荒れ”となった。

            ◆   ◆   ◆

 石丸氏は、東京都庁の記者クラブに対して記者会見の案内を出した。しかし、それがSNSなどに流れたことで態度を硬化させ、「不測の事態が起こることもある」と自身が設定する会見場に変更。会見参加を記者クラブ加盟社や週刊誌などのメディアに限定した。

 会見参加の許可基準ついては《マス媒体の有無もしくは100万相当のネット媒体を有するか否か》と設定し、駆け付けたネットメディアやフリーランスを締め出してしまった。石丸氏はネットメディアやフリーランスが多く参加することで起こる「不測の事態」に加え、「不規則発言などで、会見が進まない」ことを危惧したというが、都合の悪い質問をされることを嫌っただけだろう。

 『100万相当』とは、一般的にYouTubeのチャンネル登録者数もしくはXのフォロワー数とみられる。あるフリーランスの記者は、「100万をクリアしているネットメディア、フリーランスなんてまずいない。SNSでのし上がってきた石丸氏らしい姑息なやり口だ。ネットメディアやフリーランスは、泡沫メディアってことでしょう。“そんな連中は相手にしない”という極端に上から目線の出馬会見なんて聞いたことない」と吐き捨てた。

 会見参加者を限定することで敵を増やしたことでも分かる通り、開催前から注目された記者会見だったが「期待外れ」の感は否めなかった。会見はライブ中継されていたのでその内容は確認できたが、石丸氏は「政治屋を一掃したい」「議員の椅子にしがみつく、政治屋が諸悪の根源で日本を衰退させている」と意気込みを語り、「日本がマズい、何とかしないといけない。この日本を蘇らせるために再生という党名にしました」と説明した。

 ただし、肝心の政策については「(候補者)それぞれの判断に任せたい」と党独自の政策は、なし。唯一、“鉄の掟”として「多選の禁止、2期8年」が綱領だと言う。「日本の再生を東京都から始めます。ぜひ東京を動かしていきましょう」とSNS向けに支援者に訴えた石丸氏だったが、基本政策はなく、多選禁止のみが候補者選定の条件という同氏の主張に疑問を抱いた人は少なくなかったはずだ。

 昨年の東京都知事選では「政治再建」「都市開発」「産業創出」と三つの柱と政策を打ち出したが、いずれも具体性のあるものではなかった。そして今回の東京都議選では「政策は掲げない」「他党とのかけもちもOK」と断言し、「共産党でもいい」とまで言い切った。既成政党とは違う色を出したいらしいが、これが政党といえるのかどうか……。

 石丸氏は昨年の東京都知事選でSNSを多用して大きく躍進した。その後、「政治系」YouTubeという分野が大きく広がり、切り抜き動画などの再生回数が劇的にアップ。一つのビジネスマーケットとなっている。昨年10月の衆議院選挙でその風に乗ったのが国民民主党で、4倍増となる28議席を得て大躍進。昨年11月の兵庫県知事選では、SNS旋風が吹き荒れ、斎藤元彦知事が逆境からの当選を果たした。

 石丸氏に関するSNSを積極的に発信してきたある女性はこう話す。
 「石丸さんの選挙から、YouTuberは常にネタになる政治家、再生回数が稼げるターゲットは誰かを探している。それが国民民主党であり、斎藤知事でした。つまり誰が“推し”なのかです。選挙のない時は国会などで面白い発言をする議員などが注目されるでしょう。YouTuberからみれば、石丸さんは神のような存在であり、稼げるタマ。石丸さんがこうして動き出したことで、ますます活況となるはずです」

 しかし選挙との関連について聞くと「YouTuberが多く発信したからといって必ず当選できるかはわかりません。発信の仕方、論調いかんでは、票を減らすようなことも十分にあるでしょう。バッシングの対象になるかもしれない」と語る。SNSは“諸刃の剣”なのだ。

 そうした中、日本維新の会の代表である吉村洋文大阪府知事は、さっそく石丸氏の新党結成について「今までない発想の政党で、期待をしてます」と発言。石丸氏が他党からの参加も可能としていることについても、「維新であり、石丸新党ということもあり得る」と早くも石丸氏との連携を模索する姿勢を示している。ある維新の国会議員は困惑した表情だ。
「うちは党勢が低迷しており、東京都議会では1議席しかない。石丸新党に抱き着こうという魂胆が透けて見える。石丸新党は政策がないというが、維新の『身を切る改革』はどうなる事やら……」

 旧知の自民党幹部は別の見方を示す。
 「国政に続き、都議会自民党でも裏金が立件され、うちには大きなマイナスとなっているだけに石丸新党は脅威ではある。ただ、政策はなく、候補者もこれから決める、他党とかけもちも可能ということで実態がまるでわからない。石丸さんからみれば小池知事の都民ファーストの会も守旧派となるんだろうが、どの程度(議席を)とってくるのか今後の動きを見ないと判断できない」

 石丸氏のYouTube「石丸伸二のまるチャンネル」は約35万人の登録者数だ。同氏は東京都議選の42選挙区に最大55人の擁立を目指すという。選考方法は、書類審査や面接で、その模様はYouTubeでも公開予定としており、「再生回数」がアップするのは間違いなさそうだ。新手の「選挙ビジネス」という見方もできるが……。

 1月15日、石丸伸二氏が記者会見し、今年7月の東京都議選に向けて地域政党「再生の道」を設立したことを表明した。石丸氏は広島県の前安芸高田市長で、昨年の東京都知事選では小池百合子知事の290万票に次ぐ160万票を獲得して2位に食い込み、立憲民主党の蓮舫氏を上回ったことで注目を集める人物。多くの報道関係者が詰めかけた記者会見は、出だしから“大荒れ”となった。

          ◆   ◆   ◆

 石丸氏は、東京都庁の記者クラブに対して記者会見の案内を出した。しかし、それがSNSなどに流れたことで態度を硬化させ、「不測の事態が起こることもある」と自身が設定する会見場に変更。会見参加を記者クラブ加盟社や週刊誌などのメディアに限定した。

 会見参加の許可基準ついては《マス媒体の有無もしくは100万相当のネット媒体を有するか否か》と設定し、駆け付けたネットメディアやフリーランスを締め出してしまった。石丸氏はネットメディアやフリーランスが多く参加することで起こる「不測の事態」に加え、「不規則発言などで、会見が進まない」ことを危惧したというが、都合の悪い質問をされることを嫌っただけだろう。

 『100万相当』とは、一般的にYouTubeのチャンネル登録者数もしくはXのフォロワー数とみられる。あるフリーランスの記者は、「100万をクリアしているネットメディア、フリーランスなんてまずいない。SNSでのし上がってきた石丸氏らしい姑息なやり口だ。ネットメディアやフリーランスは、泡沫メディアってことでしょう。“そんな連中は相手にしない”という極端に上から目線の出馬会見なんて聞いたことない」と吐き捨てた。

 会見参加者を限定することで敵を増やしたことでも分かる通り、開催前から注目された記者会見だったが「期待外れ」の感は否めなかった。会見はライブ中継されていたのでその内容は確認できたが、石丸氏は「政治屋を一掃したい」「議員の椅子にしがみつく、政治屋が諸悪の根源で日本を衰退させている」と意気込みを語り、「日本がマズい、何とかしないといけない。この日本を蘇らせるために再生という党名にしました」と説明した。

 ただし、肝心の政策については「(候補者)それぞれの判断に任せたい」と党独自の政策は、なし。唯一、“鉄の掟”として「多選の禁止、2期8年」が綱領だと言う。「日本の再生を東京都から始めます。ぜひ東京を動かしていきましょう」とSNS向けに支援者に訴えた石丸氏だったが、基本政策はなく、多選禁止のみが候補者選定の条件という同氏の主張に疑問を抱いた人は少なくなかったはずだ。

 昨年の東京都知事選では「政治再建」「都市開発」「産業創出」と三つの柱と政策を打ち出したが、いずれも具体性のあるものではなかった。そして今回の東京都議選では「政策は掲げない」「他党とのかけもちもOK」と断言し、「共産党でもいい」とまで言い切った。既成政党とは違う色を出したいらしいが、これが政党といえるのかどうか……。

 石丸氏は昨年の東京都知事選でSNSを多用して大きく躍進した。その後、「政治系」YouTubeという分野が大きく広がり、切り抜き動画などの再生回数が劇的にアップ。一つのビジネスマーケットとなっている。昨年10月の衆議院選挙でその風に乗ったのが国民民主党で、4倍増となる28議席を得て大躍進。昨年11月の兵庫県知事選では、SNS旋風が吹き荒れ、斎藤元彦知事が逆境からの当選を果たした。

 石丸氏に関するSNSを積極的に発信してきたある女性はこう話す。
 「石丸さんの選挙から、YouTuberは常にネタになる政治家、再生回数が稼げるターゲットは誰かを探している。それが国民民主党であり、斎藤知事でした。つまり誰が“推し”なのかです。選挙のない時は国会などで面白い発言をする議員などが注目されるでしょう。YouTuberからみれば、石丸さんは神のような存在であり、稼げるタマ。石丸さんがこうして動き出したことで、ますます活況となるはずです」

 しかし選挙との関連について聞くと「YouTuberが多く発信したからといって必ず当選できるかはわかりません。発信の仕方、論調いかんでは、票を減らすようなことも十分にあるでしょう。バッシングの対象になるかもしれない」と語る。SNSは“諸刃の剣”なのだ。

 そうした中、日本維新の会の代表である吉村洋文大阪府知事は、さっそく石丸氏の新党結成について「今までない発想の政党で、期待をしてます」と発言。石丸氏が他党からの参加も可能としていることについても、「維新であり、石丸新党ということもあり得る」と早くも石丸氏との連携を模索する姿勢を示している。ある維新の国会議員は困惑した表情だ。
「うちは党勢が低迷しており、東京都議会では1議席しかない。石丸新党に抱き着こうという魂胆が透けて見える。石丸新党は政策がないというが、維新の『身を切る改革』はどうなる事やら……」

 旧知の自民党幹部は別の見方を示す。
 「国政に続き、都議会自民党でも裏金が立件され、うちには大きなマイナスとなっているだけに石丸新党は脅威ではある。ただ、政策はなく、候補者もこれから決める、他党とかけもちも可能ということで実態がまるでわからない。石丸さんからみれば小池知事の都民ファーストの会も守旧派となるんだろうが、どの程度(議席を)とってくるのか今後の動きを見ないと判断できない」

 石丸氏のYouTube「石丸伸二のまるチャンネル」は約35万人の登録者数だ。同氏は東京都議選の42選挙区に最大55人の擁立を目指すという。選考方法は、書類審査や面接で、その模様はYouTubeでも公開予定としており、「再生回数」がアップするのは間違いなさそうだ。新手の「選挙ビジネス」という見方もできるが……。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社告 【政治ニュース・石丸伸二氏が記者会見し、今年7月の東京都議選に向けて地域政党「再生の道」を設立したことを表明】  2025年01月22日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・01.21】:現職自衛官が実名・顔出しで国を提訴

2025-01-24 07:05:30 | 【裁判(最高裁・高裁・地裁、裁判員制度・控訴・冤罪・再審請求、刑法39条】

【HUNTER・01.21】:現職自衛官が実名・顔出しで国を提訴

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・01.21】:現職自衛官が実名・顔出しで国を提訴

 射撃訓練で難聴になった陸上自衛官が国に賠償を求めた裁判の口頭弁論が1月中旬、札幌地裁で始まった。原告の男性自衛官は名前と顔を隠さずに地元報道の取材に応じ、「法律を知らずに声を上げられない隊員がたくさんいる」「国は安全配慮義務を果たして欲しい」と訴えている。被告の国は請求の棄却を求めて争う考え。

 ■訓練で難聴に ― 組織の安全配慮義務違反追及

 昨年7月に国を訴える裁判を起こしたのは、陸上自衛隊北部方面総監部(札幌市中央区)に勤務する中村俊太郎・1等陸尉(50)。1993年に入隊した中村さんは、長年にわたる射撃訓練で難聴を発症。21年には公務災害の認定に到ったが、自衛隊からは充分な配慮を受ける機会がなく、適切な健康診断も受診できなかったという。

 訴状によると、入隊直後の機関銃訓練では号令外の動作に足蹴りをしてくる指導者がおり、耳栓が外れてもつけ直すことができなかった。翌年から参加した84ミリ無反動砲の訓練では射撃時の爆風で耳栓が飛ばされることもしばしばだったが、下半身にも衝撃波でズボンが裂けるほどの痛みがあり、耳栓を気にする余裕がなかったという。そもそも隊から支給される耳栓は粗悪品が多く、自費で市販品を手配せざるを得ない状況。現在も手離せない補聴器の購入費53万円はのちに国から支給して貰うことができたが、当初は隊員が自腹で用意するのが当たり前と思っていたという。

 現場で難聴を防止する取り組みが不充分だったのみならず、必要な検査を受ける機会も乏しかった。耳鳴りなどを訴える隊員に医療受診や公務災害申請を促すような配慮はなく、被害防止のマニュアルも不在。騒音業務に伴って必要と定められている「特別な健康診断」も適切に行なわれていなかった。

 中村さんがこうした状況に疑問を覚え、組織内外の友人・知人らに相談を寄せ始めたのが23年6月ごろ。実情を知った人たちは「安全配慮義務違反では」「国民に真実を知らせるべき」「自衛隊がそんなことでは国民が困る」などと驚き、組織内の同僚や後輩たちからも「訴えないと自衛隊が変われない」などの声が上がったという。中村さん自身も「問題に気がついているのに何もしないのは『責任の不履行』ではないか」と考えるに到り、今回の提訴に踏み切った。

 今まさに難聴に悩んでいる自衛官は中村さんが把握できるだけで50人ほどおり、しかしながら公務災害の認定に到ったのはそのうち4人しかいないという。提訴の目的は、こうした被害の周知と再発防止をはかることにある。

 「防衛省や陸幕は、現場の隊員の多くが法律に詳しくないのをよいことに安全配慮義務を果たしていません。なぜ特別健康診断を実施しないのか。なぜ予防教育に力を入れないのか。なぜ充分な装備品を用意しないのか。国はこれらの背景をあきらかにした上で、被害の実態を調査して国民に説明すべきです」

 ハラスメント被害を受けた自衛官の家族や退職後の元隊員が実名を明かして組織を訴えたケースはこれまでにもあるが、現職の自衛官自身が顔と名前を晒して裁判を起こすのは珍しい。当初半年間ほど非公開の弁論準備手続きで進められた裁判は年が明けた1月14日午前、札幌地方裁判所(小野瀬昭裁判長)で最初の口頭弁論を迎えた。被告の国は指摘される安全配慮義務違反などを否定、難聴の原因は本人の安全管理・健康管理の過失にあると主張し、訴えの棄却を求めている。

 「難聴の隊員たちも見た目は健康なので、問題があかるみに出にくい」と、原告の中村さん。次回弁論は2月20日午後、札幌地裁で開かれる。

 なお札幌ではハラスメント通報を理由に不利益な取り扱いを受けたという現職自衛官の裁判も始まっており(既報)、2月26日にはこれの3回目の口頭弁論が設けられることになっている。(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【裁判・射撃訓練で難聴になった陸上自衛官が国に賠償を求めた裁判の口頭弁論】  2025年01月21日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・01.24】:【福岡県大任町・永原町政の実態】:“知らしむべからず”で「例規集」非公開

2025-01-24 05:15:30 | 【地方自治・都道府県市町村・地方議会・議員年金・デジタル田園構想・地方地盤沈下】

【HUNTER・01.24】:【福岡県大任町・永原町政の実態】:“知らしむべからず”で「例規集」非公開

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・01.24】:【福岡県大任町・永原町政の実態】:“知らしむべからず”で「例規集」非公開 

 全国に自治体は独自に条例や規則などの「例規」を制定しており、それらと規程、要綱などを含めてまとめたものを「例規集」と呼ぶ。一般財団法人「地方自治研究機構」のホームページは自治体の例規集にリンクしており、クリックするだけで各自治体のそれが閲覧可能だ。つまり、例規集を公開していない自治体も一目でわかるということ。めったにない事例だが、福岡県では“あの町”だけが、公開していない。

 ■県内60自治体で唯一非公開

 福岡県にある自治体は29市、29町、2村で合計60。そのうち、例規集を公開していない自治体が一つだけある。指定暴力団の企業舎弟から地域一番の実力者に登りつめた永原譲二氏が町長を務める田川郡大任町だ。下は、地方自治研究機構のホームページで閲覧可能な福岡県内にある自治体及び一部事務組合の「例規集」へのリンクページ(⇒コチラ)。大任町は“非公表”のためリンク先がなく、黒字になっているのが分かる。

 全国の自治体数は1,741(特別区:23、市:792、町:743、村:183)。そのうち例規集を公開していないのは、大任町を含む27自治体(町:7、村:20)だけ。九州・沖縄だと宮崎県2村、鹿児島県1町、沖縄県4村に過ぎない。全体の1.5%ということだ。前述した通り、福岡県では60自治体のうち大任町だけが例規集非公開。町民は、自分たちの暮らしに直結する条例や規則などを簡単に見ることができない状況だ。

 ■隠したいのは「不都合な真実」

 町議会だけでなく、田川地域の建設、し尿処理、福祉関係といった主要な業界・団体まで牛耳る大任町の永原町長は、自分にとってマイナスになりそうな情報を徹底して隠し、問題や疑惑が広がることを防ぐ行政手法で権力を維持してきた。かつてハンターの取材には、「町に情報公開請求が行われたら、すべてを自分が決裁する」と断言したほどで、そうした恣意的運用が情報公開制度自体を形骸化させている。

 外部からのチェックにはもちろん、町民に対しても「知らしむべからず」を徹底するのが永原流。権力維持のためなら条例や規則を改悪することもいとわない。ハンターが同町の不透明な建設行政について検証するため情報公開請求を始めていた2021年9月には、それまで開示請求権者を「何人も」としていた大任町情報公開条例を改悪。請求権者を「町の区域内に1年以上住所を有する者」に変え、報道機関を含む外部からの開示請求を拒むという時代に逆行する暴挙に及んだ。

 田川郡内の8市町村で構成する一部事務組合「田川郡東部環境衛生施設組合」が整備を進めてきた“ごみ処理施設”の「積算書」を巡っては永原氏は、「日本中探してもない」と公言。しかし、ハンターや関係議員らが行った福岡県への開示請求によって、し尿処理場(汚泥再生処理センター)の積算文書が存在することが明らかとなっている(*下の写真が積算書)。永原氏にとって、町発注工事の内容や施工体系が分かる文書は、絶対に知られてはならないマル秘事項だったとみられている。

 町長が一番触れられたくないのが、建設行政の実態解明につながる文書であることは、これまで散々報じてきた通り。2021年6月には町発注工事の入札結果を非公開にしたが、その後、国から「違法」を指摘されて改善するよう指導を受け、ようやく2023年4月から公表を再開した

 背景にあるのは、工事の施工実態がないダミー業者や永原氏の側近企業を使った町発注工事の独占。ハンターの調べで、同町発注工事の半数以上をそうした業者が受注していたことが分かっている。官製談合が疑われる事態だが、福岡県警が摘発する姿勢をみせたことはないという。

 ごみ処理施設の「付帯工事」も永原氏周辺の業者が独占している状況だ。田川地区の8市町村が大任町に委託して整備してきたごみ処理施設は3か所。公表されている工事名と現在までの契約金額は以下のとおりだ。

・大任町ごみ処理施設整備工事:契約金額220億円
・汚泥再生処理(*し尿処理)センター整備工事:契約金額89億8,560万円
・大任町一般廃棄物最終処分場浸出水処理施設整備工事:36憶円

 3施設の整備費は、合計約346億円。しかしこれは本体工事だけの金額で、付帯工事が別に数十億単位で発注されてきた。一昨年夏までの合計でしかないが、開示された資料を精査し、問題のダミー業者や永原氏の側近企業がどの程度の付帯工事を受注しているのか確認してまとめたのが下の表である。

 驚くべきことに、ダミー業者が受注した工事は全体の44%にあたる16億6,289万980円側近企業は34%となる12億8,951万2,240円を受注していた。これだけで全体の約8割。残り約2割の工事を請負ったその他の業者も、永原氏が主導する談合組織「田川政策研究会」のメンバーである可能性が高い。国が強く指導して「入札結果」が公表されるようになったことで判明した事実である。

 情報公開条例や資産公開に関する条例、さらには町民の暮らしに直接かかわるようなルールを定めたものが「例規」である。当然、誰もが確認できるよう、「例規集」をホームページ上で閲覧可能にする自治体がほとんどだ。しかし、大任町は例規集を公開しておらず、町の決まりを確認しようと思えば、一々役場に連絡して教えてもらわなければならない。

 例規は自治体が定めた行政運営を行う上での基本。非公開のままで許される話ではない。例規集に限らず、不都合な真実を隠すための永原流「知らしむべからず」に終止符を打つべき時が来ている。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【疑惑・地方自治体・福岡県田川郡大任町・田川郡内の8市町村で構成する一部事務組合「田川郡東部環境衛生施設組合」が整備を進めてきた“ごみ処理施設”の「積算書」】  2025年01月24日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・01.24】:デジタル教科書 義務教育の変質招く利用拡大

2025-01-24 05:00:55 | 【文科省・教育制度、現場の実態把握・教員の資質・不登校・文化庁・

【社説①・01.24】:デジタル教科書 義務教育の変質招く利用拡大

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・01.24】:デジタル教科書 義務教育の変質招く利用拡大

 過度のデジタル化は教育に悪影響があるとしてIT先進国には教科書を紙に戻す動きがある。 

 日本でも学校現場の懸念は根強い。それにもかかわらず、国はなぜ今、デジタルへの傾斜を強めようとしているのか、理解に苦しむ。

 文部科学省は中央教育審議会の作業部会に、現在は「代替教材」とされるデジタル教科書を正式な教科書に位置づけることを盛り込んだ論点を示した。2026年度までに制度を改正し、30年度から使用することを目指している。

 デジタル教科書は現在、小5~中3の英語と算数・数学の一部に導入され、紙と併用されている。これを正式な教科書に変更すれば、紙とデジタルが教科書として併存することになり、いずれも無償給与や検定の対象となる。

 作業部会では、紙のみ、デジタルのみの教科書のほか、両者を組み合わせたタイプの導入も検討している。どれを使うかは教育委員会が選ぶ形を想定している。

 どれを選択するかで、子供の教育内容に差が生じかねない。全国一律で一定水準の教育を受けられる環境を維持してきた義務教育の大転換だと言えよう。

 学びの中核にある教科書の形式をどうするのかという判断を地方に丸投げするに等しく、国の責任放棄ではないのか。

 教科書のデジタル移行が進んだスウェーデンは一昨年、学習への悪影響があるとして、紙の教科書や手書きを重視する「脱デジタル」に 舵 かじ を切った。子供の成績が落ち、集中力が続かないといった傾向もみられたためだ。

 日本も同じ状況に陥らないか心配だ。スウェーデンの警鐘を重く受け止めなければならない。

 深い思考や記憶の定着には、デジタルより紙の方が優れているという研究報告が各国で相次いでいる。小中学校長を対象にした読売新聞の調査では、95%が紙との併用を望み、デジタルのみの利用に懸念を示す声が圧倒的だった。

 紙の教科書による授業に特段の支障がないのに、なぜ現場の声を無視して、効果がはっきりしないデジタルへの転換を急ぐのか。

 教科書は紙を基本とし、デジタルは動画や音声を活用できる特性を生かすという、これまで通りの代替教材にとどめるべきだ。

 コロナ禍でデジタル化の遅れが鮮明になり、国はそれを挽回したいのかもしれないが、強引に推し進めた保険証のデジタル移行は、国民の強い反発を招いた。同じ 轍 てつ を踏むべきではない。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月24日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・01.24】:春闘スタート 賃上げの定着で物価高克服を

2025-01-24 05:00:50 | 【雇用・正規、非正規・パート・賃上げ・失業率・求人・労働組合・労働貴族の連合】

【社説②・01.24】:春闘スタート 賃上げの定着で物価高克服を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・01.24】:春闘スタート 賃上げの定着で物価高克服を

 経団連の十倉雅和会長と連合の芳野友子会長が会談し、春闘が事実上、スタートした。物価高を克服する高い賃上げ水準を定着させるため、労使が 真摯 しんし に交渉してもらいたい。 

 経団連は、会談に先立って、今春闘の経営側の方針となる「経営労働政策特別委員会報告」を公表した。2023年と24年の春闘で高水準の賃上げが実現し、今年を賃上げの勢いを定着させる「分水 嶺 れい 」と位置づけた。

 基本給を底上げするベースアップ(ベア)については、前年の「有力な選択肢」という表現から一歩踏み込んで、「ベアを念頭に置いた検討が望まれる」として、積極的な対応を呼びかけた。

 家計は物価高で苦しい。物価を反映した実質賃金は22年4月から長くマイナスが続き、いまだに安定的にプラスへと転じるには至っていない。消費が息切れすれば、賃金も投資も増える「成長型経済」への移行が頓挫しかねない。

 25年3月期決算で上場企業は好業績が続く見通しだという。利益の蓄積である内部留保は23年度に600兆円を超えており、賃上げに回す余力はあるはずだ。

 連合は、ベアと定期昇給分を合わせ、全体では「5%以上」、中小については「6%以上」の賃上げを求める方針だ。経営側は、社会的な責務を自覚し、前向きに賃上げに取り組んでほしい。

 先行きには影も差している。

 トランプ米大統領が、カナダとメキシコからの輸入品に25%の関税を課す考えを示しているからだ。春闘を主導する自動車産業は、両国に生産拠点があり、深刻な打撃を受ける懸念がある。賃上げへの決意の強さが試されよう。

 雇用の7割を占める中小企業の賃上げも大きな課題である。大企業との格差が広がっているからだ。中小企業が原材料費や人件費を適正に価格転嫁できるよう大企業には一層の努力を求めたい。

 中小企業側も省力化や省人化への投資で効率化を進め、賃上げの環境を整えることが大切だ。

 高水準の賃上げを実現したというが、長引く物価高で家計が楽にならないのはなぜなのか、という国民の疑問は強くなっている。

 円安による輸入物価の上昇や人手不足が物価高に拍車をかけている面もある。政府が日本経済の課題を再点検する必要もあろう。

 持続的な賃上げには労働生産性を上げることが不可欠だ。政府は企業に努力を求めるだけでなく、自らも生産性の向上を後押しする施策を練るべきではないか。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月24日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・01.23】:SNS上の悪意 人の死まで中傷する残酷さ

2025-01-24 05:00:45 | 【事件・未解決事件・犯罪・疑惑・詐欺・闇バイト・旧統一教会を巡る事件他】

【社説①・01.23】:SNS上の悪意 人の死まで中傷する残酷さ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・01.23】:SNS上の悪意 人の死まで中傷する残酷さ

 ネット空間で悪意に傷つけられる人が後を絶たない。心ない言葉は時に人の命さえ奪う。まして死者を侮辱する中傷まで横行するような状況は放置できない。 

 兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを調べる県議会百条委員会の委員だった前県議が死亡した。自殺とみられている。

 前県議については、百条委で斎藤氏を追及する動画がSNS上で拡散され、中傷する投稿や嫌がらせの電話が相次いでいた。自分や家族の身の危険を感じ、「誰が家に来るかわからない。怖い」と漏らしていたという。

 兵庫県の問題では、別の死者も出ている。極めて異常かつ深刻な事態だと言えよう。

 政治団体「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首は、街頭演説で前県議の動静を情報提供するよう聴衆に呼びかけ、自宅に押しかけるような発言をしていた。

 しかも、前県議の死後には「前県議は逮捕される予定だった」と語り、まるで逮捕を苦に自殺したかのような動画を投稿した。

 これに対し、県警本部長は議会で、立花氏の発信内容を「全くの事実無根」と否定した。警察のトップがこうした形で捜査情報を明らかにするのは極めて異例だ。容認し難いと判断したのだろう。

 立花氏は県警の対応を踏まえ、動画を削除して謝罪した。だが、謝って済む話ではなかろう。

 立花氏の投稿は、多くの人が拡散し、前県議の名誉は著しく傷つけられた。立花氏、そして安易に虚偽の情報を広めたSNSユーザーたちの責任は重い。刑法の名誉 毀損 きそん 罪は、死者に対しても成立することを認識する必要がある。

 兵庫県知事選を巡っては、知事派と反知事派の対立が深まり、知事を追及してきた県議会も激しい攻撃の対象となった。

 健全な批判と 誹謗 ひぼう 中傷は異なる。政策などへの建設的な批判はあって当然だが、人格を 貶 おとし めたり、脅迫まがいの言葉を投げつけたりすることは許されない。言論の自由には責任が伴う。相手を傷つける自由などあり得ない。

 今回は県警の説明によって、投稿がウソだと明確になったが、SNS上には、真偽が不明なまま多くの人が信じ込んでいる情報も少なくない。誹謗中傷と並び、虚偽情報への対策も急務である。

 SNS事業者に、誹謗中傷などへの迅速な対応を求める法律が間もなく施行される。問題のある投稿を野放しにせず、厳しく対応することが求められている。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月23日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・01.23】:米野球殿堂入り 走攻守で魅了したイチロー氏

2025-01-24 05:00:40 | 【経済・産業・企業・起業・関税・IT・ベンチャー・クラウドファンティング

【社説②・01.23】:米野球殿堂入り 走攻守で魅了したイチロー氏

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・01.23】:米野球殿堂入り 走攻守で魅了したイチロー氏

 日本が生んだ希代の左打者が、新たな勲章を手に入れた。華麗なプレーと数々の偉大な記録は米野球史に刻まれ、長く語り継がれるだろう。 

 米大リーグのマリナーズなどで活躍したイチロー氏の米国野球殿堂入りが決まった。日本人初の快挙である。殿堂入りを決めた記者投票では、あと1票で満票という圧倒的な支持を得た。

 殿堂入りは、大リーグで10年以上活躍し、傑出した成績を残した人物らを 称 たた える制度だ。過去に選出されたメンバーには、ベーブ・ルースら伝説的な選手が多く、米野球界最高の栄誉である。

 イチロー氏も記者会見で「選手としての評価という意味ではこれが最も大きいもの」と、殿堂入りの重みをかみしめていた。

 米移籍の1年目に、早くも首位打者と盗塁王を獲得し、新人王とMVPに輝いた。4年目には262安打を放ち、大リーグのシーズン記録を84年ぶりに更新した。

 パワー重視で本塁打の記録が重視されやすい大リーグに、巧打と強肩、俊足で新風を吹き込んだ。「打って、守って、走る」という野球本来の面白さを本場のファンたちに見せつけた。

 日本人では、投手の野茂英雄氏らがすでに活躍していたが、野手の実力は未知数だった。当初は細身のイチロー氏が活躍できるかどうか疑問視する声もあり、ファンから「『日本に帰れ』としょっちゅう言われた」という。

 日本人野手の評価を高め、松井秀喜氏ら後進への道を開いた意義は大きい。今月、日本の野球殿堂入りも決まった。日米通算4367安打を破る選手は、今後出ないかもしれない。

 洗練されたプレーの陰には、厳しい鍛錬があった。試合当日はいち早く球場入りし、ストレッチやトレーニングを重ねた。ケガが少なく、45歳まで現役を続けられたのも、こうした準備の 賜 たまもの だ。

 イチロー氏は、「少しずつの積み重ねでしか、自分を超えていけないと思っている。地道に進むしかない」と語っている。

 日本では、小学生時代から連日バッティングセンターに通い、甲子園にも出場した。オリックス時代の1995年にはリーグ優勝に貢献し、「がんばろうKOBE」のかけ声のもと、阪神大震災の被災者たちを勇気づけた。

 引退後は、米国でマリナーズの選手らを指導し、日本では高校生に熱心に野球を教えている。日米の橋渡し役として、今後も野球界の発展に力を注いでほしい。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月23日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・01.22】:トランプ氏就任 「米国第一」は何をもたらすか

2025-01-24 05:00:35 | 【米国・在日米軍・地位協定、犯罪・普天間移設・オスプレー・安保】

【社説①・01.22】:トランプ氏就任 「米国第一」は何をもたらすか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・01.22】:トランプ氏就任 「米国第一」は何をもたらすか

 ★突破力を難題の解決に生かせ★ 

 「独裁者」になると公言してはばからず、「米国第一」のためなら友好国であっても力でねじ伏せようとする。異形の米国大統領が、4年ぶりに戻ってきた。

 米国自身が主導してきた国際秩序や民主主義を不安定化させることになるのか。不確実性に満ちた時代が再び幕を開けた。

 ◆バイデン路線を転換

 ドナルド・トランプ氏が第47代米大統領に就任した。

 厳しい寒さのため、就任式の会場は、連邦議会議事堂の外から40年ぶりに屋内に変更された。招待客だけが見守る中での就任は、トランプ氏に忠誠を誓うイエスマンで固められた内向きな2期目政権を象徴するかのようである。

 就任演説では「米国第一に考える」と改めて強調した。「米国は世界に搾取されている」という独自の世界観に基づき、バイデン政権の国際協調路線から孤立主義への転換を鮮明にしたといえる。

 不法移民対策としてメキシコ国境地帯に「国家非常事態」を宣言し、米軍を派遣する方針を示した。州兵が担うべき国内の任務に、軍隊を動員するのは極めて異例だ。

 外国へのエネルギー依存を減らすため、国内で石油や天然ガスを増産し、温暖化対策のための国際的枠組み「パリ協定」から再離脱することを決めた。世界的な環境対策の取り組みが後退するのは避けられないだろう。

 経済では「外国に課税する」と述べ、「外国歳入庁」の新設を表明した。演説後、メキシコ、カナダからの輸入品に25%の関税を課す考えも改めて示した。

 両国からの不法移民や違法薬物の流入を問題視し、圧力をかける狙いがあるとみられる。

 しかし、関税を武器に保護主義的な政策を進めても十分な雇用を生み出さず、かえってインフレを再燃させる恐れがある。「米国を再び偉大にする」という公約実現の障害になるのではないか。

 ◆大富豪ら重用の影響は

 「米国第一」と並び、トランプ氏を突き動かしているとみられるのが「報復」の執念である。

 2020年大統領選での再選失敗や、刑事事件で有罪評決を受けたのは、民主党政権や国家機関による「政敵迫害」だとの見方を示してきた。司法当局のあり方を見直し、起業家のイーロン・マスク氏に官僚機構改革を担わせる。

 だが、トランプ氏の大統領への返り咲きを支えたのは、物価高に悩む庶民が中心である。特定の大富豪らの重用は、支持者の期待を裏切ることにならないか。

 また、就任初日は「独裁者」宣言通り、議会承認を必要としない大統領令を連発し、4年前の連邦議会襲撃事件に関与した支持者らに恩赦を与えた。

 大統領令は歴代大統領もしばしば発出してきたとはいえ、乱用すれば法の支配をゆがめてしまう。上下両院は共和党が多数を占める。有利な状況を生かした民主的な政策遂行を心がけてほしい。

 外交を巡り、トランプ氏は型破りの発言で世界を 震撼 しんかん させてきた。演説ではパナマ運河を「取り戻す」と述べた。デンマーク領グリーンランドにも領土的野心を示してきた。

 軍事力や経済制裁で他国を 恫喝 どうかつ するかのようなやり方は、容認できない。

 ただ、グリーンランドやパナマで中国が影響力を強め、米国や他国の権益を脅かしているのもまた事実である。

 トランプ氏の発想や物言いは乱暴で危ういが、より重要な「ディール」(取引)のための駆け引きとしてやっている可能性も排除できない。真意を注意深く探り、冷静に対応する必要がある。

 実際、パレスチナ自治区ガザの戦争を巡っては、停戦に応じなければ「地獄」が訪れるというトランプ氏の脅しが、イスラム主義組織ハマスとイスラエル双方に合意を強く促す結果となった。

 ◆日米安定の道を探れ

 一方、ウクライナ戦争の停戦には半年が必要だと認めたのは現実的である。ロシアのプーチン大統領ら強権指導者との直接交渉に頼った事態打開には限界がある。

 トランプ氏の予測困難性や突破力が、難題を動かす方向に活用されれば、好結果を生むこともあろう。ただしそのためには、日本や欧州などの民主主義陣営が結束し、米国を国際協調の枠組みにつなぎとめる努力が欠かせない。

 岩屋外相が日本の外相として初めて米大統領就任式に出席した。石破首相は2月の訪米とトランプ氏との会談を実現させ、日米関係の安定につなげるべきだ。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月22日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【三菱自動車】:「ホンダ・日産」への合流見送りへ…強みのある東南アジアでのシェア拡大に注力

2025-01-24 05:00:25 | 【経済・産業・企業・起業・関税・IT・ベンチャー・クラウドファンティング

【三菱自動車】:「ホンダ・日産」への合流見送りへ…強みのある東南アジアでのシェア拡大に注力

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【三菱自動車】:「ホンダ・日産」への合流見送りへ…強みのある東南アジアでのシェア拡大に注力

 ホンダと日産自動車の経営統合に向けた協議を巡り、三菱自動車は合流を見送る方向で調整に入った。ホンダと日産は新たな共同持ち株会社を設立して傘下に入ることを検討しているが、三菱自は株式上場を維持したうえで、両社との協業関係の強化を図る。強みとする東南アジア市場でのシェア(占有率)拡大に向け、柔軟な経営判断ができる現在の体制を当面維持する。

ホンダと日産自動車との記者会見に臨んだ三菱自動車の加藤隆雄社長(昨年12月23日、東京都中央区で)=大石健登撮影
ホンダと日産自動車との記者会見に臨んだ三菱自動車の加藤隆雄社長(昨年12月23日、東京都中央区で)=大石健登撮影

 複数の関係者が明らかにした。昨年12月にホンダと日産が統合協議入りを発表した際、三菱自は今年1月末をめどに合流するかを判断するとしていた。加藤隆雄社長は今月、「必ずしも経営統合ありきではない。選択肢の一つだ」と述べ、両社の統合協議の推移を見極める考えを示していた。

 三菱自は2016年、燃費データ不正問題が発覚して経営苦境に陥り、カルロス・ゴーン社長(当時)が主導する日産から34%の出資を受けた。現在、日産は三菱自株の27%を保有しており、持ち分法適用会社としている。

 このため、ホンダと日産の経営統合協議で、三菱自は合流するかを検討してきた。東南アジアでは一定のブランド力を持っており、米国に注力するホンダや日産とは主戦場が異なる。統合への参画で補完効果が生まれやすいとされていた。

ホンダと日産自動車の経営統合のイメージ
ホンダと日産自動車の経営統合のイメージ

 ただ、三菱自株の時価総額は今月23日時点で約7000億円で、7・9兆円のホンダや1・6兆円の日産に比べて規模が小さい。統合に参画した場合、自社の意向を共同持ち株会社の経営判断に反映させることが難しいとの懸念がある。

 三菱自株主の意向も、合流見送りの背景にあるとみられる。三菱自株の約2割を保有する三菱商事などは、経営再建中の日産が進めるリストラ策の実効性を注視すべきだとの考えがあるとされる。

 三菱自は現時点で経営統合を急がなくても、ホンダや日産との車両の相互供給や技術提携は可能とみている。ソフトウェアを更新して機能を高める次世代車「SDV」や自動運転の分野では、ホンダや日産も単独で巨額の開発費を賄うのは難しいためだ。

 23年の世界販売台数は、ホンダと日産を合わせて735万台に上る。三菱自(78万台)が統合に加わらなくても、トヨタ自動車グループ(1123万台)、独フォルクスワーゲン(923万台)に次ぐ世界3位のグループとなる。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 経済 【企業・産業・三菱自動車】  2025年01月24日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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