【金口木舌・11.13】:公権力の暴力
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌・11.13】:公権力の暴力
ハンセン病を回復した人への偏見や差別意識を解消するための展示が6月から7月にかけて県立図書館であった。療養所で暮らす回復者の作った作品の一つ、レース編みの産着に目がとまった。毛糸編みの小さな靴が添えられていた
▼旧優生保護法下で国が強制不妊手術を強いた負の歴史を伝えるパネルもあった。真っ白な産着に子どもを失った絶望感がしみこんでいるようで胸が痛んだ
▼子を産むか産まないか、いつ・何人子どもを持つかを自分で決める権利「リプロダクティブ・ライツ」は誰もが持っている。そこに国家・公権力が介入する暴力を許す法律は最近まで存在した
▼許しがたい暴力はここにも。日本保守党代表で作家の百田尚樹氏が、ユーチューブ番組で少子化対策を議論した際に「小説家のSF」と前置きした上で「30歳超えたら子宮摘出」と発言した。出産年齢のリミットを伝えたかったと釈明した。身勝手な暴論だ
▼百田氏の率いる同党は衆院選で政党要件を満たした。「発言を撤回して謝罪する」と述べたが、国政に関わる以上、「小説家のSF」では済まされない。政治家の資質は言葉にこそ表れる。
元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2024年11月13日 04:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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