路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【玉川徹氏】:斎藤元彦氏のパワハラ疑惑に「選挙結果が公益通報をはばかる後押しをしてはいけない」

2024-11-20 06:56:30 | 【22年改正公益通報者保護法・組織内部の通報が困難な時、報道機関等外部へ通報可】

【玉川徹氏】:斎藤元彦氏のパワハラ疑惑に「選挙結果が公益通報をはばかる後押しをしてはいけない」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【玉川徹氏】:斎藤元彦氏のパワハラ疑惑に「選挙結果が公益通報をはばかる後押しをしてはいけない」 

 元テレビ朝日社員の玉川徹氏は19日、テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」(月~金曜午前8時)に出演し、17日に投開票された出直し兵庫県知事選で前知事の斎藤元彦氏(47)が再選されたことをめぐり、今後の兵庫県政のあり方についてコメントした。

斎藤元彦氏(左)と玉川徹氏斎藤元彦氏(左)と玉川徹氏

 斎藤氏は劣勢が指摘されたが、当初先行が伝えられた稲村和美・前尼崎市長を終盤で大逆転し、当選を果たした。政党の支援がなかった斎藤氏の陣営はSNSを駆使した選挙戦略を展開。SNSを見て、街頭演説に訪れる有権者が激増する傾向がみられ、斎藤氏自身も、18日の報道陣の取材に「SNSは1つの大きなポイントだった」と選挙戦を振り返っている。

 番組では、斎藤氏に投票した有権者が「投票でいちばん重視したこと」として、斎藤氏の政策や主張を挙げた人の割合が、告発文書問題を大きく上回ったという内容も伝えた。

 玉川氏は「いろんな思いを持ちながらの投票。いろいろな考え方だと思う」と理解を示した上で「ただ、今回選挙結果斎藤さん再選されたからといって、例えば公益通報問題消えてしまうわけではないと思っている。公益通報者を守る法の趣旨を外して調査をしてしまった、いわゆる公益通報者探しをした部分や、これからも明らかになってくる部分だと思うけれど、力をもってそこをねじ伏せたのではないかという疑惑がある。そういう風な部分は、ちゃんと(調査を)やっていかないといけない」と述べた。

 さらに「これをおざなりにしてしまうと、公益通報をすること自体が、はばかられるようなことになるし、それを選挙結果後押しをすることになっては、ぼくは、いけないと思う」と指摘。「当選したといっても(これまで斎藤氏指摘された疑惑について)事実がどうだったのか。パワハラ(疑惑)の方も、それも事実がどうだったのかというところを、きっちり調べあげるということが、議会課せられた使命だと思う。不信任を出したということをもって終わりにせず、ちゃんと追及してほしい」と議会側にも求めた。

 番組MCのフリーアナウンサー羽鳥慎一も「パワハラはまだ(真実か)認められていないし、弁護士によっては、告発者探したという行為違法という指摘もある。そこは、当選とは別だと思う」と述べた。

 斎藤氏のパワハラ疑惑などを調査する兵庫県議会の百条委員会は、知事選が終わったことを受けて、11月25日に開かれ、斎藤氏に対する3度目の証人尋問が行われる。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・選挙・兵庫県知事選・今回の選挙結果で斎藤さんが再選されたからといって、例えば公益通報の問題が消えてしまうわけではない】  2024年11月19日  10:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・11.02】:公益通報制度/批判を施政に生かさねば

2024-11-20 06:56:00 | 【22年改正公益通報者保護法・組織内部の通報が困難な時、報道機関等外部へ通報可】

【社説・11.02】:公益通報制度/批判を施政に生かさねば

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.02】:公益通報制度/批判を施政に生かさねば 

 前知事の失職に伴う兵庫県知事選は、告発文書を作成、配布した元西播磨県民局長への懲戒処分を巡り県議会が不信任を決議したことに端を発する。この文書について専門家らは「公益通報に当たり告発者の保護が必要」と指摘するが、前知事側は「誹謗(ひぼう)中傷であり公益通報には該当しない」と真っ向から否定する。

 為政者や側近の疑惑の内部告発にどう対処すべきか。選挙戦では職場の風通しや働きやすさの改善策と相まって、公益通報制度に関する議論を深めなければならない。

 公益通報者保護法は告発者への不利益な取り扱いを禁じている。2022年施行の改正法では告発者の探索を禁じ、事業者に対し公益通報に対応する体制整備を義務付けた。

 元局長は3月、パワハラ疑惑などを指摘する文書を報道機関などに配布し、後に県内部の公益通報窓口にも届けた。一方、前知事は「うそ八百を広めた」として作成者を特定し、担当部局の調査結果を待たず5月に停職3カ月の懲戒処分とした。元局長は7月に死亡した。

 文書中の疑惑には、県議会調査特別委員会(百条委員会)の審議などで事実と判明した内容もある。現在も百条委は継続しているが、前知事への批判の高まりを受け議会は不信任決議を急いだ。調査結果が出ないまま選挙戦に突入し、有権者の判断を難しくしている側面は否めない。

 それでも選挙戦で問われるべき重要な課題は少なくない。

 その一つは公益通報に対応する体制の在り方だ。

 兵庫県の通報先は内部窓口しかなく、外部窓口も併設する神戸市や大阪府などに比べ遅れている。兵庫県では06年度以降、計135件あった内部通報のうち受理は約3割の42件にとどまるが、神戸市や大阪府ではトータルで6割を超えている。制度の実効性を高め不正の是正に生かすには、第三者が客観的に判断する窓口の設置が欠かせない。

 批判を謙虚に受け入れる姿勢も問われる。告発文書にはパワハラなどの不正行為だけでなく、阪神・淡路大震災の教訓継承や県政の意思決定の在り方などトップの政治姿勢への批判も含まれていた。手厳しい意見にも耳を傾け、施政の改善に生かす度量が求められている。

 百条委で証言した専門家は、元局長の懲戒処分が継続する現状を「違法状態が続いている」と指摘した。処分への対応も焦点となる。

 前知事を含む各候補者は公益通報に関連し、職員との意思疎通や信頼構築の重要性を訴えている。混乱した県政を立て直すために、為政者としての資質がいつも以上に問われていることを忘れてはならない。

 元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月02日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【新聞に喝!】:兵庫県知事疑惑、贈答品の〝おねだり疑惑〟より公益通報と情報保全巡る問題点の総括

2024-11-20 06:55:50 | 【22年改正公益通報者保護法・組織内部の通報が困難な時、報道機関等外部へ通報可】

【新聞に喝!】:兵庫県知事疑惑、贈答品の〝おねだり疑惑〟より公益通報と情報保全巡る問題点の総括 ■国防ジャーナリスト・小笠原理恵

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【新聞に喝!】:兵庫県知事疑惑、贈答品の〝おねだり疑惑〟より公益通報と情報保全巡る問題点の総括 ■国防ジャーナリスト・小笠原理恵 

 兵庫県の斎藤元彦知事がパワハラ疑惑などを内部告発された問題が大詰めを迎えている。斎藤知事に対する不信任決議案が可決され、今後の去就が注目される事態となった。これまでの疑惑報道の中で特産品など多数の贈答品に関する〝おねだり疑惑〟が新聞・メディアで一定の比重を占めてきたが、筆者が注目してきたのは、一連の問題の発端となった元県民局長の男性=7月に死亡=への告発者保護を巡る報道だ。

兵庫県議会で不信任決議が可決され、投票結果を聞く斎藤元彦兵庫県知事=19日、神戸市中央区の兵庫県公館(渡辺恭晃撮影)

 令和4年の改正公益通報者保護法の施行で、新たに適切な公益通報者保護をするために必要な体制や措置を講じることが事業者に義務付けられた。また、内閣府は「やむを得ない場合を除いて、通報者の探索を行うことを防ぐ措置をとる」義務があると指針を出した。通報者の探索を防ぐ義務のある県自身が告発者を特定し、処分したことは法令違反だ。

 こうした点について新聞・メディアが批判を強めるのは当然だ。しかし、見過ごされている論点がある。男性は3月12日にマスコミ、警察、議員などに厳正な調査を期待して告発文書を送った。その告発文書はなぜ斎藤知事の目に触れたのか―という疑問だ。斎藤知事の定例会見での説明によると、民間の方からの情報提供があったというが、この匿名の告発文書の取り扱いがずさんだったと言わざるを得ない。もちろん、匿名の告発には悪意や虚偽の情報もあれば、人の生死にかかわる重大な情報もある。告発文書が慎重に取り扱われていたのなら、結果は変わったはずだ。

 3月下旬に解任された男性は4月に県の公益通報窓口に通報したが、県を優先しなかった理由として「当局内部にある機関は信用できない」ことを挙げた。県知事や側近ら利害関係者による報復を恐れたのだろう。

 県議会の調査特別委員会(百条委)の冒頭では「痛恨の極みであります」と男性への黙禱(もくとう)がささげられた。産経は8月31日付の社説(主張)で「公益通報者を守れず死に至らしめた責任は重い」と断じたが、新聞・メディアは今回の疑惑について斎藤知事の去就で幕引きとせず、公益通報と情報保全の問題点について今一度総括してほしい。他の自治体でも繰り返される恐れがあるからだ。

                  ◇

 ◆小笠原理恵

 おがさわら・りえ 自衛官守る会代表。著書に『自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う』。

 元稿:産経新聞社 主要ニュース 政治 【話題・地方自治・兵庫県・兵庫県の斎藤元彦知事がパワハラ疑惑などを内部告発された問題・知事不信任決議が県議会で可決された】  2024年09月22日  10:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・04.02】:兵庫県を揺るがす「告発文書」を入手|激怒した斎藤元彦知事の評判

2024-11-20 06:52:50 | 【22年改正公益通報者保護法・組織内部の通報が困難な時、報道機関等外部へ通報可】

【HUNTER・04.02】:兵庫県を揺るがす「告発文書」を入手|激怒した斎藤元彦知事の評判

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・04.02】:兵庫県を揺るがす「告発文書」を入手|激怒した斎藤元彦知事の評判 

 今月27日、記者会見した兵庫県の斎藤元彦知事は、西播磨県民局長だった渡瀬康英氏を解任し、3月末での退職ををいったん取りやめて役職定年で降格とする人事を行った。さらに、自己都合で退職予定だった産業労働部の女性次長の退職も取りやめるという異例の事態。斎藤知事を批判する文書を渡瀬氏が作成して、兵庫県警、県議、メディアに流したことが原因とされ、女性次長もそれに関与した疑いがあるという。兵庫県庁で、いったい何が起きているのか――。

                ◆   ◆   ◆

 記者会見で斎藤知事は「県民局長としてふさわしくない行為。本人もそれを認めている。事実無根の内容が多々含まれている。職務中に職場のパソコンを使用して作成したと本人も認めている。職員の信用失墜、名誉棄損、法的課題がある。被害届、告訴も考えている。内容はウソ八百だ。ありもしない内容だ。県の業務上のダメージで看過できない」と激怒。これまでにない厳しい姿勢を見せた。

 下は、ハンターが入手した渡瀬氏が作成したとされる告発文書――【齊藤元彦兵庫県知事の違法行為等について(令和6年3月12日現在)】――である。(*黒塗りはハンター編集部)




 告発文書を読んだ、ある兵庫県の職員がこう話す。

 「斎藤知事はすべてが事実無根という感じで記者会見では話していた。しかし、当たっているところもある、いやかなりの部分がその通りとの声もある。告発されているのは、パワハラ人事のこと。これには賛同する職員も少なくない。しかし、不満があるからといって、業務時間中にウソ八百含めて文書作って流すというのは公務員として失格」

 告発文書をよく読みこむと、到底怪文書扱いできない、つまり当事者でなければ知りうることができないと思えるような内容が書かれている。最後は《兵庫県が少しでも良くなるように各自のご判断で活用いただければありがたい》とある。判断材料として斎藤知事への告発文書をどうとらえるのかは、読者にお任せする。

 ちなみに、3年前の知事選挙で大阪府の吉村洋文知事はJR元町駅前、裏金事件の西村康稔前経産相はJR大久保駅前で支援のマイクを握ったことを付記しておく。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【疑惑・地方自治体・兵庫県・斎藤元彦兵庫県知事の「疑惑」】  2024年04月02日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【新刊紹介】:ザイム真理教と闘う!救民内閣構想

2024-11-20 00:04:40 | 【財務省・財政健全化・基礎的収支・金融庁・日本銀行・国債・国と地方の借金】

【新刊紹介】:ザイム真理教と闘う! 救民内閣構想 ■国民負担を減らし、日本を元気にする秘策

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【新刊紹介】:ザイム真理教と闘う! 救民内閣構想 ■国民負担を減らし、日本を元気にする秘策

 ■内容

  財政政策、金融政策、消費税、ベーシックインカム、エネルギー政策、
原発再稼働、太陽光発電、外交、安全保障、食料安全保障、農業政策、
少子化対策、東京一極集中、政治家のリーダーシップ、
政権奪取へのスケジュール、女性の社会活躍の促進方法、
若い日本人に期待すること・・・、タブーなく、命がけで、この国の課題を議論した!

ザイム真理教と闘う!救民内閣構想

 ■目次

  第1章 政治主導で健全な財政を取り戻す
  第2章 医療や農業も広い意味でセーフティネットになる
  第3章 タブーなき社会への道筋
  第4章 現実を知らない官僚たち
  第5章 東京一極集中をどうするか
  第6章 諦めを希望に変える救民内閣構想
  第7章 政治の力を信じるために
  第8章 次世代へのバトンタッチに際して

  発売日:2024/11/1

  本体価格:1,600円+税

 ◆はじめに


森永卓郎

 泉房穂さんとお話しして感じたのは、日本にも、ようやくまともな政治家が登場したなということだ。泉さんの主張の根底は、市民あるいは国民が幸せになることを最優先した政策だ。一見、とても普通で、既存の政治家も、選挙のときには、同じようなことを言う。ところが、選挙が終わった途端に、財政当局や業界からの圧力に屈して、あるいは自分の利益を優先するために、市民や国民生活のことが二の次になってしまう。

 ところが泉さんは、明石市長を務めた12年間で市民生活の改善を最優先した政策をブレずに実行し続けてきた。そして、そのときに確立した政治手法を用いて、10年計画で日本の経済社会全体を変えようとしている。しかも、その改革は、選挙を通じて、段階的に構造転換を図るという、とてつもなく「まとも」なものだ。

 私自身も、国民生活最優先の政策に転換すべきという思いはまったく同じだ。ただ、そこに向けての取り組みは、泉さんとは全く異なる。泉さんが、いわば「正規軍」をつくろうとしているのに対して、私がいまやっているのは「ゲリラ戦」だ。

 ゲリラ戦に取り組む理由の一つは、私が終末期のがんであることも影響している。あとどれだけ生きられるかは、正直言ってよく分からないのだが、10年後まで生き残れる可能性は、ほとんどないので、短期勝負に出ざるを得ないのだ。

 もう一つは、私の信念として、これまで一貫してやってきたのが、「誰とも共闘しない」ということだ。共闘をすると、仲間に巻き込まれてしまうリスクがあるし、自分が仲間を巻き込んでしまう可能性もある。そして仲間をつくるということは、仲間以外を「仲間外れ」にすることを意味する。私は常にオープンでいたいのだ。オープンでいないと、正確な政策評価ができないからだ。

 その意味で、オープンな立場からみても、泉さんの「救民内閣構想」は、閉塞感が広がる日本にとって、希望の光となる実に出来のよいグランドデザインだと思う。論理的で、実績を踏まえた実現可能性があり、何より国民生活を確実に改善する力を持っているからだ。

 だから、私は泉さんの改革に心から期待しているし、成功を祈っている。ただ、その一方で、例えば泉さんの政治活動に参加する人に選挙で推薦を出したり、応援演説をしたり、ましてや私自身が活動に参加することは、絶対にない。そんなことをしたら、せっかく生まれた本当の改革ビジョンが、私のせいで壊れてしまう可能性があるからだ。

 泉さんは、とてもバランス感覚にすぐれた人で、どこまで言ったら、マスメディアで干されてしまうかをきちんと計算して、干されないギリギリのラインで発言を続けている。一方の私は、リミッターを完全に外してしまったため、すでに大手メディアの報道・情報番組や記事からは、完全に干されている。

 だから、私の役割は、救民内閣構想が確実に歩みを進められるように、単独ゲリラとして、既得権益者たちに先制攻撃をかけることだと考えている。泉さんは長距離ランナー、私は短距離ランナーだ。短距離ランナーは、食事や水分補給のことなど考えない。息継ぎのことさえ気にせず、ただただ全速力で走り抜けることだけを考える。

 だから、泉さんと私の活動は、一見、何のつながりもないようにみえて、実は目指しているゴールはまったく同じだったということが、後から判明する。それが、私が考える泉さんの救民内閣構想への最大の応援だと考えている。そうした背景があることを前提に本書を読んでいただければ、2人の発言をより深く理解していただけると思う。

 ◆おわりに


 憧れの森永さんの思いを引き継いで
 泉 房穂

 命を燃やしている。
 お会いする前からずっと憧れの存在だった森永卓郎さんと、ラジオ番組とこの対談で数回のお話をすることができ、私の心に浮かんできたのはそんな言葉です。

 お話をさせていただくと、真摯な思いと使命感が満ちていて、同時に、ある種の心地よさとか、純粋な好奇心や愛情に基づいているのが伝わってきます。病気を抱えているとはいってもまったく悲壮感がなく、好きなこと、やるべきことをひたすら追求していらっしゃる姿はうらやましいくらいです。まさに「誰よりも生きている」。そんな思いになります。

 もともと大学の先輩ですし、昔からご活躍は存じ上げていましたから、忖度せずに自分の主張をはっきりおっしゃる姿は憧れでした。以前、話題の『ザイム真理教』を手に取ったところ、国の子育て支援や介護負担の軽減が進まないことを訴えた私のツイートを取り上げてくださっている数行を見つけ、感激に心が震えたものです。

 そして、2023年末、ステージ4のすい臓がん(当初)で抗がん剤治療を始めるというニュース報道を目にして、そこに「桜の花が見られないかもしれない」という余命宣告があったことに、心からの思いを込めて「ぜひ桜を見てほしい」というツイートをした立場ですが、夏を過ぎても、誰もついていけないようなスピードで、膨大な仕事量をさばきながら、どんどん前に向かっている姿を後ろから追いかけている気持ちです。

 何より尊敬を覚えるのは、早い段階から自分の目を信じ、経済アナリストとしての信念と庶民の目線を貫いて、忖度せずに、長年にわたって第一線で社会的影響力をお持ちになっていることです。よく冗談めかせて、干されたなんておっしゃいますが、著書のシリーズは飛ぶように売れていて、「伝えるべきことを」というブレない姿勢を見るにつけ、手放しに「なんて格好いいのだろう」と感じます。

 しかも、楽しんでいて、お声が明るく、人間的な魅力にあふれていらっしゃる。誤解を恐れずにいえば、ご病気になられてからは、さらに加速して走り続けている姿に凄みを増していると思うばかり。そんな森永さんと、私にとっても大事な局面で対談して本を出せるなんて、こんなに光栄なことはないと思っています。

 私は、国民のもとにお金を残す政治をしたいと思っていて、どんな場面でもそれを伝え続けています。財務省をはじめとする官僚政治や、前例主義、横並び主義にまみれた行政や政界のあり方にはつくづく嫌気がさしていて、いいかげんにしてほしいと思うのです。

 だからといって、私は諦めていません。腹をくくって、体当たりで日本の病巣をはっきりと指摘し、根本から変えていかないとこの国はダメになると声を上げる森永さんとは共通の思いがあり、何をどう変えていったらいいか、真剣にご相談申し上げてきました。

 そこで思い浮かぶのは、アンデルセンの「裸の王様」の物語です。ピかピカの新しい洋服で着飾ることが大好きな王様なのですが、世界で一番の布が織れると名乗る詐欺師がやってきて、「これはバカには透明で見えない特別な布なのだ」と言います。王様は自分がバカだと認めなくないために「素晴らしい布だ」と言い、大臣たちは王様に忖度し、ただ持ち上げているだけ。そこに1人の少年がやってきて、「王様は裸だ!」と見たままを告げるというお話です。

 そのお話で言うなら、森永さんは、自分は王様は裸だと叫ぶ少年だと言います。私は、これから20年を切り開いていかなければいけないと思っていますから、王様が裸であることを認識しつつ、どうやってまわりに王様が裸であることがわかってもらえるだろうかと、冷静に考えている状況です。「見てごらん、王様は裸だよ」と言っても、信じてもらえるとは限りません。

 今の日本は、本当は裸なのに、誰もそれが言えない状況なのです。多くの人は心の中で(見えないけど、もしかして裸じゃないのかな?)と思いながら、自分の目を信じられず、周りの噂だけを信じて、「きれいなお召し物やね、色は何色なの?」とまわりに聞いているのですが、真実は裸なのですから、見えるはずがないのです。

 そこで私の役割は、「ねえ、みんな、本当は裸なんやで、こそっ」という感じで、少しずつ真実を明らかにしていく。その味方をもっと増やさないといけないと思っています。もし味方が少ない状態で乗り込んでも、王様やまわりの家来たちが逆切れして「逮捕だ!」と捕まるだけじゃなく、一族郎党含めて抑えつけられてしまったら、一巻の終わりです。

 闘いは闘いです。そこは勝たなくてはいけませんから。森永さんとは「王様が裸である」ことの認識は一致しているんです。今の日本を鑑みると、裸でありながら王様であり続けているのを「もう王様の時代は終わりだよ」と引導を渡すことが必要です。「あんな裸でいる王様なんて」と噂をしたり、ただはやし立てるだけではだめなんです。

 ザイム真理教は、見えない衣装を褒め称え、「素晴らしい布でできていますね」と持ち上げ、王様に噓と誤解を吹き込み、裸で歩かせている愚かな家来でしょうか。裸でありながら、そのことに気づかない王様と、自分の都合のいいように王様を操ろうとする家来たちにこの国をゆだねず、そして王国から共和国に変えて、自分の意見を自由にいえる公平な世界をつくり、その中から選ばれた代表が王様にかわって国を率いていく、そんな未来を思い描いています。

 森永さんは、おろかな支配者たちを突き上げるだけでなく、リスクやギャンブルに身を任せることの危険を真摯に訴えます。そして、食べるものやエネルギーを自分でつくり、自然を愛でながら、豊かに暮らす方法も指し示してくれています。森永さんが切り開いた道と、そこにかける思いをしっかりと受け継いで、それを広く伝えていく使命を感じています。可能な限り、ともに進んでいきたいという気持ちです。

 元稿:総合出版ビジネス社 主要出版物 社会・国際・政治 【話題・著書「ザイム真理教と闘う! 救民内閣構想」】  2024年11月01日  09:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【新刊紹介】:国家は葛藤する ■なぜ日本は貧乏くさい国になったのか? 国運衰退にはセオリーがあった!

2024-11-20 00:04:30 | 【新聞社・報道・マスコミ・雑誌・世論調査】

【新刊紹介】:国家は葛藤する ■なぜ日本は貧乏くさい国になったのか? 国運衰退にはセオリーがあった! タガの外れた国難的危機をいかに抜け出すか?

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【新刊紹介】:国家は葛藤する ■なぜ日本は貧乏くさい国になったのか?  国運衰退にはセオリーがあった! タガの外れた国難的危機をいかに抜け出すか?

国家は葛藤する 「いい加減」で乗りきれ!日本の未来 池田清彦/著 内田樹/著 オピニオンノンフィクション書籍の商品画像

 第1章●政治家の劣化が加速し迷走する日本
 第2章●日本の岐路、あり得た未来を考える
 第3章●葛藤国家・日本の誕生
 第4章●エリート教育に失敗した日本
 第5章●葛藤国家・日本の未来

はじめに


池田清彦

 内田樹さんとは短い対談を何度かしたことがあったが、今回少し長い対談をして、日本をどう立て直すべきか、という構想がよく似ていることを知って愉快であった。内田さんも私も「いい加減」にやろうという考えなのである。「いい加減」って何となくネガティヴなコトバのように聞こえるが「良い加減」と発音すると、いきなりポジティヴなコトバになるから不思議だ。同じことなんだけどね。

 「いい加減」とは無矛盾性を追求しないで、今使える社会的リソースを駆使して、人々が今より多少とも幸せになるには、とりあえず何が一番緊急の課題かという、すぐれてプラグマティックな方法論なのだ。多くの日本人はかなり真面目なので(相当なおバカという意味でもあるが)、首尾一貫性をとても良いことのように思っている人が多いけれども、状況は刻々と変わるのだから、首尾一貫性は滅びへの道なのである。

 太平洋戦争は典型で、一度決めたことを変えることができなかったので、戦況が悪くなっても戦争継続以外の選択肢に目を塞ぎ、ひたすらクラッシュに向かって突き進んだ。結果310万人もの日本人が殺されたわけだからひどい話である。今、規模が小さいとはいえ、大阪万博も同じ道を歩んでいるように見える。アメリカの哲学者のエマソンは「首尾一貫性は小人の心に宿るお化けみたいなものだ」と喝破している。「いい加減」の価値を知らない日本人にはエマソンのコトバは理解不能かしらね。

 「いい加減」でない人は損切りができない。今までつぎ込んだ資金や努力を捨てることができない。ここでやめたら今までの努力が水の泡だから、もっと頑張らなければ、というパトスは滅びへの道だ。太平洋戦争を途中で切り上げられなかったのも、ここで白旗をあげたら今までに戦死した兵士の命が無駄になるという思いに拘泥したためだ。それで、それまでとは桁違いの人が亡くなったのだ。

 歴史が我々に教える最大の教訓は、すべての政治システムは崩壊するということだ。長い歳月に耐える政治システムは存在しない。システムに合わせて状況が変わるわけではないので、状況が変わればそれに合わせてだましだまし生き延びるほかはない。

 私事になるが、結婚式のとき(結婚式の費用は親父が金を出してやるから、やれというのでイヤイヤやったのだ)、牧師がムニャムニャと御託を並べて、最後に「永遠の愛を誓いますか」聞いた。女房は「はい」と言ったが、私は「わかりません」と言って、牧師はちょっとびっくりしたようだった。

 私の友人の昆虫分類学者は、自分が記載した新種の虫の学名に奥さんの名前を付けたが、しばらくして離婚した。学名は永遠だが、愛は永遠ではないのである。「君が代は千代に八千代に……」と続くわけだが、永遠という甘美な響きは頭の中にだけある妄想であって、騙されると痛い目にあう。

 ヒトの個体の寿命はせいぜい100年、人類という種の寿命はせいぜい200万年。未来永劫のことを考えても詮無せんないのだ。余命が50年の人は50年つつがなく生きられる方途を考えるのが一番重要で、100年後のことを考えるなとは言わないが、未来のために今の生活を犠牲にするのは本末転倒だ。

 瀕死の病人は、とりあえず命が助かることが最重要課題であって、それ以外のことは命が助か ってから考えればいいのだ。というわけで、内田さんとは今の日本が直面している待ったなしの問題のいくつかについて意見を交換した。食料問題、少子高齢化問題、日本の国力がノンストップで下がり続けている根本原因、教育の崩壊をどう立て直すべきか、日本人のコモンセンスをどのように担保するか、などなど。

 私が今一番心配しているのは食料自給率が38%しかないという現状だ。内田さんもこれについては異存はないと思う。国民の生活にとってもっとも大事なものは食料である。気候変動や、火山の大爆発によって、世界的な食糧難になったときに、自給率38%はいかにも危うい。

 食糧輸出国でも自国民の食料が足りなくなれば、日本に売る分はないというに違いない。そうなると日本人の半分は飢えに直面するだろう。私の試算では減反前にコメの生産量を戻せば、自給率は60%近くまで回復する。これは早急にやるべきだ。軍事費をいくら増強しても、戦闘機は食えない。

 少子高齢化は期間限定の問題で、あと15年〜20年もたてば、自然に解消されるので、恒久的なシステムを作らずに、その間だけ老人にベーシックインカムを配るなどのアド・ホック(一時しのぎ)な政策で乗り切ればよい。これも「いい加減」の見本のような話だけれど、内田さんは賛成してくれるだろう。

 日本が、天皇制と立憲デモクラシーという矛盾する統治原理を上手く折り合わせるにはどうすべきかも、この対談の重要な論点だ。過激なリバタリアンの私は、究極のところでは天皇制に反対だけれども、天皇は日本人のコモンセンスの範例としてとても優れているので、とりあえずは潰さないほうが賢そうだ。二つの矛盾した統治原理を、矛盾したままでだましだまし使うというのが「いい加減」の極致のやり方で、矛盾を解消しようと思うと大体、ろくなことにはならないのだ。

おわりに


内田 樹

 池田清彦先生とは養老孟司先生が主宰する「野蛮人の会」ではじめてお会いしました。もう20年くらい前だと思います。「野蛮人の会」というのは僕が勝手に命名しているだけで、そういう名前の会があるわけではありません。

 最初に養老先生のご招待で「ふぐ」をごちそうになったときに、同席している人たちについて「先生、この人たちをどういう基準で人選されたんですか?」と伺ったら養老先生が「全員、野蛮人てことだろう」と呵々大笑されたことにちなんでおります。

 その中に池田先生もいて、賑やかにお酒を飲んで、ふぐを食べて、大声で笑っていました。池田先生とはそのときにはじめてお会いして、「なんだかやたらに楽しそうな人だな」と思いました。それから養老先生の招集する会で毎年お会いするようになりました。

 あるとき、池田先生とおしゃべりしていたら、池田先生が「養老さんは内田さんのこと『内田さん』て呼ぶだろ? でも、オレのことは『池田君』て呼ぶんだよ」と言って実にうれしそうに笑ったのを覚えています。なるほど、見渡すと「野蛮人の会」で養老先生から「君」で呼ばれているのは池田先生だけなんです。

 2人の距離感は特別なんだなと思って、すごくうらやましくなったことを覚えています(もちろん、池田先生は僕を『うらやましがらせる』ためにそう言ったのです。ぐむむ)。池田先生はそういう「少年」ぽい人なので、おしゃべりしていると、なんだかこちらも大学生に戻ったような気になります。

 それから二人で対談を何度かすることになりました。池田先生の話はどんどん暴走するのですけれど、僕も「話をまとめる」とか「わかりやすい結論に落とす」ということにはぜんぜん興味がないので、たいてい2人して話をさんざん散らかしたまま、「おや、時間となりました」で終わってしまいました。企画した人には申し訳ないけれど、こればかりは性癖なので仕方がありません。

 だから、この本の企画が持ち込まれたときにも「大丈夫かしら」と思いました。編集者には「こんな本を作りたい」という何らかの心づもりがあってのことなのでしょうけれど、たぶん「そんな本」にはならないと思ったのです。実際、企画書に書いてあることとはぜんぜん違う話を2人でしゃべっているうちに規定の時間を使い果たしてしまいました。でも、こうやって文字起こししてみると、それなりにまとまった対談になっていたので、ほっとしました。

 「まえがき」で池田先生が書いてくださっているように、先生と僕の意見が合うのは、「アド・ホック」ということについてです。ad hoc はラテン語原義は「これのために」(for this)で、「とりあえず」とか「その場限りの」という意味で使います。本邦の表現に言い換えると「臨機応変」です。

 僕は関西弁でいう「イラチ(せっかち)」です。それも「病的な」と形容がつくほどのイラチです。だから、無駄なことで時間を費やすことができません。そういう病的イラチの人間がたどりついた実践的な教訓は「複雑な話は複雑なまま扱うほうが話が早い」ということです。

 誤解している人が多いのですが、「複雑な話を簡単」にするとたいていの場合、「話が遅く」なります。複雑な現実を無理やり簡単なスキームに押し込めば、たしかに話が簡単になったようには見えますが、現実は相変わらず複雑なままです。そのうち現実は「簡単なスキーム」ごと吹き飛ばして、一層複雑なものになって再帰してくる。そういうものなんです。話を簡単にした分だけ結果的には無駄をしたことになる。僕はそういう無駄ができない人なので、いきおい「話を複雑にしたまま話を進める」ことになります。

 話を複雑にしたまま話を進める場合でも、「複雑な話」にちょっとガムテープを貼ったり、糸で縫ったり、ホッチキスで止めたりということはします。そういう手当をしておかないと「複雑な話」は持ち運びできませんからね。でも、それはあくまで「一時しのぎ」であって、長持ちはしない。だから「アド・ホック」なんです。でも、そういう「その場しのぎ」を続けているうちに、複雑な話の複雑さを保ったまま、けっこうな距離を踏破することがあります。

 そして、そうやって時間稼ぎをしているうちに話を複雑にしていた要素のうちのいくつかがなくなるということが起きます。事態を紛糾させていた人物が死ぬとか、支配的だったイデオロギーが飽きられるとか、磐石に思えたシステムが壊死えしするとか、いろいろです。話を簡単にしたがる人たちはこの「一定の時間複雑なまま放っておくと、いつのまにか自然に問題が簡単になっていることがある」ということにあまり気づいていないようです。

 話を簡単にしたがる人は、「まず話を簡単にして、そこから複雑な話に進む」ということが知性の働きだと思っているようですけれども、それは違います。複雑な話の複雑さを毀損きそんしないまま、それを「ペンディング」する作法を工夫するところに知性は発揮される。僕はそう信じています。

 例えば、レヴィナスの「他者」という哲学的概念はきわめて難解であり、意味がよくわかりません。だから「レヴィナス哲学を論じるにあたって、まずキーワードを一意的に定義しようではないか」というようなことを言われるととても困ります。そんなことできるはずがない。

 何十冊からレヴィナスを読み込んだあとに、ようやくその概念の手触りがわかるような難解な概念については、「ペンディング」しておくほうが話が早いんです。だから、「まあ、『他者』と言ったらとりあえず『他の人』だわな」くらいのアバウトな了解にしておいて、じゃんじゃんレヴィナスを読んでいくほうが話が早い。これが池田先生の言われる「アド・ホック」の骨法だと僕は理解しております。「まあ、とりあえず……だわな」で話を進める。

 本書では、日本が天皇制と立憲デモクラシーという二つの両立しがたい統治原理をなんとか折り合わせていくためにはどうしたらいいのかという話が重要なトピックの一つとなっていますが、こういう複雑な問題については「これが正解」というシンプルな解を提示してみせてもあまり意味がありません。

 例えば天皇制は「是か非か」について「まずこれを決してから、次にその具体的手順について話を進めよう」と言っても、無理なんです。「天皇制を廃止する」ことについての国民的合意を形成しようとしたら、膨大な政治的リソースをこのために投じなければならない。それ以外の政策的課題をぜんぶ後回しにして、ひたすら「天皇制は是か非か」を論議しなければならないし、結果によっては深刻な国民的分断を招きかねない。

 僕はそんなことをしている余裕は日本にはないと思っています。そんな暇があったら、それ以外の、具体的に日本のためになること(食糧とエネルギーを自給するとか、地方移住・地方分権を進めるとか、学術的発信力を高めるとか)を優先的にしたほうがいい。ものごとには優先順位というものがあります。

 火事の現場で「なぜ火事は起きたのだろう」と熟慮する人間も、「被災者たちを慰藉するために私たちは何をすべきだろう」と熟慮する人間も消火活動の邪魔になります。そういうときは、「いいから火を消すの手伝えよ」と言われる。火事の原因を究明することも、被災者を支援することも、たいへんに大切なことではありますけれど、現場では「火を消す」ことが優先する。

 「アド・ホック」というのは「その場しのぎ」というだけの意味ではありません。「とりあえず」とか「さしあたり」とかいうことがきっぱりと言えるためには「ものごとの優先順位」がわかっていないといけない。これはきわめて叡智えいち的な営みなのです。

 池田先生と僕がこの対談の中で話していることは、よく読むとわかって頂けると思いますが、「とりあえず」なすべきことと、なぜその優先順位が高いのかをめぐっています。ほとんど「それだけ」しか話していないと言ってもいいくらいです。ということは、この対談の中で僕たちは「一般論」をほとんど語っていないということです。

 「一般論として正しいこと」は基本「無時間モデル」です。「一般論として正しいこと」はたいていの場合、手持ちの時間が有限であること、手持ちの知的資源が有限であることを勘定に入れていません。そして、僕たちは「有限」ということが気になって仕方がない人たちなんです(池田先生のお得意な「オレはもうすぐ死んじゃうけどね」というのは使える時間と資源が「有限」であるから、それを投じる先の「優先順位」の決定が大事であることを強調するために繰り返されているのです)。

 われわれはいわば冷蔵庫にある「賞味期限ぎりぎりの豚肉とキャベツともやし」で何が作れるかというようなことを話し合っているのでありまして、それは「金と時間がたっぷりあるとこんなに美味しい料理が食べられます」というのとはぜんぜんレベルの違う話なんです。

 おっと、どうすれば話を早くできるかを縷々るる説明していたら、すっかり話が長くなってしまった。老人の話は長くなっていけませんので、もうこれで終わりにします。最後になりましたが、あちこちへ逸脱する話をなんとかとりまとめてくださった近藤碧さんのご苦労ご心労にお礼とお詫びを申し上げます。長い時間とりとめのないおしゃべりのお相手をしてくださった池田清彦先生のご海容にも伏して感謝申し上げます。また遊んでくださいね。

 ■本体価格 1,600円+税

著者略歴(内田樹)
1950年東京都生まれ。神戸女学院大学名誉教授。神戸市で武道と哲学のための学塾「凱風館」を主宰、合気道凱風館師範(合気道七段)。東京大学文学部仏文科卒、東京都立大学人文科学研究科博士課程中退。専門は20世紀フランス文学・哲学、武道論、教育論。主著に『ためらいの倫理学』(‎KADOKAWA)、『レヴィナスと愛の現象学』(文春文庫)、『寝ながら学べる構造主義』(文春新書)、『先生はえらい』(ちくまプリマー新書)など。第六回小林秀雄賞(『私家版・ユダヤ文化論』文春新書)、2010年度新書大賞(『日本辺境論』新潮新書)、著作活動全般に対して第三回伊丹十三賞を受賞。近著に『街場の身体論』(エクスナレッジ)、『勇気論』(光文社)、『図書館には人がいないほうがいい』(アルテスパブリッシング)など。
著者略歴(池田清彦)
1947年、東京都生まれ。生物学者。東京教育大学理学部生物学科卒、東京都立大学大学院理学研究科博士課程生物学専攻単位取得満期退学、理学博士。山梨大学教育人間科学部教授、早稲田大学国際教養学部教授を経て、現在、早稲田大学名誉教授、山梨大学名誉教授。高尾599ミュージアムの名誉館長。生物学分野のほか、科学哲学、環境問題、生き方論など、幅広い分野に関する著書がある。フジテレビ系『ホンマでっか!?TV』などテレビ、新聞、雑誌などでも活躍中。著書に『食料危機という真っ赤な嘘』(ビジネス社)、『多様性バカ』(扶桑社)、『人間は老いを克服できない』(角川新書)、『SDGsの大嘘』(宝島社新書)など多数。また、『まぐまぐ』でメルマガ『池田清彦のやせ我慢日記』
(http://www.mag2.com/m0001657188)を月2回、第2・第4金曜日に配信中。

 元稿:総合出版ビジネス社 主要出版物 社会・国際・政治 【話題・著書「国家は葛藤する ■なぜ日本は貧乏くさい国になったのか? 国運衰退にはセオリーがあった!」】  2024年11月01日  16:15:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【新刊紹介】:ヤンキー 母校に恥じる ヨシイエと義家氏

2024-11-20 00:04:20 | 【新聞社・報道・マスコミ・雑誌・世論調査】

【新刊紹介】:ヤンキー 母校に恥じる ヨシイエと義家氏

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【新刊紹介】:ヤンキー 母校に恥じる ヨシイエと義家氏

ヤンキー 母校に恥じる ヨシイエと義家氏

 

 【作品の説明】:

  • 「ヤンキー先生」を世に送り出したテレビディレクターがつづる悔恨と検証のドキュメント。私の知るヨシイエはもういない。自民党の集まりやメディアで「ヤンキー先生」と紹介されている人は、私が描いた「ヤンキー先生」とは別人だ。それならば、私にできること、しなければならないことは、一つしかない。「ヨシイエ」と「義家氏」の間に、境界線を書くことだ。できるだけ濃く、できるだけ太く。私はささやかだが、ある行動を起こすことにした。

 ■この生き様、上昇か?転落か?
  『ヤンキー母校に帰る』ヤンキー先生こと義家弘介氏は、なぜ変わってしまったのか?

 ■ヨシイエと義家氏
  不良少年時代より「ヨシイエ」を取材し続け、今は音信不通となった北海道放送ディレクターがつづる
 悔恨と検証の記録。
 「義家氏」を生み出したのは、誰だ!? 

 ■目次

  序 章 「祭りのあと」の二十年
  第1章 バクダン貴公子
  第2章 ヤンキー母校に帰る
  第3章 天国と地獄
  第4章 「訴訟を検討している」
  第5章 副大臣と「俺の夢」たち
  第6章 やっぱりおまえはヤンキーだった
  第7章 道の先
  最終章 「いってらっしゃいませ!」

  発売日:  2024年11月11日頃

   価格:販売価格 : 1,600円 (税込:1,760円

 ■[著者プロフィール]
 河野啓(こうの・さとし)
  1963年生まれ。北海道放送のディレクターとして、「学校とは何か?」(放送文化基金賞本賞)
 「ツッパリ教師の卒業式」(日本民間放送連盟賞)などを受賞。
 作家としても、『デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場』で開高健ノンフィクション賞、『北緯43度の雪』で小学館ノンフィクション大賞を受賞するなど高く評価されている。

 元稿:三五館シンシャ 主要出版物 ビジネス 【政治・社会・新刊・「ヤンキー 母校に恥じる ヨシイエと義家氏」】  2024年11月11日  09:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【書評】:『検証 大阪維新の会』 その政策の本質は“公共の利益よりも個人の利益” 財政ポピュリズムが行き着く先

2024-11-20 00:04:10 | 【政党・自民・立憲・維新の会・公明・国民民主・共産・社民・れいわ・地域政党他】

【書評】:『検証 大阪維新の会』 その政策の本質は“公共の利益よりも個人の利益” 財政ポピュリズムが行き着く先

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【書評】:『検証 大阪維新の会』 その政策の本質は“公共の利益よりも個人の利益” 財政ポピュリズムが行き着く先

 【書評】『検証 大阪維新の会──「財政ポピュリズム」の正体』/吉弘憲介・著/ちくま新書/968円 【評者】岩瀬達哉(ノンフィクション作家)

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 『検証 大阪維新の会──「財政ポピュリズム」の正体』/吉弘憲介・著(NEWSポストセブン)

 失職し、出直し知事選に立候補を表明した兵庫県の斎藤元彦前知事は、「大阪維新の会」の危うさを体現していたのかもしれない。  

 政策の中身成果よりイメージ優先で、陣頭指揮をとる姿をいかにマスコミに報道させるか。常に心を砕く一方、批判には過剰反応し、公益に関わる通報であっても徹底して潰してきた。傲慢独善的権力行使は、維新の創設メンバーだった橋下徹元大阪府知事が、「気にいらない記者は袋叩きにする」と語っていた管理手法に通じるものがある。  

 著者は、「維新の政策の本質的性格」を、人、モノ、カネからなる「財政政策」によって分析。ローカルな「地場政党」が、10年余りで全国的な人気を獲得するに至った秘密をはじめて解き明かした。  

 看板政策である「身を切る改革」や「大阪の成長を止めるな」といったスローガンの「イデオロギー的粉飾をはぎ取った」先にあったものは、公共の利益よりも「個人の利益に焦点をあてた財政ポピュリズム」であった。  

 人気取りの手段としての財政ポピュリズムは、マジョリティの意向を尊重するため、マイノリティを踏み台に使う。「所得制限を設けない、私立高校の完全無償化」は、税の還元として府民から喝采を受けた。しかしその裏側で、「心身上のハンディキャップをもつ児童・生徒が通う」特別支援学校の各種教材費や肢体不自由生徒の補助スタッフは「ひっそりと削減」されていたのである。

 「大阪の成長」にしても、「部分的な経済データ」を都合よく切り取り、「一部の地域や事業に偏った」成長を欺瞞的に述べていたにすぎなかった。公務員制度をやり玉にあげ、公務員の既得権益を削減するといった政策も、窓口業務などを「大手の人材派遣」会社に付け替えたもので、あらたな利権臭すらする改革だった。行政の本来の役割を歪めた維新の「財政ポピュリズム」は、やがて「私たち全体を貧しくする」との警告は暗示的である。

 ■※週刊ポスト2024年11月1日号

 元稿:小学館 主要出版物 週刊ポスト 社会 【話題・書評】  2024年10月24日  16:15:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【書評】:大阪・関西万博「失敗」の本質 松本創 編著

2024-11-20 00:03:50 | 【政策・閣議・地方創生・愚策、マイナカード・2025大阪万博、公権力の暴力他】

【書評】:大阪・関西万博「失敗」の本質 松本創 編著

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【書評】:大阪・関西万博「失敗」の本質 松本創 編著

 ◆誤算を認めないニッポンの縮図

 理念がない、仕切り屋もいない、工事も進まない。なぜこんな事態のまま進んでしまったのか? 政治・建築・メディア・財政・歴史の観点から専門家が迫る。

大阪・関西万博 「失敗」の本質 松本 創(編著) - 筑摩書房

 ■内容紹介

 開幕前からあえて「失敗」と断じることには反発も当然あるだろう。だが、こうしたメガイベントというのは、五輪もそうだが、事前に批判すれば「楽しみにしてる人もいるのに水を差すのか」「成功へ努力する関係者の足を引っ張るのか」と言われ、事後に検証すれば「終わったことをいつまでも」「今さら言っても遅い。なぜ事前に言わないのか」と批判されるのである。どんな形であれ、とりあえず終わってしまえば、なんとなく「やってよかった」という空気ができ、それに乗じて関係者は「大成功だった(私の手柄だ)」と言い募る。「成功」の基準がないから、いくらでも恣意的に語られてしまう。そうなる前に、「失敗」と見る立場から問題を整理し、指摘しておくべきだと考えたのである。
(「はじめに」より)

 第1章 維新「政官一体」体制が覆い隠すリスク―万博と政治  木下功

 「歓喜の夜」から一転、次々と噴き出す課題/夢洲は本当に「負の遺産」なのか/橋下知事の「ベイエリア・カジノ構想」から始まった/「松井試案」を後押しするベンチャー経営者/支え合う維新と安倍政権、絡み合うIRと万博/万博は「府市一体の成果」とアピールする維新/予算増を予測できぬ協会、容認する維新首長/15万人が避難? 現実味を欠く防災対策/橋とトンネルは避難路に使えるか/「夢洲は液状化しない」想定の誤り/爆発事故で問われた万博協会の説明不足/巨大事業を検証する仕組みがない/大阪府HPから消えた万博議事録

 第2章 都市の孤島「夢洲」という悪夢の選択―万博と建築  森山高至

 日本の万博出展史に見る海外パビリオンの重要性/建設遅れは参加国ではなく開催国の責任/「夢洲」という悪条件―埋め立て安定せず、地盤沈下続く/地盤対策上の制約その1―長すぎる杭と撤去の問題/地盤対策上の制約その2―掘削制限で地下室が作れず/浚渫土からもメタンガス。爆発の危険は今後も/アクセス悪く電源もなし、「都市の孤島」の難工事/厳しい残業規制が工事進捗の足かせに/参加国をフォローせず、タイプXを勧めた万博協会/参加国の焦り―設計者や工事業者見つからず/電通の不在とゼネコンの「逃げ腰」/木造リングが覆い隠す深刻すぎる工事遅れ/本質見ず、議論もなし。暴走する「机上の空論」

 第3章 「電通・吉本」依存が招いた混乱と迷走―万博とメディア  西岡研介

 東京五輪談合事件の衝撃と余波/電通が牽引した戦後の博覧会60年史/大阪府・市と政府、維新と自民の不協和音/電通が万博に消極的になった理由/吉本興業の「地方創生」ビジネス、大阪府・市との蜜月/読売グループがカジノを批判する理由/IRにらみで万博を盛り上げる吉本の思惑/「大﨑体制見直し」と「松本スキャンダル」/吉本も万博から「完全撤退」/万博協会の失敗は「人事」と「財務」/「哲学」のない万博に成功はあるか

 第4章 検証「経済効果3兆円」の実態と問題点―万博と経済  吉弘憲介

 万博コスト増への反論で持ち出される「経済効果」/そもそも経済波及効果とは何か―短期と中長期の二面から/短期効果と中長期効果、それぞれの問題点/経済波及効果を計算する三つのステップ/経済波及効果と事業の「正当性」は関係ない/万博の短期経済効果はどのように変化してきたか/消費動向、2024年問題……実態と乖離した3兆円試算/「来場者2820万人」の高すぎるハードル/レガシー効果は「公益性」の有無で決まる/公共事業を長期的視点で評価するために/独自調査で判明「大阪でも低い万博評価」/万博の公益性と相容れない維新の「個人の利益追求」志向

 第5章 大阪の「成功体験」と「失敗の記憶」―万博と都市  松本創

 博覧会の成功、湾岸開発の失敗、カジノの未来/博覧会都市の始まり「第五回内国勧業博覧会」/都市を広げ、人・物の流れ変えた70年万博/維新ブレーン・堺屋太一の提案から始まった/「万博に取りつかれた男」との空疎な質疑/排除と差別、博覧会の「負の歴史」/テクノポート計画の挫折、大阪五輪の惨敗/維新の原点「府庁移転計画」と「湾岸開発」/夢洲開催案は本当に検証されたのか/大阪IR―少数の推進派と大多数の無関心/万博を狂わせたIRの誤算―橋爪教授の見解/「過去の成功体験」が「同じ失敗」を呼ぶ懸念
 
 ■初版年月日 2024年8月6日 
 ■定価 990(10%税込)
 
 ■著作者プロフィール 松本創
( まつもと・はじむ )

松本 創(まつもと・はじむ):1970(昭和45)年、大阪府生れ。神戸新聞記者を経て、2021年3月現在はフリーランスのライター。2016(平成28)年、『誰が「橋下徹」をつくったか―大阪都構想とメディアの迷走』で日本ジャーナリスト会議賞を受賞。2019(令和元)年、『軌道―福知山線脱線事故JR西日本を変えた闘い』で講談社本田靖春ノンフィクション賞、井植文化賞を受賞する。ほかに『日本人のひたむきな生き方』『ふたつの震災―[1・17]の神戸から[3・11]の東北へ』(西岡研介氏との共著)などがある。(西岡研介氏との共著)などがある。

 元稿:筑摩書房 主要出版物 ちくま新書 政治【政府・大阪府市・「大阪・関西万博「失敗」の本質」】  2024年10月24日  16:15:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【新刊紹介】:わが恩師 石井紘基が見破った官僚国家 日本の闇 著:泉房穂

2024-11-20 00:03:40 | 【中央省庁・内閣府・1府11省2庁・主任の大臣・事務次官・官房・審議官・国...

【新刊紹介】:わが恩師 石井紘基が見破った官僚国家 日本の闇 著:泉房穂

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【新刊紹介】:わが恩師 石井紘基が見破った官僚国家 日本の闇 著:泉房穂

 2002年10月、右翼団体代表を名乗る男に襲撃され命を落とした政治家・石井紘基。当時、石井は犯罪被害者救済活動、特殊法人関連の問題追及等で注目を浴びていた。その姿勢は、秘書だった泉房穂に大きな影響を与えた。石井は日本の実体を特権層が利権を寡占する「官僚国家」と看破。その構造は、今も巧妙に姿を変え国民の暮らしを蝕んでいる。本書第I部は石井の問題提起の意義を泉が説き、第II部は長女ターニャ、同志の弁護士紀藤正樹、石井を「卓越した財政学者」と評する安冨歩と泉の対談を収録。石井が危惧した通り国が傾きつつある現在、あらためてその政治哲学に光を当てる!

 ◆石井から泉に受け継がれた、不条理な官僚国家日本への義憤

 泉房穂は10歳にして将来は明石市長になると心に決めた。猪突猛進な性格は少年時代から変わらない。だが実際は弁護士になり、国会議員になり、紆余曲折を経た。彼の人生に寄り道をさせたのが、石井紘基との出会いだった。
 不正を許さず、弱者に寄り添う。石井には二つの正義があった。それを阻む最大の障壁が「官僚社会主義国家・日本」だった。それは石井が若くして留学したソ連とまるで同じシステムだった。石井は闇を照らして突き崩すことが国会議員である自らの天命と思い定めた。その石井が自宅前で刺殺され、真相が闇に葬られたという不条理への義憤が、政治家・泉の根底にある。
 やさしい社会をつくるための政治闘争。泉が市長退任の翌日に上梓した私との共著『政治はケンカだ! 明石市長の12年』(講談社刊)は、市議会、市役所、業界の「政官業の癒着」に挑んだ奮闘記だ。その姿は石井と重なり合う。
 石井の「国会Gメン」の仲間が原口一博、上田清司、河村たかしだった。原口は今、立憲民主党の非主流派に身を置き、上田と河村は立憲と一線を画す。石井が斃(たお)れた後、民主党政権で「官僚社会主義国家・日本」に君臨する財務省と手を握り消費増税を進めた野田佳彦、岡田克也、安住淳が今の立憲を牛耳っている。自民党は裏金事件で壊滅的打撃を受けたのに、石井の天命を受け継ぐ政治家は「野党の隅」に追いやられている。それゆえに泉の国政復帰への期待は根強い。
 泉は政権交代への筋書きを書くシナリオライターになると公言している。彼が掲げる「救民内閣」構想は、実現までに5回の選挙に勝ち続ける必要があるという。
 国民はそんなに悠長に待てない。「救民内閣」の実現まで5連勝する前に「官僚社会主義国家・日本」は逆襲を浴びせてくるだろう。石井の命を奪ったように……。
 石井が不慮の死を遂げたのは61歳のときだった。泉はこの夏、61 歳を迎えた。泉の小さな体の中で石井は生き続けている。天命を受け継ぐのは泉しかない。時代は風雲急を告げている。石井も泉の奮起に期待しているに違いない。

わが恩師 石井紘基が見破った官僚国家 日本の闇

 はじめに 石井紘基が突きつける現在形の大問題
 出版に寄せて 石井ナターシャ
  第I部 官僚社会主義国家・日本の闇
     第一章 国の中枢に迫る「終わりなき問い」
     第二章 日本社会を根本から変えるには
  第II部 “今”を生きる「石井紘基」
     第三章 〈石井ターニャ×泉房穂 対談〉事件の背景はなんだったのか?
     第四章 〈紀藤正樹×泉房穂 対談〉司法が抱える根深い問題
     第五章 〈安冨歩×泉房穂 対談〉「非凡な財政学者」としての石井紘基
         おわりに 石井紘基は今も生きている
         石井紘基 関連略年表

 ◆著者略歴◆
   泉 房穂 (いずみ ふさほ)弁護士、社会福祉士、前明石市長、元衆議院議員。
   1963年、兵庫県明石市二見町生まれ。東京大学教育学部卒業後、テレビ局のディレクター、石井紘基氏の秘書を経て弁護士となり、2003年に衆議院議員に。
 その後、社会福祉士の資格も取り、2011年5月から明石市長を3期12年つとめた。
 著書に『日本が滅びる前に 明石モデルがひらく国家の未来』(集英社新書)、『社会の変え方 日本の政治をあきらめていたすべての人へ』(ライツ社)、『政治はケンカだ! 明石市長の12年』(聞き手=鮫島浩、講談社)他多数。
 出版社 : 集英社 (2024/9/17)
 発売日 : 2024/9/17

 価格1,045円(税込)

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【新刊紹介】:裏金国家 日本を覆う 「2015年体制」の呪縛 金子 勝 著

2024-11-20 00:03:30 | 【政治とカネ・政党交付金・「企業・団体献金」・政治資金・議員歳費・賄賂・後援会

【新刊紹介】:裏金国家 日本を覆う 「2015年体制」の呪縛 金子 勝 著

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【新刊紹介】:裏金国家 日本を覆う 「2015年体制」の呪縛 金子 勝 著

 「裏金」がばらまかれ、言論を封殺し、縁故主義による仲間内資本主義(クローニーキャピタリズム)がはびこる日本社会。民主主義を破壊し、国際競争力を低下させ、経済の衰退を招いた「2015年体制」とは。負のらせん状階段を下り続ける、この国の悪弊を断つ。

 
 ■目次
  第1章 「2015年体制」というディストピア(日本政治の腐った根っこ
      「2015年体制」とは何か 世襲という病)
  第2章 自浄能力なき隠蔽国家―腐敗が止まらない仕組み(検察の権力チェック機能も自 民党の自浄能力も期待できない
 国会審議で明らかになったことは何か 自民党内のアリバイ的処分と法改正 政治資金規正法改正の自民党案の欺瞞性)
第3章 裏金国家―国が腐るとはどういうことか(「惨事」便乗型資本主義「国家的」な裏金作り 円安インフレと防衛費防諜の悪循環 投機マネーに狙われる国ずるずるとした滅び)
 第4章 裏金国家の経済政策―仲間内資本主義日本(プーチン型権力を目指すリフレ派とMMTが日本経済を滅ぼす政府の産業政策が衰退を加速させる)
 第5章 ディストピアから脱する道―裏金を提供する者のためでなく困っている者のための政治へ(政権交代が必須 円安インフレと格差拡大を防ぐ 防衛費膨脹を止めてイノベーティブ福祉国家へ 地方衰退を食い止める いかにして少子化を食い止めるか)
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【話題の著書】:自民党の大罪

2024-11-20 00:03:20 | 【政党・自民・立憲・維新の会・公明・国民民主・共産・社民・れいわ・地域政党他】

【話題の著書】:自民党の大罪

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【話題の著書】:自民党の大罪

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【新刊紹介】:人間の証明 拘留226日と私の生存権 角川歴彦著

2024-11-20 00:03:10 | 【法務省・法制審議会・検察庁・地検・保護司・刑法・刑罰・死刑制度】

【新刊紹介】:人間の証明 拘留226日と私の生存権 角川歴彦著

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【新刊紹介】:人間の証明 拘留226日と私の生存権 角川歴彦著 

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【2024年11月19日 今日は?】:歌手山口百恵と俳優三浦友和が東京・赤坂の教会で結婚式

2024-11-20 00:00:50 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【2024年11月19日 今日は?】:歌手山口百恵と俳優三浦友和が東京・赤坂の教会で結婚式

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【2024年11月19日 今日は?】:歌手山口百恵と俳優三浦友和が東京・赤坂の教会で結婚式

 ◆11月19日=今日はどんな日 

  一茶忌

 ◆出来事

  ▼リンカーン米大統領がゲティズバーグで「人民の人民による人民のための政治」訴える演説(1863)▼小学校の登下校時に交通整理する「緑のおばさん」が東京都の街頭に初お目見え。その後全国に広がる(1959)▼歌手山口百恵と俳優三浦友和が東京・赤坂の教会で結婚式(1980)

<picture><source srcset="https://img.huffingtonpost.com/asset/5c63db6c2600004602fdcc54.jpeg?ops=scalefit_720_noupscale&format=webp" type="image/webp" /></picture>
 
The Library of Congress

 現存するものとして唯一確認されているゲティスバーグでのリンカーンの写真(着座・演説中ではない)

挙式をあげ幸せいっぱいの表情で記者会見に臨む三浦友和と山口百恵(1980年11月撮影)挙式をあげ幸せいっぱいの表情で記者会見に臨む三浦友和と山口百恵(1980年11月撮影)

 ◆誕生日

  ▼松崎しげる(49年=歌手)▼松任谷正隆(51年=作曲家)▼安藤優子(58年=キャスター)▼紫吹淳(68年=女優)▼浜谷健司(77年=ハマカーン)▼大澤亜季子(87年=フリーアナウンサー)▼松本慈子(99年=SKE48)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・今日は?】  2024年11月19日  00:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【大谷昭宏のフラッシュアップ・07.08】:なぜこうまで米軍にひれ伏すのか

2024-11-20 00:00:00 | 【日米安保・地位協定・在日米軍・在沖米軍・オスプレー・普天間移設、米兵の犯罪】

【大谷昭宏のフラッシュアップ・07.08】:なぜこうまで米軍にひれ伏すのか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【大谷昭宏のフラッシュアップ・07.08】:なぜこうまで米軍にひれ伏すのか 

 いま東京、大阪のミニシアターで「骨を掘る男」という変わったタイトルの映画が上映されている。6月23日の慰霊の日を前に、私はその男、具志堅隆松さん(70)を沖縄に訪ねた。ポスター画像

(C)Okuma Katsuya, Moolin Production, Dynamo Production

 自らを「ガマフヤー」と呼ぶ具志堅さんは、かつての戦争で県民や兵隊20万人が亡くなった沖縄で、いまも壕(ガマ)に眠る遺骨を掘り(フヤー)続けている。案内していただいた南部の平和創造の森近くの壕をはじめ、これまで400体の遺骨を掘り出したという。

 「NO WAR」と書かれた帽子につけたランプの明かりが頼りの手作業。遺骨の近くに散らばるキセルとカンザシ、乳歯は、祖父と嫁、孫を想像させる。あごの骨が砕けた遺骨は小銃で自害した兵士のものか。

 だが、その具志堅さんが怒りで震えてくるようなことがいま起きつつある。

 海底が軟弱地盤で底なし沼のような辺野古新基地の埋め立てに、国などは沖縄南部の土を使う計画だという。沖縄県民が最後に追い詰められた南部は、いまも3000体の遺骨が眠っているといわれている。戦争に散った遺骨を、また戦争のための基地に運ぶのか。具志堅さんたちの怒りは治まらない。

 そんななか、またしてもこの1年で計5件の少女を含めた沖縄の女性に対する米兵の性犯罪が明らかになった。だが驚くことに政府と外務省は事件を知っていながら、沖縄県(県民)には県議選と沖縄慰霊の日がすむまでひた隠しにしていた。県民の反米軍感情の高まりを恐れたに決まっている。

 女性の生涯消えない傷に思いを寄せることもなく、なぜこうまで米軍にひれ伏すのか。いざというときに「私たちの国は二度と戦争をしない」と言えるのか。慰霊式での高校生の詩が浮かぶ。

 大切な人は突然 誰かが始めた争いで 夏の初めにいなくなった 泣く我が子を殺すしかなかった 一家で死ぬしかなかった- 

 また誰かが争いを始めようとしていないか。しっかりと目を見開いておきたい。

 ◆大谷昭宏(おおたに・あきひろ)

 ジャーナリスト。TBS系「ひるおび!」東海テレビ「NEWS ONE」などに出演中。

大谷昭宏のフラッシュアップ

 ■大谷昭宏のフラッシュアップ

 元読売新聞記者で、87年に退社後、ジャーナリストとして活動する大谷昭宏氏は、鋭くも柔らかみ、温かみのある切り口、目線で取材を重ねている。日刊スポーツ紙面には、00年10月6日から「NIKKAN熱血サイト」メンバーとして初登場。02年11月6日~03年9月24日まで「大谷昭宏ニッポン社会学」としてコラムを執筆。現在、連載中の本コラムは03年10月7日にスタート。悲惨な事件から、体制への憤りも率直につづり、読者の心をとらえ続けている。

 ■「骨を掘る男」の作品トップへ

 沖縄戦の戦没者の遺骨を40年以上にわたって収集し続けてきた具志堅隆松さんを追ったドキュメンタリー。

 沖縄本島には激戦地だった南部を中心に、住民の人々や旧日本軍兵士、さらには米軍兵士、朝鮮半島や台湾出身者たちの遺骨が、現在も3000柱近く眠っていると言われる。28歳から遺骨収集を続け、これまでに約400柱を探し出したという70歳の具志堅さんは、砕けて散乱した小さな骨や茶碗のひとかけら、手榴弾の破片、火炎放射の跡など、拾い集めた断片をもとに、その遺骨が兵士のものか民間人のものか、そしてどのような最期を遂げたのかを推察し、思いを馳せ、弔う。
 
 自身も沖縄戦で大叔母を亡くした映画作家・奥間勝也監督が具志堅さんの遺骨収集に同行して大叔母の生きた痕跡を追い、沖縄戦のアーカイブ映像を交えながら、沖縄の歴史と現在を映し出す。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・連載・「大谷昭宏のフラッシュアップ」】  2024年07月08日  08:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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