路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【社説・12.19】:続く金融不祥事/職場のモラル回復を急げ

2024-12-19 06:00:50 | 【金融・金融庁・日銀・株式・為替・投資・投機・FRB・「ドル円」・マーケット】

【社説・12.19】:続く金融不祥事/職場のモラル回復を急げ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.19】:続く金融不祥事/職場のモラル回復を急げ 

 名だたる企業の社員が顧客の資産を盗み、命まで奪おうとする-。

 信じ難い不祥事が金融機関で相次いでいる。三菱UFJ銀行では、顧客の貸金庫から行員が金品を繰り返し盗んだ。野村証券では、社員が顧客の自宅で現金を奪い放火した。

 多数の顧客の金銭を扱う金融機関で働く人には、高い水準のモラルやコンプライアンス(法令順守)が求められる。その大前提を踏みにじる悪質な行為だ。情報開示も後手に回り、利用者の不安と不信に真摯(しんし)に向き合う姿勢が見られない。

 再発防止には研修・教育も重要だが、社員は不祥事に手を染めないとする性善説では防げない。抜け穴があれば犯罪を誘発するとの前提に立ち、管理体制や営業手法を全面的に見直してもらいたい。

 三菱UFJ銀の事案は、11月22日に同行が公表した。店頭業務責任者の行員は東京都内の2支店で約4年半も窃盗を続け懲戒解雇となった。被害額は時価十数億円に上るとされるがさらに膨らむ可能性がある。

 貸金庫の管理業務はこの行員に集中し、支店内に予備の合鍵もあったという。悪意があれば不正は容易な環境と言える。多くの金融機関が貸金庫を設けており、警察と連携して不正の詳細を調べるとともに、管理者を複数置くなど実効的な再発防止策を講じる必要がある。

 野村証券では広島支店の社員が7月、顧客の高齢夫婦宅を訪ね、睡眠作用のある薬物を飲ませて約1800万円を奪った上、放火し殺害しようとしたとして逮捕、起訴された。

 同社は社員を懲戒解雇し、営業社員が顧客宅を訪問する際に上司が同席したり、訪問前後に電話を入れたりする対応策を発表した。高齢者宅を狙う強盗が多発する現状を鑑みれば、顧客宅の訪問は控えるべきだ。

 同社経営陣は8月初めに事件を把握しながら、奥田健太郎社長が会見して謝罪し役員報酬の返上や再発防止策を発表したのは12月に入ってからだ。三菱UFJ銀の半沢淳一頭取は事件の公表から3週間以上たった今月16日に会見し「銀行ビジネスの根幹を揺るがした」と謝罪した。いずれも社内対応を優先して説明責任を果たすのが遅れ、信用をさらに低下させた点は猛省してほしい。

 これまでの金融行政は、金融機関に主として収益面の健全性を求めてきた。しかし各社が規模拡大や効率化を重視した結果、顧客の大切な資産を預かる職場のモラルや規律が緩んでいるのではないか。

 政府は「貯蓄から投資へ」を唱える。その担い手である金融機関は個人資産の囲い込みに躍起だが、業務の根幹である信用の回復に業界全体で取り組まねばならない。

 元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月19日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【兵庫県】:斎藤元彦知事「... | トップ | 【社説・12.19】:高額療養費... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

【金融・金融庁・日銀・株式・為替・投資・投機・FRB・「ドル円」・マーケット】」カテゴリの最新記事