【社説・11.29】:オスプレイ発火 いつまで欠陥を隠すのか
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.29】:オスプレイ発火 いつまで欠陥を隠すのか
このままでは、また人命が失われる。いつまで構造的欠陥を隠し、飛行を続けるのか。
AP通信などによると、米ニューヨーク州で現地時間25日、米ホワイトハウス職員らを輸送していた米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが飛行前に安全上の懸念が生じ、飛行停止となった。搭乗予定者らがエンジンから炎が出ているのを確認した。
同機は要人輸送を担う第1海兵ヘリコプター飛行隊(HMX1)に所属していた。バイデン米大統領は搭乗していなかったとみられるが、大統領搭乗機の随伴機であり、ホワイトハウスの職員らが乗る可能性があった。職員は文民統制(シビリアンコントロール)を支える要職にあり、事故に巻き込まれて死傷すれば一時的にせよ政府機能に影響を及ぼす恐れもあった。
オスプレイの不具合は枚挙にいとまがない。AP通信によると、オスプレイに関しては過去に少なくとも21件の重大事故があり、計64人が死亡している。2023年11月にもホワイトハウス職員と記者を乗せたオスプレイから、離陸直後に大きな「ポン」という音が4回聞こえ、煙が見えたことがあったという。
日本でも23年11月に鹿児島県・屋久島沖で米空軍横田基地所属の垂直離着陸輸送機CV22オスプレイが墜落し、8人の米軍関係者が死亡した。オスプレイの元主任分析官のレックス・リボロ氏は構造上の問題を指摘し「安全性に深刻な穴がある」と断じる。
米国内では政治家からも飛行停止を求める声が上がっている。米東部マサチューセッツ州選出のエリザベス・ウォーレン上院議員ら民主党連邦議会議員3人は25日、オースティン国防長官に対して、オスプレイの運用停止を求める書簡を送った。オスプレイの構造的欠陥を隠したまま飛行を続けることは許されない。
それにもかかわらず、日本政府は機体の安全性を信じ込んでいる。10月に陸上自衛隊与那国駐屯地で発生した陸自輸送機V22オスプレイの事故について、中谷元・防衛相は「安全性について累次の機会に確認しており、問題はないと考えている」と述べた。
米政府の求めに応じてオスプレイを唯一導入した日本政府は、事故が起きても製造元や米軍に機体の安全性について追及することはない。一方的な説明をうのみにするだけでは、陸上自衛隊員の生命を危険にさらすことになる。
沖縄に米海兵隊のオスプレイが配備されてから今年10月で12年となった。16年12月、普天間飛行場所属機が名護市安部の沿岸に墜落した。17年8月にはオーストラリア東部海上に普天間所属機が墜落し、3人が死亡した。
一体あと何件の事故が起きるのか。米軍基地間の移動は日米地位協定で無制限に認められており、危険は全国に及ぶ。県民の命はもとより、全ての人を守るためにもオスプレイを飛ばしてはならない。
元稿:琉球新報社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年11月29日 04:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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