【HUNTER・01.15】:「大連立」の可能性
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・01.15】:「大連立」の可能性
新年が明け、早くも政局が動き出した。昨年の衆議院選挙で惨敗して少数与党となっている自民党と野党の間で、早くも「大連立」への綱引きが始まったようだ。
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1月6日、伊勢神宮を参拝した石破茂首相は「今の時点で、連立というものを考えているわけではありません。大連立を考えているわけでもございません」と発言。野党、立憲民主党の野田佳彦代表も年頭の会見で「自民党を下野させて政治を変えていく」と述べ、大連立はないという考えを示した。だが、ある自民党幹部は「立憲民主党を外して、維新、国民民主党も取り込んでの大連立という手もあります」と打ち明ける。
今年7月には参議院選挙、さらに東京都議選など各級の選挙が目白押しだ。だが、自民党の大臣経験者は厳しい見方を示す。
「支持率が低空飛行の石破首相で大型選挙を勝ち切るのはまず無理だろう。大連立なら維新と国民民主党、どちらにも入ってもらいたいよ。党内の大勢はそういう考えじゃないか」
「103万円の壁」で連立入りが噂されてきた国民民主党の玉木雄一郎代表も、一時は“意欲的”とみられていた。「年末、内輪でやった忘年会では自民党、公明党との3党連立で首班指名がうち(玉木)なら、是非にでもと盛り上がった」と話すのは国民民主党のある国会議員。だが、玉木代表は女性スキャンダルで3か月の役職停止中。自民党からは「123万円」と国いう“低額回答”で軽くあしらわれた。
一方、意気があがるのは吉村洋文大阪府知事を代表に据え、国会議員団を前原誠司副代表が率いるという新体制が発足したばかりの日本維新の会。かつて安倍晋三首相 ― 菅義偉官房長官時代の時代、維新は橋下徹氏と松井一郎氏が個人的な関係を駆使して官邸と直結し、党勢拡大につなげた。その頃の再来とばかりに注目されるのが、石破首相と前原副代表のルートだ。
二人とも防衛族で、鉄道おたくとしても親交が深い。「防衛と鉄道おたくだけではなく、自民党が下野して民主党政権なった時でさえ、彼らは親しくしていた。どちらも友達や側近が少ないタイプなので、密かに話し合い、アッと驚く大連立になるかもしれない」と話すのは維新の国会議員だ。
吉村知事は年始の記者会見で「維新として連立を組むことはありません。自公政権とは正面からぶつかっていく」と連立を否定した。しかし、維新には今年春に開幕を控えた「万博」というアキレス腱がある。想定される来場者数は2,800万人とされているが、チケットの販売状況は昨年末で740万枚ほどにとどまる。目標の半分なのだ。前出の維新国会議員はこう話す。
「万博はなんとしても成功させなければなりません。成功すれば維新の手柄。自然と党勢がアップする。しかし、失敗となれば国の開催であっても維新の責任が問われかねない。そうなると、吉村代表が言うように自民党と真正面からぶつかるというのはかなりヤバイ。逆に、前原さんが石破総理との独自の関係を生かしてくれて、あわよくば大連立をと期待する声は党内では少なくない。吉村代表にとっての最優先課題は万博の成功。そこに首班指名で前原さんなら最後はGOサインを出すでしょう。ただ軽い閣僚ポストだったらかなり難しいな」
自民党が維新を取り込むにあたっては、まず公明党という分厚い壁がある。過去、維新は大阪都構想で公明党の協力を得るため衆議院選挙では候補者を擁立しなかったが、一昨年の大阪府議選、大阪市議選で圧勝したことで明党の「数」が不要になった。そこで昨年の衆議院選挙では手のひら返しで大阪の公明党候補を全員返り討ちにした。公明は維新との連立など飲めないだろう。
「維新はこれまでうちをさんざん利用し、自分のところの数が増えればポイ捨て。おまけに、塩を塗るようにうちの候補者がいる小選挙区すべて刺客を立てた。わが党の衆議院選挙全体の結果をみると8議席マイナスだが、半分の4つが大阪の小選挙区でこれが最大の敗因。政権維持のために大連立という考えは理解できるが、維新だけとは絶対に組めない。万博で失敗したら維新が責任をとればいいだけ。低迷する党勢のために大連立を画策するなんてとんでもない」と衆議院選挙で落選した候補者を応援していた公明党の地方議員は憤りを隠せない。
立憲民主党のある幹部は、「国民民主党も維新も、不人気の石破政権と大連立となれば、一気に党勢が急落しますよ。これまでの政界の流れを振り返ればわかることです。野党がまとまれば石破政権を倒せる数があるのは事実なので、なんとか、そういう展開にもっていきたい」と2党をけん制する。
石破首相が参議院選挙と東京都議選を勝ち抜くには、支持率を浮上させるしかない。手っ取り早い道が、大連立と本予算の通過。通常国会中盤から終盤にかけて、ドラマが待っている。
元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・行政 【政治ニュース・政局・大連立なら維新と国民民主党、どちらにも入ってもらいたい】 2025年01月15日 07:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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