【天風録・12.05】:福島から能登へ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録・12.05】:福島から能登へ
当たり年は、幸運に恵まれた年を指す。被災の痛みを知る者なら「台風の当たり年」という表現など使うまい。メッセージは、何を言うかはもちろんのこと、誰が言うかで届き具合は変わってくる
▲元日の能登半島地震から今月で11カ月。被災地に福島からメッセージ集が届いた。豪雨にも見舞われ、「心が折れそう」とうつむく能登の人々に矢も盾もたまらなかったようだ。福島県高等学校長協会の呼びかけで、県民約400人が言葉を寄せた
▲東日本大震災でなめた辛酸が映る言葉には小膝を打つ思いだろう。「泣いて、笑って、バカ言って」と勧める一文もあれば、ある教員は書く。「教室の時計は止まったままですが、子どもたちの人生の針は着実に進む」。教え子という未来を見つめ、きょう一日を生きてきたのだ
▲「復興が進んでいない」式の政府批判がやるせなかった、との声も。自分たち住民の力不足も、とがめられている気がしたらしい。今週始まった国会論戦でも能登の復興支援策を巡り、その決まり文句が聞こえてくる
▲メッセージ集「福島から能登 未来へ」はウェブ上で読める。被災地の外から何ができるのか。考える種には恵まれた年である。
元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】 2024年12月05日 07:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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