【政局】:岸田離れ加速、自民若手「衆院解散されれば討ち死にだ」…公明も距離「どういうお考えなのか」
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政局】:岸田離れ加速、自民若手「衆院解散されれば討ち死にだ」…公明も距離「どういうお考えなのか」
◆[全敗ショック 衆院3補選]<上>
衆院3補欠選挙の投開票日前日の27日午後、岡山市で開かれた自民党の「政治刷新車座対話」は緊張感に包まれた。
■自民全敗で政権交代の恐れ現実に、与党に広がる「岸田では戦えない」…縛られる首相の解散権行使
「トップが辞めなければいけない」
出席した自民政調会長の渡海紀三朗(76)が自民派閥の政治資金規正法違反事件を踏まえ、党の立て直しについて意見を求めたところ、県連関係者から首相の岸田文雄(66)の退陣要求が噴き出したのだ。
補選の敗北を受け、選挙基盤の弱い党の中堅・若手からは、「衆院を解散されれば、討ち死にだ」との悲鳴が上がっている。党四役の一人は「岸田政権の間は何をやっても支持率は上がらない気がする」と表情を曇らせた。
◆あきらめ
岸田の求心力低下で、党執行部内では不穏な空気が流れている。
補選期間中には、岸田と距離のある幹事長の茂木敏充(68)が28日夜の開票後に辞任を表明するとのうわさが飛び交った。「補選の責任を取ることを口実に、次期総裁選へ出馬する準備を始めるのではないか」との見方からだ。
実際には、茂木は選挙対策委員長の小渕優子(50)とともに、「党の信頼回復に努めていく」と記者団に強調し、辞任に言及することはなかった。
ただ、自民の閣僚経験者は「今は誰がやっても風向きは厳しいというあきらめから、『反岸田』の動きが顕在化していないだけだ」と指摘した。
◆ぎこちない会話
自民と連立政権を組む公明党は岸田と距離を置き始めている。
補選告示を翌日に控えた15日昼。首相官邸で開かれた岸田と公明代表の山口那津男(71)とのぎこちない会話は、両党の微妙な関係を象徴するものだった。
「推薦のお願いが出ていないが、どういうお考えなのか」
山口は岸田にこう問いただした。衆院島根1区の自民候補への推薦依頼は書類で出されていたものの、茂木から正式な要請がなかったためだ。
岸田は「お願いします」と頭を下げたが、山口は政治資金規正法改正の自民案が示されていないことにも苦言を呈し、「早く出さないと世論が持ちませんよ」と迫った。公明の推薦は15日午後になってようやく決定された。
規正法違反事件で自民党処分の対象となった議員は推薦しない――。公明内では、首相が早期解散に踏み切った場合の対応策として、こんな案も取りざたされている。
公明関係者は「自民と一体とみなされないための選択肢として検討に値する。早期解散を抑止するためのカードにもなり得る」と明かした。
公明幹事長の石井啓一(66)はテレビ番組で衆院選について、「(自民総裁選後の)秋が一番可能性が高い」と述べて波紋を広げたが、公明内では「首相の顔を替えなければならないという我々の本音を代弁してくれた」との評価が出た。
◆狭まる選択肢
岸田は与党内の厳しい雰囲気を認識しつつ、「鈍感でなければ、首相なんてやってられない」と周囲に語っている。
もっとも、岸田が慎重論を押し切って解散を検討する場合も、6~7月はイタリアでの先進7か国(G7)首脳会議などの外交日程が目白押しとなっており、スケジュールは窮屈だ。
自民幹部は「選挙の先送りを求める声が増えていることと合わせ、総裁選前の解散の選択肢は非常に狭まっている」と指摘した。(敬称略)
衆院3補選の全敗で、岸田首相の政権運営は大きな打撃を受けた。衆院解散や「ポスト岸田」、立憲民主党などを巡る動きを追う。
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元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政局・岸田政権】 2024年04月30日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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