《余録・01.17》:米ロサンゼルスの丘陵地帯に建つ…
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《余録・01.17》:米ロサンゼルスの丘陵地帯に建つ…
米ロサンゼルスの丘陵地帯に建つ巨大な「ハリウッドサイン」。関東大震災の年に誕生した映画の都の象徴が未曽有の山火事で炎上したとする画像がSNS上に流れた。人工知能(AI)を使ったフェイク画像だ
米ロサンゼルスの丘陵地帯に建つ「ハリウッドサイン」。深刻な被害をもたらした山火事で炎上したとするフェイク画像が流された=9日、AP
▲「まもなく職を失うメタ社のファクトチェッカーたちは陰謀論の炎と戦っている」とCNNは伝えた。「山火事はグローバリストの陰謀」。荒唐無稽(むけい)な投稿に「真実だ」と応えたのがイーロン・マスク氏だ
▲阪神大震災から30年。最も変化したのは情報環境だろう。震災当時もインターネットが内外への情報発信に使われたが利用者は限られ、デマは口コミで広がった。「地震保険未加入の人が火災保険欲しさに壊れた家に放火した」。震災数日後から原因不明の火災が続いたことで生まれたウワサという
阪神大震災では臨時公衆電話に被災者が列を作った=神戸市長田区大谷町の蓮池小で1995年1月19日、小座野容斉撮影
▲「電気復旧後の漏電が原因」「地震に伴う火事では火災保険はおりない」。適切な情報提供でデマは収まったと、震災時に神戸の気象台幹部だった気象予報士の饒村曜(にょうむら・よう)さんが振り返っている
▲SNSは普及初期の東日本大震災の際、災害情報発信のツールとして注目を集めた。一方で熊本地震や能登半島地震では意図的に発信されたフェイク画像やニセ情報も問題化した
▲日本のラジオ放送の始まりは関東大震災の2年後。震災時にデマが広がったことが誕生を後押ししたという。正確な情報伝達手段の確保は防災の重要な一部。SNS時代にどうそれを実現するか。南海トラフ地震を視野におけば、悠長に構えてはいられない。
元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余録】 2025年01月17日 02:07:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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