路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【政局】:来年はいい年にしたいものだが…暗澹たる事件ばかりの世相に政治の無策

2025-01-05 07:09:40 | 【金融・金融庁・日銀・株式・為替・投資・投機・FRB・「ドル円」・マーケット】

【政局】:来年はいい年にしたいものだが…暗澹たる事件ばかりの世相に政治の無策

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政局】:来年はいい年にしたいものだが…暗澹たる事件ばかりの世相に政治の無策

 今年は目を覆うような事件の連続ではなかったか、闇バイト、自殺強制逮捕、動機なき殺人、大企業のモラルも地に落ちた世相に無策の政治、2025年はさらに社会の底が抜けるような嫌な予感。

<picture>かくて荒んだ世相は誰のせいなのか(C)日刊ゲンダイ</picture>

       かくて荒んだ世相は誰のせいなのか(C)日刊ゲンダイ

              ◇  ◇  ◇

 2024年が暮れようとしているが、なんだか、社会の底が抜けたような一年ではなかったか。裏金問題で始まった一年は政治家の身勝手と堕落を見せつけ、それと並行して、これまでの理解を超えるような凄惨な事件、あり得ないような不正が横行した。

 北九州市の中学生刺殺が生々しいが、そのちょっと前には、東京都板橋区で会社の仲間(56)を踏切内で自死させた(23年12月)として、会社の代表取締役(39)や同僚3人が殺人容疑で逮捕された。報道によれば、4人は被害者に日頃から虐待や暴力、嫌がらせを続けていたというから絶句である。

 闇バイト事件では今年10月、横浜市青葉区で発生した強盗殺人事件に驚いた。75歳の男性が自宅で手足、顔を粘着テープで縛られたうえ、全身を鈍器で殴られ、失血死したのだが、よほどの恨みかと思いきや、現金20万円を奪う強盗殺人だった。実行犯は22歳。動機は「数十万円の税金滞納」でSNS上の「ホワイト案件」という言葉に釣られたという。他にも協力者がいて、30歳の女性も捕まっている。

 柏市では12月、自宅の敷地内で50代の会社役員夫婦が殺害され、直後に付近の住宅8棟が放火で全焼。この夫婦と金銭トラブルを抱え、やけどを負っていた男が公務執行妨害で捕まっている。

 ◆今や日本は汚職横行の「犯罪天国」

 かと思えば、野村証券の元社員が7月、広島市に住む80代女性に睡眠薬を飲ませ、現金1780万円余りを奪って、放火。強盗殺人未遂と放火で逮捕、起訴されたし、三菱UFJ銀行では女性行員が顧客の貸金庫を勝手に開けて少なくとも十数億円の金品を窃取していたことが発覚した。他にも金融庁に出向していた裁判官や東証職員のインサイダー取引など、理解を超える事件は枚挙にいとまがないほどだ。

 そこに共通した因果関係をこじつけるのは危険だろうが、少なくとも、「2024年は、ついに社会が完全にぶっ壊れた年」──と言えるのではないか。

 かつて、日本人は「東南アジアでは1万円で人を殺せるらしいよ」などと言って、揶揄していたものだ。今や、「日本は10万円で強盗殺人をやってくれる国」である。「政治家は裏金で私腹を肥やし、裁判官はインサイダーで儲ける汚職国家」と言われてもぐうの音も出ない。

 一体、なぜ、こうなってしまったのか。その背景に何があるのか。こうした考察は必要だろう。

 ◆黒くて厚い雲に覆われたような閉塞感


貸金庫から現金など十数億円相当が盗まれた問題で頭を下げる半沢淳一三菱UFJ頭取ら(C)日刊ゲンダイ

 評論家の佐高信さんは城山三郎さんの言葉を思い出した、とこう言った。

 「城山さんは『終戦の8月15日の空は青く、すごく高かった』と振り返っています。つまり、それまでの空は暗いものに覆われて、何も見えなかった。でも、戦争が終わって、希望が見えた。そういう意味ですが、今の世相は戦前のように空が覆われているんですよ。だから、先が見えない。みんなが希望を持てない。だから、刹那に生きる。公(パブリック)がなくなっている。自分さえよければいい、今さえよければいい、となる。政治家は劣化し、非正規社員は4割、5人に1人が年収200万円以下。こんな社会では103万円の壁なんて、目先の慰めにもなりゃしません。小泉政権の新自由主義路線以降、ジワジワたまっていた不満の底が抜けたのではないか。それが異様な犯罪の増加につながっているような気がします」

 10万~20万円で人を殺すのは不可解だが、裏を返せば、10万円にそれだけ切羽詰まっているということだ。まさしく、戦前のような混沌だ。

 厚労省が3年ごとに発表している相対的貧困率(世帯所得が全世帯の中央値の半分未満である人の割合)の最新データによると、日本は15.4%で、米国、韓国にも抜かれ、先進国で最悪だった。ひとり親世帯だと、これが44.5%にも跳ね上がる。奨学金の受給者の割合は2000年代初頭は40%程度だったが、今や、55%だ(日本学生支援機構調査22年)。収入別に見ると、年収300万円未満世帯の受給率は8割になる。

 そこに空前の物価高が押し寄せている。11月の消費者物価指数は2.7%上昇だったが、コメは63.6%(前年同期比)も上がっている。野菜なんて、軒並み前年比の1.5~2倍である。その結果、無料の食料配布を続けているNPO法人などから、この年の瀬に「もっと寄付を」という悲鳴も上がっている。

 戦後、一時的に広がった青く抜けるような空は再び、黒く厚い雲に覆われている。目先の金欲しさに刹那の犯罪が増えるのもわかるのだ。

 ◆政治が主導したモラル崩壊と歪んだ価値観

 とはいえ、異様な犯罪がかくも増えた背景を貧困だけに求めるのも早計だ。

 「警察庁幹部も昨今の犯罪の異常さに首をかしげているんです。確かに、金欲しさもある。でも、闇バイトに応募した学生のなかには、ふつうの家の子どももいる。貧困だけではないんです。そこで、トクリュウ(SNSなどを利用した分担型犯罪)を『治安上の最大の脅威』と位置づけた。警察庁挙げて本腰を入れるようになったのです」(大手紙社会部記者)

 貧困だけではないとしたら、背景に見え隠れするのは政治が主導したモラル崩壊と「今だけ、金だけ」という新自由主義の歪んだ価値観なのではないか。

 メガバンクの行員が客の貸金庫に手を付けるなんて、あり得ない話だが、「返すつもりだった」という。派閥の裏金を引き出しに入れておいて、私的に使っていないとスットボけている輩に似ている。「ごまかせればいい」「バレなきゃいい」という発想だ。モリカケサクラの安倍政権を見ていれば、社会がかくも荒むのも道理である。

 「機会不平等」などの著書があり、格差をウオッチし続けているジャーナリストの斎藤貴男氏にも聞いてみた。

 「とにかく、金がなさすぎるという層がいることと、もうひとつはネット社会の病巣という気がします。スマホというツールは便利な半面、闇バイトのような犯罪の可能性も無限に広げてしまった。僕はスマホが登場して以来、人間の価値観が変わってしまったような気すらしています。自分や自分が居心地のいい相手だけが関心のすべてで、他者を思いやる気持ちがまったくない。それどころか、排除する。邪魔だと思う。そんな人が増えているように見える。そこに持ってきて、新自由主義的な価値観がもはや、修復できないほど、社会に定着してしまった。ちょっと前までは格差拡大などが問題視されたものです。でも今や、見向きもされない。自分のことしか眼中になく、自分の価値観は金で決まる。落ちこぼれ、落伍者は見向きもされない。つくづく品性が歪んだ社会になってしまったと思いますね」

 ◆小手先の対症療法ではどうにもならない

 この社会をマトモに戻すには、こうした歪んだ価値観、常識から見直すことが必要なのだが、石破政権は相変わらず、安倍、菅、岸田路線を継承している。

 だから、闇バイト対策といっても、「潜入捜査」みたいな話になる。社会の歪みを是正せず、禁じ手を使って監視を強化。ヘタしたら、思想犯取り締まりに流用されかねない手法を進めようとしている。

 103万円の壁にしたってそうで、根本は物価高の是正であり、景気の底上げなのに、雀の涙減税で「やってるふり」の繰り返しだ。

 「潜入捜査で闇バイトを摘発し、助かる若者が1人2人いるかもしれない。でも、今、この社会で暮らしている人は角度の急な坂の上で暮らしているようなものです。その勾配は年々きつくなり、どんどん、滑り落ちていく。1人2人、たまたま、突起物を掴んで下落を免れる人がいても、全体の解決にはならない。坂を元に戻さなければどうにもならない。まっとうな人間社会とは何か。地道にそれを追い求めていくしかありません」(斎藤貴男氏=前出)

 来年こそはいい年にしたいものだが、空が抜ける日は再び来るのか。

 元稿:日刊ゲンダイDIGITAL 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース・石破政権】  2024年12月28日  17:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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