29日投開票の自民党総裁選を巡り、ツイッター上で「党員・党友じゃないのに投票用紙が届いた」と戸惑う投稿が相次いでいる。議員の支援者らを介して、本人の知らぬ間に党員登録されていたケースも発覚。国会議員や職員に課される党員獲得ノルマが一因との見方もあるが、事実上、次期首相を選ぶ重要な選挙だけに、手続きのずさんさに非難の声が上がる。

党員ではない女性に届いた自民党総裁選の投票用紙党員ではない女性に届いた自民党総裁選の投票用紙

 「え?私…自民党員なん?全く身に覚えがないんだけど」。総裁選告示翌日の18日、大阪市内に住む女性はツイッターでこうつぶやいた。添付画像のはがきには「自由民主党大阪府支部連合会」の文字。紛れもない、総裁選の投票用紙だった。

 不審に思った女性は府連に問い合わせた。折り返しの電話はなぜか東京都連から。担当者は「片山さつき参院議員の事務所を通じて入党の申し込みが届いている」と告げた。

女性の氏名、住所を伝えたのは、片山議員の支援者が運営する一般社団法人だったことも判明した。だが女性にはその法人と接点を持った記憶がない。方々に尋ねた結果、女性の両親が数年前にその支援者と出会い、後援会への寄付名目で1万円を渡したことが分かった。女性は取材に「両親は党費として払ったわけではなく、入党するつもりはなかった。私には一切連絡がない」と憤る。

 共同通信は支援者側にも取材を申し込んだが、25日までに返答は得られなかった。

 大津市の50代男性にも投票用紙が届いた。党との関係は一切なく「気味が悪い」と話す。党員として個人情報が登録されているのか、立候補している岸田文雄前政調会長や河野太郎行政改革担当相の声で投票を呼び掛ける電話もあったという。

 関西地方の党職員は「入党は本人の意向が大前提だが、家族や親戚が無断で申し込みをしている例はある」と明かす。別の職員は「1人当たり年10人の党員獲得ノルマがある。党費の肩代わり、名前貸しはよくある話。新総裁はまずそこから党を改革してほしい」と切実に語った。(共同)