《余録・01.05》:江戸幕府は万延…
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《余録・01.05》:江戸幕府は万延…
江戸幕府は万延元(1860)年、日米修好通商条約の批准書を交わすために訪問団を派遣し、77人が全米を回った。首都ワシントンでは数人がスミソニアン協会の博物館を訪れ、日本の農具、神棚などもあったと日記に書いている。7年前に「黒船」で来航したペリーが持ち帰ったらしい
▲協会が運営する博物館や研究施設は20を超える。収蔵品は月の石から仏皇帝ナポレオンのテーブルナプキンまで1億5000万点以上だ。中には歴代大統領14人の頭髪など奇妙な資料も多く、「米国の屋根裏部屋」と呼ばれる
▲その博物館は、2021年の連邦議会襲撃に関連した品々も集めている。大統領選で敗北したトランプ氏の支持者が、結果を覆そうと議事堂に乱入した事件である
▲収集は発生直後に始まり、すでにプラカードや横断幕、武器として使われた棒、襲われた警官のヘッドスカーフやブーツを保管した。現場で後片付けをした議員からは、当時着ていたスーツも提供された
▲議事堂が大規模に攻撃されたのは米英戦争以来207年ぶりだった。協会のハーティグ歴史博物館長は事件を受け、資料収集の意義をこう強調した。「民主主義の原則である権力の平和移譲が揺さぶられました。将来世代がそれを理解するため歴史を保存します」
▲明日6日で事件から4年になる。トランプ氏は大統領への返り咲きを決め、扇動した罪での起訴は取り下げられた。それでも歴史的「汚点」は保存される。民主主義を支える地道な活動である。
元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余録】 2025年01月05日 02:02:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます