路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【社説】:[秋元議員逮捕]癒着の構図 全容解明を

2019-12-31 08:58:25 | 【IR=カジノを含む統合型リゾート施設・IR推進法・ギャンブル依存症対策・賭博】

【社説】:[秋元議員逮捕]癒着の構図 全容解明を

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:[秋元議員逮捕]癒着の構図 全容解明を 

 秋元司衆院議員が収賄容疑で東京地検特捜部に逮捕された。日本でカジノを解禁する統合型リゾート施設(IR)事業への参入を目指していた中国企業から、現金300万円を受け取った疑いが持たれている。秋元議員は逮捕後、自民党を離党したが、IR誘致推進派で内閣府副大臣としてIRを担当した経歴を持つ。副大臣在任中に関係業者から現金を受け取ったことが事実なら、カジノ利権そのものだ。安倍政権が成長戦略の目玉と位置づけるIR事業に影響が及ぶ可能性もある。

 秋元議員はIR事業に便宜を図ってほしいとの趣旨と知りながら、2017年9月、東京都内で現金300万円を受け取ったとされる。贈賄容疑で逮捕されたのは、中国企業側の役員や顧問3人。県内のコンサルタントや元浦添市議も含まれている。

 さらに、18年2月には北海道旅行に招待され、旅費など70万円相当の利益供与を受けた疑いが持たれている。

 秋元議員は逮捕直前、ツイッターで「不正には一切関与していない」と訴える。

 秋元議員は、カジノ解禁を推し進めていた自民議員ら超党派による「国際観光産業振興議員連盟」(カジノ議連)に所属していた。

 16年12月、民進党(当時)などの反対を押し切ってIR整備推進法案の採決を強行した衆院内閣委員会で委員長を務めた。わずか3日間、計約6時間で採決に踏み切り野党だけでなく連立を組む公明党からも批判が出た。逆風の中、法案成立に大きな役割を果たしたのが秋元議員だった。

■    ■

 IR誘致が各地で進み始めたのは、IR整備法が成立した18年7月ごろからだ。

 一方で、国会での議論は深まらず、国民的な合意が得られたとは言いがたい。共同通信社がIR整備法成立直後に実施した世論調査では、「反対」が64・8%で「賛成」27・6%を大きく上回った。

 ギャンブル依存症の深刻化や治安悪化の懸念もあり、誘致を目指す自治体の住民から反対の声は根強い。

 IRの整備地域選定に向けた政府の基本方針づくりは、大詰めを迎えている。年明けにも公表される見込みだが、事業の公平性が疑われれば、誘致活動などにも影響が出かねない。

 秋元議員の汚職の容疑が明らかになった今、不正の全容と計画に与えた影響を解明し、検証することなしに、事業を前に進めることはできない。

■    ■

 逮捕を受け、野党はIR関連法を審議した衆院内閣委員会の閉会中審査を要求している。現職国会議員の逮捕は10年ぶりだ。副大臣に任命した安倍晋三首相の責任も問われる。

 政権を巡る不祥事が相次ぎ、「桜を見る会」の招待者名簿問題、辞任した菅原一秀前経済産業相と河井克行前法相の疑惑も解明されていない。

 自民党は閉会中審査に速やかに応じ、政府は国民への説明責任を果たさなければならない。それができないのなら、衆議院を解散し、国民に信を問うべきだ。

 元稿:沖縄タイムス社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2019年12月26日  07:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【大弦小弦】:聖火に込める沖縄の思い

2019-12-31 08:58:20 | 【スポーツ全般・屋内外の競技種目・オリ、パラ、デフリンピック・国民スポーツ大会】

【大弦小弦】:聖火に込める沖縄の思い

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【大弦小弦】:聖火に込める沖縄の思い 

 米軍統治下だった沖縄に東京五輪の聖火が到着したのは1964年9月7日正午だった。アテネを出発後、世界各都市を経由して沖縄に到着した。那覇空港は観衆で大混雑だったようだ

 ▼聖火を待っていた東京オリンピック大会組織委員会の与謝野秀(しげる)事務総長は「沖縄は日本の国土であるから聖火の日本最初の上陸地点である。と同時に本土と全く同じというわけにもいかないので、外国コースの終着点でもある」と述べたという

 ▼翌日、奥武山陸上競技場からスタートした聖火は、小雨が降る南部戦跡を通過。平和への思い、日本復帰への思いをアピールする機会になった

 ▼当時、糸満市の沿道で夫の遺影を抱えていた女性は「祖国へ向かう聖火に私たちの願いを込める」。父親が戦死した摩文仁を走った男性は「親の冥福と平和の願いを込めて走る」と本紙の取材に語っている

 ▼2020年の東京五輪では、県内の聖火リレーのスタート地点が首里城に決まった。小学生から90代の幅広い世代がそれぞれの思いを胸に、離島を含む県内17コース約33キロを2日間かけて聖火をつなぐ

 ▼来年は戦後75年でもある。沖縄はいまだ米軍基地に囲まれ、ネット上では「沖縄ヘイト」とも言うべき差別やデマが飛び交う。平和の祭典は、ウチナーンチュが願う今と未来を世界に発信するチャンスだ。(吉川毅)

 元稿:沖縄タイムス社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【大弦小弦】  2019年12月26日  07:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:[首相補佐官が便宜打診] 説明拒否は許されない

2019-12-31 08:58:15 | 【日米安保・地位協定・在日米軍・沖縄防衛局・普天間移設・オスプレー・米兵犯罪】

【社説】:[首相補佐官が便宜打診] 説明拒否は許されない

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:[首相補佐官が便宜打診] 説明拒否は許されない 

 菅義偉官房長官の側近とされる和泉洋人首相補佐官が2016年9月、東村高江周辺の米軍ヘリパッド建設で、電源開発(Jパワー、本社・東京)に協力を要請し、その見返りに「海外案件は何でも協力します」と便宜供与を持ち掛けていたことが、本紙が入手した内部メモで分かった。 Jパワー側は「防衛局から依頼があり、検討した結果、設備の一部の使用を認めた」としている。

 和泉補佐官は「何とか年内、オバマ政権のうちにケリをつけたい」「あと3カ月で完成させるには、JPから建屋、水、燃料タンク等の協力を得たい」と述べたと、メモに記されている。

 「あと3カ月」後の16年12月には北部訓練場返還式と祝賀会があった。名護市内で開かれ、前年の普天間飛行場など一部基地返還合意に尽力した、ケネディ元駐日米大使が出席していた。

 16年11月の大統領選で、民主党政権は共和党に敗退。ケネディ元大使が退任することが確実になり、その前に「目に見える形でのお返し」が必要だったわけだ。

 和泉補佐官は「米国政府は、日本政府は沖縄関連で何もしていないと見ている。本件は、日本政府も汗を流している証拠として、20年間、放置されていた件を動かした」が、「反対派の活動もかなりのもの」だとして協力を求めている。

 メモは、米国を恐れ、おもねり、点数稼ぎするために、なりふりかまわぬ安倍政権の姿を映し出す。そのために高江住民の生活が差し出された。

■    ■

 振り返れば、高江のヘリパッド建設工事は異常だった。

 政府は、参院選で基地反対の候補者が当選したわずか10時間後に作業に着手。重機の搬入に、陸上自衛隊の大型輸送ヘリを使った。抗議する住民を制圧するため、6都府県から約500人の機動隊員を投入した。

 反対派リーダーの山城博治さんは微罪で逮捕・起訴され、長期勾留された。

 ヘリパッドは突貫で工事が進められ、式典までに「完成」したが雨で2地区ののり面が崩落するなど、さまざまな不備が露呈して、17年7月に工事が再開された。

 警備にかかる費用がかさみ、事業費は当初契約の約6億円から94億円とおよそ15倍に膨れあがった。

 ヘリパッドと引き換えだった北部訓練場の半分返還は、日米政府が「大幅な負担軽減」とアピールしたが、米軍専用施設面積は全国の約74%から約70%になったにすぎない。

■    ■

 和泉補佐官は本紙の取材に「ヘリパッド建設事業は防衛局所管」として答えなかった。自身の名前が書かれた発言メモであり、説明責任を果たすべきだ。

 菅官房長官も24日の会見で「コメントは差し控える。詳細は防衛省に」と回答を避けたが無責任だ。

 高江の住民は今も、ヘリパッドに囲まれた集落で、騒音や、事件・事故への不安の中で日々を送っている。

 政府は事実を明らかにするべきだ。説明責任から逃れることは許されない。

 元稿:沖縄タイムス社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2019年12月25日  09:20:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【大弦小弦】:あなたも誰かのサンタクロース

2019-12-31 08:58:10 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【大弦小弦】:あなたも誰かのサンタクロース

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【大弦小弦】:あなたも誰かのサンタクロース 

 「お子さんは、サンタを信じていますか?」。栃木県の家電量販店で、店員の対応が話題になった。携帯用ゲーム機を購入する客に「信じておられる場合、商品の箱に保証スタンプを押さない方法があります」と提案した。大人の機転が好評だ

 ▼サンタクロースがプレゼントを配る習慣は1820年代、米国の絵本などが発祥とされる。育児支援団体が日米英の子どもを比較した結果、サンタがいないと考え始める年齢は3カ国とも8歳が最も多い

 ▼「ごめんね。今年はサンタさん、来られないみたい」。経済的に苦しい家庭もある。NPO法人「チャリティーサンタ」(東京)はこれまで、サンタに扮(ふん)したボランティア1万5千人を、3万2千人の子どもに届けた

 ▼世界に一通だけの手紙をしたため、絵本などを贈る。貧困、被災、難病。表情が曇りがちの子どもを笑顔にしたい。合言葉は「あなたも誰かのサンタクロース」

 ▼「サンタを信じますか? 僕は、いると知ってます」。18歳の青年が、こう語る。「7年前のクリスマス、来ないと思ったウチにも来てくれたから」。今年は、子どもを訪ねる側に回ろうと決めた

 ▼当時のサンタと再会し、赤い服と白ひげを受け取ると「ホー、ホッホッ」と笑った。子どもの心を温め笑顔にする人、みんながサンタさん。すべての子どもに、メリークリスマス。(吉田央)

 元稿:沖縄タイムス社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【大弦小弦】  2019年12月25日  08:21:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:[新基地完成まで13年]工事中止し別の道探れ

2019-12-31 08:58:05 | 【日米安保・地位協定・在日米軍・沖縄防衛局・普天間移設・オスプレー・米兵犯罪】

【社説】:[新基地完成まで13年]工事中止し別の道探れ

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:[新基地完成まで13年]工事中止し別の道探れ  

 「一日も早い危険性の除去」と言いながら、今後十数年かそれ以上、普天間の皆さん辛抱してください、と言っているのに等しい計画である。

 名護市辺野古の新基地建設を巡り、政府が沿岸部の埋め立て工期を、これまでの「5年」から「10年程度」に見直していたことが明らかになった。

 埋め立て海域東の大浦湾側で見つかった軟弱地盤の改良工事のためである。埋め立ての後、さらに飛行場の整備に3年を見込んでいる。

 仮に工事がスムーズに進んだとしても、米軍普天間飛行場の返還は2030年代半ば以降に大きくずれ込む公算だ。当初予定からは30年以上も遅れることになる。

 全体計画をずたずたにするような大幅な工期延長である。計画は完全に破綻した。

 普天間返還は、1996年の日米合意で「5年ないし7年」とされ、早ければ2001年の見通しだった。だが先送りが繰り返され、両政府が13年に合意した現行計画では、工期を5年と想定した上で「22年度またはその後返還」となった。

 国はこれまで「世界一危険な飛行場」だとし、移転の必要性を繰り返し強調してきた。この期に及んでもう十数年我慢してくれというのは、住民に対する背信行為だ。

 それだけではない。「一日も早い危険性除去」との決まり文句は、実態の伴わない誇大広告になってしまった。

 これ以上、工事を強行し続けることは許されない。

■    ■

 工期の長期化に伴って、少なくとも3500億円以上としてきた関連経費の大幅な増加が避けられない。

 県は昨年「運用まで13年以上、予算は最大2兆5500億円」との試算を示している。工期に関しては見通しがおおむね裏付けられた形だ。

 新基地を巡って国は環境アセスメントの段階からオスプレイ配備など肝心な情報開示を渋ってきた経緯がある。

 今回、軟弱地盤の存在が明らかになったのは市民団体の情報開示請求によるものだった。国が主体的に公表したものではない。

 7万本以上もの杭(くい)を打ち込む地盤改良工事では、ジュゴンやサンゴなどへの影響が懸念されている。既に本島周辺に生息するジュゴン3頭のうち1頭の死骸が確認され、残り2頭は行方不明のままだ。

 「工期」「工費」「環境保全」のどれをとっても、当初計画とは似ても似つかぬ事業になってしまった。

■    ■

 国は普天間返還までの十数年かそれ以上の期間、どのような対策を取るつもりなのか。

 今後、取るべき道は、埋め立てを中止し計画を全面的に見直すか、軟弱地盤の改良に伴う環境アセスやジュゴン調査などを実施し、一から埋め立て申請をやり直すか-そのどちらかしかない。

 国は計画が破綻したことを素直に認め、玉城デニー知事が求めている対話に応じるべきである。

 これ以上県民をもてあそぶようなことがあってはならない。

 元稿:沖縄タイムス社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2019年12月24日  07:23:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【大弦小弦】:忘年会、変わる形と変わらないモノ

2019-12-31 08:58:00 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【大弦小弦】:忘年会、変わる形と変わらないモノ

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【大弦小弦】:忘年会、変わる形と変わらないモノ 

 半世紀前、那覇市内の料亭で開かれた忘年会の写真が目に留まった(17日付オピニオン面)。舞台での余興に、座敷席で太鼓をたたいてはやす会社員。「飲めや歌えやのどんちゃん騒ぎが夜遅くまで続いた」とある

 ▼年の暮れに一年の労をねぎらう宴(うたげ)を詠んだ俳句も多い。〈スリッパの数見事なり忘年会(右城暮石)〉〈遅参なき忘年会の始まれり(前田普羅)〉。かつては大勢がそろって開会する一大行事だったのだろう。にぎわいが伝わってくる

 ▼その師走の風物詩が最近、様変わりしているようだ。職場の忘年会に参加しない「忘年会スルー」。20~30代を中心にSNSで発信され、注目を集めている

 ▼「高い会費を払って上司の説教や自慢話を聞きたくない」「飲めないのに酔っぱらいの相手をするのがつらい」。ネット上に挙がる不満の数々。年に1度のことだからと思う半面、絡まれたら面倒くさい気持ちも分かる

 ▼県外では、お昼時間に料理を配達してもらい、「ランチ忘年会」を開く会社が増えているという。これなら小さな子がいて夜の会合に付き合えない人も、お酒が飲めない人も参加しやすい

 ▼一年の終わりを、楽しく振り返って締めくくりたいのは共通の思い。社員も働き方も多様化した今、肝心なのは飲み会の形にこだわらず、コミュニケーションを深めることだ。(大門雅子)

 元稿:沖縄タイムス社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【大弦小弦】  2019年12月24日  07:23:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:[照明弾訓練 再開通告]住民無視は容認できぬ

2019-12-31 08:57:55 | 【日米安保・地位協定・在日米軍・沖縄防衛局・普天間移設・オスプレー・米兵犯罪】

【社説】:[照明弾訓練 再開通告]住民無視は容認できぬ

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:[照明弾訓練 再開通告]住民無視は容認できぬ 

 米軍キャンプ・ハンセン演習場に隣接する金武町伊芸区に60ミリ迫撃砲照明弾が3発落下した事故で、米軍は事故原因を「強風によって基地外に落下した」と結論付けた。再発防止策を実施し、訓練を再開する意向という。

 住民の安全に対する懸念を無視した軍事優先の振る舞いというほかなく、とうてい納得できない。

 沖縄防衛局が米軍からの情報を県に伝えた。日米地位協定に阻まれ日本側は事故調査をしていない。米軍の一方的な結論である。事故原因が米軍の言う通りかどうか検証ができないにもかかわらず、防衛局は米軍にただすことをしているようにはみえない。

 訓練再開の意向にも異を唱えない。事故が起きれば、被害を受けるのは住民である。当事者意識を欠き、従属的な姿勢はふがいないばかりだ。

 照明弾落下を住民が確認したのが今月5日の午後4時前だ。照明弾は夜間に使用するのが原則のはずで、なぜこの時間帯に照明弾を打ち上げたのか。どんな訓練をしていたのか。説明がない。

 照明弾は伊芸区から約2キロ離れた「レンジ2」から発射されたという。当時、金武町には強風注意報が発令され、風速約9メートルの風が吹いていた。レンジ2の射撃方向は西海岸側とされる。照明弾は風にあおられ、逆方向に流されてきたことになり、訓練のずさんさが浮き彫りになる。

 米軍は再発防止策として(1)同種の照明弾の訓練を実施できる最大風速を下方修正(2)風の状況をより正確に測定するための機器の改良-の2点を示した。防止策とは名ばかりで具体性はまったくない。

■    ■

 最大風速を下方修正するといっても、現行規則では最大何メートルで、下方修正すれば最大何メートルになるのかがわからない。適切な修正かどうか判断できないのである。機器の改良についても、これまで正確に測定できないものを使っていたと認めるのに等しい。

 訓練再開を最優先し、住民を愚弄(ぐろう)するものだ。

 伊芸区の被害は照明弾だけではない。連日明け方から夜半まで実弾射撃訓練で安眠を妨害されている。同区は事故発生直後に行政委員会を開き、照明弾の落下に抗議し民間地に近いレンジでの実弾射撃訓練の即時中止を求める決議を全会一致で採択した。

 伊芸区では小銃弾に被弾して住民が負傷するなど多くの事件・事故が起きており、怒りは沸点に達しているのだ。

 そもそも民間地と隣接する演習場で実弾射撃訓練をすること自体が無謀なのである。

■    ■

 ドイツでは野外演習区域や射撃場の使用もドイツ側の許可が必要となる。イタリアでも米軍の訓練はイタリア軍司令官へ事前通告し、承認などを得なければならない。両国とも自国の法律や規則を米軍に適用して主権を確立しているのである。

 政府は米軍の訓練に口を挟むことをしないが、これを改めない限り、住民の生命と財産は危険にさらされる。政府は伊芸区の切実な訴えを受け止め、米軍に対し最低限民間地近くでの照明弾や実弾射撃訓練の廃止を求めるべきだ。

 元稿:沖縄タイムス社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2019年12月23日  07:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【大弦小弦】:朝鮮と沖縄 保革一致の切り捨て

2019-12-31 08:57:50 | 【北朝鮮・朝鮮半島・拉致問題・独裁・朝鮮総連・朝鮮学校】

【大弦小弦】:朝鮮と沖縄 保革一致の切り捨て

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【大弦小弦】:朝鮮と沖縄 保革一致の切り捨て 

 87歳になる風間作一郎さんは、ちょうど60年前の行動を今も悔やんでいると明かす。「帰れ帰れ、と勧めてしまった。夢の国なんて宣伝は全部うそだった」。1959年12月、在日朝鮮人らの北朝鮮への帰国事業が始まった

 ▼新潟市が出港の地に選ばれ、地元の社会党員だった風間さんは送迎や警護に当たった。社会党だけではない。自民党も共産党も、経済界も労組も、各界各層が協力した

 ▼植民地支配の結果、日本に住んだ朝鮮人を戦後になって厄介者扱いした保守側と、社会主義の優位を宣伝したかった革新側。北朝鮮も宣伝効果と労働力を欲していた。関係者の思惑が奇妙な一致を見せた

 ▼当時、沖縄を巡る状況も似ていた。60年の日米安保条約改定に向け、政府は適用範囲にまだ復帰前だった沖縄を含めようとした。しかし保守側は核兵器を持ち込みにくくなる、革新側は沖縄を起点に米国の戦争に巻き込まれる-と懸念し、そろって拒否したのだった

 ▼敗戦の45年の暮れ、朝鮮と沖縄の人々が選挙権を奪われたのも同時だった。日本の都合で併合され、真っ先に切り捨てられる。差別に翻弄(ほんろう)された歩みが重なる

 ▼北朝鮮に帰国した約9万3千人はその後飢えと圧政に苦しみ、安否さえよく分からないまま。沖縄は安保の重圧に苦しんだまま。日本社会は、何ら清算しないままだ。(阿部岳

 元稿:沖縄タイムス社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【大弦小弦】  2019年12月23日  07:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政界地獄耳】:国民の声に耳を傾けずに政策といえるか/12.13

2019-12-31 08:15:00 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・核兵器・武装・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【政界地獄耳】:国民の声に耳を傾けずに政策といえるか/12.13

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳】:国民の声に耳を傾けずに政策といえるか/12.13 

 ★民主主義のルールにのっとり丁寧に住民に説明して対峙(たいじ)し理解を求める。おおよそ建前はそうなっていたのだろう。ひとつは政府が進めていた地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」について、秋田市の陸上自衛隊新屋演習場への配備計画だが、住宅と設置予定の演習場が近く、また事前のレーダー波による人体への影響の説明にもミスが目立ち、住民の不信と不安を買っていた。結果、最善の候補地と言われた演習場を政府は断念する模様だ。

 ★別の候補地を探すというが、では同様の配備計画を持っていた山口ではどうなるのだろうか。こちらも住民の理解が得られないので断念するということになるのだろうか。一方、官房長官・菅義偉は「各地に世界レベルのホテルを50カ所程度新設する」とするインバウンド政策を発表した。海外の富裕層を当てにした豪華ホテルで「財政投融資を活用し、日本政策投資銀行による資金援助などを行う」という景気のいい話だ。我が国では格差社会が広がり、極端な富裕層と低所得者の二極化が進み、デフレで低価格の食事や生活用品があふれている。

 ★それを横目に海外の富裕層を呼び込むなど、途上国の政策ではないのか。今、貧困に苦しみ、また災害の被災者が不自由な生活を強いられているが、それを後回しにしてまで進める政策だろうか。財政投融資もぎりぎりで踏ん張っている中小企業を支援する方が優先されるべきではないだろうか。「イージス・アショア」は防衛省への不信感と地域住民の反発に政府が答えた形になった。ところが沖縄はずっと県民が知事選、衆参の国政選挙などで米軍基地について反対し続けている。最近では宮古島の自衛隊配備などにも政府は耳を傾ける様子がない。住民の声を聴くか否かに差がある、政策や投資の優先順位の間違いなど、国民の声に耳を傾けずに政策といえるのか。(K)※敬称略

 ◆政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2019年12月13日  08:35:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:大晦日に考える 「残った掛け」の返し方

2019-12-31 06:10:56 | 【地球温暖化・排出量取引・国連気候変動枠組み条約COP・IPCC・海水温上昇

【社説①】:大晦日に考える 「残った掛け」の返し方

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:大晦日に考える 「残った掛け」の返し方 

 昔は、庶民にとって大晦日(みそか)というと、掛け取り、つまり売掛金の集金人との攻防のクライマックスみたいなところがあったようで、江戸の川柳には、どうも、その手の柳句が多いですね。

 貸し借りは、年内にすっきり払い、払ってもらって、というのが理想ですが、それぞれの懐具合もあってなかなかそうもいかない。

 <元日や今年もあるぞ大晦日>という川柳など、一見ナンセンスギャグのようですが、さにあらず。どうにか、掛け取りとの攻防をしのぎ、平和な正月にたどり着いた途端、もう暮れの心配をして、ああ今年の大晦日も大変だと慨嘆する、というのが句意でしょうか。

 ◆世界中で異常気象

 <晦日そば残った掛けはのびるなり>。これも大晦日の句です。年越しの掛けそばの「掛け」と売掛金の「掛け」を掛け、麺の「のびる」に支払いの「延びる」を重ねたうまい一句ですが、私たちも何だか大きな「残った掛け」を先延ばしにして年を越すような心持ちがしないでもありません。

 投票で決まる恒例の「今年の漢字」から一年を振り返ってみましょう。といっても、一位の「令」ではなく、その他のトップ10。それぞれの漢字を選んだ理由を見ると、四位「変」、五位「災」、さらに六位「嵐」、七位「水」、八位「風」、九位「天」と、実に六つに天変地異というか大嵐というか、15号や19号が記録的大雨などで甚大な被害をもたらした台風がからんでいるのです。

 異常な気象現象は、台風の凶暴化だけでも、日本だけの話でもありません。欧州やインドは今年、熱波に見舞われ、フランスでは史上最高気温の四六度を記録。異常な高温・低温、異常な少雨・多雨は各地で見られ、大規模な山火事も頻発しました。

 多くは地球温暖化が背景にあると考えられています。米海洋大気局によれば、今年七月の世界の平均気温は史上最高を記録。北極圏の海面上にある氷の面積も最小記録を更新したといいます。

 ◆当事者に「救助」の責任

 折も折、今年は、明日スタートする温暖化防止の国際的取り決め「パリ協定」の準備を整える年でした。そのために各国が集った今月の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)では、各国のCO2削減目標の強化こそ合意されたものの、強い表現は盛り込めませんでした。ルールも全体の合意に至らず先延ばしに…。国連のグテレス事務総長は率直に「がっかりした」とツイートしました。

 今年も、世界中であれだけの異変を経験し、せっかく協定も動きだすのに、私たちはなお、本気で危機感を共有し、この途方もない問題に取り組む体制をつくれていない。これをこそ、大きな「残った掛け」だと感じるのです。

 何にせよ、温暖化に歯止めをかけるため、さらには、腰の重い政府を動かすために、私たちは今にも行動を起こさなければならないのですが、一つ心配なことが…。

 話は半世紀以上遡(さかのぼ)って、一九六四年。一人の女性がニューヨークの自宅アパート前で暴漢に刺殺される事件がありました。その様子を実に三十八人ものアパートの住人が部屋の窓などから目撃していたのに、襲われてから死亡するまで半時間以上もの間、誰一人救助はおろか警察への通報さえしなかったのだといいます。なぜか-。

 「こんなにたくさんの目撃者がいるのだから誰かが救助や通報をするだろう」といった心理が働いたためと考えられています。被害者の名から「キティ・ジェノヴィーズ事件」と呼ばれ、心理学でいう「傍観者効果」の典型例として知られています。

 世界中で異常気象や災害という“事件”が起きていて“目撃者”はほとんど無数といっていいほど多数。どうでしょう。自分じゃなくても誰かが何とかするだろう、という傍観者効果がこれほど働きやすい構図もないのでは。

 しかし、私たちは目撃者である前に当事者です。傷ついた地球の“救助”に責任があります。

 何も海外には飛行機でなくヨットで行こう、などというのではありません。極端に「意識が高い」行動は誰もができることではない。個々がほんの少しだけ、環境を意識したエネルギーの使い方、企業や商品、あるいは政治家の選び方をするだけで、効果は絶大のはず。なにしろ、個々の効果は小さくても、当事者はほとんど無数にいるのですから。

 ◆恐怖する子どもたち

 過日、ノーベル賞の授賞式から帰国した吉野彰さんが、欧州で接した子どもたちのことを、こう語っていたのが印象に残りました。「(地球環境の未来について)彼らは恐怖心を持っている」

 私たちの「残った掛け」を、未来の世代につけまわすわけにはいきません。来年こそ-。いろんな意味でいい年にしたいものです。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年12月31日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗】:「あばよ芝よ金杉よ」。

2019-12-31 06:10:52 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【筆洗】:「あばよ芝よ金杉よ」。

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:「あばよ芝よ金杉よ」。

 劇作家の小山内薫が「今でも、この一句を口ずさむと、まだ電灯のなかった、薄暗い、寂しい、人通りの少ない、山の手の昔の夕暮が思い出される」と書いていた▼若い人は何のことだか分かるまい。かつての子どもたちのはやし言葉。遊びを終え、家路につく子ども同士の別れのあいさつというから、「カエルが鳴くからカエロ」みたいなものか▼「あばよ」の音から「芝よ」で、「金杉」は芝(東京都港区)の地名。昔も今も子どもは面白いことを考える▼その「あばよ」。同じ別れの言葉でも「さようなら」「さらば」に比べ、ぞんざいでふてくされ、すねたようなニュアンスを感じる人もいるのではないか。<笑ってあばよと気取ってみるさ>は中島みゆきさんの「あばよ」。女性の失恋を歌っているが、その「あばよ」は怒っている▼民俗学者の柳田国男によると最初は「彼は」の「アハ」だったらしい。「遠くに在るものを指す時の掛け声のやうな」ものだったが、去っていく人を見送る言葉となり、やがて相手に聞こえるよう声高に使っているうちに「アバ」に変わったという見立てである▼二〇一九年が終わる。災害や事件、政治問題。振り返れば、ふてくされたくなる出来事ばかりを思い出すのは人の常か。一九年よ。おまえもつらかったことだろうて。友と別れる気分で「あばよ」と送る。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2019年12月31日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。 

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【首相の一日】:12月30日(月)

2019-12-31 06:10:48 | 【政策・閣議決定・マイナカード・2025大阪万博、優生訴訟・公権力の暴力他】

【首相の一日】:12月30日(月)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【首相の一日】:12月30日(月) 

 【午前】7時55分、静養先の東京・六本木のホテル「グランドハイアット東京」から神奈川県茅ケ崎市のゴルフ場「スリーハンドレッドクラブ」。古森重隆富士フイルムホールディングス会長、飯島彰己三井物産会長、後藤高志西武ホールディングス社長らとゴルフ。

 【午後】4時34分、グランドハイアット東京。6時29分、フランス料理店「THE FRENCH KITCHEN」で増岡聡一郎鉄鋼ビルディング専務、昭恵夫人らと食事。同ホテルに宿泊。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政局・首相の一日】  2019年12月31日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:年の終わりに考える 人肌からデジタルへ

2019-12-31 06:10:40 | 【経済・産業・企業・関税・地球資源・IT・ベンチャー・起業・インバウンド】

【社説①】:年の終わりに考える 人肌からデジタルへ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:年の終わりに考える 人肌からデジタルへ 

 ♪トヨタ、ミツビシ、ソニー、トウシバ…。セルビアの首都ベオグラードのレストランで、生バンドが日本人客のために演奏してくれた曲の歌詞です。メロディーは「上を向いて歩こう」でした。

 一九九九年、北大西洋条約機構(NATO)はセルビアを空爆しました。ミロシェビッチ大統領(故人)による独裁体制を攻撃するためです。その関連取材でひんぱんに現地に赴きました。

 テレビ画面に飛行機の形をしたマークが出ると、それはイタリアの空軍基地から爆撃機が出撃した合図。汽笛のような空襲警報が鳴り響く中、爆撃が始まります。

 ◆小さくなった好循環

 レストランで地元の方に「なぜ日本人がバルカン半島の戦争に興味を持つのか」と聞かれたことがあります。セルビアなどバルカン諸国は日本との縁が比較的薄い。だが街では日本車を見かけ、空爆で破壊された跡地では日本製クレーン車が活躍していました。

 当時の欧州で日本について知られていたのはアニメの「キャプテン翼」とサッカーの中田英寿選手、それに多くの企業名でした。

 付加価値の高い製品を生み出し、それで得た資金を再び開発に投じる。この循環は世界経済をリードしていました。ところが二十年後、循環が描く円の規模は随分小さくなってしまいました。

 代わりに今、経済界を席巻しているのは米中の巨大IT企業群です。国内でもIT関連企業は存在感を増しています。

 デジタル。すべてのIT企業が存在の基盤とする概念です。日本の製造業も当然、デジタル技術を使いますが、製品を作るための手だてにすぎません。

 デジタルの核心部分には、無数の半導体が埋め込まれた電脳世界が広がります。そこには常に新たな技術がつぎ込まれます。IT企業は、その「デジタルの泉」ともいうべき空間から次々サービスを紡ぎ出します。

 ◆一つの道を究めない

 「車をつくり続けたい」「おいしいビール製造にこだわりたい」。デジタル世界ではこうした一つの道を究めるといった考え自体ほぼありません。自前で新たなサービスを生み出せない場合、他企業の買収という道を選びます。

 九七年、すでにソフトバンクの経営トップとして活躍していた孫正義氏にインタビューをしました。孫氏は「デジタルは私の生涯のテーマ」と述べました。

 トヨタ自動車との提携に昨年踏み切った孫氏は、車を「半導体の塊になるだろう」と予測しました。車を究め続けた企業との共同作業で、巨大IT企業が人々の利便性に役立つどんなサービスを生み出すのか期待は膨らみます。

 今年、フェイスブック(FB)のデジタル通貨「リブラ」が注目を集めました。スマホがあれば簡単にお金を振り込むことができ、銀行口座を持つことができない多くの人々が恩恵を受ける。FBはこう言ってリブラを売り込みます。しかし日米欧の先進各国はリブラに強く反発し、発行延期となりました。

 デジタル技術は情報の漏えいが問題となります。しかし、それ以上に問題なのは情報が集約しやすい点です。言い換えれば運営者が情報を独占できるのです。

 リブラが世界中で使われれば、FBの経営陣は膨大な人々のお金の使い道を知ることが可能になります。その点に日米欧の民主主義国は本能的に拒否反応を起こしたのではないか。

 中国がデジタル人民元を導入しようとしています。間もなく実現するはずです。開かれた議会での審議がない国では、大胆な決定が素早くできます。

 さらに中国政府の狙いが国民の利便性の向上だけではなく、情報管理の強化にあるとの指摘も否定できないでしょう。

 しかし、中国に後れを取るからといって日本など民主主義国がデジタル通貨の導入を急ぐ必要はない。ゆっくりでもいいから議論を尽くすことがデジタルを活用する上で最も大切です。

 ◆知らない誰かに…

 日本には百年以上の伝統を誇る企業が中小を中心に無数にある。そこから生み出される有形無形のサービスの内側には、人肌感覚のもてなしが広がっています。老舗側は顧客の気持ちを知り尽くしています。

 デジタルの世界でも人工知能(AI)などを駆使して顧客の気持ちは把握されています。スマホには自分の関心の高い分野や製品の情報が自動的に流れてきます。便利ですが、同時にそれは知らない誰かに自らの関心事を捕捉されていることでもあります。

 来年以降も間違いなくIT産業は経済的規模を拡大し続けます。暮らしに溶け込んでいくデジタルについて、より注意深く学ぶべき時が来ています。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年12月30日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗】:文芸評論家のドナルド・キーンさんが「かつて私にとって、

2019-12-31 06:10:36 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【筆洗】:文芸評論家のドナルド・キーンさんが「かつて私にとって、日本で正月を迎えることは少々つらい体験だった」と書いていた。

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:文芸評論家のドナルド・キーンさんが「かつて私にとって、日本で正月を迎えることは少々つらい体験だった」と書いていた。

 なにがつらかったか。孤独である▼当時はまだ、正月をともに過ごせる人がいなかったらしい。友人はそれぞれの故郷へ帰っていく。「私には行くべきところがなかったのだ」。食事はどうしていたのだろうと心配になる▼似た経験がわが身にもある。米国に単身赴任した最初の年の感謝祭。レストランやスーパーは軒並み店を閉めてしまう。まだ友人もいない。孤独とすきっ腹を抱え、町中をうろつき、やっと一軒だけ営業していたカフェを見つけた時のうれしさ。キーンさんと語り合いたかったぐらいである▼コンビニエンスストアやスーパーなどの小売業、外食チェーンで元日を休業とする動きが広がっているそうだ▼かつての正月の三が日といえば、休業する店がほとんどだった。休みを返上するようになったのは一九九〇年代ぐらいからかと記憶するが、働き方改革や人手不足を受け、ついには見直さざるを得なくなったらしい▼独り身の中には不便を憂う方もいるかもしれぬが歓迎すべき動きなのだろう。正月返上で働いていた人が、家族とともに過ごすことができる。故郷へも顔を出しやすくなる。休業となれば町は少々寂しくなるが、懐かしい日本の正月へと戻るだけと考えることにする。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2019年12月30日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。 

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【首相の一日】:12月29日(日)

2019-12-31 06:10:32 | 【政策・閣議決定・マイナカード・2025大阪万博、優生訴訟・公権力の暴力他】

【首相の一日】:12月29日(日)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【首相の一日】:12月29日(日) 

 【午前】8時15分、東京都稲城市のよみうりゴルフ倶楽部。成蹊大の友人、長谷川栄一首相補佐官とゴルフ。

 【午後】4時15分、東京・富ケ谷の私邸。5時26分、東京・六本木のホテル「グランドハイアット東京」。6時、中国料理店「CHINAROOM」で成蹊大の友人と食事。同ホテルに宿泊。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政局・首相の一日】  2019年12月30日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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