愛国者の邪論

日々の生活のなかで、アレ?と思うことを書いていきます。おじさんも居ても立っても居られんと小さき声を今あげんとす

東京新聞はリョーマとローマの違いをはっきりさせる民意尊重装置をこそ探求するべき!

2012-07-03 | 日記
国民にとっては「比較的まともな」と言ったら失礼になることは承知のうえで、敢えて使うのだが、「東京」新聞が注目すべき社説を掲載した。以下掲載しておこう。

だが、「討論型世論調査」を提唱する「東京」=共同通信系列が、「熟議できない政治家に代わって、しっかりとした民意を示していくため」「真の民主主義を取り戻したい」のであれば、再検討しなければならないことは、以下の点である。

1.「“小泉劇場”や政権交代劇は、世論がムードに流された」とあるが、「流した」のは誰か、反省が必要だ。

2.「年金、原発をどうするか-は国民に多様な意見があるはずだ」と述べえいるが、国民の多様な意見を公平に報道してきたかどうか、反省が必要だ。

3.「討論内容を公開すれば国民的関心を呼」ぶ、とあるが、その討論内容を公開してきたかどうか、反省が必要だ。

4.「最終結果を政策に反映していく工夫も考え、ムードではなく政策を選択する選挙に変えたい」あるが、政党の政策を公平に国民に提示し、検証してきたかどうか、反省が必要だ。

愛国者の邪論は、「討論型世論調査」も大事とは思うが、「東京」の言うような「ムード」の醸成を煽ってきたマスコミの責任、教訓を踏まえない、矮小化させること、脇に置くのでは、真の民主主義を取り戻すことはできないだろうと思う。

その理由を具体的に指摘してみたい。最大のポイントは、ソフトバンクのCMではないが、「リョーマ」と「ローマ」の違いを見えなくさせる装置が現在のマスコミ報道であり、この仕組みを根本的に変えていくことだ。

特に、いくつかの例をあげてみる。
(1)「与野党」という表現がある。自公政権の時は、「野党」と、言えば「民主党」であった。現在は「自公」となっている。その他の「野党」は政治の枠外にはめ込まれている。対立軸のない民自公の翼賛政治、したがって揚げ足取り討論を見せられる国民が政治不信に陥ることは明らかだ。

(2)「既成政党」という表現もある。「民自公」の翼賛・やらせ政治と真っ向対立する政党があるにもかかわらず、偏向報道を見せられる国民が、橋下「維新の会」を持ち上げるマスコミ報道を見れば、それを支持するのは当然だ。

(3)原発報道もそうだが、消費税増税に反対する国民の運動はほとんど報道していない。しかもそうした国民の運動を反映した小沢グループの動きを「造反」「党内対立」として描くことで、消費税増税派の動きを後景に追いやるというトリックが仕組まれている。こうした報道ぶりは世論調査にも示されている。

(4)国会中継はNHKが行っているが、国会中継を日常的には行っていない。予算委員会とか特別委員会のみである。しかも、国会中継のニュースは公平に報道されていない。

(5)マスコミのスポンサーである大企業に対する追及が弱い。最たるものは、原発マネー・軍需産業に象徴されるように企業団体献金問題を公平に、系統的に報道してきたかどうか、だ。

(6)憲法の平和主義と日米安保条約の矛盾を憲法の原則に沿って報道しているかどうか、だ。特に事例をあげてみる。
・中国や北朝鮮の脅威をことさら煽っていないかどうか、そのことと関連して、国際法の原則である「紛争を話し合いで解決」している事例を国民に提示しているかどうか、
・日米安保体制擁護のために使われた血税を検証しているかどうか、
軍需産業との癒着や自衛隊員の「不祥事」を他の公務員不祥事事件と同様に報道しているかどうか、

(7)過去の戦争責任問題を国際法の原則に沿って報道しているかどうか、だ。国際社会は「戦争犯罪及び人道に反する罪に対する時効不適用に関する条約」を1970年に締結しているが、日本国政府は批准もしていない。このことが、いわゆる従軍慰安婦や靖国参拝問題など、「政府の行為によって戦争の惨禍」が引き起こされたことを国家として、国民として清算できずにいる。

(8)対立軸を不明確にしている事例の最後に上げるとすれば、選挙制度をあげなければならない。現行の公職選挙法が民意を正しく反映できるものになっているかどうか、選挙制度を「政党のエゴ」として報道してこなかったかどうか、である。一票の格差をなくすためには小選挙区制はふさわしいかどうか、中選挙区制下の一票の格差はどのように報道されていたか、国際社会においては比例代表選挙が多数派になっていることを報道しているかどうか、などがある。

以上の事例にみるように、この間のマスコミは国民に対立軸を整理して報道していない。「東京」は、このことを分析し、反省し、教訓化して、国民の知る権利、マスコミの報せる責任を果たすべきだろう。そうすれば自ずと、展望は開かれる。

繰り返すが、マスコミは「放送法」や「消費者基本法」の原則を、今こそ具体化するための大改革を断行すべきだ。さもなければ、インターネット社会のなかで大きなしっぺ返しを喰らうだろう。それは政党も企業も同じだ。共同通信の果たす役割を思えば、このことは声を大にして言わなければならない。

立つ位置の場所から見える政事(まつりごと)民の立つ位置数多の位置に

東京社説 討論型世論調査 民意が軽視されぬよう2012年7月2日
 消費税増税や原発再稼働を決めた政治に「熟議」の跡はなかった。永田町に、霞が関に、任せきりでいいのか。代議制を補完する手法として討論型世論調査を広め、真の民主主義を取り戻したい。
 メディアや専門機関が行う通常の世論調査では瞬間的に意見を求められ、十分な情報がないまま思いつきで答えてしまいがちだ。“小泉劇場”や政権交代劇は、世論がムードに流された。そうした大衆迎合に陥りやすい民主主義の弱点を補う手法が討論型世論調査(DP)だ。
 やり方はこうだ。例えば、三千人を対象に通常の世論調査を実施し、回答者の中から討論に参加する三百人程度の希望者を募る。関連資料を読み込んでもらって二度目、グループ討議や全体会議を通じて専門家から賛否双方の意見を平等に聞いた上で三度目の調査をする。その結果、態度や意見の変化が表れる。それこそが熟議を経た深い民意なのだ。
 考案した米国の政治学者は一九八八年の大統領選予備選で、最初にある小さなアイオワ、ニューハンプシャー両州の結果が流れを決めたことに疑問を抱いた。九六年の大統領選でDPを導入したところ、直面する課題は「経済不安」という回答が討論前の36%から討論後は51%に上昇、大きな争点に浮上した。以来、約二十の国・地域で実施されている。
 日本では神奈川県藤沢市が新総合計画策定にあたり、慶応大DP研究センターの協力を得て取り入れたのが最初。同センターは昨年五月、年金をテーマに全国規模で実施した。基礎年金の全額税方式について「賛成」の回答が順次増え、保険料方式の維持が難しいとの認識が深まった。
 国会は増税ありきで肝心な社会保障を先送りし、政府は暫定の安全基準で原発再稼働を認めた。年金、原発をどうするか-は国民に多様な意見があるはずだ。すでに「民意なき民主主義」に陥っている。将来のつけはすべて国民に回ってくる。熟議できない政治家に代わって、しっかりとした民意を示していくためにもDPを援用したい。
 エネルギー政策やTPPなど国民に賛否両論がある問題にDPは有効だ。討論内容を公開すれば国民的関心を呼び、タウンミーティングのやらせ質問やパブリックコメントの組織的な意見も防げる。最終結果を政策に反映していく工夫も考え、ムードではなく政策を選択する選挙に変えたい。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012070202000118.html
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