今日の各紙の国際面の記事に注目してみた。いわゆる南シナ海の領土問題に対する当該国と、それをめぐる東南アジア諸国連合の営みについてだ。
「産経」「赤旗」の記事と、「東京」「毎日」「朝日」の記事は、内容が逆のような気がする。今日は時間がないので、これくらいにしかできない。「読売」と「日経」の記事は探せなかった。
「産経」
南シナ海の領有権問題の平和的な解決へ向け、法的拘束力がある「行動規範」の原案を了承し、中国と今後、交渉を開始することで合意した。中国側も応じる方針
急接近する米国とASEANの離反を狙ったポーズにすぎず、交渉の実質的な進展は望み薄だとみられている。
「赤旗」
一部加盟国と中国が領有権を争う南シナ海での紛争を防止するための「南シナ海行動規範」に盛り込む「主要な要素」を承認
行動規範はASEANと中国を法的に拘束する文書で、2002年に合意した「南シナ海行動宣言」を格上げするものになります。8日のASEAN・中国高官協議では、9月にも事務レベル協議を開始することで合意しました。 ASEAN側の「主要な要素」には、国連海洋法条約の順守、紛争解決と防止の仕組みなどが盛り込まれています。
「東京」
中国とベトナムやフィリピンの対立が激化する南シナ海の領有権問題の解決に向け、高級事務レベル協議では法的拘束力を持つ「行動規範」の策定を目指したが、中国側の反発もあり、継続協議することになった。
「毎日」
中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)の一部の国が領有権を争う南シナ海問題で、法的拘束力のある紛争防止の規則「行動規範」を今年中に策定するのは不可能な情勢になった。
8日の中国・ASEAN高級事務レベル会合でASEAN側は「行動規範」の骨子案を中国に提示し、策定作業の加速を狙った。しかし、「排他的経済水域(EEZ)の尊重」や「航行の自由」を盛り込んだ案は、南シナ海のほぼ全域を領有とする中国の主張と相いれない。中国は自国の参加する作業部会で草案を一から作り直すことを求めた。
中国の意向を受けて動いたのが議長国カンボジアだった。9日のASEAN外相会議でカンボジアは対中強硬派のフィリピンやベトナムと対立した。協議は紛糾し、骨子案からEEZなどに関する文言の削除を求める意見も出た。このため、骨子案を承認し、「行動規範」策定への意欲を表明するはずだった共同声明の発表は翌10日以降にずれこんだ。
「朝日」
南シナ海に関する文言をめぐり意見が対立し、翌10日になっても共同声明が採択できない一異例の事態となった。対中国でASEAN内の足並みの乱れが露呈している。通常は外相会議後まもなく発表される共同声明が、日付を越えてもまとまっておらず、いつ合意できるか未定だという。 複数のASEAN外交筋によると、問題となっている文言は、領有権をめぐって加盟国のうち4力国が中国と対立している南シナ海に関する部分だ。昨年の共同声明では、「最近の南シナ海の事件に深刻な懸念を表明」となっていた。
この東南アジア諸国連合(ASEAN)は、1976年2月にインドネシアのバリ島で初の首脳会議で締結された多国間条約である東南アジア友好協力条約を締結している。
これは東南アジアにおける平和・友好・協力を目的とする。
国際連合憲章の諸原則、バンドン会議の平和10原則、東南アジア諸国連合設立宣言などを再確認し、東南アジア地域の平和、安定、協力の諸原則を定めている。
特に、第2条で締約国相互の関係について、以下の基本原則を定めている。
主権・領土保全等を相互に尊重
外圧に拠らずに国家として存在する権利
締約国相互での内政不干渉
紛争の平和的手段による解決
武力による威嚇または行使の放棄
締約国間の効果的な協力
参考:http://ja.wikipedia.org/wiki/
上記の考え方は、日本国憲法第9条そのものだ。日本のマスコミ・政府・各政党が、この理念に基づく外交努力や報道を繰り返し行うのであれば、尖閣・竹島問題も解決できると思う。
しかし、憲法9条を変えたい「輩」からすれば、この東南アジアの努力は、国民に知られたくないのかもしれない。
そこで、この努力を参考にできるように、政府や政党、マスコミに迫っていきたい。
諍ひに新しき術見つけたり命の大切人類の知恵
中国と交渉開始で合意 南シナ海「行動規範」原案を了承 ASEAN外相会議
2012.7.10 00:04 (1/2ページ)
【プノンペン=青木伸行】東南アジア諸国連合(ASEAN)は9日、カンボジアの首都プノンペンで外相会議を開いた。南シナ海の領有権問題の平和的な解決へ向け、法的拘束力がある「行動規範」の原案を了承し、中国と今後、交渉を開始することで合意した。中国側も応じる方針だが、急接近する米国とASEANの離反を狙ったポーズにすぎず、交渉の実質的な進展は望み薄だとみられている。
会議の冒頭、ASEANの議長国、カンボジアのフン・セン首相は「行動規範が対話と協力の原動力となることを、ASEANは示すべきだ」と述べ、行動規範の策定による南シナ海の緊張緩和が、最優先課題だとの認識を示した。
会議では(1)国連海洋法条約、相互不可侵、内政不干渉などを順守する(2)平和的解決に向けた手段を構築する(3)行動規範に拘束力をもたせ、実施状況を監視する仕組みを構築する-など行動規範の原案を了承した。
この原案をASEAN側は、8日の中国との事務レベル協議で提示しており、双方は行動規範をめぐる協議を、9月にカンボジアで開始することで一致している。11日のASEANと中国の外相会議で、正式に決定される。
ASEANは中国と2002年、武力行使の禁止などをうたった「南シナ海行動宣言」に署名したものの、実効性がなく、行動規範の策定に持ち込もうと、論議を進めてきた。
だが、中国側は行動規範は自身の手足を縛るため、協議には応じる姿勢をちらつかせつつ、策定を拒否。ASEAN内部も、対中強硬派のフィリピンと他の加盟国が対立し、まとまらなかった。
中国が今回、協議開始に応じる姿勢を示したのは、米国がアジア・太平洋地域における軍事プレゼンスと、フィリピンやベトナムなどとの軍事面での協力を強化しており、これを牽制しASEANを懐柔するためにほかならない。行動規範を嫌う中国の本質は、何ら変わっていない。
現に、中国の楊潔●(=簾の广を厂に、兼を虎に)外相に同行している高官は9日、「行動規範は(領有権の)争いを解決するものではなく、相互理解と協力を構築するものだ」と述べた。これは「中国の領有権を他の関係当事国が認めることを前提に、資源の共同開発などに応じる考えを示したものだ」(会議筋)と受け止められている。
何より、中国の実際の行動をみると、南シナ海で南沙(英語名スプラトリー)諸島などを「三沙市」に格上げし、軍事力も強化しているほか、ベトナム近海での石油・天然ガス開発の国際入札も計画するなど、領有権を既成事実化する動きを強める一方である。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120710/chn12071000050000-n1.htm
南シナ海紛争防止へ規範「主要な要素」を承認ASEAN外相会議2012年7月11日(水)
【プノンペン=面川誠】東南アジア諸国連合(ASEAN)は9日、議長国カンボジアの首都プノンペンで開いた外相会議で、一部加盟国と中国が領有権を争う南シナ海での紛争を防止するための「南シナ海行動規範」に盛り込む「主要な要素」を承認しました。
(写真)地域情勢などを話し合ったASEAN外相会議=9日、プノンペン(面川誠撮影)
行動規範はASEANと中国を法的に拘束する文書で、2002年に合意した「南シナ海行動宣言」を格上げするものになります。8日のASEAN・中国高官協議では、9月にも事務レベル協議を開始することで合意しました。
ASEAN側の「主要な要素」には、国連海洋法条約の順守、紛争解決と防止の仕組みなどが盛り込まれています。
ASEANは11日に開かれる中国との外相会議で、ASEAN側が合意した「主要な要素」をもとに協議を進めるよう求めるとしています。
ASEANのスリン事務局長は記者団に対して、「(東アジア)地域は国際社会に向けて、最善の方法で問題に対処できるということを示さなければならない」と語りました。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-07-11/2012071107_01_1.html
赤旗 【北京=小寺松雄】 国際面
中国外務省の劉為民報道官は9日の記者会見で、東南アジア諸国連との「南シナ海行動規範」をめぐる協議について、「行動規範は条件が成熟した時点でASEAN諸国と協議したい」と表明しました。
そのうえで劉氏は行動規範の目的について「関係国の相互信頼を増進し、協力を深め、南シナ海の平和と安定合を共同で守ることであって、南シナ海の紛争を解決することではない」と述べました。
赤旗 南シナ海問題当該国との課題 中国「北京=小寺松雄」 国際面
中国外務省の劉為民報道官は10日の記者会見で、南シナ海の領有権をめぐる問題について、「中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)との間の課題ではなく、中国と当該国との課題だ」との認識を示しました。
カンボジアで開かれるASEAN地域フォーラム(ARF)でこの問題を話し合うことについても、「ARFで南シナ海問題をおおげさに扱うのは、この間の共通認識を無視するものだ」と指摘しました。
東京 南シナ海 行動規範 合意至らず2012年7月10日 朝刊
【プノンペン=杉谷剛、安藤淳】東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議が九日、カンボジアの首都プノンペンで開かれた。中国とベトナムやフィリピンの対立が激化する南シナ海の領有権問題の解決に向け、高級事務レベル協議では法的拘束力を持つ「行動規範」の策定を目指したが、中国側の反発もあり、継続協議することになった。
ASEAN側が求めているのは、国連海洋法条約など国際法に基づいた航行の自由や領海の尊重で、いったんは行動規範に盛り込むことで合意を図ろうとした。
しかし、中国を加えた八日の高級事務レベルでの非公式会合で、中国側が内容を一から協議したいと主張。結局は九日の外相会議では、事務レベル協議を継続することは決まったが、話し合いは平行線に終わった。
議長国カンボジアのフン・セン首相は外相会議の開会式で、行動規範策定の重要性を強調した。アジア太平洋地域の軍備増強を打ち出している米国も規範の早期策定を求めたため、八日の非公式会合での中国の出方が注目されたが、歩み寄ることはできなかった。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2012071002000123.html
南シナ海:行動規範、年内策定は不可能 中国が引き延ばし 毎日新聞 2012年07月10日 19時34分(最終更新 07月11日 00時58分)
南シナ海で各国が権益を主張する主な海域
【プノンペン岩佐淳士、米村耕一】中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)の一部の国が領有権を争う南シナ海問題で、法的拘束力のある紛争防止の規則「行動規範」を今年中に策定するのは不可能な情勢になった。カンボジア・プノンペンで開かれているASEAN関連会議で中国が「引き延ばし戦略」とASEAN分断工作を展開しているためだ。
ASEANは02年に中国と署名した「南シナ海行動宣言」を今年までに「行動規範」に格上げし、問題解決の道筋をつけることを目指してきた。
8日の中国・ASEAN高級事務レベル会合でASEAN側は「行動規範」の骨子案を中国に提示し、策定作業の加速を狙った。しかし、「排他的経済水域(EEZ)の尊重」や「航行の自由」を盛り込んだ案は、南シナ海のほぼ全域を領有とする中国の主張と相いれない。中国は自国の参加する作業部会で草案を一から作り直すことを求めた。
中国の意向を受けて動いたのが議長国カンボジアだった。9日のASEAN外相会議でカンボジアは対中強硬派のフィリピンやベトナムと対立した。協議は紛糾し、骨子案からEEZなどに関する文言の削除を求める意見も出た。このため、骨子案を承認し、「行動規範」策定への意欲を表明するはずだった共同声明の発表は翌10日以降にずれこんだ。
中国は6月、カンボジアに4億2000万ドル(約330億円)の融資と航空機2機の供与を約束した。今回のASEAN関連会議を前にカンボジアの取り込みを図ったものとみられる。ラオスなどへの投資や援助も強化しており、経済的結びつきを背景とした「中国によるASEAN分断工作が成功している」との見方も外交関係者の間に広がっている。
一方、中国外務省の劉為民報道局参事官は9日の定例記者会見で「行動規範の目的は南シナ海を巡る問題の解決ではなく、関係国との相互信頼を強化することだ」と強調した。法的拘束力のある「行動規範」作りに本気で取り組むのではなく、単に協議を続けることで自国の孤立化を避けるという中国の「引き延ばし」戦略を示唆した発言だ。タイ外務省の高官は「行動規範の策定には、まだまだ時間がかかる」と述べ、「12年策定」という当初の目標を達成することは難しいとの見通しを示した。
http://mainichi.jp/select/news/20120711k0000m030045000c.html
朝日 南シナ海巡り声明まとまらず ASEAN外相会議2012年7月10日20時33分
カンボジアの首都プノンペンで9日に開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議で、南シナ海に関する文言をめぐり意見が対立し、翌10日になっても共同声明が採択できない異例の事態となった。対中国でASEAN内の足並みの乱れが露呈している。
通常は外相会議後まもなく発表される共同声明が、日付を越えてもまとまらず、関係者には焦りがみえる。議長国カンボジアのホー・ナムホン副首相兼外相は10日、他の加盟9カ国の外相に対して「11日に再度、共同声明をまとめるための特別会合を開きたい」と呼びかけた。
複数のASEAN外交筋によると、問題となっている文言は、領有権をめぐって加盟国のうち4カ国が中国と対立している南シナ海に関する部分だ。昨年の共同声明では、「最近の南シナ海の事件に深刻な懸念を表明」となっていた。
http://www.asahi.com/international/update/0710/TKY201207100506.html
「朝日」共同声明の合意難航 ASEAN外相会議 南シナ海の文言で対立 9面(国際)
カンボジアの首都プノンペンで9日に開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議で、南シナ海に関する文言をめぐり意見が対立し、翌10日になっても共同声明が採択できない一異例の事態となった。対中国でASEAN内の足並みの乱れが露呈している。
「全員が受け入れられる言葉をまだ模索中」。インドネシア外務省の高官は10日、共同声明をめぐる協議について短く語ると立ち去つた。通常は外相会議後まもなく発表される共同声明が、日付を越えてもまとまっておらず、いつ合意できるか未定だという。
複数のASEAN外交筋によると、問題となっている文言は、領有権をめぐって加盟国のうち4力国が中国と対立している南シナ海に関する部分だ。昨年の共同声明では、「最近の南シナ海の事件に深刻な懸念を表明」となっていた。
今回は、フィリピンのデルロサリオ外相が「スカボロー礁」という言葉を入れるべきだと強く主張した。南シナ海スプラトリー(南沙)諸島の漁場である同礁では最近、中国の監視船と2ヵ月以上もにらみ合った事件があり、「もはや(南シナ海という)あいまいな文言を使う段階ではない」と訴えた。
ベトナムのファムービン・ミン外相も、パラセル(西沙)諸島付近で中国が始めた油田の国際入札について強く非難し、共同声明に地名を入れて懸念を表明するよう要求した。
両外相に対し、議長国力ンボジアなどから反対意見が出たという。ASEANは、11日の中国との外相会議で南シナ海の行動規範作りなどを協議する予定で、「直前に中国を刺激したくない」との意向もある。
仲介役に乗り出しだのはインドネシアのマルティ外相で、地名は入れずにやや強い言葉で懸念を表明するなどの提案をしたとみられる。(プノンペン=郷富佐子)