衆院補選が行われ、「自民勝利」の予想通りの結果になりました。自民もダメ、民主もダメ、では自民?という国民感情は、未だ新しい枠組みをつくる段階にないことが、判りました。このことも予想の範囲内でした。
そう簡単に日米支配層は、国民の政権をつくらせないだろうということも、予想できるからです。70年代初頭の共産党の躍進に呼応して論議された自民党に変わる連合政権構想の再来だけは何としても防ごうとしている日米両支配層の思惑があるからです。以下その記事を紹介しておきます。昨年も日経は特集を組みました。これについても、後日紹介できるようにしたいと思います。それにしての今後も注目すべき事象です。
「日本の原発ゼロ容認できぬ」アーミテージ・ナイ両氏 本社・CSISシンポで米知日派の元政府高官
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM26058_W2A021C1000000/
自民幹事長「日本版海兵隊の創設を」 本社・CSISシンポ 2012/10/26 15:39
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK2601V_W2A021C1000000/
「強く一貫した政治を」 CSIS所長 2012/10/26 13:12
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM2604G_W2A021C1000000/
このCSISは、以下の記事で紹介しておきました。アメリカの米戦略国際問題研究所です。
日米軍事同盟前提のアメリカお願い行脚の結論は本土移設!?これで沖縄の負担は根絶できるか!2012-10-26 23:52:00
以下をご覧ください。
http://www.asyura2.com/12/senkyo137/msg/706.html
さて本題に戻します。国政選挙である鹿児島三区の選挙戦がどのようにたたかわれたか、それをどのように記事にしたか?です。最大のポイントは、「政権奪還」を最大の争点であるかのように吹聴した選挙は、前回の「政権交代」「政権選択」選挙の焼き直しでした。
以下、ポイントに沿ってみていきます。
1.当日有権者数は25万8853人。投票率は56.60%をどうみるかです。
「薩摩川内市は21日に市長選と市議選が告示され、衆院補選とのトリプル選挙となる。相乗効果で有権者の関心が高まることを期待したい」(南日本新聞)とありましたが、結果的には「政権選択」「政権交代」選挙を最大の課題とした前回より有権者は投票所に行かなかった。原発がありながら・・・。
2.当選者の宮路 和明氏の獲得票は70,694票。有権者比27.3%の支持で国会議員、自民党の議席1増です。小選挙区制度が民意を反映していないことが、ここでも判ります。
3.これほど大きな問題になっている原発問題、川内市では原発再稼動が争点にならない?ということはどうでしょうか?
4.「TPP参加に批判の強い農村部などを中心に支持を固めた」(毎日)そうだが、公約を実現するか、チェックはどうか、など課題は大きいと言えます。このTPP反対票が共産党支持にならなかったことも、研究課題と言えましょう。
5.「国民新党新人は『松下氏の後継』、自民党元職は『政権奪還』を打ち出しているが、政策面では大きな違いがない」(日経)という構図と、そこからくる「共産新人、諸派新人は与党対自公の対決に埋没した」(毎日)という構図と選挙戦のたたかい方をどう克服するか、ここにかかっているように思います。
何故ならば、前回の「政権交代」「政権選択」選挙の二の舞になるからです。今回の自民党は、前回の民主党のやり方を真似したに過ぎないと言えます。これは日本の選挙の特徴でもあります。自民もダメ、民主のダメ、ではまた自民?そうして自民もダメなら、民主?こういう政党政治が国民の要求から離れていることは、歴史の事実を見れば明瞭です。
6.「各候補には、地域活性化の将来像を示した上で、活発な政策論争を展開するよう望みたい」(南日本新聞)であるならば、そうした報道を系統的に、しつこく行うこと、有権者も政策の点検を行うこと、そのためにもマスコミは、国民に材料を提供すること、これが大切でしょう。そうすることで、政策でたたかう政党政治が定着していくように思います。この課題をどう実現していくか、これこそが日本の民主主義の発展にとって必要不可欠の課題と言えます。
7.しかし、同時にこうした指摘を反面教師として、自らの課題として受け止めていくことも大事ではないかと思います。
「鹿児島3区には、九州電力川内原子力発電所がある。 ただ、宮路、野間両氏とも「国による安全性の担保」を前提に、再稼働を容認する姿勢を示した。共産党候補は「即時原発ゼロ」を訴えたが、有権者には浸透しなかったと言える」(読売)
「共産党新人の大倉野由美子氏(62)は原発再稼働阻止や消費税増税反対を訴えたが、諸派新人の松沢力氏(30)とともに支持は広がらなかった」(東京)。
とありますが、共産党は、こうした指摘にどのように応えていくか、科学的社会主義を掲げる政党として、又国民が権力を獲得していくためにも住民意識の分析を多面的に行うことが大切ではないでしょうか。
8.「松下氏の元秘書の野間氏は、TPP参加に慎重姿勢を示すなど与党色を抑えたが、政権への批判をかわせなかった。約10万人と選挙区内で最も人口が多い薩摩川内市には、停止中の九州電力川内原発があるが、宮路氏、野間氏ともに再稼働を容認する立場で、原発問題は大きな争点にはならなかった」(朝日)とあるような状況に対して、マスコミはどのように争点化させることができたか、検証が必要でしょう。
9.「原発即ゼロ」「TPP参加阻止」を掲げる共産党は、各候補者やマスコミの争点そらしに対してどのような政策論争を行ったか、言わば、共産党の主戦場である原発・TPP・オスプレイ・消費税政策の土俵づくりに成功するために、何が不足していたか、ここが肝心要ではないでしょうか?ここに成功をしないと、来るべき総選挙、参議院選挙でも躍進は厳しいでしょう。
では、以下に参考記事を資料として掲載しておきます。
NHK 安倍総裁“政権が信頼失った結果” 10月28日 23時13分
野田政権の発足後、初めての国政選挙となる衆議院鹿児島3区の補欠選挙で、自民党の元衆議院議員で公明党が推薦する、宮路和明氏が当選しました。自民党の安倍総裁は党本部で記者会見し、「野田政権が国民の信頼を完全に失った結果であり、先の衆議院選挙で民主党が掲げたマニフェストや、民主・自民・公明の3党の党首会談での野田総理大臣の対応など、すべてに対して国民が『ノー』という審判を下したものだ。臨時国会では野田総理大臣に対し、『国民との約束を守り、国民に信を問うべきだ』と、堂々と主張していきたい。野田総理大臣は国民の声を真摯(しんし)に受け止めるべきだ」と述べました。
公明・山口代表“議席奪還の意義大”
公明党の山口代表は党本部で記者団に対し、「国民新党が持っていた議席を、自民・公明両党の力で勝ち取った意義は極めて大きい。今の国民の空気を表しており、この勢いを拡大していきたい」と述べました。また、29日に召集される臨時国会への対応について、「参議院で所信表明演説が行われないという異常なスタートを厳しく批判するとともに、衆議院では、基本的に審議に応じる方向で自民党と調整したい。この選挙の結果を踏まえ、国民の意識や流れがどこにあるかを追及する形で国会論戦をしていくのが望ましく、国民に訴えかける早道だ」と述べました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121028/k10013075931000.html
毎日新聞 衆院補選:自民前職の宮路氏勝利…鹿児島3区、与党かわす 2012年10月28日 22時09分(最終更新 10月28日 23時58分)
当確の一報が流れ、万歳三唱する宮路和明氏(中央)=鹿児島県日置市で2012年10月28日午後9時54分、津村豊和撮影
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松下忠洋(ただひろ)金融・郵政担当相(当時)の死去に伴う衆院鹿児島3区補選は28日投開票され、自民前職の宮路和明氏(71)=公明推薦=が、国民新の新人、野間健氏(54)=民主推薦=ら3新人を破り、7回目の当選を果たした。野田政権発足と、自民党の安倍晋三総裁返り咲き後、初の国政選挙。次期衆院選を占う前哨戦でもあったが、約5700票差の接戦は、29日召集の臨時国会での与野党攻防にも影響を与えそうだ。 投票率は56.60%で前回衆院選同区の72.95%を大きく下回った。当日有権者数は25万8853人。
宮路氏は鹿児島県日置市の選挙事務所で記者団に「政権奪還に弾みをつけることを問われた選挙で、大変重圧を感じながら戦った。党対党の戦いを前面に打ち出し、党本部をはじめ各方面の尽力により勝つことができた」と語りながらも、厳しい表情だった。
前回衆院選で宮路氏は松下氏に敗北。このため自民は補選を政権奪還に向けた第一歩と位置付け、安倍総裁、石破茂幹事長ら党幹部も次々に選挙区入りし民主の失政を批判して政権交代を訴えた。党県連もフル回転で選挙活動を展開。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)参加に批判の強い農村部などを中心に支持を固めた。
一方、松下氏の政策秘書などを務めた国民新の野間氏は、松下氏の後継者として若さなどをアピール。推薦した民主も岡田克也副総理、細野豪志政調会長ら党幹部を送り込み、公認候補並みに支援。
野間氏は薩摩川内市の事務所で「私の力不足で、知名度の浸透が足りなかったと反省している」と敗戦の弁を述べた一方、「短い期間で戦って一定の支持を得た。次は雪辱を期したい」と意欲を示した。共産新人、諸派新人は与党対自公の対決に埋没した。
今後、臨時国会で、野田政権と安倍新執行部による自民が解散・総選挙に向け駆け引きを繰り広げる見通し。ただ、自公両党にとって事前の想定以上の接戦となったことで、攻防の行方は不透明さを増しそうだ。【宝満志郎】
●衆院鹿児島3区補選確定得票数●
当 70,694宮路 和明 <7>自元=[公]
65,025野間 健 国新=[民]
5,973大倉野由美子 共新
2,886松沢 力 諸新
http://mainichi.jp/select/news/20121029k0000m010109000c.html
毎日 選挙:衆院選・鹿児島3区補選 候補者アンケート/1 /鹿児島 10月23日(火)16時3分配信
28日投開票の衆院3区補選で、毎日新聞は4候補に主な政策課題などについてアンケートした。(理由などの自由記述部分は140字以内と指定した)(届け出順)
◆位置づけと争点
今回補選は、次期総選挙の前哨戦という見方もある。今回補選の位置づけと具体的争点は?(自由記述)
………………………………………………………………………………………………………
◇松沢力候補=諸新
今回の選挙の争点は、(1)「原発問題」(2)「消費税増税問題」(3)「外交問題」の3点。わが党の答えは、「川内原発再稼働賛成」「消費税増税反対」「中国・韓国に対して毅然とした対応を」。この主張が次期衆院選においてどれだけ国民に受け入れられるかの前哨戦、これが我が党における位置づけ。
◇大倉野由美子候補=共新
川内原発の再稼働・増設を許すのか、「ただちに原発ゼロへ」の道を開くのかが問われている。消費税増税勢力にきびしい審判下し、増税実施の中止を示す選挙。国民本位の新しい政治へ流れを切り開く一歩にする全国注視のたたかいである。
◇野間健候補=国新
(1)世代交代 10年後、20年後の地域の未来と国に責任が持てる世代への交代が大切(2)雇用問題 雇用対策、地元商店街の活性化、新規起業立ち上げなど(3)若者の活力をどう取り戻すか 若者を理解できる世代の政治家が必要。
◇宮路和明候補=自元
今回の補選は、来るべき総選挙に相当影響を及ぼすと考える。また、具体的争点としては、(1)国民が今後とも民主・国民新党政権を選ぶのか、それとも自民党主軸の政権を選ぶのか(2)原発再稼働(3)TPP問題への対応(4)消費税増税(5)領土問題への対応(6)企業の撤退問題等であろう。10月23日朝刊
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121023-00000211-mailo-l46
日経 衆院鹿児島3区補選が告示 与党と自公が激突 2012/10/16 10:11
衆院鹿児島3区補欠選挙が16日、告示された。国民新党の松下忠洋前金融相の死去に伴うもので、投開票日は28日。民主党が推薦する国民新党新人と、公明党の推薦を受ける自民党元職による事実上の一騎打ちの構図。共産党新人と諸派新人も立候補を届け出た。次期衆院選の前哨戦とも位置づけられ、選挙結果は今後の野田佳彦首相の政権運営にも影響しそうだ。 選挙区内にある九州電力川内原子力発電所(薩摩川内市)の再稼働や環太平洋経済連携協定(TPP)への参加などが争点。国民新党新人は「松下氏の後継」、自民党元職は「政権奪還」を打ち出しているが、政策面では大きな違いがない。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS1504F_W2A011C1EB1000/
南日本新聞社説 [衆院3区補選] 争点をはっきりさせよ( 10/16 付 )
…次期衆院選の前哨戦として、与野党とも総力戦で臨む構えを見せている。投開票は28日に行われる。 立候補が予想されるのは、松下氏の元政策秘書で国民新党新人の野間健氏、自民党元職の宮路和明氏、共産党新人の大倉野由美子氏、政治団体・幸福実現党新人の松澤力氏の4人だ。 野間氏は民主党、宮路氏は公明党が推薦する。「国民新・民主」対「自民・公明」という与野党対決の構図が鮮明である。 野田政権が発足してから初の国政選挙であり、その結果は政権運営に大きく影響するだろう。一方、安倍晋三総裁になり対決姿勢を強める自民党にとっても、政権復帰に向けて弾みをつけたい戦いに違いない。 これからの国政の行方を展望する上で重要な選挙である。争点をはっきりさせた論戦にする必要がある。…今回の補選では、野間氏が松下氏の「後継者」を前面に打ち出すのに対し、宮路氏が「政権奪還」を訴えている。ただ、政策面で両氏の違いはあまりなく、有権者に分かりにくい面があるのは否定できない。 南日本新聞が開いた立候補予定者座談会で、九州電力川内原発1、2号機の再稼働について、野間、宮路両氏とも「安全性の確保」を前提に容認する姿勢を示した。松澤氏は「原発の即時再稼働」を主張しており、反対するのは「原発からの撤退」を強調する大倉野氏一人だ。 環太平洋連携協定(TPP)交渉への参加については、松澤氏を除く3氏は「反対」の主張が目立つ。 3区内では、進出企業の相次ぐ撤退や事業縮小で雇用不安が深刻である。政府が示す将来的な「原発ゼロ」方針が、原発に依存してきた大票田の薩摩川内市の地域経済に、どう影響するかの見通しもつかない。 各候補には、地域活性化の将来像を示した上で、活発な政策論争を展開するよう望みたい。 薩摩川内市は21日に市長選と市議選が告示され、衆院補選とのトリプル選挙となる。相乗効果で有権者の関心が高まることを期待したい。
http://www.373news.com/_column/syasetu.php?ym=201210&storyid=43809
産経 鹿児島3区補選、負けられぬ「総選挙前哨戦」 民自「選挙の顔」続々選挙区入り 2012.10.15 21:06 (1/2ページ)
九州電力川内原発がある薩摩川内市長選(21日告示、28日投開票)も同時進行で行われることもあり、原発再稼働の是非も争点化は避けられない。…とはいえ、川内原発再稼働問題は地元経済の命運を握る。政権与党があいまいにやり過ごすわけにはいかない。共産党公認の大倉野由美子氏は「再稼働反対」を、幸福実現党公認の松沢力氏は「即時再稼働」を全面に訴える構え。民主党幹部は辛い踏み絵を迫られることになる。
読売社説 鹿児島3区補選 自民を後押しした政権不信(10月29日付)
早期の政権交代を目指す安倍自民党に追い風となろう。だが、自民党はこれにおごることなく、臨時国会で建設的な役割 を果たすべきである。 松下忠洋前金融相の死去に伴う衆院鹿児島3区補欠選挙は、自民党元議員の宮路和明氏が民主党の推薦する国民新党新人の野間健氏らを破って当選した。 野田政権初の国政選挙だ。次期衆院選の前哨戦ともなった補選は宮路、野間両氏による事実上の一騎打ちだった。 自民党は公明党の推薦を取り付け、安倍総裁、石破幹事長ら幹部を投入する総力戦を展開した。 鹿児島3区では地元に進出した工場の撤退が明らかになるなど、経済・雇用が深刻な問題だ。自民党はこれを踏まえ、経済再生に取り組む姿勢を強調した。 民主党政権の3年間を問う選挙と位置付け、「政権奪還」への第一歩になるとも訴えた。今回の勝利は、安倍新体制にとって幸先の良いスタートである。 一方、野間氏は、「松下氏の後継」を前面に掲げ、世代交代を訴えた。民主党も与党議席を一つでも失いたくないとして、「公認候補並み」の支援態勢を敷いた。閣僚や党幹部は「政権与党として改革に取り組む」などと訴えた。 支持が広がらなかったのは、政権への不信感があったからだろう。外国人献金問題や過去の暴力団関係者との交際で田中慶秋前法相が辞任したことも、野間氏への逆風となったようだ。 鹿児島3区には、九州電力川内原子力発電所がある。 ただ、宮路、野間両氏とも「国による安全性の担保」を前提に、再稼働を容認する姿勢を示した。共産党候補は「即時原発ゼロ」を訴えたが、有権者には浸透しなかったと言える。 補選敗北を受け、与党内では、「衆院選を行えば惨敗必至だ」として、衆院解散の先送りを求める声が一層強まるだろう。 しかし、いたずらに政権の延命を図って、政治をこれ以上停滞させてはなるまい。 自民党は、年内の衆院解散を求め、政府・与党との対決姿勢を一層強める方針だ。 自民党など野党は、29日に召集される臨時国会で野田首相の所信表明演説のための参院本会議開会さえ認めないという。これは明らかに行き過ぎである。 有権者は、与野党の不毛な対決ではなく、「決められる政治」の実現を望んでいる。自民党は勘違いをしてはならない。(2012年10月29日01時53分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20121028-OYT1T01026.htm
南日本新聞 宮路氏が返り咲き 野間氏に僅差 3区補選 (2012 10/28 23:37)
松下忠洋前金融・郵政民営化担当相死去に伴う衆院鹿児島3区補欠選挙は28日投開票され、自民党元職の宮路和明氏(71)=公明党推薦=が7万694票を獲得、新人3人を破って返り咲きを果たし、7回目の当選を決めた。昨秋発足した野田佳彦政権と、今年9月誕生した自民党の安倍晋三総裁にとって初の国政選挙。連立政権を組む国民新党の新人を推薦した野田首相には、次期衆院選の前哨戦での敗北は大きな打撃となった。29日召集の臨時国会で自民、公明両党は早期解散を求め攻勢を強める。投票率は56.60%で、前回2009年衆院選の72.95%を16.35ポイント下回った。1996年の小選挙区制導入後、最低の投票率となった。
http://373news.com/modules/pickup/index.php?storyid=44093
衆院鹿児島3区補選 自民・宮路氏が当選2012年10月29日 朝刊
野田政権発足後初の国政選挙となった衆院鹿児島3区補欠選挙は二十八日投開票され、自民党元職で公明党推薦の元厚労副大臣宮路和明氏(71)が、国民新党新人で民主党推薦の元衆院議員秘書野間健(たけし)氏(54)ら三氏を破り、七回目の当選を決めた。野田佳彦首相にとって次期衆院選の前哨戦での敗退は、田中慶秋前法相辞任に続く打撃。自民、公明両党は早期の衆院解散を求め、二十九日召集の臨時国会で攻勢を強める。 国民新党の松下忠洋前金融担当相死去に伴う補選。衆院では民主党に離党届を提出済みの議員一人のほか、あと八人以上が離党すれば、与党として過半数を割り込む状況になった。内閣不信任決議案を否決できない可能性も生じるため、政権は危機感を募らせている。選挙戦で民主党は、野間氏を公認候補並みに支援。野間氏は接戦に持ち込んだが、宮路氏の五千六百六十九票差での逃げ切りを許した。首相は現地応援を見送った。 自民党は選挙区入りした安倍晋三総裁が「民主党はいんちきマニフェストで政権を奪い、日本をめちゃくちゃにした」と強調し、辛うじて初陣勝利にこぎ着けた。 投票率は56・60%で、二〇〇九年前回衆院選と比べ16・35ポイント下がった。 共産党新人の大倉野由美子氏(62)は原発再稼働阻止や消費税増税反対を訴えたが、諸派新人の松沢力氏(30)とともに支持は広がらなかった。
当 70,694 宮路和明 自元 =公
65,025 野間健 国新 =民
5,973 大倉野由美子 共新
2,886 松沢力 諸新
全票終了
◇宮路和明(みやじかずあき)71 <7>
(元)党経理局長・党組織本部長・厚労副大臣・農水省室長▽東大
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2012102902000112.html
朝日 鹿児島3区、自民勝利 衆院補選、政権に痛手(29日朝刊一面)
与野党が次の衆院選の前哨戦と位置づけた衆院鹿児島3区補選が28日投開票され、自民党前職で公明党推薦の宮路和明氏(71)が当選した。国民新党新顔で民主党推薦の野間健氏(54)は敗れ、政権維持をめざす与党には痛手となった。当日有権者数は25万8853人。投票率は56・60%(2009年衆院選72・95%)で過去最低だった。 国民新党の松下忠洋前金融相の死去に伴う補選で、野田佳彦首相の就任後初、自民党の安倍音三総裁も返り咲き後初の国政選挙だった。衆院での過半数割れが迫る民主党は、野間氏を公認並みに支援したが、与党の議席を守ることはできなかった。 09年総選挙で松下氏に敗れた自民の宮路氏は「政権奪還の第一歩にしたい」と訴えた。野田政権の経済政策を批判し、環太平洋経済連携協定(TPP)反対も掲げた。安倍総裁や石破茂幹事長、小泉進次郎青年局長らも応援に入り、伊藤祐一郎・鹿児島県知事も支援。農民政治連盟や建設業協会などからも推薦を受けて支持を広げた。 一方、松下氏の元秘書の野間氏は、TPP参加に慎重姿勢を示すなど与党色を抑えたが、政権への批判をかわせなかった。約10万人と選挙区内で最も人口が多い薩摩川内市には、停止中の九州電力川内原発があるが、宮路氏、野間氏ともに再稼働を容認する立場で、原発問題は大きな争点にはならなかった。
民主、批判かわせず 強気の自民も不安要素
民主党は幹部を投入して野間健氏を全面支援したが、政権批判をかわせなかつた。次期衆院選での野党転落が現実味を帯び、29日召集の臨時国会も厳しい運営になりそうだ。自民党は安倍晋三総裁と石破茂幹事長の「二枚看板」で勝ち、政権奪還へ前進した。 民主党の鉢呂吉雄選挙対策委員長は28日夜、野間氏が惜敗したことを踏まえ、記者団に「政権運営に国民が一定の理解をしている」と強調。国民新党の自見庄三郎代表は「善戦した」と総括した。ただ民主党内では「支持率が回復することはない」(若手)と悲観的な見方が強い。 野田佳彦首相は27日、衆院の一票の格差を是正する選挙制度改革で、新たな区割り画定の前でも衆院解散に踏み切る可能性に触れた。だが、解散に踏み切るのは難しいとの見方がさらに強まりそうだ。民主党の馬淵澄夫政調会長代理は28日、奈良市で「政治空白がないところで解散するのが一番妥当だ」と述べ、年内解散は困難との認識を示した。 一方、自民党の安倍総裁は28日夜、記者団に「野田民主党政権に国民がノーという意思表示をした」と指摘。公明党の山口那津男代表も「自公の力で議席を奪い返した」と述べ、対決路線を強める構えだ。 ただ、今回の補選に日本維新の会は候補を立てなかった。東京都の石原慎太郎知事による新党の影響が広がる可能性もあり、自公両党には不安要素もある。(引用ここまで)