愛国者の邪論

日々の生活のなかで、アレ?と思うことを書いていきます。おじさんも居ても立っても居られんと小さき声を今あげんとす

共産党は総選挙の後退=敗北に真正面から向き合った総括ができるか?!「党旗びらき」の志位発言に大喝を!

2013-01-10 | 日記

共産党の志位委員長が「党旗びらき」の挨拶の中で、総選挙の「敗退」の総括の部分に対して被災地の経験を以下のように述べたことに対して、「そうかなぁ~!」と思いましたので、いろいろ調べてみました。

 その結果、「これじゃ、いいとこ取りで、臭いものには蓋をしてるんじゃないか!?」「ホントの総括はできるのか?」「これじゃ、また同じことになるぞ!」と思いましたので、大喝を入れることにしました。

 以下、具体的に指摘してみたいと思います。まず、問題発言の部分について、です。

 2013年党旗びらき 志位委員長のあいさつ 参院選勝利へ“三つの国民的役割”発揮を2013年1月5日(土)

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-01-05/2013010504_01_0.html

 東北ブロックの勝利から深い教訓を引き出し、全国のたたかいに生かしたい

 とりわけ、東北ブロックで、比例票を参院比例票の約1・2倍に増やして議席を守り抜いたことは、被災地復興の今後を考えても、きわめて重要な勝利であり、支援にとりくんだ全国のみなさんの喜びともなっています。この勝利は、何よりも、自ら被災しながら、被災者の苦しみに心を寄せ、一緒に運動にとりくみ政治を動かしてきた、被災地の党組織の奮闘が、住民の方々の信頼を得た結果であります。同時に、この勝利は、「国民の苦難の軽減のために献身する」という立党の精神にたち、国民に溶け込み結びつき、その利益のために奮闘するならば、全国どこでも前進が可能だということを示していると思います。そういう立場にたって、東北のたたかいから深い教訓を引き出し、全国のたたかいに生かしたいと考えています。(引用ここまで)

 全くそのとおりのことを述べています。しかし、ちょっと待ってください!

 この発言には、かなりのゴマカシがあるように思います。まず事実をみてみましょう。

共産党の東北6県の獲得票の推移を一覧してみました。

 東北ブロック内の共産党の獲得票の推移分析

 

青森

秋田

岩手

宮城

山形

福島

合計

92参

32,564

36,068

35,810

51,352

28,891

51,340

236,025

7.07

6.75

6.25

6.80

5.26

5.94

6.35

95参

32,493

31,846

36,237

51,154

31,126

52,693

235,549

6.51

6.28

6.48

7.67

5.83

6.76

6.59

96

60,362

59,643

58,175

113,840

57,219

93,551

442,790

8.72

9.95

8.26

11.76

8.86

9.23

9.58

98参

74,596

64,650

69,453

113,346

57,148

120,808

500,001

10.63

11.03

10.22

12.04

9.41

11.80

10.86

00

50,036

50,979

51,235

97,848

49,488

91,469

391,055

7.46

8.06

7.06

9.32

7.51

8.35

8.09

01参

34,036

33,588

37,928

64,305

30,637

62,440

262,928

6.05

6.15

5.46

6.54

5.27

6.52

6.08

03

45,361

43,382

44,954

71,809

35,900

71,879

313,290

6.98

7.17

6.21

6.73

5.51

6.72

6.57

04参

33,472

38,874

38,951

67,552

30,612

67,648

277,113

5.51

6.58

5.80

6.90

5.31

7.01

6.31

05

51,030

38,442

47,392

80,300

35,912

72,100

325,176

6.92

5.97

6.18

6.72

5.14

6.21

6.25

07参

33,067

38,706

37,859

68,263

32,517

58,298

268,710

5.41

6.38

5.60

6.65

5.16

5.95

5.86

09

48,912

37,108

47,647

76,138

36,973

68,423

315,201

6.34

5.63

6.07

6.06

5.25

5.82

5.89

10参

28,748

25,679

36,262

49,178

24,064

49,909

213,840

4.75

4.42

5.67

4.99

4.05

5.11

4.83

12

38,086

26,694

40,896

63,608

28,219

59,335

256,838

6.3

4.7

6.3

6.2

4.7

6.4

5.9

 この一覧表で判ることは以下のことです。

1.「比例票を参院比例票の約1・2倍に増やして議席を守り抜いた」。実際に増やした数は、42,998票。

2.しかし、前回総選挙からみると、289,563票も減らしている。

3.09年の前回総選挙と10年参議院選挙を比べると、101,361票も減らしている。

4.東北ブロックにおいて、過去の最高獲得票は98年参議院選挙の時、500,001票、この水準からみると、243,163票も減らしている。

5.東北ブロックにおいて、過去の総選挙の最高獲得票は96年。442,790票。これから見ると、185,952票も減らしている。

6.2012年現在の獲得票の水準は90年代初期の水準と言える。

 

志位委員長は、「東北ブロックで、比例票を参院比例票の約1・2倍に増やして議席を守り抜いた」ことの意味について、以下のように述べています。

(1)被災地復興の今後を考えても、きわめて重要な勝利であり、

(2)支援にとりくんだ全国のみなさんの喜びともなっています。

(3)この勝利は、何よりも、自ら被災しながら、被災者の苦しみに心を寄せ、一緒に運動にとりくみ政治を動かしてきた、被災地の党組織の奮闘が、住民の方々の信頼を得た結果であります。(4)同時に、この勝利は、「国民の苦難の軽減のために献身する」という立党の精神にたち、国民に溶け込み結びつき、その利益のために奮闘するならば、全国どこでも前進が可能だということを示している。

(5)そういう立場にたって、東北のたたかいから深い教訓を引き出し、全国のたたかいに生かしたい

 この発言の方向性は間違ってはいないと思いますが、議席は確保したものの、獲得票をみると、厳しい自己検討が必要ではないでしょうか?手放しでの評価をしている場合ではありません!その理由は、

 1.10年参議院の獲得票を「ものさし」にしていることです。ま、これについては、選挙前の懐疑で決まったことのようですから、仕方ないと言えば、それまでです。

 それにしても一番水準の低い獲得票を「出発点」として、「ものさし」にすることで、目標値のハードルが低くなってしまっています。このことの意味は重大です。

 2.本来であるならば、今回の総選挙における目標である650万票に見合う東北ブロック目標に対して、どのような活動をしてきたのか、その結果として獲得票の256,838が到達点です。したがって、ここから「総括」を始めるべきです。これでは、この650万目標は「お題目」に過ぎないものと言われても仕方ありません。

 3.しかも、今回の議席獲得は、前回の議席獲得票315,201から大きく後退して獲得した票の結果でした。前回の議席獲得に向けた活動と今回の議席獲得に向けた活動をリアルに分析する「総括」が必要です。

 4.総選挙は、参議院選挙と違って政権を決める選挙という性格があります。このことからみるならば、また高橋議員の議席を再度獲得するという見地から見れば、民主党に政権が交代した09年選挙の際の31万5,201票が今回25万6,838票に大きく減ったのです。得票率は、5,89%が5.9%ですから、投票率が大幅に下がった今回の議席獲得は、まさに薄氷を踏む思いだったように思います。手放しで喜ぶような水準でないことは明らかです。

 5.しかも民主党への政権交代の嵐が吹いた09年総選挙、その民主党の公約違反にかげりが見えはじめ、また公約になかった消費税増税を突如打ち出した菅政権に対する批判の選挙の中で、共産党は、民主党批判の受け皿になるのではなく、政権交代総選挙で獲得した31万5,201票を回復するどころか、10年参議院選挙では21万3,840票へ、10万1,361人も減らしたのでした。

 今回の総選挙では、その時の獲得票を上回るどころか、震災後の活動があっても、大きく減らしていることの意味を直視する必要がありますが、志位委員長の発言には、こうした視点はありません。

 6.こうした事実を無視して、今回獲得した25万6,838票は、2011年3月11日を境にして共産党が取り組んできた「被災地の党組織の奮闘」と「支援にとりくんだ全国のみなさん」のボランティアが、「住民の方々の信頼を得た結果」であると述べていることです。

 確かに、この指摘は間違ってはいないとは思います。しかし、「奮闘」の結果にしては、09年総選挙を大幅に下回ったのは何故でしょうか?そこにメスを入れなければ、共産党の活動の弱点、欠点から目を背けるということになりませんか?

 それにしても、志位委員長の言葉をもって「教訓」とするのであれば、今回の総選挙の政策と選挙活動における、また日常活動に係る共産党の活動の問題点を明らかにするという点から見ると、どうも問題がありすぎではないでしょうか?その理由は、以下のとおりです。

 (1)まず6県とも、被災前の獲得票を越えることができなかったことはどう「総括」するのか、です。

 (2)被災前の総選挙の際に共産党に投じた31万5,201の方々は、参議院選挙では被災後の共産党の活動に共感して一票を投じた結果が25万6,838で、5万8,363票も減らしていることは明らかですが、その点における深い分析、「総括」が必要でしょう。

 (3)別の視点から言えば、あれだけの支援活動をして、この結果ということもできるのではないでしょうか?参議院選挙で「逃げた10万1,361人」の方々が、東北6県で言えば、数字の上から見ると、4万2,998人しか、戻ってきていないのです。

 (4)さらに言えば、いっせい地方選挙で躍進した際に獲得した票と比較してどうだったか、このことも参考になるはずですが、志位委員長の挨拶を見る限りでは、触れていません。

 以上、共産党の「党旗びらき」において、志位委員長から、今後開かれるであろう中央委員会総会における総選挙総括の「視点」が述べられていましたので、この視点で「総括」がなされると、今後の共産党の活動は「展望がないな」と言わざるを得ない問題点を含んでいると思いましたので、愛国者の邪論なりに考えたことを述べてみました。

 その理由について、再度、別の視点から述べてみますと、

 1.今回の総選挙の議席の「敗退」の真の原因に対する追及が極めて曖昧であること、

 2.その曖昧さは中央の政治的・思想的・組織的弱点というか、欠点が浮き彫りになったこと、

 (1)政治的とは、自民はダメ、民主もダメ、「であるならば、共産党こそ」というアピールが弱かったことの真の原因についての自己検討が極めて弱いこと、

 (2)思想的とは、全小選挙区立候補は比例代表票の掘り起こしであり、一点共闘の発展にもかかわらず、暫定連合政権構想、よりまし政権構想を打ち出さなかったことは綱領的展望から見て問題があったこと、

 (3)組織的とは、一年半前から全党に提起して「大運動」を展開(この「大運動」も選挙の前後に毎回のように提起され、年中行事化され、マンネリ化しているように思います)してきたにもかかわらず、拡大が思うように好転していない真の原因を全党的に検討できない共産党の体質、問題を組織的に明らかにできない官僚主義的体質が浮き彫りになったこと、

 (4)増やしても減らしている現状の真の原因について、明らかにしていないこと、むしろ「党員のガンバリが足りない」という視点にたって、党員を叱咤激励していること、これは成果主義と精神主義を醸成していること、このことは選挙後も共産党の活動欄や本部の「訴え」などを見ると、ハッキリしています!

 3.共産党の場合、全小選挙区に立候補することの理由は、比例代表票を掘り起こすためであったように思います。はじめから小選挙区における議席獲得は想定外です。ここにも大きな見当違いがあるように思います。

 しかし、実際に有権者目線は違っていました。小選挙区における獲得票は4,700,289票、比例代表の獲得票3,689,159を1,010,530票も上回っていました。このことは選挙戦略・戦術ミスではないのか、です。

 東北ブロックにおいても、比例代表では256,838票に対して、小選挙区では288,348票です。

因みに両方を一覧してみますと、

 

 

青森

秋田

岩手

宮城

山形

福島

合計

比例代表

38,086

26,694

40,896

63,608

28,219

59,335

256,838

小選挙区

41,087

24,206

45,639

70,205

33,426

73,785

288,348

 小選挙区候補に投じられた有権者のエネルギー=共産党への期待を結集できなかったのは何故か、その真の原因を、志位委員長の発言から読み取ることはできません。

 因みに、東北ブロックにおける小選挙区の票について、この間の経過を一覧しておきます。

東北ブロックの議席数は25議席、09年以外は全選挙区に立候補しました。

 

青森

秋田

岩手

宮城

山形

福島

合計

96衆

47,935

65,091

48,980

97,313

49,281

71,982

380,583

6.59

10.37

6.60

9.77

7.30

6.81

7.89

00衆

47,613

47,345

44,219

107,884

49,242

78,252

374,555

6.73

7.11

5.77

10.09

7.11

6.81

7.42

03衆

36,423

41,827

40,670

65,491

27,185

59,832

271,428

5.45

6.65

5.42

6.04

4.03

5.42

5,50

05衆

30,445

20,940

34,895

77,261

31,193

62,772

257,506

4.00

3.15

4.43

6.41

4.38

5.34

4.62

 

09衆

7,976

(1)

15,830

(1)

20,475

(2)

26,428

(2)

19,810

(2)

15,879

(2)

106,398

(10/25)

1.02

2.36

2.55

2.10

2.78

1.34

2.02

12衆

41,087

24,206

45,639

70,205

33,426

73,785

288,348

6.8

4.3

6.9

6.8

5.5

7.9

6.6

 4.このことに係わって、全小選挙区で立候補するということは、自民や民主がそうであるように、「政権を取る」ためのものでなければなりません。しかし共産党の場合は違っています。こうした姿勢・戦略が、比例代表票の伸張に、小選挙区候補のたたかい方に貢献しているかどうか、有権者目線から再検討をする必要があるでしょう。そのことは以下の点から証明できます。

 (1)「投票用紙は2枚あります。比例代表は共産党とお書きください」というコピーに象徴されているように、比例代表優先で、小選挙区への投票依頼、小選挙区地域における要求実現のための政策と運動はどうだったかを見れば明瞭です。赤旗の活動欄も、比例代表への訴え選挙中心です。テレビの政見放送においては小選挙区候補の政見は酷いものです。

 (2)さらに言えば、日常的に小選挙区候補者の選挙区内の要求実現運動はどうだったか、こうした視点に沿った「総括」が必要でしょう。

 5.全小選挙区で立候補し、議席を争うためには、日常的にどんな活動が「選挙準備」活動として求められてくるか、「俄か立候補」ではなく、その選挙区にへばりついて住民要求実現の先頭にたった活動です。こうした視点での「総括」は望めそうにありません。

 ま、小選挙区制が廃止されれば、違った展開になるかもしれませんが、不当にも比例代表を減らすと言っています。これが現実のものとなれば、壊滅的打撃を受けるでしょう。これは国民にとっても、日本の民主主義にとっても不幸です。

 それにしても、現在の共産党の「自力」構築型中心の活動では永遠に民主連合政府は???

どうでしょうか?

 以上、「赤旗」に掲載された志位委員長発言の前半部分についてのみ、愛国者の邪論の考え方を述べてみました。また、このような問題のある「総括」の「視点」から導き出される「日本共産党が果たすべき三つの国民的役割――意気高く新たなたたかいを」の部分については、別項にまとめてみます。長くなりましたので・・・・。

コメント (2)
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