愛国者の邪論

日々の生活のなかで、アレ?と思うことを書いていきます。おじさんも居ても立っても居られんと小さき声を今あげんとす

アルジェリアの殺人事件を「テロとのたたかい」とする論調と自衛隊法「改正」に疑問あり!真相の究明を!

2013-01-25 | 日記

大阪市立桜宮高校の事件について、ずっと記事を書いてきました。まだ書くことはありますが、今日は、アルジェリアの殺人事件について、3つの社説を読んだ感想を述べておきます。

まず、今回のような殺人事件を引き起こした武装集団の蛮行は否定されなければなりません。このことを前提にしたうえで、今後のことを踏まえて、以下述べてみます。

 1.この事件、「テロとのたたかい」と報じられていますが、果たしてそうか、どうかです。これは日本からみた見方であり、現地の民衆から見た場合、どうか、です。その理由は、アフリカの「資源開発」に対する見方、現地政府の対応の仕方などをみると、単純に「テロとのたたかい」と言えるかどうか、です。

「テロリスト」=「武装集団」に対するアルジェリア政府の対応に対して日本政府の要請は無視されました。この対応に対する認識の違いについての意味も検証が必要です。

しかも日本の場合、歴史的に見ていく必要があるようにも思います。中国・朝鮮への侵略に対して反抗した民衆に対して、侵略した側はどのような評価をしていたか、そのことが頭にあるからです。イラク戦争の時も同様でした。

 2.一民間会社の企業進出と日本政府の日常的な連携プレーと、その安全管理はどうだったか、です。「テロリスト」の暗躍する地域に、何故このような「資源開発」を行ってきたのかです。多くの日本人は、アフリカにこのようにして企業が進出していることなど、知っていたでしょうか?タイの洪水によって、あれだけ多くの日本企業が進出していたことに驚いた時の感覚と同じ驚きをもったのは、勉強不足ですが、率直な感想でした。

 もう一つは、だからこそ、と言っておいた方が良いのでしょうか。殺された方々の年齢や経歴、雇用形態に釈然としないものがあります。

アフリカに進出する企業に対して政府は、情報提供を含めて、どのような指導をしていたのか、検証が必要でしょう。企業も、アルジェリア政府の軍隊に守られているとの「安心感」と「確信」の下、現地労働者や諸外国の労働者を働かせていたのかどうか、検証が必要でしょう。

そうした認識と現地政府と反政府派との関係はどのように認識していたのか、どうか、もです。

 3.自民党は自衛隊法の「改正」を目指しているようですが、まさに「地頭は転んでもただでは起きない」との諺のとおり、バカらしい発想です。これでは殺された方々は浮かばれないでしょう。「テロとのたたかい」を口実に憲法という「規制」の「緩和」を策してきた歴史を、再度検証すべきです。とりわけ、アフガン・イラク戦争の検証です。

 4.これまで日本はアラブ世界では信頼されているとの評価がありましたが、伝えられるところでは、日本人が標的にされたのではないかとの情報もあります。そのような情報が存在すること事態、アフガン・イラク戦争でとった日本政府の立場と、この戦争を検証していない現実が、そこにあります。アラブ世界では、「日本」は「安全装置」にはならないということが事実とすれば、ここでも日米同盟深化路線の破綻を意味していることは明らかです。

 5.今日、遺体が帰国した映像が流されて、会社に弔問に来た人々、遺族の声が紹介されていますが、自民党が目指している憲法改悪と「国防軍」の未来を暗示している場面でした。自民党は、湾岸戦争以来、アメリカのために日本人の血を流すことをアメリカに迫られ、憲法の改悪を策してきました。この日本人の血を流すとはどのような場面か、如実に示したのが、今日流されている映像です。

 マスコミは、そこまで想像して、安倍自公政権の行方を占っているか、疑問です。このような映像を流すことで、海外の「法人救出」に自衛隊を使う、亡くなった方々を、海外の「最前線」などと表現して「英雄視」する見方などによって感情移入と論理飛躍で、スリカエていくことは明らかです。靖国派の安倍首相の黙祷前の言葉は、躍っていました。監視が必要でしょう。

 以上、感想的意見を述べておきます。

 それにしても、命の大切さを、憲法の人権と民主主義の視点から、再度問い直してみることの大切さを、大阪市立桜宮高校の自殺事件とアフリカアルジェリアの殺人事件を見て思った次第です。

 殺された方々のご冥福を!二度とこのような「殺人」を繰り返すな!

 以下、3紙の社説を掲載しておきます。

 

愛媛新聞 邦人人質事件 「テロの温床」を断つために 2013年01月25日(金)

http://www.ehime-np.co.jp/rensai/shasetsu/ren017201301255988.html

 アルジェリアの人質事件は多くの日本人の犠牲者を出した。生還を信じてやまなかった家族や関係者の心痛は、察しても察しきれない。  テロは断じて許されない。その温床を断つために、日本をはじめ世界はより堅く、抜け目なく協調するべきだ。息の長い取り組みになろうが、各国間の信頼関係の醸成と情報共有こそ要である。  武装勢力の標的とされたガス田プラントは資源国の屋台骨であり、国際的な経済権益そのものだ。犠牲者の国籍は10カ国に及んだ。日本を含む関係企業の幹部会合の日が狙われたとの見方もある。民族問題や宗教観の葛藤と縁遠い日本人も、グローバル社会の裏側を直視しなければならない現実を突きつけられた。  被害を受けたプラント建設会社の日揮がアルジェリアに進出したのは40年以上前のことで、危機管理の蓄積も相当にあったはずだ。安全確保の再点検は必要だが、民間企業の努力には限界があろう。  テロは常に姿を変え、戦術を柔軟にしている。それに合わせて邦人保護の態勢を見直すことに異論はない。ところが、政府が喫緊の課題として挙げたのは武器使用の権限拡大を含む自衛隊法改正だ。戦闘行為のある地域での邦人輸送を想定するようだが、少し勇み足が過ぎないか。  今回の事件は、テロの温床を抱えるがゆえに強行策しか選択できない国がある実情を浮かび上がらせた。危機管理の前提となる情報が際立って不足し、各国の働きかけが宙に浮いた状態では、初期の段階から自衛隊が活動する場面は到底考えにくい。旧宗主国や情報機関を持つ国でさえ打つ手がなかったのだ。  近年は資源獲得競争に乗り遅れまいと、各国が続々とアフリカ入りする。が、過去の植民地支配や独裁体制の混乱が生み落とした負の遺産として、貧困や民族問題があり、過激な反政府組織が存在することには目を向けない。  日本のアフリカ外交も投資の道筋をつけるのに躍起だ。事後的な地域情勢の調査や理解を深める努力、進出企業との情報共有が十分とはいえない。閣僚や高官の往来が少なく、情報収集の拠点となるはずの在外公館もアフリカでの要員は極めて手薄である。  アルジェリアには常設の日本大使館があるのに、今回の事件では機能した跡がみられない。自衛隊から在外公館に派遣する防衛駐在官を充実させる案が政府内で浮上しているが、大国の駐在を減らしてアフリカなど危機管理を要する国々に回すことも検討したい。外務省の本省内での情報共有に盲点がなかったのか検証する必要がある。  まずは足元の情報収集能力を高めること。平時の備えから、見えるものがある。

 

琉球新報 アルジェリア事件 強硬策は妥当だったか 2013年1月25日

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-201782-storytopic-11.html

 外国人が多数巻き込まれたアルジェリア人質事件は、安否不明だった1人を含め日本人10人が犠牲となる最悪の結末となった。被害者や遺族、関係者の無念とやり切れない思いは察するに余りある。罪のない外国人を標的にテロに及んだ犯行グループへの強い憤りをあらためて深くする。 16日の発生から1週間余が経過したが、現地からの情報は依然錯綜(さくそう)している。21日にはアルジェリアのセラル首相が外国人人質37人の死亡を発表したが、事件の全容はおろか、軍事作戦の実態や外国人人質の死亡時の状況など、分からないことがあまりにも多過ぎる。アルジェリア政府は、得られた確かな情報を包み隠さずに開示すべきだ。 日本政府は事件発生直後から、アルジェリア政府に対し、人命最優先で臨むよう求めていたが、軍事作戦は事件発生の翌日から電撃的に展開されるなど、人命が尊重されたとは到底言い難い。 生存者らが「軍は動く者全てを撃った」と口々に語った内容が事実であれば、アルジェリア軍は犯行グループの壊滅ありきで無差別攻撃を強行したことになり、人命軽視との批判は免れないだろう。 事件直後からアルジェリアは「テロリストと交渉する余地はない」と強硬姿勢を崩さなかった。だが、催涙ガスの使用など犯行グループを無力化する手段は皆無だったのか。軍事作戦は被害を最小限に抑える方策など十分な検討がなされたのか、疑念は尽きない。 今回の事件は人命を最優先する人道主義と、「テロとの戦い」を掲げる国際協調の両立という“矛盾”も浮き彫りにした。グローバル化し、かつ局地化するテロの脅威に国際社会はどう対処すべきか。情報収集や分析、テロ対策で各国は連携を深める必要がある。同時に日本政府や日系企業には海外リスクの危機管理が問われる。 一方、日本政府と被害に遭ったプラント建設大手の日揮(横浜市)は、日本人犠牲者の氏名や年齢を明らかにしていなかったが、菅義偉官房長官は24日、遺体帰国後に公表する考えを示した。遺族や関係者の証言は事件の全容解明に加え、今後のテロ撲滅に向けても不可欠だけに、公表は当然だろう。 また政府・自民では自衛隊法改正に前のめりの姿勢も散見されるが、事件の背景や現地の安全対策など検証作業こそ急ぐべきだ。

 

読売社説 邦人人質事件 テロ封じに国際連携が肝要だ (1月21日付)

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20130120-OYT1T00964.htm

 イスラム武装勢力によるテロが引き起こした惨劇である。 事件の全容を解明し、再発防止策につなげたい。 アルジェリア東部イナメナスの天然ガス関連施設で発生した人質事件は、アルジェリア軍が制圧作戦を強行し、発生から4日間で終わった。 アルジェリア政府によると多数の武装勢力と人質の死亡が確認されている。プラントメーカー「日揮」の邦人関係者の死亡情報もある。事件に巻き込まれた犠牲者に哀悼の意を表したい。 アルジェリア政府は、事件発生の翌日の17日、武装勢力への攻撃を開始した。早期に制圧しなければ、同種のテロを誘発しかねないという危機感からだろう。 1990年代に政府とイスラム武装勢力との内戦で、約15万人もの死者を出したという事情もある。テロリストとは「いかなる交渉も拒否する」方針だった。 武装勢力の人質事件は卑劣なテロ行為であり、断じて許すことはできないのは当然だ。ただ、アルジェリア政府の軍事行動は、人質救出の観点から周到に練られたものだったのだろうか。 安倍首相は20日、アルジェリアのセラル首相との電話会談で「人命最優先と申し入れてきた。日本人の安否に関して厳しい情報に接することになったのは残念だ」と軍事行動に遺憾の意を示した。 キャメロン英首相も、事前通告がなかったことに不満を表明した。アルジェリアと関係国の意思疎通は円滑ではなく、安否に関する情報の提供も不十分だった。 アルジェリア政府は、外国人が大勢働く重要な施設に武装勢力の侵入を許した原因や、救出作戦の詳細など、事件の全貌を国際社会に明らかにする必要がある。 イスラム武装勢力はアルジェリアだけでなく、アフリカ北・西部一帯を股にかけて活動している。事件の解明により、その実態をつかむ手がかりが得られよう。 今回の事件を、国際社会がテロに対して毅然(きぜん)として立ち向かい、有効な手立てを講じるための一歩としなくてはならない。 一方、事件は、海外展開する日本企業にも課題を残した。危機への備えの再点検が急務である。 日本政府は安倍首相が陣頭指揮に当たった。首相官邸を中心に精力的な対応を見せたと言える。

 ただ、政府の情報収集・分析が十分とは言えまい。在外公館の陣容の見直しなど必要な措置を検討すべきだ。危機管理体制を一層強化してもらいたい。

(2013年1月21日01時50分  読売新聞)

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