「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

鉄道九師団は残酷ではなかった

2006-10-13 07:33:55 | Weblog
映画「戦場にかける橋」で”悪名”高い鉄道第九師団の兵隊だったM氏か
ら久しぶりに手紙を頂いた。鉄道第九師団は泰麺鉄道建設に際し連合
軍捕虜や現地人数万人を残酷に扱い死に至らせしめた部隊として映画では
描かれている。これに対してM氏らは終始、自分たちは残酷ではなかった
と訴え続けている。

「私共の大隊(500人)の戦友会も数年前に解散,聯隊(2,500人)の
戦友会に入れて頂き、毎年靖国神社に参拝して参りましたが、その戦
友会も今年は31名、しかも純粋鉄道員は私を含めて15名、残りは聯
隊長のお孫さんやビルマの病院の看護婦さんでした」

ことし米寿のM氏の文面には寂しさが滲んでいる。僕は泰麺鉄道の現場
は知らないが、M氏らが二度のご奉公をしたスマトラ横断鉄道の南瞑の
ジャングルは何度か行っている。泰麺現場はもっと劣悪な環境であった
という。捕虜たちの大半は食糧不足からマラリアやコレラなどの伝染病
で倒れ亡くなっていった。意識的に日本兵が彼らを残虐に取り扱ったわけ
ではない。

戦争とは非常なものだ。戦後の連合軍軍事裁判で泰麺鉄道関係者だけで
35名が刑死されている。M氏の手紙は続く。
「小生の入隊時の教官が戦後戦犯となり捕虜虐待のカドで絞首刑になった
ものですから、彼の無念を思い愚直にも毎年靖国社前に頭を垂れて冥福を
祈っています」