「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

福島県・佐藤前知事のリッチな犯罪

2006-10-25 05:50:29 | Weblog
プロレタリア作家、宮本百合子の処女作「貧しき人々の群れ」が世に出て
今年で90年である。この作品の舞台になった郡山に住む佐藤佐久・前知事
が収賄容疑で逮捕された。テレビで彼の住んでいる豪邸を見たがこの地は
かって安積疎水完成以前は桑野という荒地の寒村であった。百合子は疎水
開拓に当たった祖父、中条政恒の家での見聞をもとに、この名作を書いた。
開拓民の赤貧がテーマである。佐藤前知事は90年後、この地の取引で9億7
千万円を賄賂として受取った。

30数年前、僕は郡山に約2年勤務した。当時暴力団の抗争から”東北のシカ
ゴ”と悪口をいわれたが、活気のある住み好い町だった。しかし、東京育ち
の僕には何故かわからないが、住民の生活がつましく感じた。列島改造以前
である。当時佐藤前知事は郡山青年商工会議所(JC)で活躍していた。面識は
なかったが、彼の名前は知っていた。その後彼は日本青年会議所の副会頭と
なり、これをステップに参議院議員に当選、知事となった。郡山JC時代の彼
には故郷郡山を発展させようという夢があった。

やはり5期18年という知事の任期は長すぎた。いつか知らぬ間に”悪”の垢が
こびりつき彼の政治生命を絶ってしまった。その直接の容疑が土地取引をめ
ぐる収賄容疑とは皮肉である。90年前には草木も生えなかった土地での,あ
る意味では”リッチ”な犯罪である。