「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

スマトラ地震と”日本の穴”

2007-03-08 06:10:00 | Weblog
一昨年地震と津波で大被害を出したスマトラで6日、またM6・3と
M6・1という大きな地震が二回も起きた。幸い今回は津波の発生は
なく、犠牲者の数も前回ほど多くはなかった。インドネシアでは翌7
日には古都ジョクジャカルタの空港で航空機事故が発生している。自
然災害だけでなく人災も多い国である。

今回の大地震の震源地に近いブキティンギの町に”日本の穴”という
観光名所がある。さきの戦争中、ここには日本陸軍の第25軍司令部
あり、町の断層を利用して防空壕をつくった。塹壕でも陣地でもない。
ところが戦後、インドネシア政府がこの防空壕を整備して公園にするさ
い、この壕で日本軍が労務者3千人を虐殺したという話をでっちあげ、
壕の入口に惨殺を示唆する壁画まで作った。

僕は平成9年、この話に疑問を持ち壕の築造責任者を九州のお宅に訪
ね、関係筋の協力で今では”日本の穴”の話を日本では信ずる人はい
なくなったと思う。しかし、惨殺壁画が10年以上公開されていたため、
インドネシア人の中にはまだこの惨殺を本当と思っている。一昨年、僕
は有志のご寄付で作った「防空壕築造記」(日英インドネシア語)を現
地で配布した。

今回の地震でブキティンギでも8名の死者が出ている。”日本の穴”が
どうなったか不明だ。公園として一般公開したとき、補強措置をしてい
ると思うから大丈夫だとは思うが心配である。ここだけでなく、東南ア
ジアの各地には同じような戦争の”傷跡”が残っている。相手国の同意
を得て保存するか撤去するかー「戦後処理」をしたほうがよいと僕は思
のだが。