「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

       裸電球の下 ” 灯火に親しん”だ時代

2008-10-29 05:21:45 | Weblog
”灯火親しむの候”-かっては手紙の書き出しの常套句であった。が、IT器機の
普及で、今では僕ら後期高齢者でもめったに手紙を出したり,貰ったりしない。死
語に近い言葉になってしまった。読書週間である。敗戦直後が青春時代であった
僕らには、裸電球の下で読書した”あの頃”が愛おしく、また悲しい。焼け跡ばかり
の時代だ。やたらに停電が多かった。亡父の昭和20年10月の日記には”停電の
ため何もできず”という記載が多く、夜7時過ぎには就寝している。僕も電車の中で
試験勉強をした記憶がある。

”灯火”というと、僕らには”蛍光灯”より”電球”が懐かしい。調べてみると、蛍光
灯が日本で初めて発売されたのは昭和28年との事だ。だから多分、30年代になっ
てから一般家庭に普及したものだろう。37年、僕は初めて外国旅行をし、ロンドンの
ヒースロー空港に着いたときの、オレンジ色の蛍光灯の色が今でも忘れられない。

ネットの普及で、誰もが自分の文章を発信できるようになった。が、これに逆比例した
かのように近年本が売れなくなってきた。あの裸電球の下、虫の声を聞き、羽虫を追
いながらの風景は消えた。好いのか悪いのか。せめて読書週間ぐらいは、青春に帰り、
昔、読み残した「世界文学全集」や明治大正時代の文豪の長編に挑戦したいという気
持ちはあるのだが。やはり、読書は若い時のものだ。人間形成の一生の財産になる
と思う。

(昨日のブログで推測で、伊藤ハムの東京工場敷地周辺には、戦争中軍需工場があ
ったのでは、と書いたが、やはり「毒ガス」室みたいな施設があった、という報道もある)