「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

   12月8日 オランダへの宣戦布告はなかったのに

2008-12-08 05:41:58 | Weblog
昭和16年12月8日といっても大方の日本人にとって今は特別な感動はない。この
日が英米に対して宣戦を布告した日であるのを記憶している日本人は少数派にな
ってしまった。宣戦布告の日の亡父の日記は赤字で大書してこの日のことを欄外
に書き出している。小学校5年生だった僕も子供ながらに”大変なことになった”と
思った。空襲などなかったのに全国に警戒警報が発令された。

宣戦布告は英米だけだったのに、蘭領インド(現インドネシア)の在留邦人は、この
朝いっせいに蘭印官憲によって検挙された。有無を言わせず、中にはパジャマ姿の
まま抑留所にぶち込まれた。蘭印各地から集められた約700人の邦人はいったんジ
ャワに集められ、そこから「クレーメール」号という”奴隷船”に乗せられ、オーストラリ
アの砂漠地帯のラブダイの収容所に送り込まれた。故古池三八勝氏の「抑留日記」
によると、敗戦後の21年2月まで自由を奪われた。

オランダが日本に宣戦を布告してきたのは、12月8日から数日たってからだ。布告も
なしに拘束するのは国際法違反である。にもかかわらず、ある日本人の学者はこの
事実も知らずに、自分の本に日本が12月8日にオランダへ宣戦布告したと書き,今だ
に訂正していない。彼女は別の本で、スマトラの防空壕で日本軍が現地の労務者を
惨殺したと事実無根のことを書き、これも訂正していない。大東亜戦争は遠くなりにけ
りでは済まされない。