「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

          「英語」を英語で教えないと

2008-12-24 06:50:41 | Weblog
2011年から始まる新学習指導要領で英語教師は英語で教えなくてはならなくなる。
僕はこれに基本的には賛成だが”受験英語”で教育されてきた今の大方の先生た
ちにそれが出来るのだろうか心配だ。かりに出来ても"受験英語”の発音では、あま
り意味がなく改善にはならない。

大学入試中心の今の日本の英語教育は、いつから始まったのだろうかー。戦前の
旧制時代から”小野啓”の讀解中心の参考書や単語を丸暗記する赤尾の"マメ単”が
受験生必修の書で、僕もそのお世話になった。戦前は外国へ行く機会も少なく、外国
人と接することもあまりなかった。主として外国語で書かれた学術書や論文を書くの
が目的だったから、それでもよかった。

でも今は違う。"国際化"時代で外国で商売する人が増え、年間数十万人の観光客が
海外へ出かけ英語で会話をする時代である。が、受験英語で教育された日本人の
英語は相手に通じるが、相手の言う事が通じない場合が多い。それは実際的な発音
を無視した教育からきている。

明治の末、英語の教師だった夏目漱石は英国での留学体験をもとに音声面(発音)から
の英語教育改善を提案している。明治の初め、日本の大学では"お雇い外国人”が直接
英語で他の学科も教えていた。その時代に英語を勉強した漱石は、明治の末の学生たち
の英語力が劣ってきたと嘆いている。

大変失礼だが、日本の大部分の英語教師の発音は"受験英語”のそれである。これでは
「英語」で教育されてもあまり意味がない。が、大学入試が今のままなら"受験英語”を教
える教師も必要なのだ。この矛盾が問題だ。