「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

          クラシック音楽の効用

2008-12-20 06:24:11 | Weblog
昨夕、東京上野の東京文化会館小ホールへ熊本マリさんのピアノ・リサイタルを
老夫婦で聴きにいった。”歓喜のラテンクリスマス”というのが演奏会のタイトル。
僕ら二人はラテンについてはマドッリドへ観光旅行にいった程度の知識しかなかっ
たが、コルトバとかカタルーニアいった名前だけの地方の音楽をじゅうぶんに楽し
めた。やはりクラシック音楽はよい。

僕ら昭和一ケタ世代には、仕事だけに生甲斐を感じてきた男が多い。一方、女性も
子育てと姑の面倒に追われてきた世代だ。若い時には夫婦そろって音楽会へ行く
機会などなかった。こうして二人で楽しめるようになったのは、僕が仕事をやめ子供
が独立したここ10数年である。

僕の遠い記憶の中に戦後まもなくの頃、上野でオペレッタを見た想い出がある。昭和
20年秋か21年春だったと思うが、この東京文化会館の近くだった。タイトルは「コルネ
ビールの鐘」だったが、内容も出演者の名前も覚えていない。まだ空襲の焼け跡が
残っていた頃だ。そして、まだ少年だった僕が何故聴きにいったのかも定かでない。

わが家はけっして音楽環境には恵まれていなかったが、僕はNHKラジオの日曜日の
朝の「音楽の泉」をいつも聴いた。堀内敬三さんの独特の口調のクラシック音楽の解説
が今でも忘れられない。戦後の混乱期に聴いたクラシック音楽が僕の人生に役立って
いるのは間違いない。

熊本マリさんの演奏会を聴いて改めて長い人生のいっとき、クラシック音楽にしたる喜び
を感じ、その効用を知った。