「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

   国宝指定の赤坂離宮が国会図書館だった頃

2009-10-18 05:08:11 | Weblog
迎賓館赤坂離宮が明治以降の文化財として初めて国宝に指定される。明治42年、
当時皇太子であった明宮嘉仁殿下(のちの大正天皇)のお住いとして建てられた宮
殿である。戦後一時期(昭和23年ー36年)赤坂離宮は国会図書館として利用され、
一般に公開されていた。

大學時代(昭和23年ー28年)、僕はこの国会図書館をよく利用させて貰った。ネオ
バロック式の建物は、ベルサイユ宮殿を模して造られたといわれ、地上2階、地下2
の、およそ図書館には似つかわぬものだった。たしか閲覧室は2階の天井に大きな
シャンデリアがある豪華な大広間の一つだった。玄関を入ると赤いじゅうたんが敷か
れてあったが、階段の端はほころびていた。利用者はそれほど多くなく、なぜか昼食
時になると、職員がオルゴールを鳴らせて回ってきた。

開館した昭和23年頃は、まだ離宮のある四谷駅界隈は焼跡が残っており、食料難
であった。僕が通学していた大学は6月から夏休みに入っている。外掘りの一つ真田
堀には空襲で焼けた瓦礫が運び込まれ埋め立て工事が進んでいた。今、上智大学
のグランドなどに使用されている、あの部分だ。

あれから半世紀の歳月が流れ、国会図書館は移転し、建物は外国からの賓客を迎える
ゲストハウスに変わり、エリザベス女王も宿泊、サミットの会場にも何回か使用されてい
る。離宮が国宝に指定されると知り、空腹を抱え、オルゴールを聞きながら読書した当
時がむしょうに恋しくなった。