「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

              義援金と風評

2011-07-22 05:45:10 | Weblog
床屋談義だが、先日出かけた理髪店の主人が”震災被害者への義援金はいったいどうなっているのでしょうか。どこで消えてしまっているのでは”と僕に聞いてきた。日本の国である。そんなことは絶対にないとは信じているが、震災から4か月余を経ても、いまだに義援金が届いていない被災者がいるというと、床屋の親父さんならずと変な疑いを持ちたくなる。

政府の「義援金配分委員会」の7月1日現在の数字によると、義援金の総数は238万件で、総額は2588億円で、うち第一次配分で878億円、第二次配分で1446億円、合計2324億円と9割方がすでに市町村に配分されている。ところが直接義援金を受け取っていない、被災者が、まだまだかなりの数に上るという。配分基準が複雑のうえ、被災地の窓口の職員不足が原因しているとのこと。

2004年12月のスマトラ沖巨大地震と津波の後、インドネシアではM8を越す余震がスマトラだけではなく、ジャワでも続いた。そのつど日本政府や民間から義援金が贈られている。僕も貧者の一灯だが、協力させてもらっているが、現地の日本人組織の間には、集まった義援金は直接、被災地に渡し、さらに目に見える形で行うべきだとの意見もあったそうだ。インドネシアではkorupsi(汚職)がはびこっており、公式機関を通じて援助しても善意が届かないというのである。

他国の事だと思っていたが、今回の震災で国の内外から集められた巨額の義援金がいまだに被災者の所に届かない現実を知ると問題である。政府の「義援金配分委員会」は配分で事足りたでは困る。大震災から4か月余経っても避難所暮らしのテレビ画面が外国に紹介され、義援金を受け取ってないことがわかれば、日本政府の鼎の軽重が問われることにもなる。