「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

               朝顔が街から消えた!

2011-08-01 05:50:39 | Weblog
今日8月1日の誕生日の花は朝顔である。その花言葉は”愛情の絆”だそうだ。首都圏はここへきて、暑さも一服状態、昨夏のような猛暑ではない。そのせいなのだろうか。夏本番という気分にはなれない。人間は勝手なものだが、どうも僕には、その原因の一つは暑さだけでなく、街の夏の風情の喪失もあるように思われる。

僕の東京の夏の原風景の中には、横丁の家々の前に置かれた植木鉢に咲いた朝顔がある。あの紫色をした花である。朝に咲いて夕べにしぼむ花が、なぜか子供心にもいとおしく思われた。その朝顔の花が今年は僕の家の周辺では見られない。東日本大震災を受けて入谷の朝顔市が中止され、多少その影響もあるのかもしれないが、やはり、都会人の心の中から花を愛でる気持ちの余裕がなくなり、絆が失われてきたのではないのだろうか。

”朝顔のつるべとられてもらい水”-元禄時代の俳人、加賀千代女の作だが、いまはその世界はない。8月というと、僕らの世代はどうしても66年前のあの時代を想い出す。連日の空襲下、空腹を抱えて過酷の生活を強いられていた。当時は内風呂のある家は少なく、あっても燃料がなかった。幸い、隣家は軍需成金で毎日のように風呂を焚いていた、僕らはその”もらい湯”のご相伴に預かった。僕の記憶には、隣家の勝手口の入り口には確か朝顔があった。

階下の娘婿が自宅の庭でとれたゴウヤの初物を届けてきた。今年は節電をかねてゴウヤを栽培する家が多くなってきたという。”緑のカーテン”の役割をし、さらには実が食べられる。一石二鳥だが、夏の風物詩としては、やはり僕には朝顔のほうが似つかわしい。