「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

          少年飛行兵、予科練世代

2011-08-12 06:40:31 | Weblog
先日亡くなられたタレントの前田武彦さん(82)とは、昭和45年、息子の小学校の父親参観日でご一緒したことがある。当時、前田さんはテレビの売れっ子で多忙であったが、お嬢さんのために、わざわざ参加されていた。話を交わしたわけではないが、僕ら一般の父親と同じように熱心に授業を参観していたのが印象的だった。

前田さんは僕より学年は一年上だが、ほぼ同時代といってよい。この世代は戦争には従軍していないが、少年時代、陸軍少年飛行学校、海軍の予科練、陸軍幼年学校といった軍関係の学校に入学していた人が多い。前田さんもその一人で、予科練の通信科に在学、厳しい訓練を受けておられた。僕の義兄も前田さんと同じ年で、立川の少年飛行学校で飛行機乗りのタマゴであった。戦後、義兄は当時鎌倉にあった演劇映画人養成の専門学校、鎌倉アカデミアで前田さんと同学という奇縁まである。

義兄は戦後NHKの地方局に勤務、ラジオドラマの演出などしていたが、なぜか戦時中軍関係の学校にいた人たちには戦後映画演劇に関係した人が多い。タレントの小沢昭一さんは前田さんと生年月まで同じだが、海軍兵学校(第79期)の生徒であった。僕の中学時代の友人、漫画アニメ「さざえさん」の波野のり平の初代役だった村越伊知郎も終戦直前、少年飛行学校に入学したのを覚えている。

戦後まもなく、僕らの世代は”アプレ・ゲール”(フランス語で戦後という意)で従軍した世代から蔑視されていたが、その従軍世代は、一番若い大正15年生まれでも85歳である。まだまだ若いと思っていたが、やはり歳月の流れを感じる。