「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

      夏の想い出を奪う臨海学校への過剰反応

2011-08-02 05:56:55 | Weblog
夏の臨海学校の開催が平成になってから減ってきているという。そういえばわが家の孫たちも小中校を通じて一度も行った事がない。理由は海の汚染や現地へ行くまでの交通渋滞もあるが、最大のものは、学校側が必要以上に水の事故を恐れているからだとの指摘が多い。この減少傾向は今年は大震災の津波のイメージや原発事故による放射能汚染の風評で一層拍車がかかっているとのことだ。

戦前から昭和にかけて臨海学校は都会の子供たちにとって何よりの想い出づくりの場であった。戦争の激化で僕らの世代は残念ながら機会を逸したが、戦後すぐ、僕は大学生時代アルバイトで房州保田海岸で催された都内の学校の臨海学校で事故の見張りをするライフガードをしたことがあった。二泊三日の僅かな期間だったが、今でも子供たちの嬉々とした元気な姿が目に浮かんでくる。

戦前、亡父はサラリーマンだったが、夏休み期間中、多分有給休暇を利用したのであろう。都内の公立学校の臨海学校で水泳教師兼監督をしていた。戦前まで東京でも各地に江戸時代から伝わる水泳道場があり、亡父はそこの師範をしていた。その関係で臨海学校でも教えていた。

昔の水泳はスピードを競うのではなく、戦(いくさ)を想定しての”水術”であった。従っていかに長く泳げるかとか水の事故を防ぐかにに主眼が置かれていた。このため、事前に泳ぐ河川や海をチェックし、海岸の地形や汐の流れまで調べたりした。だから、戦前は臨海学校での事故はあまりなかった。これに反して今の学校関係者は、最初から事故をおそれて臨海学校を中止している。打つべき手を打てば水の事故などそうそう起きるものではない。