「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

             泡沫(うたかた)の”アラブの春”

2012-12-08 06:40:40 | Weblog
2010年から11年にかけて中東地域を吹き荒れた反政府(民主化要求)運動”アラブの春”はどうなったのだろうか。エジプトでは30年に及ぶムバラク独裁政権が倒れ、選挙の結果イスラム原理主義主体のムスリム同胞団のモルシー政権が誕生した。これで春が到来して、政治も安定するかと思ったら1年もたたないのに、憲法改正をめぐるモルシー政権の強引な手法で、またもや国内は軍隊まで出る混乱ぶりだ。

依然としてシリアには”春”は訪れない。それどころか厳冬に逆戻りの情勢が続いている。アサド政権と反政府勢力との軍事衝突は国際機関の数重なる仲介にも拘らず解決の糸口はみられない。米国からの報道では、アサド大統領はサリンを装填した化学兵器の使用さえ検討しているという話さえある・もし、これが事実とすれば自ら破滅の道を歩むことになる。

”アラブの春”は泡沫(うたかた)だったのだろうか。手元に「アラブ人の気質と性格」(サニア.ハマディ著サイマル出版会1974年)という本があった。その中にこういう記述があった。「アラブの教育のない選挙民には複雑に分岐した政府の機能とサービスが理解できない。そのうえ選挙民と政府の間の相互理解と協力を図るべき政治家が民意を代表せず、その無責任が選挙民の無理解を生む原因となっている」

わが国も16日の投票にむけて選挙戦が真っ盛りである。アラブの政治家だけではない。日本の政治家も果たして民意を代表しているだろうか。その無責任さが選挙民の無理解を生む原因になってはいないだろうか。昨夕、東北から関東にかけて震度7.3の地震が襲った。何かこの強震は僕には日本人全体への覚醒への鐘のように思えてならない。