「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

            ”神武景気”時代のクリスマス

2012-12-25 07:00:36 | Weblog
クリスマス.シーズンになると、昔独身の安サリーマン時代を想い出す。折から日本の経済は”神武景気”(昭和29年12月から32年6月)で湧いていた頃だ。戦後のどん底だったわが国の経済は、やっと朝鮮戦争特需で上向きになり、街から焼跡もなくなり建設のつち音も聞こえ始めてきた頃である。

街には今以上にジングルベルのメロディが賑やかに街頭放送から流れていたが、家庭で家族がクリスマスを祝う習慣はあまりなかったようだ。クリスマス.イブというと、サラリーマンが盛り場へ繰り出し、派手な三角帽子をかぶって大騒ぎをする日であった。12月に入ると行きつけのバーやクラブの女性から職場に電話がかかり、高いパーティ券を買わされた。当時僕ら安サリーマンの月給は1万円前後だったが、パーティ券は500円もした。

クリスマス.イブといっても店の中にツリーが飾ってあるだけで、僕らはひたすら飲みかつ食べるだけ。カラオケ以前だから、あまり歌うこともなく、流しの歌い手が来ると、そのアコーディオンにのってチークダンスを踊る程度だ。あの時代は趣味娯楽といっても麻雀ぐらいで、若者たちはよく酒を飲んだものだ。酒のマナーも悪く、駅のベンチには酔い倒れた男が寝ており、空き地で立小便する男が多かった。

でも、”神武景気”といっても今思うと、けっして豊かな時代ではなかった。”三種の神器”と呼ばれた家電製品の白黒テレビ、電気洗濯機、電気冷蔵器は、まだそれほ普及していなかった。”グルメ”という言葉もまだなく、クリスマス.ケーキといってもクリームの上にイチゴが載ったショートケーキやバナナを素材にしたケーキであった。今のように豊かな時代ではなかったが、何か人々は将来への期待感がり、活気にあふれていた気がするが、それはまだ僕が若かったせいであろうか。