「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

"今日の佳き日”は天長節なのだが

2014-04-29 05:09:20 | Weblog
今日は4月29日「昭和の日」。国民の祝日である。と、いっても今一つピーンと来ない。平成になって一度「みどりの日」と改名されたこともあってか大型連休の中の休日の一つに埋没してしまった。が、75歳以上の後期高齢者にとっては”今日の佳き日は大君の生まれ給いし”誕生日、天長節であり懐かしいのだが。

先日NHKラジオの深夜便で”昭和の懐かしの歌謡スター”で、戦中、戦後活躍した伊藤久男、霧島昇編を聞いた。まさに昭和を代表する二人である。番組のアンカー氏は、二人と福島県の出身で、亡くなったのも年は違うが一日違いだと紹介していた。そして、二人の代表作「高原の旅愁」「イヨマンテの夜」(伊藤久男)「愛染夜曲」「三百六十五夜」(霧島昇)は歌われたが、二人が戦中歌い、競作した「露営の歌」(昭和12年)「暁に祈る」(昭和14年)などはスキップされた。多分、軍歌とみなされ敬遠されたのだろう。

昭和の時代にはNHKは国民歌謡として、その時代を反映する名曲を世に出している。島崎藤村作詞の「朝」「椰子の実」などもその一つで今も愛唱されているが、戦争がはげしくなり、国民唱歌と改名された時代の歌は、戦時色が強いという理由から「愛国行進曲」「海ゆかば」など全く歌われなくなった。この時代の歌の中にも「めんこい仔馬」「歩け歩け」「隣組」など、あまり戦争に関係がないものがあるが、敬遠されている。

”歌は世につれ、世は歌につれ”というが、軍歌はその時代の歌である。国民唱歌の中には「千人針の歌」というのもある。あまりヒットしなかったが、今の若い世代で「千人針」を理解できる人は、どの程度いるだろうか。たかが歌であるが「天長節」と同様、次世代が理解できなくなるのは、その時代を生きてきた者にとっては寂しいものである。