「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

友好を損なうインドネシアの”性暴力被害者”を担ぐ日本人

2015-06-23 05:02:44 | Weblog
「日本軍政下の性暴力~インドネシアの被害者たちが語る」座談会が日本のNGO団体主催で開催される旨知人から連絡を受けた。その案内からみると、講演会にでる”被害者”たちは平成25年(2013年)11月28日付け朝日新聞国際面が大々的に報じた、軍政下、”日本軍のテント”で暴行を受けたという女性や”大きな建物沢山の部屋”の中で性交渉をもたされた(朝日新聞見出し)南スラウェシの女性たちのようである。日本とインドネシアとの間の、いわゆる”従軍慰安婦”問題は、すでに2007年すべて解決済みである。それなのに、なぜこういった問題を蒸し返すのか、せっかくASEAN諸国一といわれる両国間の友好を損なうだけだ。

インドネシアで”従軍慰安婦”問題が表面化したのは、1990年代、日本の一部の弁護士や学者がインドネシアの人権団体や兵補(日本軍の補助的組織)を煽動して、補償請求運動を起こしてからだ。日本政府はこれに対して、当時、設立された「アジアのための女性基金」を通じて1996年、村山富市理事長名で、インドネシア政府に補償を申し出た。これに対してインドネシア政府は、軍政期の補償請求権をいっさいを放棄した1957年の日イ平和条約に従って、こちらから申し出たのではないと断り書きし、しかも慰安婦は特定できないとして、申し出の日本からの基金は高齢者の社会福祉資金に使用した。2007年にこの事業は終了し女性基金も解散している。

朝日新聞が報じた記事に対しては、日本のスラウェシ情報マガジン(検索)が反論を書いているが、スラウェシの国立ハサヌデイン大学には、日本の軍政期について詳細の記録が残っており、また朝日新聞が報じたような犯罪行為があれば、戦後の和蘭軍事裁判で裁かれ処刑されている。講演会で話をする日本人の研究者は僅か3回の現地聴き取りしただけである。それよりも、何故解決済みの問題をまた蒸し返すのか。意図が解からない。