「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

「トト姉ちゃん」と戦前昭和の時代

2016-05-08 05:08:56 | 2012・1・1
NHKテレビの朝の連続テレビの「トト姉ちゃん」が人気のようだ。老妻が毎朝見ているので、つられててみたら戦前昭和の東京の木場を舞台に話が展開されている。何でも、戦後大ヒットした雑誌「暮らしの手帖」を創刊した三姉妹の自伝をドラマ化したものだとのこと。馬齢のためだろうか、話の筋にはついてけないが、何故かドラマの大道具、小道具などに郷愁を感じる。

三姉妹の割烹着姿がなつかしい。戦前から戦中、戦後も昭和30年代頃までだろうか、都会では、女性の烹着姿がめだった。とくに僕ら戦中小学生だった世代には、「愛国婦人会」の襷がけで割烹着の女性が駅頭で”千人針”の協力を呼びかけていた姿が今でも目に残っている。戦後もまだスーパーなど便利なものがなかった頃は、家庭の主婦は割烹着に竹編みの買物袋を提げて買物に出かけていた。昭和31年、結婚したまだういういしかった老妻もそうだった。

その「トト姉ちゃん」の一場面の、目立たない通行人役の一人が今風のリュックを背負っていた。ここ数年、リュックが流行っているようで、僕ら老人でも時たまリュック姿を見かける。しかし、僕の記憶では戦前、リュックは登山者か、遠足の子供しぐらいしか使わなっ気がする。例外は戦争中の買い出しで、亡くなった母親が箪笥から古い帯心を持ち出し、手動ミシンでリュックを作りヤミ米の買い出しに出かけていた。

戦後長い間、リュックは忘れられていたが、1970年ごろ、バックパックと名前を変えて復活してきた。最近、杖のお世話に成り始めた僕もリュックを使うが、若者とは違い、忘れ物が多くなった僕には、なんでも中に突っ込める「頭侘袋」の方が便利なようだ。