「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

ロシアとの談判 破裂させないように

2016-05-09 05:36:59 | 2012・1・1
戦前、僕がまだ子供だった頃、少女たちの間で”いちれつ談判破裂して日露戦争始まった”で始まるまりつき唄があった。日露戦争は明治37年(1904年)~38年だから、当時はまだ戦争が終わって40年ほどだったのだが、遠い昔の出来事のように感じた。”平和条約締結後、ソ連(当時)は歯舞、色丹群等を日本側に引き渡す”旨明記した日ソ共同宣言が発表になったのは昭和31年(1956年)、今年で60周年になるが、つい最近のように錯覚するのは不思議である。しかし、60年は長い歳月である。同じ年起きた「スエズ戦争」や「ハンガリ動乱」を想起すれば判る。世界は大きく変化したにも関わらず、日露(ソ}関係はまったく動いていない。

先日、ロシアの保養地ソチで行われた。安倍晋三総理とプーチン大統領との間の首脳会談で”懸案の北方領土問題について新たな発想に基づくアプローチを進める”で終わった。新たな発想とは何か、日ソ共同宣言後60年、そのつど、その当時の首脳が、新たな発想で解決を試みたが、僕の記憶に残っているのは、鈴木宗男担当大臣が、現地に”ムネオ.ハウス”を建てたぐらいで、問題解決には役立っていない

安倍総理はソチ会談に当たってロシアの極東地域のエネルギー開発を軸にした経済産業協力案を提示したが、申し訳ないが、ロシアがこれでもって領土問題解決に応じてくるとは思えない。過去に一方的に日ソ不可侵条約を一方的に破棄し、参戦してきた例がある。したたかな談判相手である。さりとて談判を破裂させてはならない。”新たな発想”は会談を引き延ばすためのお茶濁しにすぎないが,破裂させないよりは良い。時期を待つより仕方がない。