「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

遺骨収集は特定法人に任せず、国民運動で行え

2016-05-15 04:59:07 | 2012・1・1
戦後71年目にしてやっと海外で戦没された方々のご遺骨収集を推進しようという政府の基本計画がまとまった。新聞報道によると来年度(平成28年)から情報を集め、現地調査をして、平成36年までの9年間に集中的にご遺骨を集中しようという計画だ。遅きに失する感だが、お国のために亡くなられた方々のご遺骨が放置されたままの状態にあることは許されない。これで英霊の霊も浮かばれるというものだ。

先の大戦で海外で戦没された日本人の数は210万人といわれ、うち、ご遺骨が故国に帰還されたのは127万柱が、半分近くが南寧のジャングルや極寒のシベリアの地に眠っている。戦後、政府は昭和30年(1955年)、運輸省(当時)航海練習船大成丸をラバウルなど南方各地に派遣してご遺骨収集に当たったことがあるが、短期間の航海で収集されたご遺骨も限られていた。その後も民間ボランティアの協力で毎年収集は続けられているが、国をあげての本格的な収集事業は始めてである。

政府の計画案を見て心配なのは、実際のご遺骨収集は、国の指定する法人が実施するという点である。実は2003年、僕が関係している東カリマンタン(インドネシア)の慰霊碑が、厚労省の委託を受けた遺族会の手であやうく取り壊されかけたことがある。まったく現地の事情に疎く、現地語も出来ない人たちの杜撰な調査によるものだった。

ご遺骨の収集は関係者の高齢化で難しくなってきている。しかし、東カリマンタンの例でいえば、現地の事情に通じている遺族会の代表は98歳でご健在、慰霊碑の保存について現地の方とも連絡を取られている。この地では戦争末期の7月、上陸してきた連合軍との戦闘で1万人近くがなくなられ、数千人のご遺骨が収集されていないといわれているが、その調査さえ行われていない。慰霊碑の体験から僕は、厚労省は特定の日本遺族会だけに事業を任せるのだけではなく、現在の現地事情に詳しい関係者にも声をかけ、国民運動でご遺骨収集に当たるべきだと思う。