「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

スーパームーン  詩歌の世界から遠くなったお月さん

2016-11-15 05:19:28 | 2012・1・1
昨夜は月が最も地球に近づき。その大きさが直径13パーセント、面積30パーセント大きく見える”スーパー.ムーン”というので僕も待ち受けていたが、あいにく東京首都圏は曇天、昭和23年から68年ぶり巨大なお月様にはお目にかかれなかった。

”月みればちぢにものこそ恋しけれわが身ひとつの秋にはあらで度”(大里千里)。百人一首には、この歌を含めて月を詠った歌が十二首ある。それも秋が多い。”秋の心”を一つの漢字にすると「愁」となるが、秋の季節は人間の心を「愁」にさせるのは何故なのだろうか。この気持ちは洋の東西を問わないらしい。”秋の日のヴィオロンのため息の身にしみて、ひたぶるにもの悲し”(ヴェルネーヌ 上田敏訳)

昭和30年代の流行歌、菅原都々子の歌った「月はとても青かった」の歌い出しには一番”月はとても青いから、二番””月はしずくにぬれながら”三番”月もあんなにうるおいが”と、月の色々の表情を詠っている。これでは月見をしながら”遠まわりしたくなる気持ちになるのはよく解かる。

昭和の時代には藤島恒夫が歌ってヒットした「今晩はお月さま」という歌もあったが、平成になってから28年、月を詠った流行歌にお目にかからない。昭和44年(1969年)米国の月ロケット「アポロ11号が、月面上陸して以来、月面の”ウサギの餅つき”のロマンがかき消されてしまったからであろう。科学の進歩でかぐや姫の話が語りつがれなくなるのは残念だ。