「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

「氷の水族館」と”生類憐みの令”

2016-11-29 06:00:27 | 2012・1・1
北九州市のテーマパーク「スペースワールド」が館内のスケートリンクにサカナ5000匹を氷漬けにした「氷の水族館」をオープンさせたところ”サカナが可哀想だ””なんたる倫理観だ”と批判が集中、中止になり「スペースワールド」は急きょ、犠牲になったサカナの供養をすることになったという。德川五代将軍綱吉の時代だったら、関係者は”生類憐みの令”によって、うち首に処せられたに違いない。

皇国史観の国史を叩きこまれた僕らの世代でも”生類憐みの令”は知っている。お犬様を極端に可愛がった悪法として教わったが、元禄年間24年間に犬、猫の家畜だけでなく、サカナ、トリに至るまで、ナマで食用にしたら”お触れ”に反していたらしい。ウナギ、ドジョウもお触れで販売を禁止されていた。戦時中の教育だったから、元禄時代は、人々が平和ボケしていてから、こんな悪法がでたのだと教わった。

現代も元禄時代にもまして犬猫などのペットブームである。雨の日、家のまわりを散歩すると、どの犬も胴のまわりにカッパをまとい人間サマが,オイヌさまのシモの世話をしている。僕らが子供時代だった頃は、東京の町にも野良犬がウロウロしていた。イヌにとってどちらが幸せなのだろうか。

昔、60余年前、新聞社の駆け出し記者だった頃、愛鳥週間に、屋内に鳥を放ち、子供たちにつかみ取りさせる企画を批判して書いた事がある。「スペースワールド」の「氷の水族館」の記事を読んんで、いつの時代も同じようなことがあるようだと思った。同時に今は、元禄時代と似た平和な好い時代である事にも感謝した。