「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

消えてきた理髪店の赤青白のサインボールと”床屋談義”

2017-05-13 06:17:53 | 2012・1・1
昨日、50日ぶりに駅の向こう側の商店街の理髪店に行った。昨年秋、行きつけの床屋さんが高齢のため廃業したため、これまで1か月に一回は出かけていたのが、なにか面倒になった。わが町では探してみると、いつのまにか、あの床屋さんの看板の赤青白の看板(サイン.ポール)が消えはじめ、駅を通り越したこの商店街にしかなくなってきた。

僕ら年寄り世代にとっては、理髪店の楽しみの一つは”床屋談義”にあった。多分、文字からみて江戸時代からの伝統なのだろう。お客は町の辻々にあった床屋へ行き、髪を結って貰らいながら、店の亭主と色々、あまり意味のない話を長々”談義”したことからきているのだろう。確かに、床屋さんには話好きで、世間に通じている人が多かった。

最近、若い男性は理髪店に行かなくなった。わが家でも同じ屋根の下に住む、婿や孫たちは皆、理髪店ではなく美容院へカットしにゆく。美容院では顔の髭はそってくれないが料金が安い。僕が今、行っている理髪店は4100円もするが、美容院は1200円と三分の一以下である。これでは男性の床屋ばなれが進み、看板のサインポールが店先から消えて行くのも解る。

時代も変わってきた。床屋の亭主がマスクをしていて、耳が若干遠くなりかけた僕には話が聞こえない。それに話題が少ない。もしかすると、店主の中には、他のお客に気遣って、小声で話をしているのかもしれない。民放の昼間の”情報番組”の大道具に、床屋のサインポールを置いている。床屋談義を意味しているのだろうが、時代遅れの感がする。