「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

ラマダン(断食月)とイスラム理解

2017-05-28 06:50:11 | 2012・1・1
昨日、5月27日から世界16億人が、回教暦9月にあたるラマダンを迎え、6月25日(推定)まで一斉に断食に入った。この期間、イスラム教徒は日の出から日没までの間、飲食を禁止され、喫煙まで許されない。イスラム教徒の少ない日本では、あまり知られていないし、理解されていない習慣だが、回教徒にとっては一大事だ。大相撲でただ一人、回教徒のエジプト出身の十両力士、大砂嵐は断食を厳守していると聞き、テレビで見たがやはり、おなかに力が入らないのか、小兵の照強に軽々と吊り上げられて負けた。

アジアのイスラム国からの観光客の増加で、ここ数年の間に日本でのイスラム理解が進んできた。1980年代から90年代にかけてJICA(国際協力事業団=当時)の国内での研修事業に従事していた僕には、まさに驚きだ。当時は「ハラール」食といっても知る日本人は皆無に近く、事前に豚肉料理を断っていたのに、ハム、ソーセージが平気で提供だれた。夕刻のお祈り(マグレブ)の場所がなく、広島の原爆記念碑を背にして集団祈祷し、奇異の目でみられたが、今や羽田、関空、中部,新千歳など国内の主だった空港には祈祷室が設けれている。

ラマダンの期間中、イスラム教徒以外の飲食店は店の扉を閉じたり、人目につかないようにして開店している。イスラム教徒への配慮だ。また、イスラム教徒も日の出前に軽い食事をとる習慣があり、JICAの研修施設でも、その時間に食べる軽食を用意していた。僕らも昼食時には、できるだけ食事の匂いのしない場所を休憩室に選んだものだ。外国人技能実習生が研修先から無断でいなくなるケースが年間5千人にも上っている。研修受け入れ先のイスラム無理解が原因になっていなければよいのだが。