「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

流木被害は人災? 育林の不備?

2017-07-08 05:40:25 | 2012・1・1
豪雨水害のあるごとに引用させて貰っているが、本当に”時に選りすぐれば民の嘆きなり八大竜王雨止めさせ給え”(源実朝)である。先日来、福岡県、大分県、熊本県を中心に襲った豪雨による水害はすさまじい。今なお連続的に大雨が続き、被害が拡大しているが、かっての水害のように人的被害が数千人にも及ぶことはない。これは不謹慎の表現だが不幸中の幸いだ。

僕が記憶にある最大の水害被害は昭和13年(1938年)7月の阪神大水害である。JICA(国際協力機構)の外国人研修事業で何回か六甲の洪水による地滑り被害地跡を訪れているが、流出されてきた巨石を見るたびに、水害の怖さに驚く。この水害で神戸だけで611人が亡くなっている。戦後占領下では、台風名は米国と同じように女性名で呼ばれていたがキャサリン台風(昭和22年)では1077人、ジェーン台風(25年)では3935人が犠牲になっている。その後も戦後最大の伊勢湾台風(34年)では5098人狩野川台風(33年)では1260人の人命が失われている。その点、最近は気象庁や関係省庁の事前の避難警告の徹底で、こういった大被害はなくなってきた。

しかし、一方では水害のツメ跡が、昔に比べてすさまじくなってきたのに目をみはる。今回も日田市内の流木の莫大な量と数だ。日田市もJICAの森林研修で訪れたことがある。全国三大造林地の一つで民有林が多かった。テレビの画面で見ると山の急斜面に植えられていた杉林が根こそぎ地すべりなって下流に流出している。JICA研修で得た程度の知識だが、地滑りは造林の手間の不十分さから来ているのではないだろうか。例えば間伐とか下刈りといった育林を怠ったためではないだろうか。流出してきた杉を見るとと、どれも痩せ細っており、多分、根つきも悪く豪雨に耐えられなかったに違いない。もし。そうだとすれば、今回の洪水は人災かもしれない。