「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

何故8月は「北方領土返還」強調月間なのか 72年前のソ連の対日宣戦布告

2017-08-09 06:34:44 | 2012・1・1
内閣府のHPによると、毎年2月と8月は「北方領土返還」強調月間で”全国各地で集合、講演、キャラバンなど多彩な行事が開催される”とあるが、僕の周囲にはまったくない。マスメディアも一向に扱わない。どれだけの日本人が、そのことを知っているだろうか。2月が強調月間なのは、8日が「北方領土の日」であることだ。1885年(安政元年)2月8日、日魯両国は下田で通商条約を締結し歯舞、色丹、国後、択捉の四島が古来からの日本の固有の領土であることを確認している。一方、8月が強調月間なのは1945年(昭和20年)8月9日未明、ソ連(当時)が一方的に宣戦を布告し、満州、南樺太、千島列島に侵攻、以来、前記四島の島々を不法に占拠しているからだ。

72年前、昭和20年の歴史を振り返ると、ソ連の背信行為だけがめにつく。4月5日、わが国との間に結ばれていた不可侵条約を一方的に破棄した。ヨーロッパ戦線の連合軍の勝利が確実となり、一方日本では連日の本土爆撃で東京など大都市が焦土と化し、沖縄での地上戦も終わりに近ずいていた。7月にはポツダム宣言が発表され、さらには8月6日、広島に原爆が投下された。その期を見ての対日宣戦布告である。

対日宣戦布告は8月8日午後11時(ソ連時間)発せられているが、満州、南樺太(サハリン)など各地で一斉にソ連軍が侵攻してきた。この突然の侵攻に巻き込まれ、民間人を含む10数万人の日本人が殺害され、さらには戦後シベリアに抑留されている。まさに”火事場泥棒”的行為である。その上、戦後も北海道占領を要求してきた。

安倍政権下で、安倍総理とプーチン大統領との間で両国間の平和条約を目指して、その下地ともいうべき経済交渉が続いているが、ロシア側のしたたかな交渉にあって難航しているようである。肝心の返還運動さえ、僕が見る限り、盛り上がっているとは思えない。もう一度72年前のロシアの自己中心の背信行為を想起して、目の前の”利益”だけに走らないように。